表題作と「人間の屑」の2篇。
「ああおもしろかった」とか、「やあいい天気だな」とかの言葉が、「うまく言えた」かどうかということが、とても重要なことのようだ。実際にそんな言葉は出てこないけれども。どうでもいいことだが、なんとなく分かる。空が暗いのと明るいのはおんなじことだというのも分かる。
馬鹿馬鹿しいほどのダメ男っぷりと、堕ちて行く文章の快楽。面白い。
月と砂丘。
膝を抱えて。
意外に固い。
砂の地面に。
風は無く。
音は無く。
僕は無く。
急速に。
冷えて固まる。
空気と体。
一枚の絵の様に。
世界がぺらりとしていたら。
ライターの火で。
簡単に焼けるのに。
動かない夜。
砂と月。
美しいと。
僕じゃない僕が思う。