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1993年、イスラエルとパレスチナの間で交わされた"オスロ合意”締結の裏側を描く本作は、再び両国の衝突が激化する今日こそ見るべき所が多い。
彼らの調整役となったノルウェー人外交官夫婦に扮したアンドリュー・スコット、ルース・ウィルソン主演のように売り出されているが、史実同様に彼らは"裏方”であり(それでもウィルソンにはミニマルな見せ場がある)、真の主役は両陣営の代表を演じる熟練俳優たちだ。J・T・ロジャースの戯曲を得たサリム・ドゥ、ジェフ・ウィルブッシュらによる会話劇は熱を帯び、何度も交渉決裂の危機に瀕しながら互いに食卓を囲み、酒を飲み、語り合うべき隣人と認めていく代表団の姿からは時代が求めるヒューマニズムが浮かび上がる。製作にはスティーヴン・スピルバーグが名を連ね、『ミュンヘン』で劇作家トニー・クシュナーの脚本を得て以後、よりセリフに重きを置き、"演劇化”していった御大の作風に連なっている。撮影をスピルバーグの盟友ヤヌス・カミンスキーが担当、さすがにバートレット・シャー監督では御大のように動かせないが、これは言うだけ野暮というものだろう。
鑑賞の際にはぜひwikipedia程度の知識は最低限用意して挑んでもらいたい。本作は今年のエミー賞でTV部門作品賞にノミネート。時勢の後押しもあり、受賞の最有力ではないだろうか。
『オスロ』21・米
監督 バートレット・シャー
出演 ルース・ウィルソン、アンドリュー・スコット、サリム・ドゥ、ジェフ・ウィルブッシュ
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