ゾンビに喰われた脇役の前日談スピンオフなんていったい誰が見るんだ?さすが『ジャスティス・リーグ』を4時間にできるザック・スナイダーらしい億面もない企画だが、なかなかどうして。主演のマティアス・シュヴァイクホファー自らが監督も手掛ける本作は“B級Netflix映画”としての水準は満たしている。シュヴァイクホファーは地元ドイツで既に多くの出演作と監督作をフィルモグラフィに持っており、本作はドイツからフランス、スイスへと舞台が移って、キャストも多言語が入り乱れるインターナショナルな配役。ハリウッドの人気監督作から派生したNetflixローカルプロダクツの一種なのだ。
主人公の心象風景としてゾンビは出るものの、オリジナルとは全く異なるケイパー映画に仕上がっているのが面白い。ドイツの田舎町でしながい毎日を過ごしているセバスティアンの正体は錠前破りが趣味のYouTuber。そんな彼がナタリー・エマニュエル率いる強盗団にリクルートされ、世界最難関の金庫破りに挑む。この題材でランニングタイム2時間を超えているのはやや手際が悪く、肝心の金庫破りシーンはセバスティアンの天才も金庫の難易度もさっぱり伝わらない有様で、これを3セットもやるのはさすがに芸がない。キャストもシュヴァイクホファーで引っ張るには華に欠けるが、その代わりエマニュエル嬢がキュートだったのでまぁ良しとしようか。
『アーミー・オブ・シーブズ』21・米、独
監督・出演 マティアス・シュヴァイクホファー
出演 ナタリー・エマニュエル、ガズ・カーン、ルビー・O・フィー、スチュアート・マーティン、ジョナサン・コーエン