「鳩の撃退法 上」佐藤正午 2014小学館
この作品の後「月の満ち欠け」で第157回直木賞(2017)を受賞し、久しぶりの佐藤正午の名前がテレビに流れた。
まあ、直木賞受賞作は1年以上たたないと図書館ではなかなか借りられないだろうと、こっちの作品を借りてきたわけだ。
別のタイトルをつけるならば『ピーターパンをやっつけろ!』だろうかね。うん。
ピーターパンは「おんなたらし」らしい。言われてみればその通りだな。チンピラだ。
そしてそれは「生ごみに味をしめて離れない、目の赤い鳩」平和の象徴一転不穏な気配。
それは主人公(語り部)のヒモ小説家、津田伸一。
佐藤正午の書く作品に出てくる人たちは嫌い。でも、たぶん憎めない。絶対に付き合わないけど。
まあ、だからこそフィクションとして楽しめるんだな。また、「もしかしたら、自分もその状況ならそうなっているかも」と思わせる説得力もある。
お水と裏社会、その雰囲気が沁み出してくる。
佐藤正午、やっぱり読みやすいな。
「鳩の撃退法 下」はどうなるのだろうか。津田伸一はどこまで語るのか。どこまで本当か。どんな嘘を吐くだろうか。