「プロメテウスの罠5」朝日新聞特別報道部 2013学研
第25章「海鷹丸が来た」
福島県沖放射能汚染調査
2011年4月13日いわき市コウナゴ12500ベクレル
18日14400ベクレル
(P40の表現が???だよ。「予想に反して身の方が高い」と言っておいて、それが「従来の知見と合う結果だった」???予想に反して、というのは従来の知見を知らなかったということなのか?)
頑張ってくれていたとしても、国の基準値の半分に下げていたとしても、結果を全部公表してどう対応しているのかが見えてこないから不安だ。検出下限値が高すぎるならば意味がないし。消費者が求めるのは「限りなくゼロにちかく」とわかっているはずだから。
慎重な態度の人がいることは評価できる。
「安全だと言った後で放射能が出てしまったら全部が崩れる」その通りだ。
知り合いや自分の家族にも『絶対大丈夫だから』と言えなきゃね。
2012年12月20日ムラソイ254000ベクレル
原発港湾での汚染魚類
2013年2月8日、東電はやっと魚の移動を防ぐ網を入れた。しかし、作業船の出入りでは上げ下げする。
っていうか、その部分の汚染水は自由に(徐々に)海へ流れ出しているんだよね?実は少しずつそうやって放出していたんじゃないの?
原発前港湾内アイナメ51万ベクレル「100万ベクレルクラスがいてもおかしくない」
これが外へ出て網にかかって食卓に乗ることも可能性としてはある。
第26章「生徒はどこだ」
高校生が立ち上げた「安否サイト」
教師と生徒の私的なメールを禁止する教育委員会の方針があったが、非常事態の中では安否確認などのため禁止されるべきいわれはないわな。
第27章「いのちの記録」
「人命が優先なんです。今は動物の話なんかしないでほしい」
持ち出しを禁止する国の政策
ペットと一緒に逃げる人は避難所に入れず(遠慮して入らず)
自治体による救済対応の違い
シェルター(ペット収容)の場所さえも非公開の県、ボランティアの受け入れ認めず、動物たちの保護(?)環境は最悪に。
犬はつかまえたが、後回しにした猫の繁殖力は強かった。
迷惑行為を繰り返す動物愛護ボランティア
第28章「原発維持せよ」
2011年3月資源エネルギー庁次長木村雅昭によるシナリオ
「(木村たちは)自分たちが日本を救えるんだという強い使命感を持ち、自信も(責任意識も)大きい。一方で、それに反する情報は耳が自動的にシャットダウンしている」
国の姿勢は中途半端「国も謝るべきです(木村)」
国の安全審査の責任による国家賠償を避けようというが、これは賠償すべきだろう。安全審査が間違っていた(不十分だった)ことは認めたじゃん。
で、再生可能エネルギーとか言い出すから、相手にカードを渡しちゃうんだろうに。最初から最新火力発電で話をしておけば、エネルギー問題は経済性でも安全性でも説得力を持って原発不要と訴えられるのに。大した理屈があるわけじゃないのに、国民にうまく伝わらないようなこの雰囲気は原子力村によるマスコミ誘導だろうか。
まあ、原発が止まっていても電気が足りなくなることは無いというのがばれちゃっていますけれどね。
電力の自由化をしたら、どこの電力会社も原発など持たないことを官僚たちは知っている。
核燃料サイクルにはこの先いくら必要になるのか。「19兆円文書」そして、これまでの状況から50兆円を超える可能性も。
これまでの強引な手法と裏工作の数々。
事故後も変わらぬ体質。
「お粗末極まりない」保安院による各原発の緊急安全対策全部合格
本当の原発コスト、計算に含まれない出費、これから膨らむ損害賠償。
2007年、電力12社によるトラブル隠し・データ改ざんが発覚するも経営者たちの責任を厳しく問わなかった(第1次安倍内閣)ことによるモラルの完全崩壊
2002年の小泉政権では東電歴代トップ4人の退任へ追い込んでいた。
第29章「家が買えない」
結婚出生活基盤が整ったとして慰謝料打ち切りなど、泣き寝入りしている人が相当数いるのではないか。
賠償は固定資産税評価額(エネ庁仲裁)、これでは家を建てられない。
ダムの場合、再取得価格。これと同等の賠償をすべきだが、戻ることを前提としているので適用しない(させない)。
賠償基準は複数の基準が交錯している。
審査会指針、エネ庁基準、東電基準
東京電力が「指針に書かれていないから」と突っぱねるのであれば、審査会が指針を改定すべきではないのか。紛争解決センターの出した数字を東電側は支払わなければならないことにするべき。東電が不満であれば調査して修正(返還)請求し、調査証明は東電が負うこととすればいいのに。政治家もそれをちゃんと法律で定めるくらいのことは当たり前だろう。そして、時間がなくて東電の言いなりで泣き寝入りしている人を救う方法も、きちんと整備されるべきだ。後からでも追加で修正請求ができる、東電との賠償の覚えに何が書いてあろうと避難者の不利になることは無効であるとする。そういうものを。
自分がどんな損害を被ったのかを把握できていない人も多い。
目の前の生活のために焦る避難者たち。
東電が払いを渋るのであれば、紛争解決センターの和解案を以て(なくても一時金を)国に建て替え請求をできるようにしてもいい。
国にも責任があるのであるから、手元に金がなくなって困っている避難者へ東電が賠償すべき金を立て替えるくらいすべき。
原子力損害賠償紛争審査会(文部科学省所管、学識経験者で組織)
とにかく遅い、紛争解決センター人員追加
被害に見合った賠償ができないなら、なぜ原発など作ったのか。
まさに、これが原発コストにそのまま反映されるべき費用だからだ。推進してきた国も値切ろうとしているのだろう。
第30章「テロ大丈夫か」
9・11以降、アメリカから催促されていた対策。
コストのために見送った日本。
そして、その中には電源喪失対策もあった。
原子力村の中での頻繁な移動は、大きな変化を嫌い先送りにする。また、申し送りが忘れられていく。そうして事故が起きるまで放置。
アメリカは福島の事故を見てさらに見直し。
2011年10月25日原子力委員会、原子力防護専門部会資料「安全対策は検討の対象としない」
(保安院、安全委員会任せ)
2012年1月 日本の核管理ランキング32か国中23位
2012年3月26日核セキュリティー首脳会議「なぜ日本はアメリカ並みの訓練をしないのか」
2013年2月取材、ライマン「コストがかかるのは仕方ない」「だが、膨大になる」「だったら原発をやめるしかないだろう?」
コストを気にするのであれば、原発をやめるしかない。その通りだろう。
そしてテロ対策が義務化されるらしいので、そのコストを原発を持つ電力会社は負担できるのだろうか。それを電気料金に上乗せすることに経済界も含めた国民の理解は得られるのか。
「プロメテウスの罠」は犯人探しをしているような書き方が増えているようで気になるが、誰が何をしてきたのかをまとめてくれている。
また、賠償については避難者だけの問題ではない。次に原発事故が起きたとき、今回の事故の賠償が前例として踏襲されることになるのだから、きちんと被害に見合った賠償を国民全体で求めなければならない。それが原発の正しいコストをはじき出し、原発に対する正しい判断を導き出すだろう。