平成18年7月7日の中国新聞・地域ニュースに「丸久、マンゴー3500個自主回収」と題した記事が掲載され、台湾から輸入されたマンゴーから食品衛生法で定める基準値を超える残留農薬が検出された旨が綴られていました。
記事の気になる部分を抜粋しますと、
とのことです。
この記事でキーワードとなるのは「食品衛生法」と「残留農薬(その基準値)」です。
「食品衛生法」は、平成18年5月29日に「ポジティブリスト制度」が導入され、農畜水産物に使用されている農薬、飼料添加物、動物用医薬品に新たな残留基準や一律基準が設定されるといった改正がありました。
「ポジティブリスト」とは、農産物の生産を行う際に使用される農薬は原則全てが禁止されている中で、禁止されていないものを一覧表に示したものことで、これまで使用されてきた「ネガティブリスト」、つまり原則自由の中で禁止しているものだけの一覧表の対義語です。
ネガティブリストを基準とした農薬の使用では、国産農産物だけで考えれば、国内で使用されている農薬は「農薬取締法」に従った使用が遵守されれば自動的に食品衛生法の残留農薬基準値もクリアーされる様になっています。しかし、例えば海外でネガティブリストに掲載されていない農薬が使用されていたり、それが残留した食品を輸入されたとしても差し止めることはできませんでした(「農薬取締法」で使用の制限ができるのは国内だけ)。
そこで「ポジティブリスト」が導入されました。
具体的に書きますと、例えばマンゴーの残留農薬の基準値はこの様になっている様です。
ここで基準値が示されていない食品や農薬に関しては、一律に0.01ppmを越えて含有してはならないことになっています。これが「一律基準0.01ppm」です。
今回、台湾産マンゴーから検出された農薬は殺虫剤の一種「シペルメトリン」でした。基準値0.03ppmとなっているにも関わらず0.2ppmが含まれていたのですから、基準値以上の農薬が残留していたことになります。
少し話がずれるかもしれませんが、実は日本に輸入された台湾産マンゴーで基準値を超える残留農薬が検出されたのは今回が初めてではないようです。
平成18年5月17日付け「FOOD SCIENCE」のサイトで「松永和紀のアグリ話●ポジティブリスト制への疑問6 輸入食品違反は急増する?」と題された記事が掲載されています。
この記事によりますと、月刊誌「食品衛生研究」(日本食品衛生協会刊)3月号に掲載されている厚労省監視安全課・宇野真麻氏の論文(以下、論文)で、2005度上半期の輸入食品の検査結果をポジティブリスト制の新たな基準に当てはめて調べ、制度施行後の基準値超過事例を推計しているそうです。
以下に、松永氏の記事(特にマンゴーに係る箇所)を抜粋して紹介します。
と台湾産マンゴーで基準値以上の農薬が残留していることが多かったこと、また台湾産マンゴーは基準値をオーバーしやすい作物であることを記しています。
松永氏は、(後略した)記事中に、「輸入業者がしっかり対策をとっていれば、輸入食品における違反数はそれほど増えないかもしれない。」としていますが、今回の台湾産マンゴーの件では「基準値をオーバーしやすいとわかっていたシペルメトリンで、またオーバーした」と言えると思います。
台湾産マンゴーと言えば、平成18年6月29日付けAsahi.comで「台湾マンゴーを売り込め!大阪で台南県が試食会」と題して大阪府で台湾産マンゴーの試食会が開催された記事が掲載されたばかりでした。
その記事によりますと、
と、台南県だけから今年の沖縄県産マンゴーの予想出荷量1,310tを越える量のマンゴーを日本向けに輸出すると意気込んでいただけに、今後はしっかりと対策をとり日本の消費者を満足させて欲しいものです。
日本のマンゴーファンのためにも、海外産マンゴーを輸入される業者は、あらかじめ産地に日本が如何に「食の安全・安心」にこだわっている国であるかを説明し、万一残留農薬の基準値を超える果実を生産した場合は何故そうなったのか?今後はどうするのか?と原因解明と対策追及を厳しくしていただきたいと思います。
因みに、海外産マンゴーと記したのは、台湾産マンゴー以外にタイ産マンゴーでも基準値以上の残留農薬が検出されていたからです。
美味しいだけではなく、安全なマンゴーが食べたいです。
※厚生労働省 報道発表の2006年7月7日付け「輸入食品に対する検査命令の実施について(ブラジル産とうもろこし及び台湾産マンゴー)」で本件に係る詳細説明を見ることができます。(2006年7月10日追記)
○参考サイト
・google ニュース日本版
・中国新聞
・ポジティブリストで残留農薬を調べてみよう
・みんなの農薬情報館
・厚生労働省 食品安全情報
・Asahi.com
・沖縄タイムス
・FOOD SCIENCE
・厚生労働省 報道発表資料
記事の気になる部分を抜粋しますと、
(前略) |
とのことです。
この記事でキーワードとなるのは「食品衛生法」と「残留農薬(その基準値)」です。
「食品衛生法」は、平成18年5月29日に「ポジティブリスト制度」が導入され、農畜水産物に使用されている農薬、飼料添加物、動物用医薬品に新たな残留基準や一律基準が設定されるといった改正がありました。
「ポジティブリスト」とは、農産物の生産を行う際に使用される農薬は原則全てが禁止されている中で、禁止されていないものを一覧表に示したものことで、これまで使用されてきた「ネガティブリスト」、つまり原則自由の中で禁止しているものだけの一覧表の対義語です。
ネガティブリストを基準とした農薬の使用では、国産農産物だけで考えれば、国内で使用されている農薬は「農薬取締法」に従った使用が遵守されれば自動的に食品衛生法の残留農薬基準値もクリアーされる様になっています。しかし、例えば海外でネガティブリストに掲載されていない農薬が使用されていたり、それが残留した食品を輸入されたとしても差し止めることはできませんでした(「農薬取締法」で使用の制限ができるのは国内だけ)。
そこで「ポジティブリスト」が導入されました。
具体的に書きますと、例えばマンゴーの残留農薬の基準値はこの様になっている様です。
ここで基準値が示されていない食品や農薬に関しては、一律に0.01ppmを越えて含有してはならないことになっています。これが「一律基準0.01ppm」です。
今回、台湾産マンゴーから検出された農薬は殺虫剤の一種「シペルメトリン」でした。基準値0.03ppmとなっているにも関わらず0.2ppmが含まれていたのですから、基準値以上の農薬が残留していたことになります。
少し話がずれるかもしれませんが、実は日本に輸入された台湾産マンゴーで基準値を超える残留農薬が検出されたのは今回が初めてではないようです。
平成18年5月17日付け「FOOD SCIENCE」のサイトで「松永和紀のアグリ話●ポジティブリスト制への疑問6 輸入食品違反は急増する?」と題された記事が掲載されています。
この記事によりますと、月刊誌「食品衛生研究」(日本食品衛生協会刊)3月号に掲載されている厚労省監視安全課・宇野真麻氏の論文(以下、論文)で、2005度上半期の輸入食品の検査結果をポジティブリスト制の新たな基準に当てはめて調べ、制度施行後の基準値超過事例を推計しているそうです。
以下に、松永氏の記事(特にマンゴーに係る箇所)を抜粋して紹介します。
(前略) |
と台湾産マンゴーで基準値以上の農薬が残留していることが多かったこと、また台湾産マンゴーは基準値をオーバーしやすい作物であることを記しています。
松永氏は、(後略した)記事中に、「輸入業者がしっかり対策をとっていれば、輸入食品における違反数はそれほど増えないかもしれない。」としていますが、今回の台湾産マンゴーの件では「基準値をオーバーしやすいとわかっていたシペルメトリンで、またオーバーした」と言えると思います。
台湾産マンゴーと言えば、平成18年6月29日付けAsahi.comで「台湾マンゴーを売り込め!大阪で台南県が試食会」と題して大阪府で台湾産マンゴーの試食会が開催された記事が掲載されたばかりでした。
その記事によりますと、
(前略) |
と、台南県だけから今年の沖縄県産マンゴーの予想出荷量1,310tを越える量のマンゴーを日本向けに輸出すると意気込んでいただけに、今後はしっかりと対策をとり日本の消費者を満足させて欲しいものです。
日本のマンゴーファンのためにも、海外産マンゴーを輸入される業者は、あらかじめ産地に日本が如何に「食の安全・安心」にこだわっている国であるかを説明し、万一残留農薬の基準値を超える果実を生産した場合は何故そうなったのか?今後はどうするのか?と原因解明と対策追及を厳しくしていただきたいと思います。
因みに、海外産マンゴーと記したのは、台湾産マンゴー以外にタイ産マンゴーでも基準値以上の残留農薬が検出されていたからです。
美味しいだけではなく、安全なマンゴーが食べたいです。
※厚生労働省 報道発表の2006年7月7日付け「輸入食品に対する検査命令の実施について(ブラジル産とうもろこし及び台湾産マンゴー)」で本件に係る詳細説明を見ることができます。(2006年7月10日追記)
○参考サイト
・google ニュース日本版
・中国新聞
・ポジティブリストで残留農薬を調べてみよう
・みんなの農薬情報館
・厚生労働省 食品安全情報
・Asahi.com
・沖縄タイムス
・FOOD SCIENCE
・厚生労働省 報道発表資料