今回は、熱帯果樹の書籍紹介をさせて頂きます。
紹介する書籍は、技術評論社から2014年 8月に出版されました、米本仁巳著「見ながら学習 調べてなっとくずかん フルーツ」(本体2,680円+税)です。
本書は、『子ども向けに書かれた熱帯果樹図鑑』とカテゴリーするのが順当かと思われます。
本書内で用いられている漢字には全て“ふりがな”が振られていますし、可愛い果物イラストが台詞で説明しています。
内容も子どもでも熱帯果樹に関心が持てるように、「どんな風に実が着くの?」「どうやって食べるの?」等の基本的なことに加え、「品種や害虫、栄養成分、食べる意外の用途等に関わるコラム」など様々な角度から噛み砕いて展開されています。
写真もとても綺麗なので、眺めるだけでも満足できそうな図鑑です(図2、3)。
図2.ページサンプル「パパイア」
図3.ページサンプル「タマリロ」「ペピーノ」
町の図書館や学校の図書室に常備して欲しい一冊と言えましょう。
しかし、時折「対象年齢は子どもだけじゃないよ!」と言わんばかりにマニアックな切り口が炸裂します。
例えば、マンゴスチンのページのキワノ君は「受精せずに単為生殖し、種子は母親と同じ遺伝子を引き継ぐから、みんなクローンみたいだね。」と喋っていますが、この台詞は理系専攻の高校生以上が対象だと思います(図4)。
図4.子ども相手に専門用語を連発するキワノ君
また、学名を説明するカシューナッツ君は「( )内がシノニムだよ。どちらの学名も検索すると、正しい情報が見つけやすくなるよ。」と、これまた大学で植物分類学を学び始めた学生にするような話をしています(図 5)。
図5.カシューナッツ君、「シノニムだよ」って言われても・・・
さらに、「コラム・調べてみよう」というコーナーでは「熱帯フルーツの検疫」として植物防疫の検査方法や植物防疫官について説明されています。
続いて再登場のキワノ君は「植物防疫官の人々は、国家公務員の一員なんだね!」と就活生か婚活女子みたいな驚き方です(図6)。
図6.キワノ君が説明している対象がますますわからない。
説明文も格好良いので、来年以降の『小学生が将来なりたい職業』に植物防疫官が上位ランクインすることは間違いないでしょう。
この様に、本書は『子どもからマニアまで幅広く楽しめる一冊』です。
一読をお薦めします。