2012年9月上旬に知人から「紫グアバ」をもらいました。
「紫グアバ」は、沖縄県内では多くはありませんが庭木等で見かけることがあります。
これまで花や果実を見る機会はありましたが、今回は樹上で柔らかくなった果実を食する機会に恵まれましたので、報告したいと思います。
「紫グアバ」の食味等に触れる前に、「紫グアバ」が文献上でどの様に記載されているかを確認します。
私は「紫グアバ」について書かれた文献を余り知りませんが、台湾の果樹図鑑「台灣蔬果實用百科3」に「紫グアバ」の写真とわずかな記述があります。
それによると、台湾では「紫グアバ」は「紅皮拔(赤皮グアバ)」と呼ばれている様です(写真2)。
写真2.「台灣蔬果實用百科3」に掲載されている「紅皮拔」の写真
さらに
●品種 (中略) 観賞用品種種有紅皮拔、香拔、草苺番石榴等。 観賞用の品種として「紅皮拔(赤皮グアバ)」、「香拔(香りグアバ)」、「草苺番石榴(ストロベリーグアバ)」等がある。(ねこがため訳) |
という風に、「紫グアバ」である「紅皮拔(赤皮グアバ)」は観賞用品種として紹介されています。
そのため、私は「紫グアバ」について特に興味を示していませんでした。
とは言え、樹上完熟果を食する機会があれば、一応データを取りたくなるのがマニアです。
以下、今回得た「紫グアバ」に関するデータを記します。
収穫日:2012年9月4日
試食日:2012年9月5日
果実重:88.7g
果実サイズ(縦径×横径×横径):48.8mm×58.3mm×57.7mm
果肉厚:上部;12.8mm、横部;10.8mm
Brix:9.8
「紫グアバ」の最大の特徴は果肉色が紫色なことです(写真3)。これは珍しい果肉食の果物であるだけでなく、他の果肉色のグアバと混ぜて彩りを豊かにできる=グアバという果物の魅力向上に繋がりそうです。
写真3.「紫グアバ」の果実
(左:果頂から見た果実、右:果実縦断面
果実サイズは一般的なグアバより小ぶりです。
食味はBrixの数値(Brix:9.8はグアバとしては、やや高め)より薄味な印象を受けました。酸味がとても少ないことと関連しているかもしれません。
食感はクリーミー(石細胞は僅か)で、果肉が厚く、種子が少ない様でした。
香りは少なく、全体としては「小ぶりで風味は薄いが嫌な感じはない」という感想を得ました。
樹勢が強い感じがしないので、収量は低めかもしれませんが、全くの戦力外として見ていたのは改めた方が良いかもしれません。
果物は先入観に捉われずに食べてみることが大切だと改めて思いました。
〇参考文献
・「台灣蔬果實用百科3」.薛聰賢.2001.台湾普緑出版部.
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