日本刀鑑賞の基礎 by ZENZAI  初心者のために

日本刀の魅力を再確認・・・刀のここを楽しむ

短刀 平安城弘幸

2010-05-28 | 短刀
短刀 平安城弘幸

  短刀 銘 平安城堀川住弘幸 慶長拾三年九月日

 

 

 直刃の魅力をもう一点紹介する。身幅に比較して極端に幅の狭い直刃を糸直刃などと表現することがある。決して研ぎべりの結果で細くなったわけではなく、元来が細直刃であり、実用を意図しても製作である。
 弘幸(ひろゆき)は堀川國廣の門人ではあるが、國廣のよいな相州伝と言うより独創的な細直刃を焼いて有名である。地鉄は國廣伝のゼングリとした縮緬状に小模様となる杢目交じりの板目肌で、本作は殊に地鉄が美しく、一部柾目状に流れて微細な地沸が付いて潤い感がある。この肌目と小沸の細直刃が働き、狭い刃縁に繊細なほつれが掛かる。派手ではない。しかし視覚を通して迫るものがある。戦国時代から江戸時代最初期を生きた、実用の武具を製作した刀工の、迫力であろうか。