日本刀鑑賞の基礎 by ZENZAI  初心者のために

日本刀の魅力を再確認・・・刀のここを楽しむ

脇差 橘康廣 Yasuhiro Wakizashi

2017-02-10 | 脇差
脇差 橘康廣


脇差 橘康廣

 康廣は備前伝互の目丁子を得意として大坂に栄えた石堂派の刀工。この脇差は、平和な江戸時代に入って、古作を手本に堂々とした造り込みに挑んだもの。身幅広く重ね厚く、常になくがっしりとしている。特別注文であろう。地鉄は良く詰んだ小板目肌。刃文は鎌倉時代の備前物を手本としたものであろう、小丁子が複雑に寄り添って押し合っているような構成。匂を主調に刃境に小沸が付いて冴え冴えとしている。小丁子に伴う鋭い足は左右に広がり、刃中に飛足となり、あるいは葉となり、細かに出入りする焼頭の変化と共に刃中を鮮やかに装っている。江戸時代前期における、古作写しでは地刃共に古作に近い出来の作品を遺している一派でもある。高い技術を備えていたことが判る。

脇差 固山宗次 Munetsugu Wakizashi

2017-02-10 | 脇差
脇差 固山宗次



脇差 固山宗次

 備前伝互の目丁子出来を紹介している。備前伝互の目丁子出来を得意とした固山宗次の、大小揃いとされたものであろう、その脇差。江戸時代の作らしくバランスが良く仕立てられているが、常に比して反りがやや深く、切断をより強く意識していると思われる。地鉄は良く詰んだ小板目鍛えで、無地風にも思えるほどに綺麗だ。この点は江戸時代後期に間々みられる時代の特徴。刃文は丁子が二つ三つ四つと寄り合っているが拳状にはならず、焼頭が高低抑揚あり、足が長く入って鮮やか。帽子は乱れ込んで返っている。一目で備前伝互の目丁子出来と分かる作である。綺麗ながら斬れ味鋭いことでも宗次は有名だ。折損のなさそうな、粘り気の感じられる作である。