琵琶湖と原発

2011年03月31日 | 防災と琵琶湖



【大飯原発のリスク評価】



大飯発電所福井県大飯郡おおい町にある関西電力の原
子力発電所。福井県最大の発電所。大飯発電所の1号機
と2号機は、アイスコンデンサ方式という他の原子炉に
はない方式を採用している。これは、格納容器の周り
に設けられた1,944本のバスケットに、ブロック状の氷
を入れ、事故時に発生する蒸気を急速に冷却し圧力を
さげる方式である。アイスコンデンサーには常時1,250
トンの氷が格納してある。この方式により、格納容器
の体積を同クラスのものより小さくすることに成功し
ている。

その後、格納容器のコンクリート壁内部にPC鋼より線
(テンドン)を入れて、あらかじめ格納容器全体を締
め付けおき、事故時に発生する大きな圧力に耐えるプ
レストレストコンクリート製方式が採用されるように
なり、この方式の採用はこの2基に留まった。


過去の主なトラブル

2005年12月22日
大雪と強風のために送電線にトラブルが発生し、自動
停止した。

2010年2月1日
1号機は、1次冷却材中のよう素濃度および希ガス濃度
が前回(1月29日)の測定値を上回ったため、1次冷却
材中の放射能濃度の監視を強化していましたが、漏え
いの疑いがある燃料集合体を特定するため、2月6日に
原子炉を停止し原因調査。

 
 

2008年5月26日
3号機の定期検査中に発見されたトラブル(原子炉容
器出口管台溶接部の損傷)。

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※関西電力管轄

<尺度適用発電所および事象>

(1) 大飯発電所2号機(暫定評価ではレベル0+としていたがレ
ベル1として評価された)
 

 『制御棒の落下』(平成11年1月29日、2月17日、3月11
 日、4月16日記者発表済)

(2) 大飯発電所1号機(レベル0-)
   『燃料集合体支持格子の変形』(平成11年3月15日、4月
1日、4月23日記者発表済)
(3) 美浜発電所2号機(評価対象外)
   『復水器細管からの海水の漏れ込み』(平成11年4月29
日、5月7日記者発表済)
(4) 美浜発電所2号機(レベル0-)
   『1次冷却系の余剰抽出水系統配管からの漏えい』(平成
11年4月30日、5月7日、25日記者発表済)
(5) 高浜発電所4号機(レベル0-)
   『蒸気発生器伝熱管の渦流探傷検査による有意な指示』
(平成11年5月27日、6月10日記者発表済)
(6) 美浜発電所3号機(暫定評価では評価対象外としていたが
レベル0+として評価された)
   『主蒸気管油圧防振器の損傷(主蒸気管内での水撃の発
生)』(平成11年5月27日、6月3日記者発表済)





【エピソード】

 


【脚注及びリンク】

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(1)「
日本原子力研究開発機構
(2)「
日本の原子力発電所
(3)「放射性物質による環境汚染予防に向けて
(4)「
地域防災計画データベース:消防庁防災課
(5)「関西電力 大飯発電所
(6)「大飯発電所のトラブル情報
(7)「国際原子力事象評価尺度(INES)」
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琵琶湖と原発

2011年03月30日 | 防災と琵琶湖






【高浜原発リスク評価】 

過去の主なトラブル
1999年9月14日
3号機に使用予定だったMOX燃料ペレットにデータ改ざ
んが発覚。MOX燃料製造データ改ざん、関西電力高浜
原子力発電所三号炉に使用予定だった、イギリス原子
燃料公社(BFNL)製造のMOX燃料ペレットの寸法デー
タを改ざん。データの偽造は、22ロット分。関西電力
は独自の抜き取り調査を行っているが、偽造を見抜け
なかった。発覚当時、高浜四号炉用のMOX燃料が日本
へ向けて輸送中であった。なお、関西電力は1999年
10月にデータ改ざんの疑惑について情報を得ていたが、
BFNLからの不正はないとの連絡を受けて通産省や福井
県に報告せず。

国と関西電力は同年9月24日、現地調査に基づく中間
報告を発表。報告書は、高浜三号炉用のデータ改ざん
を認めたが、高浜四号炉用のMOX燃料については不正
はないとしている。

表 琵琶湖周辺原発地震対策指針

設置者 発電所 想定津波 m 地震対策
関西電力 美浜 0.74~1.86 現在過般式の発電機および空冷式の発電機増設。海抜32メートルの位置に設置することも検討中(美浜)/ 総額500億~1000億円規模の設備投資/非常用発電機や海水ポンプなどの設置/送電線の強化/使用済み核燃料プールの冷却機能強化
関西電力 高浜
関西電力 大飯
日原力発 敦賀   総額200億円規模の新たな地震・津波対策の設備投資→非常用電源車の配備や使用済み核燃料プールに冷却水を入れる新配管設置など
北陸電力 志賀   11メートル以上の津波が襲っても安全な体制を構築/ 冷却ポンプの予備機を増やし、迅速な復旧に対応/非常用電源車を5台配備

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




作成:2011.3.29

  

【エピソード】

 

【脚注及びリンク】
-----------------------------------------
(1)「
日本原子力研究開発機構
(2)「
日本の原子力発電所
(3)「放射性物質による環境汚染予防に向けて
(4)「
地域防災計画データベース:消防庁防災課
(5)「関西原子力事業部高浜発電所
(6)「原子力発電の事故隠し・データ改ざん一覧
-----------------------------------------



 

 

 


琵琶湖と原発

2011年03月28日 | 防災と琵琶湖




 【琵琶湖周辺の原子力発電設備】

設置者 発電所 号炉 所在地 炉型 出力 運転開始
西電力 美浜 1号 福井県三方郡 PWR 34.0 70/11/28
関西電力 美浜 2号 福井県三方郡 PWR 50.0 72/07/25
関西電力 美浜 3号 福井県三方郡 PWR 82.6 76/12/01
関西電力 高浜 1号 福井県大飯郡 PWR 82.6 74/11/14
関西電力 高浜 2号 福井県大飯郡 PWR 82.6 75/11/14
関西電力 高浜 3号 福井県大飯郡 PWR 87.0 85/01/17
関西電力 高浜 4号 福井県大飯郡 PWR 87.0 85/06/05
関西電力 大飯 1号 福井県大飯郡 PWR 117.5 79/03/27
関西電力 大飯 2号 福井県大飯郡 PWR 117.5 79/12/05
関西電力 大飯 3号 福井県大飯郡 PWR 118.0 91/12/18
関西電力 大飯 4号 福井県大飯郡 PWR 118.0 93/02/02
日原力発 敦賀 1号 福井県敦賀市 BWR 35.7 70/03/14
日原力発 敦賀 2号 福井県敦賀市 PWR 116.0 87/02/17
北陸電力 志賀 1号 石川県志賀町 BWR 54.0 93/07/30
  14基     1,097.3  

※出力:万kW

【美浜原発のリスク概要】

原子力施設のリスクを管理するうえでは、リスクが
十分低いように設計することが基本である。しかし、
設計基準を超えるような事故に対しても、原子力発
電所等については確率論的安全評価(PSA)により、
残されたリスクの評価を行って設計の余裕を確認し
たり、PSAの結果を参考に、そうした事故に対する
対応策(アクシデントマネジメント策)を整備して、
リスクを一層低減する努力が行われている。

下図は、原子力発電所の事故で我々が生命を失うリ
スクの評価例を病気やけが等の日常的なリスクと比
較したものである。この図には、各プラントの炉心
損傷事故及び格納容器破損事故の発生率と公衆の発
がん及び急性死亡の死亡リスクが示してある。我が
国では、まだ環境影響の評価はなされていないので、
原子力発電所のリスクについては、米国原子力規制
委員会の5基のプラントでの評価NUREG-1150報告書
の結果を不確実さの幅を持たせて表示している。



因みに、沸騰水型炉心破傷事故の年間事象発生率は
10-6で、原子力発電所の事故による死亡確率は10-9
程度となる。しかし、今回のように事故が発生しま
っては、確率論は吹っ飛ぶ。適切な発生現場労働が
なければ、いまも、炉心溶融→施設外に散逸する大
事故に繋がり、現場にもっとも近い労働の担い手に
とっては、有り体にいえば、事故カウントの終わり
が真の災害の始まりと例えられ、死亡率は1/2にま
で急上昇する。確率論はあくまでも‘安心’を担保
する数値以外の意味はないのだから「保全の質」×
「設計の質」×「環境の質」の動的リスク評価がす
べてで、そのアルゴリズムの確立とシステム化が問
われているのだと考える(これを自己流で『中性子
環境システム工学』あるいは『中性子制御環境シス
テム工学』と呼んでいる)。

【過去の主なトラブル】

1973年(昭和48年)3月(日付不明)
美浜一号炉において第三領域の核燃料棒が折損する
事故が発生1991年2月9日
2号機の蒸気発生器の伝熱管1本が破断、原子炉が自
動停止、非常用炉心冷却装置(ECCS)が作動する事故
が発生。美浜沖の海水から、通常なら数Bq/Lより少
ないトリチウムが、2月10日に470Bq/L、2月18日にも
490Bq/L検出。
2003年5月17日
2号機の高圧給水加熱器の伝熱管に2ヶ所の穴が開く。
放射性物質の外部への漏れはなし。
2004年8月9日
3号機二次冷却系の復水配管(第4低圧給水加熱器~
脱気器間)から蒸気漏れ。11名のうち5人が死亡、6
人が重軽傷を負う。運転中の原子力発電所における
死亡事故としては国内初。原子力関係施設での死者
は、東海村JCO臨界事故の臨界事故以来7人目。



【エピソード】

鳶職には生命保険が掛けられないとされるほど危険
なので建設業では日当がトップだ。原発現場の労働
はどの様に扱われるのだろうか。非正社員、請負業
者のリスクが高く、補償が少なければ踏んだり蹴っ
たりだと思いつつ、そのような環境がリスクを大き
くする、どこかで「逆立ち」はしていないかと疑心
暗鬼にもなる。


【脚注及びリンク】
-----------------------------------------
(1)「
日本原子力研究開発機構
(2)「
日本の原子力発電所
(3)「放射性物質による環境汚染予防に向けて
(4)「
地域防災計画データベース:消防庁防災課
(5)「関西電力の美浜原子力発電所1号機が運転
  開始から40年」
11.10.26産経新聞
(6)
原発と地域振興-美浜町の事例-
(7)「
さよなら原発 KOBE NETWORK

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琵琶湖と原発

2011年03月27日 | 防災と琵琶湖

 【福井一極集中のリスク見直し必至】



関西電力の美浜原子力発電所1号機(福井県美浜町)が
28日、運転開始から40年を迎える。昨年11月8日に地元
の福井県などが40年目以降の運転延長を了承。同社は最
長10年の延長を打ち出しており、同原発は国内最長とな
る50年間の運転を行う公算が大きい。経年劣化対策など
安全性の確保や後継機設置など課題も少なくないと見ら
れている。美浜1号機は1965年11月28日に営業運転を開
始。出力は34万キロワットで、関電の保有する原発では
最も規模の小さなタイプ。美浜1号機の運転延長を行う
背景には、同社の中長期計画がある。計画では、原子力
発電を基軸に、非化石電源比率を現状の約5割から2030
年には約6割に高めることが目標になっている。具体的
な運転延長期間は来年秋をめどに示すとしているが、計
画の達成を考えると、最長10年の運転延長を目指す可能
性が高い。「美浜1号機はできるだけ長く使いたい」(
八木誠社長)との意向があり、同社は24日から、後継機
設置の可能性を検討するための自主的調査を開始。調査
は約1年間行われる予定だが、今後も調査の進捗状況や
結果を地元に報告するなど、きめ細かい取り組みが不可
欠になると報じられている(産経新聞10.11.26)。















【エピソード】

こんかいの福島原発第一事故の衝撃から『中性子環境シ
ステム工学』として再学習しようと思っているが、ここ
では、福井原発群と琵琶湖汚染の観点から下調べに入る。
季節の変わり目もあり、強いストレスを受けると一時的
な血圧変動(ほとんどが降下)に襲われる。同じように
多くの国民も黙って耐えているのだと思う。


【脚注及びリンク】

-----------------------------------------
(1)「
日本原子力研究開発機構
(2)「日本の原子力発電所
(3)「放射性物質による環境汚染予防に向けて
(4)「
地域防災計画データベース:消防庁防災課
(5)「関西電力の美浜原子力発電所1号機が運転
  開始から40年」11.10.26産経新聞
(6)
原発と地域振興-美浜町の事例-

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琵琶湖と放射能汚染

2011年03月15日 | 防災と琵琶湖

 





【福島原発事故経緯】

千年に一度のマグニチュード9.0の東北関東大震災は、日
本でももっとも古いとされる福島原発第一、第二原発を
襲った。耐地震性において何とか持ちこたえたものの想定
高さ5㍍を超える津波は、瞬時に施設内電電源装置をブラ
ック・アウトし、核燃料を自動停止させた炉心及び廃棄核
燃料の冷却機能を遮断。原発設備の廃却を前提とした窮余
の海水投入という非常処置を行ったものの炉心の核燃料棒
の部分的あるいは全面的な冷却不全という事態を引き起し、
水素爆発及び出火による施設外に放射線汚染を誘発させて
た。史上初の一施設内同時多発事故発生という事態は、現
在も予断を許さぬ状態にあり近隣住民の緊急避難及び室内
待機策が取られている。


111446 地震発生、福島原発自動停止
111903 政府初の原子力緊急事態宣言
112123 付近住民避難指示開始
1214?? 原子力安全保安院、第1・1号機で国内初の炉
    心溶融が起きたと発表
121536 同1号機で原子炉建屋爆発、水素爆発と判明
130510 同3号機が全注水機能喪失
141101 同3号機の建屋で水素爆発、内部の格納容器
    は無事
150614 2号機で爆発音、原子力格納容器の圧力制御
    室の一部破損
150940 4号機建屋で出火
151100 菅直人首相、同原発20~30㌔の住民に対し屋

    内退去呼び掛け





【放射能汚染と水問題】

これまでに発生した重要な放射性物質による環境汚染
事故例(表1-1 これまでに発生した重要な放射性
物質による環境汚染事故等)は以下の通り。

http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-18-t991-2.pdf

(日本学術会議「荒廃した生活環境の先端技術による
回復研究連絡委員会」2004.5.20)
http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-18-t991-1.pdf


【放射能汚染と防災】

  

滋賀県では今回の事故契機として滋賀県が制定する「
滋賀県地域防災計画」(原子力災害対策編)の見直し
を行うとしている
。今回の被災経験から学べることを
1つとして被災者の受け入れなどを含めた広域の放射
能防災実地訓練が絶対必要だということだ。

☆「滋賀県地域防災計画」
http://www.pref.shiga.jp/bousai/portal/kanren/bousai_chishiki/bousaikeikaku.html



☆「滋賀県衛生科学センターだより」







【エピソード】

連日報道される被災状況を見ているだけで精神的に参っ
てしまう
。会員の皆様でなにかご提案などがあれば事務
局(有山)までご連絡願います。こうしている中でも、
静岡で震度6強の地震がありました(23:05)。


【脚注及びリンク】

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(1)「21世紀の核時代 負の遺産(3)」
(2)「四川省 地下核施設爆発と放射能汚染
(3)「ロシア・マヤーク再処理工場:核惨事の
  半世紀」
(4)「セミパラチンスク核実験場
(5)「汚染される海と空と、そして人!」
(6)「チェルノブイリの悲劇
(7)「小川原湖湖沼群
(8)「放射性物質による環境汚染予防に向けて
(9)「地域防災計画データベース:消防庁防災課
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