湖沼名 |
諏訪湖 |
ローカル名 |
|
大 陸 |
日本列島 |
国 名 |
日本 |
成因 |
構造湖 |
周囲長(km) |
15.9 |
面積(km2) |
13.3 |
最大水深(m) |
7.2 |
容積(km3) |
0.063 |
標高(m) |
759 |
淡水/塩水 |
淡水/富栄養湖 |
「釜口水門」は、天竜川への諏訪湖唯一
の湖水の出口になっており、洪水調節な
ど極めて重要な施設。付近の「湖畔公園」
には、岡谷出身の「琵琶湖周航の歌」の
作詞者である、小口太郎の記念碑や銅像
がある。
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諏訪湖は、長野県岡谷市、諏訪市、諏訪
郡下諏訪町にまたがる湖。河川法では、
天竜川(一級河川)水系の一部として扱
われる。湖沼水質保全特別措置法指定湖
沼。長野県中部の諏訪盆地に位置する。
面積は県内最大。糸魚川静岡構造線の断
層運動によって、地殻が引き裂かれて生
じた構造湖(断層湖)である。また糸魚
川静岡構造線と中央構造線が交差する地
でもある。諏訪湖はかつて非常に水質の
よい湖であり、江戸期には琵琶湖や河口
湖から蜆が放流され漁業も行われていた。
しかし、戦後の高度経済成長期にかけて
生活排水などにより湖の富栄養化が進み、
水質が悪化。70年代から80年代にかけて
は、アオコが大発生し湖面が緑色になり、
悪臭が漂い発泡するなどといった環境悪
化が見られた。近年は市民や行政が積極
的に水質改善に取り組んだ結果、現在で
は大幅に水質が改善されているものの、
かつての姿を取り戻すまでには至ってい
ない。
かつては毎年のように分厚い氷が湖面を
おおい、湖面ではワカサギの穴釣りをは
じめ、アイススケートなども行われてい
たが、近年は全面氷結の頻度が減少して
いる。また、氷も薄くなっており、スケ
ートなどを行うのは危険である。しかし、
ワカサギの穴釣りを楽しむ観光客がたく
さん訪れる。
“Come back Wakasagi smelts ! ”
諏訪湖で行われる漁業はワカサギは1915
年(大正4年)に持ち込まれたもので、そ
の後の諏訪湖の漁業の中心となった。現
在は漁獲量が極端に減少(ブラックバス
やブルーギルといった外来魚によるとこ
ろが大きいと考えられている)。 諏訪
湖漁協では例年40億粒の採卵をして、全
国の湖沼80ヶ所に18億粒出荷し、残りは
諏訪湖へ放流している。全国のほとんど
のワカサギが諏訪湖産であるといわれて
いる。漁獲量のピークは1976年(昭和51
年)で、425tだったが、2005年(平成17
年)には42.3tにまで減少している。
ワカサギの漁期はいちおう10月から3月
までとなっているが、2007年は2月1日
より全面禁漁となっているという。
【クリアーできない環境基準】
1986年11月に湖沼水質保全特別措置法に
基づく指定湖沼の指定を受け、諏訪湖の
浄化のため、1987年度以降4期にわたり
湖沼水質保全計画を策定し、下水道の整
備等工場・事業場及び生活排水対策、底
泥のしゅんせつ等を国、県、市町村、住
民、事業者が連携して実施してきたが、
2008年度には全窒素について水質目標値
が達成され、全りんは水質目標値、環境
基準が達成されるなど、諏訪湖の水質は
少しずつ改善しているものの、COD(化
学的酸素要求量)の水質目標値及びCOD
全窒素の環境基準の達成には至っていな
い。一旦富栄養化の進んだ湖の浄化は難
しく、水質指標値は改善しているものの、
かつての豊かで清らかな水をたたえ、水
草が生い茂り、さまざまな魚や貝を育ん
でいた諏訪湖とそれを支えた流域の姿は
いまだ戻っていないという。
表 第5期湖沼水質保全計画水質目標値
項目 |
現 状 |
目標値 |
環境基準 | |
2008年 |
2011年 |
|||
COD |
75%値 mg/l |
7.4 |
4.8 |
3.0 |
年平均 mg/l |
5.5 |
4.6 |
- | |
全窒素 |
年平均 mg/l |
0.71 |
0.65 |
0.6 |
全燐 |
年平均 mg/l |
0.043 |
≦0.043 |
0.05 |
「第5期湖沼水質保全計画」では様々な
浄化対策事業が盛り込まれているが、湖
底に沈積・堆積した汚染物質の除外をど
の様に達成するのか(→放置している限
り還元溶解による水質汚染は絶てないと
考える)という観点から「湖内における
浄化対策」に注目したい。
【エピソード】
びわこをダム化する「琵琶湖総合保全計
画」の反対運動に多少かかわったころ、
琵琶湖と同様に霞ヶ浦と諏訪湖のアオコ
の異常発生が問題となっていたが、諏訪
湖へも視察に訪れていた(当時、悪臭と
規模の上では最悪状態だった)。いまは
かなり回復しているが、住民が一体とな
て人工的な環境保全に成功するか否かの
試金石ならず試金湖沼として世界から注
目されていると言って過言でない。
さて、この諏訪湖には、武田信玄が死に
際して「自分の死を三年間秘密にせよ。
遺骸は甲冑を着せて諏訪湖に沈めよ」と
遺言したという「武田信玄の水中墓伝説」
が広く流布されており、『甲陽軍鑑』に
も同様の記述がある。1986年国土地理院
のソナーによる湖底地形調査で、湖底に
一辺が25mとされる菱形の”物体”が発
見され、これが信玄の水中墓ではないか
とされ、信州大学、読売新聞、日本テレ
ビなど複数の団体が10数年にわたり調査
を行った。電磁波探知機により墓標のよ
うな立体が確認されたとも報道されたが、
最終的には謎の菱形は湖底の窪地の影で
あるとの結論が出されたが、問題の菱形
が自然にできたとは思えない程はっきり
とした形で、湖底は泥が深く目視による
実地調査が困難であることから、水中墓
説を支持する声は現在でも多いと言う。
脚注及びリンク集
(1)「世界の大湖沼」
(2)「世界湖沼会議」、財団法人 国際湖沼環
境委員会
(3)「世界の湖と琵琶湖」
(4)「諏訪湖に係わる第5期湖沼水質保
全計画」
(5)「諏訪湖水質の経年変化」
(6)「諏訪湖における水流動・水質観測」
(7)「長野県が諏訪湖の水質改善にてこ入れ
開始 新たな水質改善対策に乗り出す」