謹賀新年

2023年12月31日 | 日誌


 作成日:2024.1.1|更新日:

地球沸騰化時代の地域脱炭素地域と企業の先行事例 Ⅰ

この夏は日射しが痛いほど強烈だ。高温と多湿で、命に危険なほど
の暑さを体感。「熱中症対策アラート」が頻繁に発令され、体調を
崩さないためにめっきり外出が減りました。気候変動と健康との関
係をこれまでになく痛感しました。7月下旬から8月初めにかけて
2週連続で、全国の熱中症による搬送が1万人を超ています。



図 世界気象機関より 20237月の世界の平均気温


図 1940年から2023年までの7月の世界の地表気温の推移  Data:
ERA5. Credit: C3S/ECMWF


図 琵琶湖河川課HP



図 びわこ水位と渇水

平年の3分の1の雨量で水位はマイナス123センチに
琵琶湖の水位は12月7日午前11時の時点でマイナス73センチにな
りました。川や湖からの取水量を減らすことを「取水制限」とい
いますが、今後も水位低下が続き、マイナス90センチになると実施
される可能性があります。
近年では1994年、2000年、2002年に取水制限が実施されていますが、
過去最低水位のマイナス123センチをきりくしました。
1994年にどんなことが起きたかを振り返り、今後を予想し、雨と私
たちの暮らしがどうなるか考える必要がでてきました。1994年の水
位低下の原因も少雨。6月、7月、8月の雨量の合計は208ミリで、
1894年の観測開始以来最少、平年の632ミリの3分の1ほど。 マイ
ナス76センチになった8月9日、滋賀県は渇水対策本部を設置。そ
の後も水位は下がり続け、8月末には、時の観測史上最低のマイ
ナス103センチ(1939年12月)を更新9月15日にマイナス123セン
チになりました。彦根市の新海浜沖では、砂州が点々と浮かび上が
りました。1992年3月に定められた近畿地方建設局の運用規定では
「マイナス150センチに達した時点で、建設省の決定に基づき人道
上必要な最小限の取水量となるよう努める」とされています。
滋賀県の稲葉稔知事(当時)は「上水道は1人の人間が生活して
いくうえでの最低量を供給する。工業用水は極力再利用でまかなっ
てもらいたい」という厳しい発言がなされました。
※詳細は末尾の【脚注及びリンク】願参照。

脱炭素先行地域事例 ①
2023年11月7日、環境省は脱炭素先行地域の選定結果(第4回)を
公表。 今回54件の応募中12件が選定され、計画提案は合計74件と
なったているが、今回は先進性・モデル性の観点で際立った特徴が
あり、実現可能性が高いと評価されている。日本では。23年3月に
『生物多様性国家戦略2023~2030』が閣議決定、サーキュラーエコ
ノミーでも、環境省が強く推し進めている。「第3回の募集以降、
環境省としても強く打ち出してきた生物多様性と資源循環について、
“重点選定モデル”に加える(環境省・地域脱炭素事業推進課 近藤
貴幸氏)。

今回12件中、<生物多様性の保全>モデルとして高い評価を得た福
岡県うきは市の『農業×観光×生物多諭旨保全で磨き上げる脱炭素
型農村モデルづくり』。
うきは市では、地域資源であるフルーツと観光農園を軸に、新設す
る地域エネルギー会社が中心となり環境配慮型農業と脱炭素化を進
める。“みどりの食料システム戦略交付金(農林水産省)"を活用し進
める『オーガニックビレッジ』との施策間連携もポイントが高かい

果樹剪定枝や放置竹林を活用したバイオ炭づくりや地域エネルギ会
社を通じた生物多諭旨保全活勣への再投資のほか、“ネイチャーポ
ジティブラーニング"という生物多様性の学習メニューコースの構築
といった要素で、施策間連携だけでなく、生物多諭旨の保全で高い
評価を得る。
一方、〈資源循環〉モデルとしては、富山県高岡市が高評価を得た。
中心市街地に太陽光発電設備の導入を進めると同時に、エリア内で
発生する使用済太陽光発電設備を福岡金属工業団地ヘ集め再生アル
ミ資材にマテリアルリサイクルする。「地域の経済循環を確立しサ
ーキュラーエコノミーを実現する〈資源循環〉モデル」として大き
く加点された。

”脱炭素ドミノ”の起点として
回の選定数は、過去最少の12提案。これは、目標年である2030
年までに残された期間が短くなるが、再エネ100%実現へ向けた事
業者や周辺住民などとの合意形成等の熱度が高い計画が求められ、
また、既に様々な先行事例の要素が “先どり" され、これまで以上
に先進性・モデル性の高さの打ち出しが求められた。
脱炭素先行地域の2大要素は、2030年の再エネ100%と地域課題の解
決。2050年のカーボンニュートラルを20年前倒しして2030年に達
成する地域モデル。国際的な枠組みを地域主導で進めていくには、
地球規模の課題を地域政策に落とし込んでいく必要がある。

先進性・モデル性においては、脱炭素の手法だけでなく、自治体が
自律的・自発的に進めていく意味での地域課題解決型の提案され、
 “脱炭素ドミノ” というが、このドミノのポイントは、地域課題に
対し、どういう脱炭素でアプローチするか。その意味で先進性のあ
る計画提案が求められていが、例えば、長野県上田市では赤字ロー
カル鉄道の活性化を脱炭素で実現する。

赤字ローカル線問題は全国的な課題。上田市でモデルを構築するこ
とができれば、今後、非常に多くの赤字ローカル線のヒントになる。
また、 “脱炭素ドミノ” の起点として、提案の中に横展開へ向けた仕
掛けが内在していると、さらにインパクトは強い。例えば、飲食店
やオフィスなど既築ビルが建ち並ぶ定禅寺通エリアで“使いながら
 ”ZEB改修” に挑む仙台市では、共同提案者で構成される『脱炭素
リノベーション支援チーム』を構成する。
「先行地域を越えて周辺地域に横展開していけるような“脱炭素の
基盤”、民間の仕組みづくりを同時に行っていくといった視点が重
要。

大切なフォローアップ 
脱炭素先行地域には、第3回までに選定された62件について、各地
域での取り組みが毎日のように地方紙やインターネットで取り上げ
られていLる。まだ選定されていない地域が既選定の地域へ視察に
行き、施行から2年だが、
大きなうねりになりつつある。一方で、
脱炭素先行地域における挑戦は、先導的な難しい取り組みとなる。
既に選定した地域へのフォローアップ体制がもしっかりと構築。
選定した地域について、選考委員、ブロック別の有識者を加え専門
家のチェックとアドバイス、さらに昨年度から増強した地方環境事
務所が伴走支援するカタチで1年目のフォローアップを開始。

環境省では今後、2025年度までに少なくとも100か所の脱炭素先行
地域を選定していく。今から選定を目指す自治体は、今回の総評な
ども分析し、より先進性・モデル性のある、実現可能性の高い提案
を練っていくことが要となるだろう。
出典:環境ビジネス 2024. WIN 
 
【エピソード】


昨年も「激しく変化する年でした」、春には、ささやかな「観桜
会」の宴をいたしましたが、諸般の事情があり、活動は「ゼロ」
状態でした。今年は春には「観桜会」(見学会兼)を開催する予
定です。ご期待下さい。
                        幹事敬白


【脚注及びリンク】
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