作成日:2021.7.30|更新日:
地域循環共生圏概論 ㉓
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地方創生の鍵となるローカルSDGs=地域
環共生圏ビジネスとは その3.
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気がつけばあっというまに2ヶ月が過ぎました。再
開します。
⛨ 新型コロナという予兆
ここ数年、クマなどの野生生物が山から街に下り、
襲撃の被害が増えているが、これも野生生物は隙あ
らば人間の棲家や食料を奪おうとしているからで、
かつての里山にはいつも人間がいて、襲われること
もあったが、人間の側も彼らを殺して食べていた。
そこに自ずと境界線が生まれ、それがかつての「自
然共生」の姿だった。しかし、人口の減少などによ
りその境界線が揺らぎ、野生生物は単に農作物など
の被害にとどまらず、人間の命を奪う天敵になりつ
つあるとも言えるだろうと件の五箇公一氏は言って
います(五箇公一「人間は他の生物との相関関係な
しには生きられない」中央公論.jp 2021.2.18)。
もう一つ、生物多様性が注目されにくい理由は、気
候危機問題(地球温暖化)のように、気候の変化に
よって大災害が起きたり、経済的に大打撃を与える
というような、人間社会にはっきり目に見える形で
被害を起こすことが少ないからだとも。そして、生
物多様性が重要なのは、人間もまた生物だから、他
の生き物と相関関係を持たなければ生きられないか
らであり、食料や資源として、きれいな空気や水を
生み出す機能としても他の生物はなくてはならない
からこそ、生物多様性を維持し、管理し、共生して
いかざるを得ない。このように生物多様性は人類が
生き続けるための必須要因だと言う。☈
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図1 化石記録に基づく先カンブリア紀後期以降の
海洋動物科の多様性
生物進化の歴史においては化石記録の範囲で5回の
大絶滅が起きたと推測されている。1回目オルドビ
ス紀未斯の大絶滅の原因は全球凍結とされ、2~4回
目のデボン紀、ヘルム紀および三豊紀の各末期の大
絶滅は火山の大噴火による気候変動が原因と考えら
れている。恐竜の大絶滅で一般にもよく知られてい
る白亜紀末斯の5回目の大絶滅は、巨大隕石の衝哭
による気候変動が原因と推測されている。最も壊滅
的な絶滅はベルム紀(二畳紀)末期に起こったとさ
れる。
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☈生物進化の40億年の間には、地殻変動や隕石の
落下、巨大火山の噴火などで、地球上の生命の70
%以上が死滅する事態が少なくとも5回起きたとさ
れ、生物絶滅は200万年以上かかって徐々に進行
したと考えられているが、現代の私達が引き起こす
環境破壊による生物の絶滅速度は、過去の大絶滅よ
りも圧倒的な速さだが、実は地球上にどのくらいの
種がいるのかはよくわからないため、少々の種が滅
んでも大きな問題はないが、生態系というネットー
ワークは非常に複雑に繋がっており、重要なパーツ
を成している系が抜けてしまうだけでも、取り返し
のつかない瓦解が起こるとも考えられる。人類は、
生態系のネットーワークにおける決定的なパーツが
何であるのか、そのメカニズムも含めて把握できな
い。そのことが一番大きなリスクになる。だから、
現状を維持することがリスク管理として妥当だ、と
いうのが生物多様性保全の原理である。生態系自体
がレジリエンス(復元力)を失うと、多くの生き物
が生きていけなくなる。人間は一個の生物としては
極めて脆弱で、一対一で対峙した場合には小動物に
さえ勝てない。そこで、社会を作ってきた人間は、
社会の基盤が崩壊したらたちまち死滅してしまうだ
ろうと。
生態系のメカニズムの狂いによって、どんな異変が
起こるかは予測困難だが、新型コロナのような新し
い感染症の出現間隔が短くなっているのはその一つ
の兆候だと考える。WHO(世界保健機関)は、新
型コロナの発現以前から、新型インフルエンザ出現
のリスクを警告している。多くの人命を奪い続けて
いる従来のインフルエンザは、もともとは鳥のイン
フルエンザであり、現在、鶏舎で流行している強毒
性鳥インフルエンザもいずれ人型へと進化すること
が懸念されている。
抗生物質等により免疫系の異変 ?!
現在の鳥インフルエンザ流行と生物多様性とは一見、
無関係に思われるが、中国や東南アジアの国々で、
集約的かつ大量に飼育されている鶏やアヒルなどの
鶏舎の中にウイルスが入り込み、抗生物質等により
免疫系が異変を起こしていた多様性のない集団の中
で急速に進化した可能性が指摘されている。その意
味では根底に生物多様性の問題があり、このウイル
スが人型に変われば、これまでのワクチンも効力を
失い、重大なパンデミックに繋がる恐れがある。事
実、中国や東南アジアでは集団的な鳥の飼育、世話
をする人の中に、インフルエンザに感染し死亡する
人がすでに出ている。鳥から人に感染しているだけ
で、人から人への感染にはなっていないが、人から
人に移るようになるのは時間の問題だといい、今回
のコロナの多くは弱毒性で致死率は低いが、世界の
経済に大ダメージを与えており、これ以上の強いウ
イルスが発現すると被害がどれだけ拡大するか、今
から考え、備えなければならないと指摘する。
温暖化対策と生物多様性の融合指標
複雑系として機能する生物多様性の数値化は難しい。
総体のシステムとして生態系機能を捉え、それが吸
収し得るカーボン量と吐き出し得る酸素量を計算し、
その収支が取れるまで緑を回復させるとか、森林を
保護するといった計算は可能だろう。そうした形で、
まずは、1機能としての水質浄化や2気温の上昇、
③炭素の収支などの部分で、生態系が果たすべき役
割が正常に循環する範囲にまで温暖化ガスの排出量
を減らすとともに、④グリーンをいかにリカバーす
るかという試算はできるだろう。それを一つの基準
値にすれば、誰の目にも具体的な目標が見えるし、
何をやるべきか、どう働きかければいいのか、イメ
ージが見えてくると提案する。そして、森林の代わ
りにユーカリの樹を植えるのは問題があり、「多様
度」を加えろと、日本の戦後の森林政策----伐採し
森にスギやヒノキばかり植えたために、本来の固有
種がなくなっている。その後、林野事業が衰退し、
山の木が使われない「森の砂漠」と化し、ただ花粉
を飛ばす状況になってしまい、成長しきったスギは
炭素の吸収量が減るし、老木になって土壌の安定能
力も失われているため豪雨が降ると土砂災害に繋が
りやすいなど負の要素が増える----の悪例をあげ批
判し、しかし、スギを燃料として利用すればエネル
ギー利用効率は移送コストもかかる石油など化石燃
料にも引けを取らず、エネルギー源として有用とな
る。スギの木や広葉樹の老木を伐採して直接燃やす
ことで得られる熱量は、LNG(液化天然ガス)や
石炭に比べて高くはないが、炭化させたり、チップ
に加工することにより高熱量燃料となり得る。燃や
せば炭素が出るが、新しい苗を植えれば成長期に光
合成によって吸収した二酸化炭素を固定するので、
正味の収支をゼロにすることができる。これを継続
的に繰り返せばカーボンニュートラルな産業として
林業が十分に機能するだろう。スギやヒノキに置換
される以前にあった広葉樹を植えることで、多様性
を回復させることもできる。こうした形で、多様度
とカーボンの収支の両輪で計算していけば、一つの
基準を作ることが可能になってくると期待されると
提案しています。
この項つづく
【エピソード】
【脚注及びリンク】
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- 人間は他の生物との相関関係なしには生きら
れない 五箇公一 『中央公論』2021年3月号 - 「謎の感染拡大〜新型ウイルスの起源を追う
〜」 NHK、2020/12/27 - ESG地域金融』で地域を元気にする 環境ビジ
ネス - スウェーデンでゴミの99%を有効利用する「
リサイクル革命」が起きている(動画) ハ
フポスト - 『環境ビジネス 2020年夏季号』
- 滋賀県に根づく『三方よし』の経営を実現,
環境ビジネス,2020年冬季号 - 環境への取り組み CSR(企業の社会的責任)
佐川急便株式会社 - 彦根市一般廃棄物処理基本計画の進捗状況評
価について(平成30年度) , - 滋賀県出身の人物一覧 Wikipedia
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