作成日:2022.3.30|更新日:2022.
✺ 地域循環共生圏概論 ㊺
□ 地盤強化と地震防災⑩
第7章 プラント計画および土木・建築計画
7.1 熱回収施設のプラント計画
(1)処理フロー
(2)主要設備計画
1)受入・供給設備
2)主要設備計画
3)燃焼設備
4)燃焼ガス冷却設備
5)排ガス処理設備
6)余熱利用設備
本施設での余熱利用は発電を基本とし、施設内電力利
用のうえ、余剰電力は売電する。なお、現行の環境省交
付金メニューのうち、エネルギー回収型廃棄物処理施設
の要件を満たすものとし、エネルギー回収率 16.5%以
上とする。余熱利用設備は、廃熱ボイラーにより発生し
た蒸気エネルギ-ーを回収し電力に変換する蒸気タービン
および蒸気タービン発電機、その他の温水利用設備で構
成する。(後略)
7)通風設備
通風設備は、ごみを燃焼するために必要な空気を燃焼
装置に送入する押込送風機、燃焼用空気を加熱する空気
予熱器、燃焼した排ガスを排出する誘引通風機、燃焼ガ
スを大気に放出するための煙突、排ガスを燃焼設備から
煙突まで導くための排ガスダクト(煙道)等で構成する。
なお、振動対策として誘引通風機は独立基礎に設置し、
かつ騒音対策として専用室内に納めることとし、専用室
内は吸音工事を施する。
8)灰出し設備
灰出設備は、主灰と飛灰を分けて処理・貯留・搬出で
きる設備とする。燃焼設備で完全に焼却した主灰の消火
と冷却を行うための灰押出装置(灰冷却装置)、排ガス
処理設備や燃焼ガス冷却設備から排出される飛灰を安定
化処理する飛灰処理設備、灰を一時貯留するための灰ピ
ット(主灰ピットおよび飛灰処理物ピット)や灰クレー
ン、各設備間で主灰や飛灰を円滑かつ適正に移送する灰
出コンベヤ等で構成する。作業環境、機器の損傷を考慮
して、焼却炉から灰ピットまでの灰搬出ルートについて
は極力簡素化を図るように、灰ピットの配置、搬出装置
を計画する。(後略)
9)排水処理設備
排水処理設備は、場内から発生する汚濁排水を処理す
るものであり、ごみピット汚水はろ過した上で炉内に噴
霧する。プラント系排水(有機系、無機系)の排水は、
一定の処理を行いプラント内で再利用するとともに、余
剰分は下水道排除基準に適合するよう処理した後、下水
道に放流することとする。
10) 換気・除じん・脱臭等に必要な設備
プラットホームおよびごみピット、灰ピットを負圧に
保ち、臭気や粉じんを外部に漏洩させないようにするた
めに、必要な換気設備を設ける。ごみピット内の空気は、
運転時は燃焼用空気として用いる。全炉停止時には脱臭
装置および除じん装置を通し、屋外に排出する。灰ピッ
ト内の空気も、可能な限り燃焼用空気として用いること
とする(この場合、全炉停止時は、灰ピットにおいても、
ごみピットと同様の対策の上、排気することとする。)
が、不可能な場合は環境集じん器により除じん後に屋外
排気することとする。また、炉室内を負圧に保ちかつ機
器の放熱を効率的に外部に排出するために必要な換気設
備を設ける。
11) 電気・ガス・水道等の設備
電気設備は、熱回収施設棟およびリサイクル施設棟、ス
トックヤード棟、計量棟等の受電設備を 含むもので、
本施設の運転に必要なすべての電気設備とし、受変電設
備、電力監視設備、非常用電源設備等で構成する。なお、
非常用電源設備は、受電系統の事故や災害等による給電
が断たれた緊急時においても、安全に炉を停止するとと
もに、非常用電源設備の電力を用いて施設の起動(冷間
停止状態から定格運転まで)が可能となるよう、必要容
量を有するものとする。ガス設備について、管理諸室で
ガス機器を使用する場合は LPG とする。 給水設備につ
いて、上水を使用する。
12)その他の設備
計装設備として、熱回収施設の運転に必要な自動制御
設備、遠方監視、遠隔操作装置およびこれらに関係する
計器(指示、記録、積算、警報等)、操作機器、ITV、
計装盤、データ処理装置、計装用空気圧縮機、配管、配
線等を設ける。また、公害防止監視装置も含む。また雑
設備として、雑用空気圧縮機や清掃用煤吹装置、真空掃
除装置、炉内清掃時用ろ過式集じん器、床洗浄装置を設
ける。
(3)機器配置にかかる留意事項
7.3 土木・建築計画
(1)意匠計画
(2)構造計画および耐震計画
耐久性を備え、災害時にも継続して処理を行うことが
できる施設とする。機器基礎は鉄筋コンクリート造を原
則とする。構造計算は、新耐震設計の趣旨に則り設計し、
「官庁施設の総合耐震・対津波計画基準」によることと
する。(建築構造体はⅡ類(重要度係数 1.25)、建築
非 構造部は A 類、建築設備は乙類とする。)設備の耐
震については、建築設備は「建築設備耐震設計・施工指
針」、ボイラー等のプラント特有の設備は「火力発電所
の耐震設計規程」によるものとする。また、破砕機等の
大型機器の設計水平震度は、k=0.3 とする。
(3)見学者説明用設備
(4)自然エネルギー・省エネルギー
太陽光発電等の自然エネルギーの導入を行う。また、
省エネルギーのため、自然光を十分に採り入れる構造と
するとともに、省エネルギー効果が高い機器として、高
効率電動機、インバータ、LED、エコケーブル、人感セン
サ等を使用する。外壁に面する部屋の壁等を含め、断
熱材等を適切に採用し、空調等における省エネルギー化
を図る。また、換気方式は可能な限り自然吸気・自然排
気方式を採用し、空調等における省エネルギー化を図る
(5)将来の設備更新のための対策等
大型機器の整備・補修を容易にするため、それらの搬
出口、搬出用通路および搬出用機器を設ける。将来にわ
たっての修理はもとより、機器更新工事が容易かつ経済
的、衛生的にできるように、資材置き場も考慮した計画
とする。
※ 防犯・火災・防災設備のリスト
第8章 施設配置・動線計画
8.1 配置計画
(1)対象施設等の設定 敷地内に配置する対象施設は、
次のとおりとする。
① 熱回収施設棟(管理エリア・啓発エリア・洗車場を含
む) ② リサイクル施設棟(啓発エリア含む)③ ストッ
クヤード棟 ④ 計量棟 ⑤ 駐車場 ⑥ 構内道路 ⑦ 緑地
(植栽・芝張(災害時には災害廃棄物ヤードとして使用))
⑧ 雨水排水調整池 ⑨ 外周道路及び通用口
(2)対象施設等の条件
対象施設等の条件を、以下のとおりとする。
8.2 動線計画
(1)搬入出車両条件 新施設への搬入出車両は、以下の
とおり想定する。
(2)計画条件
安全性確保のため、来客者の車両動線や歩行動線は、
原則としてごみ搬入車、搬出車等の車両動線とは分離す
る。また、一般車の直接搬入は、リサイクル施設のプラ
ットホームおよびストックヤードにおいて受入を想定し
ているため、熱回収施設に可燃ごみを搬入・搬出する車
両の動線とは可能な限り分離する。敷地の造成は、敷地
外へ搬出する土砂が最小限となるよう、土地の改変に伴
う発生土砂をできる限り敷地内で再利用することを基本
とする(切土・盛土の土量バランスの確保)。なお、候
補地敷地への進入口は、ごみ搬入車両通行ルートにより、
東側、南側が考えられるため、それぞれ対応する施設配
置案を示す。
8.3 施設配置案
進入口が東側となる場合の、全体配置および動線計画の
案を以下に示す。
1.施設の運転管理
○熱回収施設に搬入する車両動線と、リサイクル施設に
搬入する車両動線(一般持込含む)が分離されており、
安全への配慮が可能である。
○熱回収施設とリサイクル施設の間を職員・作業員が往
来することを想定した場合、その動線と主要車両動線
が重ならないため、職員・作業員が安全に往来するこ
とが可能である。
2.災害時の被害軽減
△敷地北西側の山地の土砂崩れの恐れに対しては、熱回
収施設が影響を受ける可能性がある。土砂崩れの影響
を軽減すべく、上図の配置案では可能な限り熱回収施
設を西側敷地境界から離している。
△浸水対策として、敷地全体を盛土により嵩上げする必
要がある。
3.地元住民への配慮
○敷地南側に緑地や公園として活用が可能な災害廃棄物
ヤードや、修景進入口が南側となる場合の、全体配置
景池として活用可能な調整池を配置し、東側は駐車場
等を設置することにより、施設をできる限り北西側(
山側)に寄せており、東側の集落や県道からの景観に
配慮することが可能である。
進入口が南側となる場合の、全体配置および動線計画
の案が以下のように示されている。
1.施設の運転管理
○熱回収施設に搬入する車両動線と、リサイクル施設に
搬入する車両動線(一般持込含む)が分離されており、
安全への配慮が可能である。
△熱回収施設とリサイクル施設の間を職員・作業員が往
来することを想定した場合、その動線と主要車両動線
が重なる部分がある(リサイクル施設からの退出車両
と重なる)ため、職員・作業員が安全に往来するため
配慮が必要である。
○進入口から計量棟までの間隔が長く、十分な車両待機
スペースを確保することが可能である。
2.災害時の被害軽減
○敷地北西側の山地の土砂崩れの恐れに対して、熱回収
施設は案①に比べ山地から離れているため影響を受け
る可能性は案①より小さい。ただし、土砂崩れにより
災害廃棄物ヤードが狭くなる恐れがある。
△浸水対策として、敷地全体を盛土により嵩上げする必
要がある。
3.地元住民への配慮
△熱回収施設が敷地東側に寄っているため、東側の集落
や県道からの景観上、案①よりも圧迫 感が大きくなる
恐れがある。
第9章 その他ごみ処理施設にかかる事項の計画
9.1 事業計画等
(1)事業方式
新施設の整備・運営管理の方式については、直営方式
(公設公営)、または民間活力を活用する DBO 方式(公
設民営)・PFI 方式(民設民営)等の中から検討する。
(平成 30 年度に検討した結果を受け、今後決定する。)
(2)施設整備事業スケジュール
施設整備事業スケジュールは、下表のとおり。
なお現時点では事業方式が未定であるため、スケジュー
ルは期間が長くなる場合(DBO 方式又は PFI方式で新設
する場合)を想定する。事業方式が直営方式となる場合
には、施設整備事業者選定にかかる期間が半年程度短縮
可能である。
(3)概算事業費
1)施設整備費
直営方式(建設は公設、維持管理・運転は単年度委託)
における施設整備に関する概算見積の結果を以下に示す。
なお、用地取得や造成等の費用は含まれていない。
【施設整備費算定根拠】
※熱回収施設については、ストーカ式焼却方式のプラン
トメーカ見積の平均値とした。
※リサイクル施設については、プラントメーカ見積の平
均値とした。
※交付対象の比率についても、プラントメーカ見積の平
均を基本として設定。熱回収施設の交付対象比率(1/2
及び 1/3)については、循環型社会形成推進交付金の
適用を受ける場合を想定。
※交付金対象の検討:新施設の整備にあたっては、環境
省の交付金の交付を受けることができる。交付金のメ
ニューとしては、熱回収施設は「エネルギー回収型廃
棄物処理施設」にかかる「循環型社会形成推進交付金」
または「二酸化炭素排出抑制対策事業費交付金」、リ
サイクル施設は「マテリアルリサイクル推進施設」に
かかる「循環型社会形成推進交付金」の対象事業とな
る。
※また、整備に先立って必要となる調査、計画、設計等
についても、「計画支援事業」として同交付金の対象
となる。
※交付金の充当率は通常、交付対象事業費の 1/3 である
が、「エネルギー回収型廃棄物処理施設」については、
一部優遇措置が設けられており、エネルギー回収に関
連する設備部分等について 1/2 の充当率となる。また、
二酸化 炭素排出抑制対策事業費交付金と循環型社会形
成推進交付金では、二酸化炭素排出抑制対策事業費交
付金の方が 1/2 交付対象となる範囲が多く、施設整
備費に関してはメリットがある反面、売電の際には循
環型社会形成推進交付金による整備施設でないと固定
価格買取制度の適用を受けられない制約があるため、
運営段階における売電収入は循環型社会形成推進交付
金による方が多く見込めることとなる。
この項つづく
次回は「第9章9.1(3)概算事業費」から
【エピソード】
⨌ 新型コロナも停滞模様。皆様は如何ですか。
⨌ ところで、国立環境研究所生物・生態系環境研究
センタ生態リスク評価・対策研究室室長の五箇所公一氏
が、「ハダニの薬剤抵抗性が教えてくれた多様性の意義」
(環境ビジネス、2022.SP)で自らの研究やハダニ防除剤
の開発を通して「ダニが成長速度が遠く、極めて繁殖力
も高い生物で、ある意味、新型コロナウイルスにも通じ
る特性をもっている」と語っている記事が目にとまりま
した。曰く「日本中からナミハダニを集めて、遺伝子分
析法を駆使し遺伝的変異、つまり遺伝子の多様性を調べ、
こんなちっぽけな生き物にも、豊富な遺伝子のバリエー
ションが存在し、個体間や集団間で遺伝子組成(遺伝子の
種類や組み合わせ)が異なっている」ことを学び、「新型
コロナウイルスは、果樹園のハダニ同様に、現在も世界
各地で「大集団」を維持しているように、世界全体で巨
大な遺伝子プールを形成し続けているが、この状況では、
新しい突然変異も維持されやすく、また国際人波によっ
て容易に拡散し、現実にデルタ株以降もオミクロン株BA.1
系統、そしてBA.2系統と変異株の出現が止まらない。今
後、このウイルス禍を克服するためには、まずは感染者
数の増大を抑えて、①ウイルス集団のサイズをダウンさ
せることで➲変異の出現および拡散を抑止し、②特効
薬が普及するまでの時間を稼ぐことが重要と考えられる」
と指摘し。「ハダニの研究結果は、環境科学という観点
から害虫の薬剤抵抗性という、農業生産において、極め
て厄介な形質も、害虫にとっては集団の存続に関わる重
要な適応形質で、この重要な形質の急速な進化の背景に
は豊富な遺伝子の多様性があった。遺伝子の多様性は、
生物の集団や種が環境変化(ハダニの場合、新しい農薬
の登場)を乗り切るための重要な進化的基盤ということ
になる。さらに、その遺伝子の多様性の維持には、集団
を支える安定したハビタット➲生息地(ハダニの場合
は果樹園)と集団間の遺伝子流動が重要な役割を果たし
ている。この理論は、生物多様性保全分野における野生
生物集団の保護・管理にもそのまま適用できる」と子の
ように結んでおられます。
⨌ 実は我が家の「檸檬の樹」も昨年ハダニが繁殖し
収穫が激減しましたが、このように「生命の多様性と安
定」について、この「地域循環共生圏概論」に深く繋が
っていることを再認識することとなりました。
❏引用文献
Goka K, 1999,DOI:10.1023/A:1006184605889
Goka K&TakafujiA,1995,DOI:10.1303/aez.30.567
【脚注及びリンク】
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- 焼却が復旧も「予断も許さない」- 貯留ごみの処分
他市町に要請 滋賀彦根新聞 2022.1.29 - 彦根の新ごみ処理場で反対意見書提出 毎日新聞
2021.2.11 - 彦根愛知犬上地域新ごみ処理施設整備事業に 係
る環境影響評価方法書一般意見に対する事業者の
見解 2021.4.20 - 彦根市清掃センタ焼却炉 2基(3基)停止、 1号炉の
みに 滋賀彦根新聞 2021.12.25 - 県内初!管水路用マイクロ水力発電システム、2020.
7.28 管水路用マイクロ水力発電システム - 「グラスゴー気候合意」採択し COP26 閉幕、石炭の
段階的削減へ ジェトロ,2021.11.16 - 「感染拡大〜新型ウイルスの起源を追う〜」 NHK、
2020/12/27 - ESG地域金融』で地域を元気にする 環境ビジネス
- スウェーデンでゴミの99%を有効利用する「リサ
イクル革命」が起きている(動画)ハフポスト - 滋賀県に根づく『三方よし』の経営を実現,環境}
ビジネス,2020年冬季号 - 環境への取り組みCSR(企業の社会的責任)佐川
急便株式会社 - 彦根市一般廃棄物処理基本計画の 進捗状況評価
について(平成30年度) - 滋賀県出身の人物一覧 Wikipedia
- 琵琶湖市民大学 2003.3
- モントリオール議定書の成果について Nature
Communications, 2015.5.27 - 地球温暖化, フリー百科事典『Wikipedia』
- 「自然災害により被害を受けた場合に 彦根市が
発行する証明書」,社会福祉課・農林水産課・地
域経済振興課 彦根市 - サステナビリティにコミットしなければ、 魅力
的な会社であり続けることはできない,PwCJapan
グループ, 2021.8.1 - シグニファイに学ぶモノ売りからコト売り, SAP
ジャパン ブログ, 2019.6.19 - 特集 デジタルを梃子にした事業変容 ビジネス
エコシステムの作り 知財試算創造 2021.5
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