地域循環共生圏概論 ㊺

2022年03月30日 | 防災と琵琶湖


作成日:2022.3.30|更新日:2022.

地域循環共生圏概論 ㊺
□ 地盤強化と地震防災⑩
第7章 プラント計画および土木・建築計画
7.1 熱回収施設のプラント計画
(1)処理フロー
(2)主要設備計画
 1)受入・供給設備 
 2)主要設備計画
  3)燃焼設備
 4)燃焼ガス冷却設備
 5)排ガス処理設備
 6)余熱利用設備
 本施設での余熱利用は発電を基本とし、施設内電力利
用のうえ、余剰電力は売電する。なお、現行の環境省交
付金メニューのうち、エネルギー回収型廃棄物処理施設
の要件を満たすものとし、ネルギー回収率 16.5%以
とする。余熱利用設備は、廃熱ボイラーにより発生し
た蒸気エネルギ-ーを回収し電力に変換する蒸気タービン
および蒸気タービン発電機、その他の温水利用設備で構
成する。(後略)

 7)通風設備 
 通風設備は、ごみを燃焼するために必要な空気を燃焼
装置に送入する押込送風機、燃焼用空気を加熱する空気
予熱器、燃焼した排ガスを排出する誘引通風機、燃焼ガ
スを大気に放出するための煙突、排ガスを燃焼設備から
煙突まで導くための排ガスダクト(煙道)等で構成する。
なお、振動対策として誘引通風機は独立基礎に設置し、
かつ騒音対策として専用室内に納めることとし、専用室
内は吸音工事を施する。

 8)灰出し設備
 灰出設備は、主灰と飛灰を分けて処理・貯留・搬出で
きる設備とする。燃焼設備で完全に焼却した主灰の消火
と冷却を行うための灰押出装置(灰冷却装置)、排ガス
処理設備や燃焼ガス冷却設備から排出される飛灰を安定
化処理する飛灰処理設備、灰を一時貯留するための灰ピ
ット(主灰ピットおよび飛灰処理物ピット)や灰クレー
ン、各設備間で主灰や飛灰を円滑かつ適正に移送する灰
出コンベヤ等で構成する。作業環境、機器の損傷を考慮
して、焼却炉から灰ピットまでの灰搬出ルートについて
は極力簡素化を図るように、灰ピットの配置、搬出装置
を計画する。(後略)

 9)排水処理設備
 排水処理設備は、場内から発生する汚濁排水を処理す
るものであり、ごみピット汚水はろ過した上で炉内に噴
霧する。プラント系排水(有機系、無機系)の排水は、
一定の処理を行いプラント内で再利用するとともに、余
剰分は下水道排除基準に適合するよう処理した後、下水
道に放流することとする。

 10) 換気・除じん・脱臭等に必要な設
 プラットホームおよびごみピット、灰ピットを負圧に
保ち、臭気や粉じんを外部に漏洩させないようにするた
めに、必要な換気設備を設ける。ごみピット内の空気は、
運転時は燃焼用空気として用いる。全炉停止時には脱臭
装置および除じん装置を通し、屋外に排出する。灰ピッ
ト内の空気も、可能な限り燃焼用空気として用いること
とする(この場合、全炉停止時は、灰ピットにおいても、
ごみピットと同様の対策の上、排気することとする。)
が、不可能な場合は環境集じん器により除じん後に屋外
排気することとする。また、炉室内を負圧に保ちかつ機
器の放熱を効率的に外部に排出するために必要な換気設
備を設ける。

 11) 電気・ガス・水道等の設備
電気設備は、熱回収施設棟およびリサイクル施設棟、ス
トックヤード棟、計量棟等の受電設備を 含むもので、
本施設の運転に必要なすべての電気設備とし、受変電設
備、電力監視設備、非常用電源設備等で構成する。なお、
非常用電源設備は、受電系統の事故や災害等による給電
が断たれた緊急時においても、安全に炉を停止するとと
もに、非常用電源設備の電力を用いて施設の起動(冷間
停止状態から定格運転まで)が可能となるよう、必要容
量を有するものとする。ガス設備について、管理諸室で
ガス機器を使用する場合は LPG とする。 給水設備につ
いて、上水を使用する。 

 12)その他の設備
 計装設備として、熱回収施設の運転に必要な自動制御
設備、遠方監視、遠隔操作装置およびこれらに関係する
計器(指示、記録、積算、警報等)、操作機器、ITV、
計装盤、データ処理装置、計装用空気圧縮機、配管、配
線等を設ける。また、公害防止監視装置も含む。また雑
設備として、雑用空気圧縮機や清掃用煤吹装置、真空掃
除装置、炉内清掃時用ろ過式集じん器、床洗浄装置を設
ける
(3)機器配置にかかる留意事項

7.3 土木・建築計画
(1)意匠計画
(2)構造計画および耐震計画
 耐久性を備え、災害時にも継続して処理を行うことが
できる施設とする。機器基礎は鉄筋コンクリート造を原
則とする。構造計算は、新耐震設計の趣旨に則り設計し、
「官庁施設の総合耐震・対津波計画基準」によることと
する。(建築構造体はⅡ類(重要度係数 1.25)、建築
非 構造部は A 類、建築設備は乙類とする。)設備の耐
震については、建築設備は「建築設備耐震設計・施工指
針」、ボイラー等のプラント特有の設備は「火力発電所
の耐震設計規程」によるものとする。また、破砕機等の
大型機器の設計水平震度は、k=0.3 とする。
(3)見学者説明用設備
(4)自然エネルギー・省エネルギー
 太陽光発電等の自然エネルギーの導入を行う。また、
省エネルギーのため、自然光を十分に採り入れる構造と
するとともに、省エネルギー効果が高い機器として、
効率電動機、インバータ、LED、エコケーブル、人感セ
等を使用する。外壁に面する部屋の壁等を含め、断
熱材等を適切に採用し、空調等における省エネルギー化
を図る。また、換気方式は可能な限り自然吸気・自然排
気方式を採用し、空調等における省エネルギー化を図る

(5)将来の設備更新のための対策等
 大型機器の整備・補修を容易にするため、それらの搬
出口、搬出用通路および搬出用機器を設ける。将来にわ
たっての修理はもとより、機器更新工事が容易かつ経済
的、衛生的にできるように、資材置き場も考慮した計画
とする。
※ 防犯・火災・防災設備のリスト

第8章 施設配置・動線計画
8.1 配置計画
(1)対象施設等の設定 敷地内に配置する対象施設は、
次のとおりとする。
① 熱回収施設棟(管理エリア・啓発エリア・洗車場を含
む) ② リサイクル施設棟(啓発エリア含む)③ ストッ
クヤード棟 ④ 計量棟 ⑤ 駐車場 ⑥ 構内道路 ⑦ 緑地
(植栽・芝張(災害時には災害廃棄物ヤードとして使用))
⑧ 雨水排水調整池 ⑨ 外周道路及び通用口 

(2)対象施設等の条件
 対象施設等の条件を、以下のとおりとする。

8.2 動線計画
(1)搬入出車両条件 新施設への搬入出車両は、以下の
  とおり想定する。 

(2)計画条件
  安全性確保のため、来客者の車両動線や歩行動線は、
原則としてごみ搬入車、搬出車等の車両動線とは分離す
る。また、一般車の直接搬入は、リサイクル施設のプラ
ットホームおよびストックヤードにおいて受入を想定し
ているため、熱回収施設に可燃ごみを搬入・搬出する車
両の動線とは可能な限り分離する。敷地の造成は、
敷地
外へ搬出する土砂が最小限となるよう、土地の改変に伴
う発生土砂をできる限り敷地内で再利用することを基本
とする(切土・盛土の土量バランスの確保)。なお、候
補地敷地への進入口は、ごみ搬入車両通行ルートにより、
東側、南側が考えられるため、それぞれ対応する施設配
置案を示す。

8.3 施設配置案
進入口が東側となる場合の、全体配置および動線計画の
案を以下に示す。 


1.施設の運転管理
○熱回収施設に搬入する車両動線と、リサイクル施設に
 搬入する車両動線(一般持込含む)が分離されており、
 安全への配慮が可能である。
○熱回収施設とリサイクル施設の間を職員・作業員が往
 来することを想定した場合、その動線と主要車両動線
 が重ならないため、職員・作業員が安全に往来するこ
 とが可能である。

2.災害時の被害軽減
△敷地北西側の山地の土砂崩れの恐れに対しては、熱回
 収施設が影響を受ける可能性がある。土砂崩れの影響
 を軽減すべく、上図の配置案では可能な限り熱回収施
 設を西側敷地境界から離している。
△浸水対策として、敷地全体を盛土により嵩上げする必
 要がある。

3.地元住民への配慮
○敷地南側に緑地や公園として活用が可能な災害廃棄物
 ヤードや、修景進入口が南側となる場合の、全体配置
 景池として活用可能な調整池を配置し、東側は駐車場
 等を設置することにより、施設をできる限り北西側(
 山側)に寄せており、東側の集落や県道からの景観に
 配慮することが可能である。

 進入口が南側となる場合の、全体配置および動線計画
の案が以下のように示されている。 



1.施設の運転管理
○熱回収施設に搬入する車両動線と、リサイクル施設に
 搬入する車両動線(一般持込含む)が分離されており、
 安全への配慮が可能である。
△熱回収施設とリサイクル施設の間を職員・作業員が往
 来することを想定した場合、その動線と主要車両動線
 が重なる部分がある(リサイクル施設からの退出車両
 と重なる)ため、職員・作業員が安全に往来するため
 配慮が必要である。
○進入口から計量棟までの間隔が長く、十分な車両待機
 スペースを確保することが可能である。
 
2.災害時の被害軽減
○敷地北西側の山地の土砂崩れの恐れに対して、熱回収
 施設は案①に比べ山地から離れているため影響を受け
 る可能性は案①より小さい。ただし、土砂崩れにより
 災害廃棄物ヤードが狭くなる恐れがある。
△浸水対策として、敷地全体を盛土により嵩上げする必
 要がある。

3.地元住民への配慮
△熱回収施設が敷地東側に寄っているため、東側の集落
 や県道からの景観上、案①よりも圧迫 感が大きくなる
 恐れがある。 

第9章 その他ごみ処理施設にかかる事項の計画
9.1 事業計画等
(1)事業方式
 新施設の整備・運営管理の方式については、直営方式
(公設公営)、または民間活力を活用する DBO 方式(公
設民営)・PFI 方式(民設民営)等の中から検討する。
(平成 30 年度に検討した結果を受け、今後決定する。)

(2)施設整備事業スケジュール
 施設整備事業スケジュールは、下表のとおり。
なお現時点では事業方式が未定であるため、スケジュー
ルは期間が長くなる場合(DBO 方式又は PFI方式で新設
する場合)を想定する。事業方式が直営方式となる場合
には、施設整備事業者選定にかかる期間が半年程度短縮
可能である。


(3)概算事業費
 1)施設整備費
 直営方式(建設は公設、維持管理・運転は単年度委託)
における施設整備に関する概算見積の結果を以下に示す。
なお、用地取得や造成等の費用は含まれていない

【施設整備費算定根拠】 
※熱回収施設については、ストーカ式焼却方式のプラン
  トメーカ見積の平均値とした。 
※リサイクル施設については、プラントメーカ見積の平
  均値とした。 
※交付対象の比率についても、プラントメーカ見積の平
 均を基本として設定。熱回収施設の交付対象比率(1/2
 及び 1/3)については、循環型社会形成推進交付金の
 適用を受ける場合を想定。
※交付金対象の検討:新施設の整備にあたっては、環境
 省の交付金の交付を受けることができる。交付金のメ
 ニューとしては、熱回収施設は「エネルギー回収型廃
 棄物処理施設」にかかる「循環型社会形成推進交付金」
 または「二酸化炭素排出抑制対策事業費交付金」、リ
 サイクル施設は「マテリアルリサイクル推進施設」に
 かかる「循環型社会形成推進交付金」の対象事業とな
 る。
※また、整備に先立って必要となる調査、計画、設計等
 についても、「計画支援事業」として同交付金の対象
 となる。
※交付金の充当率は通常、交付対象事業費の 1/3 である
 が、「エネルギー回収型廃棄物処理施設」については、
 一部優遇措置が設けられており、エネルギー回収に関
 連する設備部分等について 1/2 の充当率となる。また、
 二酸化 炭素排出抑制対策事業費交付金と循環型社会形
 成推進交付金では、二酸化炭素排出抑制対策事業費交
 付金の方が 1/2 交付対象となる範囲が多く、施設整
 備費に関してはメリットがある反面、売電の際には循
 環型社会形成推進交付金による整備施設でないと固定
 価格買取制度の適用を受けられない制約があるため、
 運営段階における売電収入は循環型社会形成推進交付
 金による方が多く見込めることとなる。
                   この項つづく

 次回は「第9章9.1(3)概算事業費」から

【エピソード】

  
 
⨌ 新型コロナも停滞模様。皆様は如何ですか。
⨌ ところで、国立環境研究所生物・生態系環境研究
センタ生態リスク評価・対策研究室室長の五箇所公一氏
が、「ハダニの薬剤抵抗性が教えてくれた多様性の意義」
(環境ビジネス、2022.SP)で自らの研究やハダニ防除剤
の開発を通して「ダニが成長速度が遠く、極めて繁殖力
も高い生物で、ある意味、新型コロナウイルスにも通じ
る特性をもっている」と語っている記事が目にとまりま
した。曰く「日本中からナミハダニを集めて、遺伝子分
析法を駆使し遺伝的変異、つまり遺伝子の多様性を調べ、
こんなちっぽけな生き物にも、豊富な遺伝子のバリエー
ションが存在し、個体間や集団間で遺伝子組成(遺伝子の
種類や組み合わせ)が異なっている」ことを学び、「新型
コロナウイルスは、果樹園のハダニ同様に、現在も世界


各地で「大集団」を維持しているように、世界全体で巨
大な遺伝子プールを形成し続けているが、この状況では、
新しい突然変異も維持されやすく、また国際人波によっ
て容易に拡散し、現実にデルタ株以降もオミクロン株BA.1
系統、そしてBA.2系統と変異株の出現が止まらない。今
後、このウイルス禍を克服するためには、まずは感染者
数の増大を抑えて、①ウイルス集団のサイズをダウンさ
せることで➲変異の出現および拡散を抑止し、②特効
薬が普及するまでの時間を稼ぐことが重要と考えられる」
と指摘し。「ハダニの研究結果は、環境科学という観点
から害虫の薬剤抵抗性という、農業生産において、極め
て厄介な形質も、害虫にとっては集団の存続に関わる重
要な適応形質で、この重要な形質の急速な進化の背景に
は豊富な遺伝子の多様性があった。遺伝子の多様性は、
生物の集団や種が環境変化(ハダニの場合、新しい農薬
の登場)を乗り切るための重要な進化的基盤ということ
になる。さらに、その遺伝子の多様性の維持には、集団
を支える安定したハビタット➲生息地(ハダニの場合
は果樹園)と集団間の遺伝子流動が重要な役割を果たし
ている。この理論は、生物多様性保全分野における野生
生物集団の保護・管理にもそのまま適用できる」と子の
ように結んでおられます。


⨌ 実は我が家の「檸檬の樹」も昨年ハダニが繁殖し
収穫が激減しましたが、このように「生命の多様性と安
定」について、この「地域循環共生圏概論」に深く繋が
っていることを再認識することとなりました。
❏引用文献
Goka K, 1999,DOI:10.1023/A:1006184605889
Goka K&TakafujiA,1995,DOI:10.1303/aez.30.567

【脚注及びリンク】
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地域循環共生圏概論

2022年03月24日 | 防災と琵琶湖


作成日:2022.3.24|更新日:2022.3.


地域循環共生圏概論 ㊹
□ 地盤強化と地震防災⑨
第7章 プラント計画および土木・建築計画



7.1 熱回収施設のプラント計画
(2)主要設備計画
 1) 受入・供給設備 
 2) 前処理設備(可燃粗大ごみ破砕機)
 
 可燃粗大ごみは、リサイクル施設に一旦搬入され、
 一定量が貯まった段階で、車両等により熱回 収施設
 に運搬し、可燃粗大ごみ破砕機の受入ホッパに投入し
 て処理する。また、処理物をごみピットに投入する設
 備を設ける。可燃粗大ごみ破砕機は一般的に使用され
 ることが多い「竪型切断機」とする。なお、破砕刃は、
  耐久性の高い材質とするとともに、交換が容易なもの
 とする。
 3) 燃焼設備
  燃焼設備は、炉内に供給するごみを受け入れるごみ
 ホッパ、炉内にごみを円滑に供給するために 設けら
 れた給じん装置、ごみを焼却する燃焼装置、燃焼が円
 滑に行われるようにするための炉材等で構成された焼
 却炉本体、ごみ質の低下時あるいは焼却炉の始動また
 は停止時に補助燃料を適正に燃焼するための助燃装置
 等で構成する。なお、燃焼条件は「ごみ処理に係るダ
 イオキシン類発生防止 等ガイドライン」を遵守する
 ものとする。 

 ① ごみ投入ホッパ
  ごみクレーンから投入されたごみを一時貯留しなが
 ら、詰まることのないよう円滑に炉内へ供 給でき、
 ごみ自身で炉内と外部を遮断できる設備とする。さら
 に、万一詰まった場合のためにブリッジ解除装置を設
 置する。また、炉停止時等でホッパが空になった際に
 外気を遮断できる開閉蓋を設置する。

 ② 給じん装置
  ごみ投入ホッパ内のごみを燃焼装置へ供給するため
 の給じんプッシャーを設置する。ごみを炉内へ安定し
 て連続的に供給し、かつ燃焼量に応じたごみ量を調整
 できる設備とする。

  ③ 燃焼装置
  焼却方式は「ストーカ式焼却方式」とし、ごみ層へ
 の空気供給を均一に行い、ごみを連続的に撹拌し、燃
 焼後の灰および不燃物の排出を容易に行える装置とす
 る。また、自動燃焼制御装置により、焼却処理量の定
 量化、安定燃焼、燃焼温度・酸素濃度・一酸化炭素濃
 度等に留意した焼却量一定制御機能を有するものとす
 る。ボイラー効率を高めるために、低空気比高温燃焼
 が行えるものとする。定格の70%~80%負荷において
 も安定した焼却処理が行えるものとし、かつ低質ごみ
 時100%負荷においても助燃焼を行わず、安定燃焼が
 維持できるものとする。 

 ④ 焼却炉本体
  焼却炉および再燃焼室は、その内部において燃焼ガ
 スが十分に混合され、所定の時間内に所定のごみ量を
 焼却できる構造とする。また、高温燃焼を行うことか
 ら、炉内側壁にクリンカの付着を防止する対策を施す。

 ⑤ 助燃装置
  焼却炉立上げ時において、ダイオキシン類対策とし
 て必要な温度に速やかに昇温できるものとする必要が
 ある。耐火物の乾燥、炉の立上げ、立下げおよび燃焼
 が計画どおりに促進するために、助燃装置を燃焼炉・
 再燃焼室等に設置する(助燃バーナおよび再燃バーナ
 )。使用燃料は LPGまたは灯油とし、低NOx バーナ仕
 様とする。また、バーナ安全装置、燃料供給設備およ
 びその他必要な付属品を含むものとする。

 4) 燃焼ガス冷却設備
  燃焼ガス冷却設備は、ごみの燃焼によって生じた高
 温の燃焼ガスを適正な温度に降下させるための設備で
 あり、冷却方式はごみの焼却熱を有効に回収・利用す
 るため「廃熱ボイラー」とする。本設備は、廃熱ボイ
 ラーおよびその周辺設備で構成する。

 ① 廃熱ボイラー
  廃熱ボイラーは、燃焼ガスを適正な温度に冷却する
 ためのボイラー本体、過熱器およびエコノマイザ等に
 より構成される。なお、ボイラーは熱回収効率の高い、
 高温高圧ボイラーとする(過熱器出口において 3.8MPa
 以上×370℃以上)。また、エコノマイザは伝熱面積
 を大きくして、より低温域の排ガスからも熱回収が可
 能な「低温エコノマイザ」とし、熱回収の効率を高め
 る。 

 ② 脱気器
  給水中の酸素、炭酸ガス等の非凝縮性ガスを除去す
 るもので、ボイラー等の腐食を防止することを目的に
 設置する。

 ③ 蒸気だめ
  廃熱ボイラーで発生した蒸気を受け入れて各設備に
 供給するためのもので、高圧用と低圧用蒸気だめを設
 ける。

 ④ 蒸気復水器
  
タービンの余剰高圧蒸気や低圧排気を復水するため
 の設備であり、冷却方式は空冷式とする。冷却効率を
 低下させないよう、ショートサーキットが生じない構
 造とする。なお、施設外部に面する装置であるため、
 十分な騒音対策が必要となる。冷却ファン駆動部、冷
 却ファン、ダクトサイレンサ等、騒音・振動・低周波
 振動等の発生する機器・装置は、低騒音・低振動型と
 する。

 5) 排ガス処理設備
  排ガス処理設備は、燃焼によって発生する高温ガス
 中に含まれるばいじん、硫黄酸化物、塩化水素、窒素
 酸化物、ダイオキシン類、水銀、およびその他有害物
 質を、公害防止基準値まで除去するために必要な除去
 設備、ろ過式集じん器等で構成する。なお除去設備は、
 費用対効果を考慮し、反応生成物を乾燥状態で回収す
 る「乾式法」とする。ボイラー効率を高めるために、
 低空気比高温燃焼が行えるものとする。定格の 70%~
 80%負荷においても安定した焼却処理が行えるものと
 し、かつ低質ごみ時100%負荷においても助燃焼を行
 わず、安定燃焼が維持できるものとする。

 ④ 焼却炉本体
  焼却炉および再燃焼室は、その内部において燃焼ガ
 スが十分に混合され、所定の時間内に所定のごみ量を
 焼却できる構造とする。また、高温燃焼を行うことか
 ら、炉内側壁にクリンカの付着を防止する対策を施す。

 ⑤ 助燃装置
  焼却炉立上げ時において、ダイオキシン類対策とし
 て必要な温度に速やかに昇温できるものとする必要が
 ある。耐火物の乾燥、炉の立上げ、立下げおよび燃焼
 が計画どおりに促進するために、助燃装置を燃焼炉・
 再燃焼室等に設置する(助燃バーナおよび再燃バーナ)。
 使用燃料は LPG または灯油とし、低NOx バーナ仕様
 とする。また、バーナ安全装置、燃料供給設備および
 その他必要な付属品を含むものとする。

 4) 燃焼ガス冷却設備
  燃焼ガス冷却設備は、ごみの燃焼によって生じた高
 温の燃焼ガスを適正な温度に降下させるための設備で
 あり、冷却方式はごみの焼却熱を有効に回収・利用す
 るため「廃熱ボイラー」とする。本設備は、廃熱ボイ
 ラーおよびその周辺設備で構成する。

 ① 廃熱ボイラー
  廃熱ボイラーは、燃焼ガスを適正な温度に冷却する
 ためのボイラー本体、過熱器およびエコノマイザ等に
 より構成される。なお、ボイラーは熱回収効率の高い、
 高温高圧ボイラーとする(過熱器出口において 3.8MPa
 以上×370℃以上)。また、エコノマイザは伝熱面積
 を大きくして、より低温域の排ガスからも熱回収が可
 能な「低温エコノマイザ」とし、熱回収の効率を高め
 る。

 ② 脱気器
  給水中の酸素、炭酸ガス等の非凝縮性ガスを除去す
 るもので、ボイラー等の腐食を防止することを目的に
 設置する。

 ③ 蒸気だめ
  廃熱ボイラーで発生した蒸気を受け入れて各設備に
 供給するためのもので、高圧用と低圧用蒸気だめを設
 ける。

 ④ 蒸気復水器
  タービンの余剰高圧蒸気や低圧排気を復水するため
 の設備であり、冷却方式は空冷式とする。冷却効果を
 低下させないよう、ショートサーキットが生じない構
 造とする。なお、施設外部に面する装置であるため、
 十分な騒音対策が必要となる。冷却ファン駆動部、冷
 却ファン、ダクトサイレンサ等、騒音・振動・低周波
 振動等の発生する機器・装置は、低騒音・低振動型と
 する。

 5) 排ガス処理設備
  排ガス処理設備は、燃焼によって発生する高温ガス
 中に含まれるばいじん、硫黄酸化物、塩化水素、窒素
 酸化物、ダイオキシン類、水銀、およびその他有害物
 質を、公害防止基準値まで除去するために必要な除去
 設備、ろ過式集じん器等で構成する。なお除去設備は、
 費用対効果を考慮し、反応生成物を乾燥状態で回収す
 る「乾式法」とする。

 ① 減温塔(必要に応じて)
  燃焼ガスを所定のろ過式集じん器入口温度まで冷却
 するための設備であり、ダイオキシン類の再合成が生
 じやすい温度域を急冷により素早く通り過ぎるための
 設備である。湿潤したばいじんの付着や内部に付着し
 たばいじんが水滴を吸収して生じる、本体の酸性腐食
 および低温腐食対策 を施すものとする。また、ケー
 シングは耐熱・耐腐食性に優れたものとし、耐酸腐食
 鋼相当以上 とする。

 ② 塩化水素および硫黄酸化物除去設備
  ろ過式集じん器入口ダクトに粉末アルカリ剤(消石
 灰等)の薬剤を吹き込み、排ガス中の塩化水素、硫黄
 酸化物等の酸性物質と反応させ、反応生成物はろ過式
 集じん器で除去する。また、そのための薬剤サイロ基
 準ごみ 2炉運転時の使用量 7日分以上の容量)等の
 設備とする。

 ③ ダイオキシン類および水銀除去設備
  ろ過式集じん器入口ダクトに粉末活性炭を吹き込み、
 排ガス中のダイオキシン類および水銀濃度を低減化し、
 ろ過式集じん器で除去する。また、そのための薬剤サ
 イロ(基準ごみ 2炉運転時の使用量7日分以上の容
 量)等の設備とする。

 ④ ろ過式集じん器
  ろ過式集じん器本体は、低温腐食等に耐え得る耐食
 性を有した構造および材質とする。

 ⑤ 窒素酸化物除去設備
  窒素酸化物は、燃焼制御により炉内での発生を抑制
 することが基本であるが、発生した窒素酸化物は除去
 設備により除去する。窒素酸化物除去設備は、窒素酸
 化物にかかる公害防止基準を遵守することができるよ
 う、以下に挙げるものから適切な装置を選択する。

 (ア)無触媒脱硝装置(必要に応じて) 無触媒脱硝は、
 アンモニアを炉内に噴霧して窒素酸化物を選択還元す
 る方法である。炉内にアンモニア水を噴霧するための
 タンクやポンプ等により構成され、設備構成が簡単で
 設置も容易なため簡易脱硝法として広く採用されてい
 る。本方法を選択する場合は、後段でろ布損傷等の原
 因となる塩化アンモニウムや亜硫酸アンモニウムなど
 を生成しないよう、アンモニア噴霧量が多くなりすぎ
 ないように留意する必要がある。

 (イ)排ガス再循環装置(必要に応じて) 排ガス再循
 環は、集じん器出口の排ガスの一部を炉内に供給する
 方法である。これにより炉温がおさえられるとともに
 燃焼空気中の酸素分圧が低下することによって燃焼を
 抑制し、窒素酸化物発生量を低減させる「燃焼制御法
 」の一種である。本方法を選択する場合は、排ガス再
 循環ラインで腐食のないよう適切な材質を選択する必
 要がある。

 (ウ)脱硝反応塔(必要に応じて) 窒素酸化物除去効
 率の高い性能が期待でき、ダイオキシン類の酸化分解
 も可能である「触媒脱硝法」によるものである。本方
 式を選択する場合は、発電効率の向上のため、排ガス
 温度が低温でも高い除去効率を維持する低温脱硝触媒
 設備を採用する。触媒設備の入口前において排ガスの
 再加熱を行う必要がある場合は、蒸気式ガス再加熱器
 を設置する。

 6) 余熱利用設備
  本施設では、廃熱ボイラーから発生した蒸気を利用
 して、発電のためのタービン設備、燃焼空気加熱用予
 熱機を作動させる。また、蒸気を媒体として、熱交換
 器および温水発生器などにより温を発生させ、その温
 水を利用して、冷暖房設備、給湯設備などを作動させ
 るものとする。次表に廃 熱利用の形態を示す。 

                  この項つづく




【脚注及びリンク】
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地域循環共生圏概論 ㊸

2022年03月20日 | 防災と琵琶湖


作成日:2022.3.21|更新日:2022.3.

地域循環共生圏概論 ㊸
□ 地盤強化と地震防災⑧

第5章 公害防止計画・焼却残渣処理計画
5.2 公害防止方式の整理
(1)排ガス対策
 1) ばいじん除去 排ガス中のばいじんを除去するため
 2) 塩化水素・硫黄酸化物除去
 3) 窒素酸化物発生抑制・除去 
 4) ダイオキシン類発生抑制・除去
 5) 水銀除去
 排ガス中の水銀濃度は、ごみに含まれる水銀量に依存
することから、炉内に投入されることがないよう入口で
対策することが第一に重要である。ごみに含まれる水銀
は、ごみの燃焼過程において金属水銀蒸気として揮発し、
排ガスの冷却過程において同時に発生する塩化水素と結
合して、その60~90%が水溶性の水銀(塩化第二水銀 Hg
Cl2等)として、残りは金属水銀(Hg)等として存在する。
水溶性の状態の割合が多いことから湿式法が有効である。
また、水銀はダイオキシン類と同様、集じん過程での温
度域(200℃程度)においては主にガス相として存在する
ため、ダイオキシン類除去設備である低温ろ過式集じん
器や活性炭・活性コークス吹込みろ 過式集じん器、活
性炭・活性コークス充填塔が水銀除去にも有効であり、
供用することが可能である。除去性能について一般的な
目安は無く、湿式の方が除去性能は高いが、いずれの方
式でも30μg/m3 Nは遵守可能。塩化水素・硫黄酸化物除
去設備において乾式法を採用しており、また、ダイオキ
シン類除去設備において活性炭吹込みろ過式集じん器を
採用していることから、水銀除去については活性炭吹込
みろ過式集じん器方式を採用
することとする。 



(2)悪臭対策
 ごみ焼却施設には、悪臭源となる受入設備および灰出
設備等の工程、設備がある。悪臭を施設から出 さない
ためには、発生源において極力捕集するほか、建築設備
面での密閉化、燃焼用空気としての活用および施設の適
正な維持管理が重要な要素となる。特に燃焼の悪化によ
り主灰や排ガス中に未燃有機物が残留すると悪臭源とな
るので十分な灰の後燃焼とガスの燃焼完結に考慮した炉
設計を行うとともに、慎重な維持管理を行うことが必要
である。排ガス中の臭気として、二酸化窒素や塩化水素
のような無機物質が問題となる場合があり、臭気濃度や
臭気強度測定の際には、閾値(反応を引き起こすのに必
要な最小あるいは最大の値)が低いため臭気原因となり
うるものである。これらは悪臭防止法において、悪臭物
質ごとの濃度規制では指定されていないが、臭気指数に
よる規制の対象となる。二酸化窒素や塩化水素は 「大気
汚染防止法」で 排出基準が定められており、この基準が
守られていればこれらの物質が悪臭として敷地境界外に
影響を与える可能性はほとんどないと考えられる。新ご
み処理施設では、大気汚染法で定められた排出基準より
もさらに厳しい自主基準を設け、これを確実に遵守する
ため安定的な稼働が可能な施設とする。排水から発生す
る悪臭については、特に排水中の硫酸イオン濃度が高く
なると、BOD や温度条件によっては硫酸還元菌が繁殖し
硫化水素を発生して悪臭を生ずることがあるため、適正
な排水処理に努めるほか、灰質の悪化防止や、用水の再
利用率についても考慮することが必要である。なお、硫
化水素については悪臭の観点だけでなく、安全の観点か
らも適切な管理が必要である。

5.3 公害防止基準の設定
(3)騒音・振動対策  ごみ焼却施設には、空気圧縮
 機や送風機以外にもポンプ、クレーン等の出力の大き
な原動機を持つ設備があり、集じん器の槌打音や排水処
理設備の水音あるいは排風口等が騒音源となることもあ
る。誘引送風機の回転数が煙突や煙道の固有振動数と同
調することにより、騒音を発生する現象にも注意する必
要がある。また、ごみ焼却施設においては誘引通風機や、
リサイクル施設においては回転式破砕機等の大型の回転
機器については、振動の原因となることに注意が必要で
ある。騒音の防止対策としては、低騒音型の機器を採用
するとともに、これらを地下や建物内部に設置する等、
外部に漏洩しないよう配置することが重要である。また、
排風口の位置や、音の反射にも注意し、音源の種類と敷
地境界までの距離を考慮した設計を行い、試運転後に騒
音問題が生ずることのないようにする。振動の防止対策
としては、低振動型の機器を採用するとともに、特に振
動を発生する機器については防振ゴムの設置や独立基礎
とする等の対策を行う。

(4)主灰・飛灰処理
焼却炉下部に排出される主灰は高温であるため、灰冷却
設備にて冷却が必要である。飛灰は、ボイラーの伝熱面
や排ガス処理設備・配管内に付着したばいじんや、集じ
ん器において捕集したばいじんであり、重金属を含むた
め、薬剤処理(キレート処理)による安定化処理が必要
である。 

(5)排水対策
 排水については、「排水クローズド方式」とする場合
と、「下水道放流」とする場合が考えられる。本計画で
は、エネルギー回収率が大きいことや、塩化水素・硫黄
酸化物除去のために乾式法を採用するため排水中に塩類
等は多く含まれないことから、「下水道放流」を採用す
る。

□ 基本は「クローズドシステム」、イニシャルコスト、
ランニングコストが課題(例:減熱プロセスなどがコス
ト増・発電効率低下)、但し、下水道放流による使用費
や共用リスクコストの要試算。

5.3 公害防止基準の設定
 公害防止基準の決定にあたっては、規制基準のほか、
今後実施を予定している環境影響評価等による要求基準
等も考慮に入れる必要がある。規制基準は、環境基準を
目標に行政が行う個別の施策の中において、法律または
条例に基づき、具体的に公害等の発生源を規制するため
の基準一般のことである。規制基準は、発生施設から外
界に排出される汚染物質等について定められた許容限度
のことをいい、全国一律に同じ基準値が適用される一律
基準と、都道府県が一定の区域を限り条例でより厳しい
基準を定める上乗せ基準がある。なお、規制基準の呼称
は法律によって異なり、大気汚染防止法およびダイオキ
シン類対策特別措置法では「排出基準」、水質汚濁防止
法では「排水基準」、騒音規制法・振動規制法・悪臭防
止法では「規制基準」と呼ばれている。ごみ処理施設で
設定する基準を「公害防止基準」と呼ぶことがあり、ご
み処理施設では、規制基 準と同等か それ以上に厳しい
自主基準が設定されることが通例的に行われている。な
お、 通常の運転に おいては公害防止基準よりもさらに
低い値を運転管理値として設定し、その値を目標として
運転されることが一般的である。新ごみ処理施設の公害
防止基準については、以下のとおり。


(2)悪臭対策
(前略) 新ごみ処理施設では、大気汚染法で定められ
た排出基準よりもさらに厳しい自主 基準を設け、これ
を確実に遵守するため安定的な稼働が可能な施設とする。
排水から発生する悪臭については、特に排水中の硫酸イ
オン濃度が高くなると、BOD や温 度条件によ っては硫
酸還元菌が繁殖し硫化水素を発生して悪臭を生ずること
があるため、適正な排水処理に努めるほか、灰質の悪化
防止や、用水の再利用率についても考慮することが必要
である。なお、硫化水素については悪臭の観点だけでな
く、安全の観点からも適切な管理が必要である。
 ごみ焼却施設には、空気圧縮機や送風機以外にもポン
プ、クレーン等の出力の大きな原動機を持つ設 備があ
り、集じん器の槌打音や排水処理設備の水音あるいは排
風口等が騒音源となることもある。誘引送風機の回転数
が煙突や煙道の固有振動数と同調することにより、騒音
を発生する現象にも注意する必要がある。また、ごみ焼
却施設においては誘引通風機や、リサイクル施設におい
ては回転式破砕機等の大型の回転機器については、振動
の原因となることに注意が必要である。騒音の防止対策
としては、低騒音型の機器を採用するとともに、これら
を地下や建物内部に設置する等、外部に漏洩しないよう
配置することが重要である。また、排風口の位置や、音
の反射にも注意し、音源の種類と敷地境界までの距離を
考慮した設計を行い、試運転後に騒音問題が生ずること
のないようにする。振動の防止対策としては、低振動型
の機器を採用するとともに、特に振動を発生する機器に
ついては防振ゴムの設置や独立基礎とする等の対策を行
う。
 
(3)騒音・振動対策
 ごみ焼却施設には、空気圧縮機や送風機以外にもポン
プ、クレーン等の出力の大きな原動機を持つ設備があり、
集じん器の槌打音や排水処理設備の水音あるいは排風口
等が騒音源となることもある。誘引 送風機の回転数が
煙突や煙道の固有振動数と同調することにより、騒音を
発生する現象にも注意する必 要がある。また、 ごみ焼
却施設においては誘引通風機や、リサイクル施設におい
ては回転式破砕機等の 大型の回転機器については、 振
動の原因となることに注意が必要である。  騒音の防止
対策としては、低騒音型の機器を採用するとともに、こ
れらを地下や建物内部に設置する 等、 外部に漏洩しな
いよう配置することが重要である。また、排風口の位置
や、音の反射にも注意し、音源の種類と敷地境界までの
距離を考慮した設計を行い、試運転後に騒音問題が生ず
ることのないようにする。振動の防止対策としては、低
振動型の機器を採用するとともに、特に振動を発生する
機器について防振ゴムの設置や独立基礎とする等の対策
を行う。

(4)主灰・飛灰処理
 焼却炉下部に排出される主灰は高温であるため、灰冷
却設備にて冷却が必要である。飛灰は、ボイラーの伝熱
面や排ガス処理設備・配管内に付着したばいじんや、集
じん器において捕集したばいじんであり、重金属を含む
ため、薬剤処理(キレート処理)による安定化処理が必
要である。

(5)排水対策 排水については、「排水クローズド方
式」とする場合と、「下水道放流」とする場合が考えら
れる。本計画では、エネルギー回収率が大きいことや塩
化水素・硫黄酸化物除去のために乾式法を採用するため
排水中に塩類等は多く含まれないことから、「下水道放
流」を採用する。(以下省略)

第6章 エネルギー利用計画・高効率発電の検討
6.1 エネルギー利用方法について

(1)暖房給湯

 燃焼ガスと熱交換して温水を発生させるか、あるいは、
ボイラーで発生した蒸気を熱交換器で清 水と熱交換し
て温水をつくり、ごみ焼却施設内の風呂場や給湯設備に
供給する。また、暖房用放熱 器に温水を送り、施設内
の暖房に利用する。
(2)広域熱供給
 ボイラーで発生した蒸気を直接、あるいは、熱交換器
で温水を加熱して高温水 (130℃~160℃)を つくり地域
冷暖房など振興施設へ熱供給する。
(3)発電
 ボイラーで発生した蒸気を利用して、蒸気タービン発
電機により施設内消費の電力を発電する。また、余剰の
電力が生じる場合は、他施設への電力供給、電力会社へ
売電する。

(4)プラントにおけるプロセスヒート利用
 ボイラーで発生した蒸気を蒸気式空気予熱機、脱気器、
汚泥乾燥および排ガス再加熱(白煙防止) などのプラント
機器を運転するための熱として利用する。熱回収および
熱利用の形態を次図に、余 熱利用設備と必要熱量の例
を次表に示す。


表 余熱利用設備とその必要熱量



6.2 利用可能熱量について
 ごみ焼却により発生する熱および利用可能熱量につい
て、試算を行った。時間当たりの熱量(MJ/h)は以下のと
おりである。

【ごみ焼却による発生熱量】
 容器包装プラおよび廃食用油を分別する場合(分別統
一案③) 施設規模 144t/日、低位発熱量(基準ごみ)
9,560kJ/kg ⇒ 平均 57,360MJ/h 容器包装プラおよび廃
食用油を燃やすごみに含む場合(分別統一案①・案②)
施設規模 147t/日、低位発熱量(基準ごみ) 10,240kJ/kg
⇒ 平均 62,720MJ/h (上記は 2 炉運転時の発生熱量で
あるため、1 炉運転/2 炉運転/全炉停止の状態によって、
総発生熱量は変動する。)

【利用可能熱量】
 燃焼用空気持込熱、ボイラー熱回収率、ごみ処理での
必要熱量を勘案し、発生熱量の 60%※とする。容器包
装プラおよび廃食用油を分別する場合(分別統一案③)
57,360MJ/h×60% = 平均 約 34,416MJ/h よって、2炉
運転のときは、34,416MJ/h の熱量を利用可能(基準ご
み時)と試算される。 容器包装プラおよび廃食用油を
燃やすごみに含む場合(分別統一案①・案②) 62,720
MJ/h×60% = 平均 約 37,632MJ/h よって、2 炉運転
のときは、37,632MJ/h の熱量を利用可能(基準ごみ時
)と試算される。
※ごみ焼却による発生熱量に、燃焼用空気の熱量等を加
えたものが総熱量となる。総熱量のうち、一部は廃熱ボ
イラーで 熱回収を行う際に損失する。回収した熱量の
さらに一部はごみ処理工程で必要な熱量(脱気器加熱、
燃焼用空気予熱、 ガス再加熱等)として消費され、残
りを余熱として利用可能となる。ここでは、余熱利用可
能熱量を、ごみ焼却による 発生熱量の約 60%として検
討する。

6.3 高効率発電の検討 
 ごみ焼却施設のエネルギー回収は、燃焼ガス冷却設備
としてボイラーを設けることにより、蒸気エネ ルギー
を回収している。蒸気エネルギーを発電や他施設への熱
供給を行うことで有効利用を行っている。多くのごみ焼
却施設で実施されているのが発電利用である。ごみ焼却
施設での発電は、施設内の所要電力を賄う自家発電にと
どめる方式と余剰電力を電力会社へ逆送電し、売却する
方式がある。国では、廃棄物の3R(リデュース、リユ
ース、リサイクル)を総合的に推進するため、広域的か
つ総合的に廃棄物処理・リサイクル施設整備を計画(循
環型社会形成推進地域計画)に位置付けられた施設整備
に対し交付金を交付している。本施設整備では、交付金
を活用するため、エネルギー回収率を16.5%として計画
する。

【外部熱供給を想定する場合】
  利用可能熱量を全て発電に用いるのではなく、外部へ
の熱供給(4,000MJ/h と想定)を行う場合には、発電出
力は約300kW低下する。



第7章 プラント計画および土木・建築計画
7.1 熱回収施設のプラント計画
(1)処理フロー
熱回収施設の処理フローは以下のとおりとする。 ※()
内は必要に応じて設置する。 


(2)主要設備計画
 1) 受入・供給設備
   受入・供給設備は、搬入されるごみ量、搬出される
  焼却残渣量等を計量する計量機、ごみ収集車がごみ
  ピットにごみを投入するために設けられるプラット
  ホーム、ごみを一時的に貯えて収集量と焼却量を調
  整するごみピット、およびごみピットからごみをホ
  ッパに投入するごみクレーン等で構 成する。

  ① 計量機
    搬入されるごみ、搬出される焼却残渣の量、搬
   出入車両重量等を正確に把握するため、計量機の
   形式は「ロードセル方式」とし、搬入用 2基と搬
   出用 1 基の合計 3 基設置する。また、操作方式
   は「全自動計量方式」とし、計量の効率化を図る。
    なお、計量機の秤量は最大 30tとする。
    なお、リサイクル施設に搬入されるごみや搬出
   される資源物等も計量する。

  ② プラットホーム
    プラットホームは、ごみ収集・運搬車両からご
   みピットへの投入作業が容易かつ安全に行え、渋
   滞等をできる限り生じないように十分なスペース
   として幅員 20m程度を確保する。なお、建設候
   補 地は沖積層に該当し、掘削工事時には地下水
   の排水対策が課題となる。地下部分の掘削量を低
   減するため、プラットホームは 2 階(GL+5.0m
   程度)とし、スロープにより搬入する計画とする。
    また、プラットホームには 10tダンプが進入で
   きるよう配慮する。運搬車両の出入口には、車両
   を検知して自動で開閉する鋼製・両引き式のプラ
   ットホーム出入口扉を設け、ごみ収集車が自動扉
   から進入後、完全に扉が閉じられ、プラットホー
   ム内の臭気が屋外に漏洩しないものとする。また
   エアカーテンを設ける等、臭気を極力遮断できる
   ようにする。清掃のため全域を水洗い可能なよう
   散水栓を設け、排水溝はごみ投入位置における搬
   入車両の前端部よりやや中央寄りに設ける。また
   排水溝は清掃が容易な構造とする。プラットホー
   ム下部については、工作室や貯留ヤード、収集車
   洗車場等に利用する。また、層階には、管理事務
   所や会議室等を設置する。

  ③ ごみ投入扉
    ごみ投入口には、車両を検知して自動で開閉す
   る鋼製・両開き式のごみ投入扉を設け、ごみ収集
   車よりごみをごみピット内に安全に投入でき、ご
   みピット内の臭気の漏洩防止および転落防止が可
   能なものとする。搬入車が集中する時間帯でも車
   両が停滞することなく円滑に投入作業が続けられ
   るよう、5基設置(うち 1 基はダンピングボッ
   クスを設置する。クレーン操作室からのロックが
   可能な構造とし、ごみピット室内を負圧として臭
   気が外部に漏れるのを防ぐためにごみをピットに
   投入する時間以外は基本的に閉状態とする。

  ④ ごみピット
    ごみピットは、基準ごみの単位体積重量におい
   て施設規模の7日分以上の貯留が可能な容量を確
   保する。(ピット容量は、投入扉下面のシュート
   下部から水平線以下を有効容量として算定するも
   のとする)ピットの奥行きは自動運転と攪拌効果
   を考慮し、クレーンバケットの開き寸法に対して、
   3倍以上とする。ごみピットは地下水の漏水を考
   慮し、水密コンクリートを使用した鉄筋コンクリ
   ート造とし、ピット壁へのごみクレーンバケット
      の衝突、ごみの積上げに対しても十分考慮した耐
      圧性の強構造とする。ピットの底部には、ごみの
      汚水を容易に排水できるように一定の勾配をつけ
      て、汚水をごみピット排水貯留槽に導くようにす
      る。尚
、ごみピット内を常に負圧に保つとともに
   ごみピット内粉じんや臭気がごみピット周辺に漏
   洩しない気密構造とする。また、ごみピット内は、
   貯留ごみが原因となり火災が発生することがある
   ため、火災対策として、ごみピット火災自動検知・
   消火装置を設ける。

  ⑤ ごみクレーン
    ごみピットからごみをごみ投入ホッパへ供給す
   るとともに、ごみピット内のごみを均し整理、攪
   拌、積上げを行うために設置する。形式は「バケ
   ット付天井走行クレーン」、計量装置は「ロード
   セル式」とし、2 基(交互運転)設置する。また、
   ごみクレーンバケット 2 基を収納でき、整備で
   きるホッパステージを設ける。 クレーン走行ガ
   ーター・横行ガーターは、揺れ・ひずみが発生し
   ない構造とする。クレーン稼 働率は、投入 33%
   以下、攪拌 33%以下となるようにする。また、
   ごみクレーン操作室および中央 監視室での全自
   動運転/半自動運転/手動運転が可能なものとする。
                   この項つづく



滋賀に適した再生可能エネルギーとはⅡ
【オール水力システム】


2020年7月28日
県内初「管水路用マイクロ水力発電システム」本格稼働! 

考えてみれば, 琵琶湖自体が疑似人造な多目的ダムであ
り、天ヶ瀬ダムは26,280,000 m³もの総貯水量をもつ放流
調整機能と天ヶ瀬発電所(92,000kW)と喜撰山発電所 (
466,000kW)で合計558,000kWを発電量をもつ水力発電機能
をもち、平等院鳳凰堂(世界遺産)や宇治橋、天ヶ瀬森
林公園観光資源をもつ。その他伊吹発電所(5.4MW),永源
寺発電所(5MW)、荒川発電所(2.4MW)、草野川発電所(
2.3MW)、大同川発電所(1.6MW)、栃生発電所(1.37MW)、
犬上発電所(1.1MW)、神崎川発電所(1.1MW),高時川発
電所(1MW)、小泉発電所(096MW)、姉川ダム発電所(
0.9MW)、大鳥居発電所(0.8MW)、青土ダム管理用発電
(0.25kW)、足俣川小水力発電所( 0.194MW)、長福寺分
水マイクロ水力発電所(0.035MW)、湖北中央幹線3,4号
発電(0.025MW)、姉川エコ発電所(0.0175MW)、長浜
市高月町小水力発電設備5号(0.155MW),長浜市高月町
小水力発電設備10号(0.01MW)など。
--------------------------------------------------
出所:滋賀県の発電所一覧地図・ランキング,エレクト
リカル・ジャパン,発電所マップと夜景マップから考え
る日本の電力問題
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  この「管水路用マイクロ水力発電システム」は、館内
壁を超撥水仕上げとし、取水口でのシリカや混入物を出
来る限り取り除き、LED深紫外線殺菌させておくことが
ポイントでポンプモータは軽量・小型で大出力を、先回
地域循環共生圏概論 ㊷)で紹介した「ピコ水力発電
システム」型として山岳部の取水ダムから琵琶湖河口部
間に管水路の複数箇所に設置し発電させ併行する集電線
にて集め蓄電池(仮想発電所)にて貯蔵給配電を行う。
できれば、揚水管水路を敷設、源泉ダムに戻すれば、位
置エネルギーを効率良く発電利用しながら渇水対応(蒸
発分はロスするが)恒久的に発電できる。この構想のヒ
ントになったのは、下写真の「電気トラックが山で水力
エネルギーを効率生成」(極東極楽)である。願参考!


関連論文
Hunt, J., Jurasz, J., Zakeri, B., Nascimento, A., Cross, S., Sch-
wengber ten Caten, C., de Jesus Pacheco, D., Pongpairoj, P.,
Leal Filho, W., Tomé, F., Senne, R., van Ruijven, B. (2022).
Electric Truck Hydropower, a Flexible Solution to Hydropower
in Mountainous Regions. Energy
DOI:  10.1016/j.energy.2022.123495

□ 北陸地方周辺でM6.0±0.5(4/12ごろまで)地
震予測が、地震科学探査機構(JESEA)から、3月14日
に発出されております。会員の皆様にご連絡させていた
だきます。


あくまでも予測です。願参考!

【脚注及びリンク】
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地域循環共生圏概論 ㊷

2022年03月16日 | 防災と琵琶湖


作成日:2022.3.16|更新日:2022.3.
地域循環共生圏概論 ㊷
□ 地盤強化と地震防災⑦

 今回は「彦根愛知犬上地域 新ごみ処理施設整備基本
計画」の後半部分の考察を行い、 「北九州市日明工場
建替事業 公共事業事前評価調書」の考察に移る。
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第5章 公害防止計画・焼却残渣処理計画
廃棄物処理施設は、「廃棄物の処理及び清掃に関する法
律」に規定されている“施設の技術上の基準”に適合す
るとともに“施設の維持管理の技術上の基準”に基づき
適切に運営管理されなければならない。これと同時に、
公害防止および環境保全にかかる関係法令の規制を受け
施設立地場所に応じて、規制基準(公害防止基準)をう
けることとなる。

5.1 公害防止項目の設定
(1)排ガス
  1) ばいじん ばいじんの排出基準(総理府令第 27
  号 1998 年平成 10 年 4 月 10 日付)は施設の種
  類と規模によ り定められている。集じん器入口の
  ばいじん濃度は、炉の構造や運転条件(焼却負荷、
    空気比等) によって変動するが、連続炉では通常
  2~5g/m3 N であるので、基準達成のためには集じ
  ん器の設備 は不可欠である。また、炉構造等の工
  夫により、集じん器手前でばいじんの一部を除去す
  ることは、 集じん器の負荷低減に有効である。 集
  じん装置には、ろ過式集じん器(バグフィルタ)、
  電気集じん器、機械式集じん器がある。また、処理
  ガス温度については集じん器入口において、「ごみ
  処理に係るダイオキシン類発生防止等 ガイドライ
  ン」では 200℃未満、「廃棄物処理法」ではおおむ
  ね 200℃以下とするよう定められている。

 2) 塩化水素・硫黄酸化物 ごみ焼却施設の排ガスに
  含まれる酸性ガスとして、塩化水素と硫黄酸化物が
  ある。塩化水素の排出基準は、残存酸素濃度 12%
  換算値で 700mg/m 3 Nであり、これは約 430ppm に
  相当する。ごみ焼却施設から排出される塩化水素濃
  度は、ごみ質によって変化する。発生原因物質は主
  と して塩化ビニール系プラスチックと考えられる
  が、食塩等の無機塩化物からも塩化水素が発生する
  ので、分別のみで排出基準を大幅に下回ることは難
  しい。 硫黄酸化物の排出基準は、いわゆる K 値規
  制で行われる。これは、それぞれの地域ごとに定め
  られるK値と、施設の有効煙突高さとから排出基準
  を算出する方式で、煙突による拡散効果を考慮した
  規制方式である。排出基準の算出式はサットンの拡
  散式を基礎としている。ごみ焼却排ガス中の硫黄酸
  化物濃度は、通常 20~80ppmであり、重油(低硫黄
  重油で 100~300ppm)や石炭(500ppm 以上) に比べ
  ると低い。また、飛灰中には結晶性の硫酸塩(Na2SO4、
  K2SO4等)が 5%以上(S04換算)含まれて いる。一方、
  ごみ中の硫黄分は全硫黄で 0.05~0.2%、揮発性硫
  黄が 0.03%程度である。これらの ことはごみ中の
  硫黄分の半分以上が主灰および飛灰中に残っており、
  排ガス中の硫黄酸化物のかな りの割合が、炉内お
  よびガス冷却部でアルカリ性ばいじんと反応してい
  ることを示している(Na20 +/202→Na2SO4)。

  なお、硫黄酸化物は S02(二酸化硫黄)と SO3(三酸
  化硫黄)とからなるが、ご み焼却排ガスでは集じん
  器出口で、S02が 98%以上占めている。

 3) 窒素酸化物 窒素酸化物の排出基準(第 5 次規制
  1983 年連続炉)は、残存酸素濃度 12%換算値で
  250ppm である。排ガス中の窒素酸化物の大半は一
  酸化窒素(NO)であり、二酸化窒素(N02)の割合は数
  %以下である。ごみ焼却排ガス中の窒素酸化物濃度
  は通常 100~150ppm 程度であり、排出基準の 250
  ppm超をえる可能性は小さい。窒素酸化物排出の抑
  制には燃焼制御による方法が有効で、低酸素燃焼と
  炉温 管理等により、平均濃度を 100ppm 以下とし
  ている例も珍しくない。一方、窒素酸化物の規制に
  は 都道府県の上乗せ排出基準や総量規制基準もあ
  り、一般の排出基準 250ppm より厳しい規制値が適
  用されることもある。これに対応するために燃焼制
  御と併用してアンモニアや尿素を炉内に吹込む無触
  媒脱硝法や排ガス処理設備でアンモニアを使用した
  触媒脱硝法が用いられることもある。燃焼によって
  生成する窒素酸化物は、空気中窒素の酸化によるサ
  ーマルNOx、燃焼中窒素分の酸化によるフューエル
  NOxに大別される。ごみ焼却の場合は発電用ボイラ
  ーに比べ燃焼温度が低いのでサーマルNOxの発生は
  少なく、7~8 割以上がフューエル NOxであるとさ
  れている。ごみ中の窒素分は約 0.5%ある。したが
  ってこれが全部 NOx に転換したとすると、排ガス
  中の窒素酸化物濃度は計算上 1,000ppm以上になる。
   これまで、焼却炉内の自己脱硝反応(ごみ熱分解
  時に発生する NH3等の還元性物質と NOx の反応)に
  よって、実炉における窒素酸化物濃度は、上述の値
  まで低くなってきた。この反応を促進する第一要素
  は、低酸素管理することである。しかしながら、低
  酸素運転は一酸化炭素やダイオキシン類の発生増加
  の要因となるため燃焼温度の維持や充分な ガスの
  混合撹絆を行うなど運転管理上留意する必要がある。
 4) ダイオキシン類 1990 年(平成 2 年)12 月に「ダイ
  オキシン類発生防止等ガイドライン」(旧ガイドライ
  ン)が厚生省 (当時)において策定され、当時におい
  て技術的に実施可能な限り、ダイオキシン類の発生
  防止等を効率的に推進するという観点から総合的な
  対策が取りまとめられた。その後、1997 年(平成
  9 年)1 月「ごみ処理に係るダイオキシン類発生防止
  等ガイドライン」(新ガイドライン)が「ダイオキシ
  ン 類削減プログラム」という副題にて策定され、
  1997 年(平成 9 年)8 月に廃棄物処理法に基づく政
  省令の改正が行われ、ダイオキシン類削減のための
  法的規制措置が 1997 年(平成 9 年)12 月から施行
   された。その後、「ダイオキシン類対策特別措置法
  」が 1999 年(平成 11 年)7 月 16 日公布され、2000
  年(平成 12 年)1 月 15 日施行された。 廃棄物焼
  却炉は法の特定施設に位置づけられ、施行規則で大
  気排出基準が定められている。ダイオキシン類対策
  の基礎となる我が国の耐用 1 日摂取量(TDI)につい
  ては、1996 年(平成 8年)l0 pg-TEQ/kg/dayとする
  厚生省の中間報告(提案)がまとめられた。その後、
  世界保健機関(WHO)専門家会合の結論を踏まえ、環
  境庁および厚生省の共同作業による見直しが行われ、
  1999 年(平成11年)6月のダイオキシン類対策関係閣
  僚会議で 4pg-TEQ/kg/dayとすることとなり、「ダイ
  オキシン類対策 特別措置法」の基本とすべき基準と
  して定められた。ダイオキシン類については連続測
  定できないため、代替的に、燃焼の状態を表す「一
  酸化炭素」を連続測定し常時監視が行われる。
--------------------------------------------------
※ 既に多数のダイオキシン類長期サンプリング装置を
導入しているベルギーでは2000年1月にダイオキシン類
の連続的測定監視が法制化されている。2週間に1検体
の採取期間で連続的に排ガスの採取を行い、排出基準の
0.1ng-TEQ/m3Nを超えないように焼却炉の燃焼管理を行
うよう法律にうたわれている。
同様にドイツでも利用可能な最良の技術(BAT:Best
Available Technology/Techniques)を導入し燃焼施設
から排出されるダイオキシン類濃度を連続的に監視する
事を施設管理者の責務として「17. BImSchV」という法
律の中に明記している。 この他、イギリス、フランス
などの欧州諸国もベルギーやドイツのこのような動きに
同調する動きを見せ、特にフランスでは2010年8月3日付
の新しい法令が発布され、一般廃棄物焼却施設における
ダイオキシン類の連続採取が2011年11月 1日から法的要
求事項として法制化された。移行期間は、2011年11月11
日から2014年7月1日となっており、現在は多くの燃焼施
設でアメサのような長期モニタリングを行うための装置
の設置作業が進められている。
下記に続測定装置事例を記載。
 ■主な仕様
 製造会社:日立製作所 計測器グループ
  測定対象:ダイオキシン前駆体(クロロフェノール)
  測定方式:大気圧化学イオン化法、三次元四重極質量
      分析法
  検出限界:0.5μg/m3(N)(トリクロロフェノール)
  計測時間:1分以内(連続測定)
  周囲温度:-5~40℃
  消費電力:AC100V 4kVA,3相AC200V 3kVA
  外形寸法:1,600(W)x1,200(D)x2,100(H)mm
-------------------------------------------------
 5) 水銀等 「大気汚染防止法」施行規則の一部改正(2
  016 年(平成 28 年)9 月 26 日)が行われ、水銀等
  の大気排 出規制値が定められた。施行日は、2018
  年(平成 30 年)4 月1日となっている。 規制対象
  となる施設(水銀排出施設)の排出基準値は、ガス状
  水銀および粒子状水銀の合計した全水銀30μg/㎥N
  の量であることとなっている。また、経過措置が設
  けられており、既存施設の水銀排出施設は、50μg
  /㎥Nの量が適用される。水銀排出者は、環境省令で
  定めるところにより、当該水銀排出施設にかかる水
  銀濃度を測定しその結果を記録し、保存することが
  定められた。測定は、全水銀(ガス状水銀および粒
  子状水銀)を対象として、バッチ測定方式で行い、
  試料採取・分析方法は、排出ガス中の水銀測定法(
  2016年(平成 28年)環境省告示第94 号)で行うこと
  となる。ごみ焼却排ガス中の水銀排出濃度は、ダイ
  オキシン類対策により普及したろ過式集じん器と揮
  発性物質を抑制する乾式・湿式システムの組合せに
  よる施設において平均 10μg/m3N以下程度であり、
  30μg/m3N未満であると考えられる。排出規制に対
   応するためには ろ過式集じん器、湿式洗煙設備お
    よび活性炭処理等が有効とされている。

(2)悪臭 施設から発生する悪臭は「悪臭防止法」お
    よび関連条例で定める規制基準値以下でなければな
    らない。悪臭の規制と規制基準値は、「悪臭防止法」
  では、他の公害規制法と異なり、特定施設制度をと
  っていない。また、規制を行う地域や規制基準を、
  都道府県知事が市町村長の意見を聴取した上で定め
  るよう規定している。すなわち、公害としての悪臭
  問題は自然的、社会的条件により、住民の生活環境
  に対する影響度が変化するので、地域毎に規制を行
  うよう配慮しているものである。したがって、当該
  施設がどのような規制を受けるかについては、地域
  ごとの知事告示によらなければならないが、1995年
  (平成7年)に「悪臭防止法の一部を改正する法律」が
  公布され、法では規制基準の内容(種類、方法、範
  囲等)について、従来の物質濃度規制に加え嗅覚測
  定法による規制方式が導入された。物質濃度規制は
  特定の物質を排出する工場、その他の事業所等に対
  しては効果的であり、引き続き規制の基本とされる
  が、嗅覚測定法による臭気指数規制は、発生源から
  複数の悪臭の原因となる物質が排出され、これらが
  相加・相乗される等により、人の嗅覚に強く感じら
  の多種多様な物質への実効性のある対応を図るため
  のものである。更に1999 年(平成 11年)には「悪臭
  防止法の一部を改正する法律」が公布され、嗅覚測
  定法による臭気指数規制にかかわる気体排出口の規
  制基準の設定方法が定められた。なお、滋賀県では
  規制を行なう地域や規制基準の定めについて、各市
  町に権限委譲されている。建設候補地のある彦根市
  では臭気指数規制が採用されており、敷地境界、気
  体排出口、排水それぞれについて以下の規制基準が
  設けられている。
 1) 敷地境界の地表における規制基準(悪臭防止法第
  4 条第 2項第 1 号) 環境省令で定める範囲内(施
  行規則において大気の臭気指数が 10 以上 21以下
  と定められている)において、大気の臭気指数の許
  容限度として定められるものである。
 2) 排出口における規制基準(悪臭防止法第 4 条第2
  項第 2号) 敷地境界における許容限度を基礎として、
  排出口の高さに応じて、すなわち拡散を考慮して定
  められ、臭気排出強度(排出気体の臭気指数及び流
  量を基礎として算定される値)または排出気体の
  臭気指数の許容限度として定められるものである。
 3) 排水の規制基準(悪臭防止法第 4 条第 2 項第 3
  号) 敷地境界における許容限度を基礎として、排出
  水の臭気指数の許容限度として定められるもので
  ある。(3)騒音・振動 「騒音規制法」と「振動
  規制法」では、共に特定施設制度をとっており、特
  定施設を有する特定工場から発生する騒音および振
  動は、敷地境界において、それぞれの法律および
  条例で定める規制 基準値以下でなければならない。
  特定工場に適用される規制基準は、環境大臣が定
  める範囲内にいて、知事が地域を指定して定めるこ
  ととされている。環境大臣が定める規制基準の範囲
  は、敷地 境界における騒音レベル、振動レベルと
  して、区域や時間帯別に、定められている。また、
  一般的に、市町村等がその地域条件に応じて、法 
  と別の見地から、条例により規制することも可能
  であるが、滋賀県ではもとより各市町に権限委譲さ
  れている。新ごみ処理施設に設置が考えられる特定
  施設としては、次のものがある。 (a) 騒音規制法
  にかかる特定施設 … 原動機定格出力7.5kW以上の
  空気圧縮機および送風機 (b) 振動規制法にかかる
  特定施設 … 原動機定格出力 7.5kW 以上の圧縮機

(4)主灰・飛灰(特別管理一般廃棄物) 焼却残さのう
  ち、焼却炉下部から排出される主灰は「ごみ処理施
  設性能指針のうち焼却残さに係 る事項」に定める
  熱しゃく減量に適合しなければならず、一般に埋立
  てによる最終処分が行われてきた。ごみ焼却施設に
  おける主灰の熱しゃく減量は、一般廃棄物処理施設
  の維持管理の技術上の基準で定められ、また、性能
  指針において、施設の炉型式に応じてそれぞれの値
  が定められているので、施設の運営にあたっては、
  日常の保守整備と適正な管理によって性状を維持し、
  最終処分において環境衛生上の支障がないようにし
  なければならない。焼却残さのうち、集じん装置や
  煙道各部で捕集された飛灰は、1992年(平成4年)7
  月から施行された法改正により、特別管理一般廃棄
  物に指定され、分離排出、分離貯留並びに重金属類
  にかかる 溶出基準値に適合するための中間処理が
  義務付けられた。特別管理一般廃棄物は、処分又は
  再生の方法として環境大臣が定める方法により行
  うこととされており、次の(a)~(e)が定められてい
  る。 (a) 溶融固化法 (b) 焼成法 (c) セメント固
  化法 (d) 薬剤処理法 (e) 酸その他溶媒による安定
  化 2000年(平成12年)1月に「ダイオキシン類対策特
  別措置法」が施行され、同時に「廃棄物の処理及び
  清掃に関する法律」も改正され、一般廃棄物焼却施
  設から排出されるばいじんおよび焼却灰その他燃え
  殻は、ダイオキシン類含有濃度が基準値(3ng-TEQ/g)
  を超えたものは特別管理一般廃棄物と定められ、処
  分を行う場合は基準以内となるよう処理しなければ
  ならないとされた。

(5)排水施設から公共用水域へ排出される水は、「
  水質汚濁防止法」および関連条例で定める排水基準
  値以下、また、公共下水道に排除される水にあって
  は「下水道法」および関連条例で定める水質基準値
  以下でなければならない。排水の規制と排水基準値
  は、火床面積が 2㎡以上またはごみ処理能力が 200
  kg/h以上のごみ焼却処理施設は、「水質汚濁防止法
  施行令」により、「水質汚濁防止法」および「下水
  道法」の「特定施設」とされており、排水が公共用
  水域に排出される場合は、「水質汚濁防止法」の適
  用を受ける。(特定施設そのものからの排水のみで
  なく、事業場から排出される水全般について適用さ
  れることに注意を要する。)また、排水が下水道に
  排除される場合は「下水道法」の適用を受ける。排
  水処理は、ごみ焼却施設にとって、排ガス処理とな
  らび重要な位置を占めている。ごみ焼却施設では様
  々な用途で水を用いるので、これらの排水の処理を
  必ず考えねばならない。ごみ焼却施設で処理対象と
  なる排水には、次のようなものがある。(a) ごみピ
  ット排水 (b)洗煙排水 (c)灰出し排水 (d)水噴射排
  水 (e)純水(軟水)装置排水(f)ボイラー排水(g) 洗
  車排水 (h)床洗浄排水(i) 生活系排水 (j)スラグ冷
    却水(灰溶融施設設置の場合)
 
   個々の排水の量と水質は、ごみ質や施設の種類、
  水使用システムおよび運転状況によって大きく変動
  する。処理方法については弾力性のあるシステムを
  計画することが重要である。例えば、完全燃焼を行
  い主灰の質を高めることにより、灰出し排水の生物
  処理は不要となり得るし、再利用率を高めることが
  できるので、排水量および使用水量を減らすことが
  できる。排ガス冷却を水噴射設備で行う場合は、一
  定処理した後の排水は全量ガス冷却水として利用可
  能なので、クローズド化を図ることもできる。また、
  灰出設備に灰押出機を用いることにより、灰出し排
  水の量を著しく少なくできる。しかしこのような場
  合、塩類は全て主灰に残留することになるので、埋
  立地における浸出水中の塩問題が生ずることも考え
  られる。また、排水処理汚泥として固定した排水中
  の有害物の行方も考慮することが必要である。

5.2 公害防止方式の整理
以下に、5.1で設定した各公害防止項目について、公
害防止方式を整理する。一般的に、除去性能の よい設
備は、設備費・維持管理費が高価なものとなるため、適
切な機種の選定が必要である。 
(1)排ガス対策
 1) ばいじん除去
  排ガス中のばいじんを除去するため、集じん器を使
 用する。ごみ焼却施設のばいじんの性状は、
 (a) 吸湿性が大きく、湿気を吸って冷えると固着しや
  すい。
 (b) かさ比重が 0.3~0.5 と小さく軽い。
 (c) 粗いばいじんは煙道やガス反転部で沈降するので、
  集じん器入口の平均粒径が小さい。
 (d) HCl・SOx 等がガス中に含まれるため、機器の防食
  上、十分注意を要する。このような条件に適合する
  集じん器としては、ろ過式集じん器・電気集じん器
  およびマルチサイクロン等があるが、ダイオキシン
  類削減という観点により、ろ過式集じん器が主流に
  なっている。後述する塩化水素、硫黄酸化物、ダイ
  オキシン類の除去も考慮した場合、排ガス中に吹き
  込んだ消石灰や活性炭等がろ布上で排ガスと効率よ
  く接触し集じん性能が向上するため、バグフィルタ
  の方が電気集じん器より微粒子について高い集じん
  効率を持ち、有害物質の除去率が高い。(ろ過式集
  じん器の場合、排ガス性状(基準値)の目安としては、
  0.01 g/㎥N 程度とされている。) 以上のことから、
  新ごみ処理施設の熱回収施設では「ろ過式集じん器
  (バグフィルタ)」を採用する。なお、リサイクル
  施設の集じん設備については、ろ過式集じん器や機
  械式集じん器を組み合わせて適切な方式を計画する
  こととする。

(注)集じん効率は粉じんの粒径分布によるので、ここ
  では一般の場合の値を挿入した。

□ ろ過式集じん器 
 ろ過式集じん器はバグフィルタとしてよく知られ、近
年の新設炉では使用実績が最も多い。以下にろ過式集じ
ん器の一般的な構造図を示す。


原理:ろ過式集じん器におけるばいじんの捕集機構は、ろ
布(織布・不織布)表面に堆積した粒子 層で排ガス中の
ばいじんを捕集することによる。ろ布にばいじんが堆積
することにより圧力損失が上昇した場合、払い落とし操
作によって堆積したばいじん(集じん灰)を払い落とし、
再度ろ過を継続する。この際、ろ布の織目もしくは表面
層に入り込んだ粒子は払い落とされずに残る。この残留
粒子層は第一次付着層と呼ばれ、この第一次付着層によ
って新たなばいじんの捕集を行う。ろ布には、ガラス繊
維織布やPTFE、PTFE+ガラスの混合・ポリイミド(耐熱
性・難燃性を備えた高分子化合物)などの繊維を使用し
た不織布を使用することが多い。また、ダイオキシン類
や窒素酸化物の除去を目的に触媒成分を添加したろ布や
集じん灰の剥離効果をよくするためにPTFEを表面に被膜
させたろ布が使用される例もある。ろ布の選定に際して
は、排ガスおよびばいじんの性状(排ガス温度・水分量酸
性成分等)を十分考慮して、また有害ガス除去性能も含め
た上で適切なろ布を選定する必要がある。

 2) 塩化水素・硫黄酸化物除去
  排ガス中の有害ガスである塩化水素(HCl)・硫黄酸化
  物(SOx)は、アルカリ剤と反応させて除去する。 除
  去の方式は、大別すると乾式法と湿式法とに分類さ
  れる。乾式法とは、反応生成物が乾燥状態で排出さ
  れるもの、湿式法とは、水溶液にて排出されるもの
  をいう。なお、HCl の除去に伴って SOxも除去され
  るが、一般的にSOxの除去率はHClに比べ低いので注
  意が必要である。以下に、各方式の比較を示す。下
  表の比較により、塩化水素・硫黄酸化物については
  「乾式法」を採用する。 


□ 処理方式 塩化水素・硫黄酸化物除去(乾式法) 
乾式法は炭酸カルシウム(CaC03)、消石灰 (Ca(OH)2)
や炭酸水素ナトリウム (NaHC03) 等のアルカリ粉体をろ
過式集じん器の前の 煙道に吹込み、 反応生成物を乾燥
状態で回 収する方法が主である。乾式法は湿式法に 較
べて薬剤の使用量が多い(供給した薬剤 のうち一部は未
反応のまま排出される)と いう欠点はあるが、次に示す
ような多くの 利点があるため、実用例が多い。(図 乾
式法(ろ過式集じん器方式)の例 :省略)
【特徴】
a) 排水処理が不要である。
b) 装置出口の排ガスの温度を高温に維 持できるので、
 湿式法に比べてガス 再加熱に要するエネルギーを抑え
 ることができ、発電設備を備える場合には発電効率が
  高くなる。また、白煙防止装置を設置しなくても、煙
  突から白煙が生じにくい。
c) 腐食対策が容易である。最近では乾式法も性能面で
 の改善が進み、湿式法と較べて性能的に遜色の無い機
 種も実用されるようになっている。

□ 塩化水素・硫黄酸化物除去(湿式法) 
水や苛性ソーダ(NaOH)等のアルカリ水溶液を吸収塔に噴
霧し、反応生成物を NaCl、Na2SO4 等の溶液で回収する
方法。NaOH 等のアルカリ溶液を吸収塔内で循環運転し
HCl、SOx を気液接触により吸収。反応生成物は溶液と
して回収し、排水処理装置で処理。吸収塔の形式はスプ
レ-型・トレー型・ベンチュリ型・流動層型・充填塔型
等がある。反応機構としては、排ガス中に二酸化炭素(
C02)が多くあり、NaOH は C02 を吸収して炭酸ソーダ
(Na2C03)として溶液中に溶解し、この Na2CO3が強酸で
ある HCl、S02と反応して C02を放出して NaCl・Na2HCO3・
Na2S04などが生成する。排ガス中には 02が多く存在す
るのでほとんど NaCl・ Na2SO4の形態で排溶液中に含ま
れる。
循環液は HCl、S02を吸収する運転により塩濃度が増え
ることになるので、一般的に排水処理設備の兼ね合いで
循環塩濃度を 3%~15%とする。本方式は除去率が高く、
Hgや As等の重金属類も高効率除去が可能で HClやS02は
15ppm以下にできる。排ガスは増湿冷却されて水分飽和
ガスとなるので、白煙低減が必要となり、除湿・再加熱
のプロセスが必要となるが、除湿用循環水の冷却にはエ
アフィンクーラー等によ り大気中に水滴が飛散しない
密閉系の装置とする必要がある。湿式法は排水処理設備
や塩乾固設備等プロセスが複雑になる欠点がある。更に
吸着液の循環使用によってダイオキシン類が濃縮するお
それがあり、廃液の処理には注意が必要である。(構成
図は省略)

□ その他の乾式法 
(ⅰ)脱硝ろ過式集じん器 脱硝ろ過式集じん器はろ布に
 触媒機能を持たせることによって、NOx をはじめ有害
 成分を 一括除去しようとするものであり、この際、
 ろ過式集じん器の上流側に消石灰および NH3を排ガス
 中へ噴射する。触媒化したフィルタ表面上に形成され
 るダスト堆積層により、ばいじん・HCl ・SOx・ダイオ
 キシン類・水銀を含む重金属類などを除去し、排ガス
 中に注入したNH3とフィルタ中の触媒でNOxを除去する。 
(ⅱ)活性コークス法  本方式は、活性炭とコークス
 の中間の性能を有する吸着材である活性コークスをNOx
 とNH3による脱硝反応において触媒として使用する方法
 で、この活性コークスはダイオキシン類や水銀等の低
 沸点有害物質を吸収除去する能力もある。
(ⅲ)天然ガス再燃焼法  本方式は、炉内に排ガス再循
 環とともに天然ガスを吹込み、最小の過剰空気率でCO
 その他の未燃物の発生を抑えながらごみを完全に燃焼
 させて、NOx等ごみ燃焼に直接関係する大気汚染物質
 を低減させるものである。

 4) ダイオキシン類発生抑制・除去
  ダイオキシン類は、COや各種炭化水素(HC)等と同様
 に未燃物の一種であるので、完全燃焼することにより、
 かなりのダイオキシン類を抑制することができる。た
 だし、排ガスの冷却過程でダイオキシ ン類の再合成
 (denovo synthesis)がある。これは集じん器の運転温
 度と密接な関係にあって、温度が高いほどダイオキシ
 ン類の排出濃度が高くなる傾向にある。排ガス中のダ
 イオキシン類は飛灰に吸着された状態や、ミスト状の
 ほか、ガス相として存在する。排ガス処理過程におけ
 るダイオキシン類の低減化・分解などの抑制技術につ
 いて、下表に比較を示す。設備費・運転費が低く抑え
 られ、採用例も多いことから、ダイオキシン類につい
 
ては活性炭吸着(バグフィルタに活性炭吹込み)を採
<用する。 


□ 処理方式:活性炭・活性コークス吹き込み濾過式集
  塵器(乾式吸着法)
【概要】排ガス中に活性炭あるいは活性コークスの微粉
を吹込み、後置のろ過式集じん器で捕集す るシステムで
ある。 活性炭は泥灰・木・亜炭・石炭から作られる微細
多孔質の炭素で表面積は活性炭 1g 当たり 600~1,200m2
(普通 1,000m2 程度)である。活性コークスは活性炭に
比べ賦活度が低く、表面積も 150~400m2と小さく、吸着
性能は劣るが安価であることから経済性は高い。活性炭
および活性コークスによるダイオキシン類の除去メカニ
ズムは明らかでないが物 理吸着と考えられる。排ガス中
のダイオキシン類は適当な蒸気圧を持っていることから、
吸 着除去が可能であり、吸着の一般特性は低温である程、
吸着性能が向上する。活性炭・活性コークス粉末の排ガ
スへの吹込み方法には、以下の 2 つがある。
① 活性炭、活性コークス単独吹込み
② 消石灰等の他の粉体との混合吹込み
単独吹込み法は、処理排ガス量 1m3あたり、50~200mgを
定量的かつ連続的に吹込む方法であり、ダイオキシン類
との接触を最大限に活用できる位置に吹込むことが重要
である。また、活性炭・活性コークスへの吸着を推進さ
せるためにも、排ガスの温度が極力低くなった位置が好
ましく、排ガス中における滞留時間の確保と、混合が十
分になされる位置に吹込むべきである。活性炭・活性
コークスの吹込み方法としては、消石灰等の粉体吹込み
と同様のブロワによる空気輸送が一般的である。排ガス
中への撹絆効果を期待して、排ガス流速より速い速度で
の吹込みが望ましいが、硬度が高いため輸送配管の摩耗
には注意を払う必要がある。混合吹込み方式は、消石灰
や反応助剤等と活性炭との混合剤を吹込む方法である。
その他、低コストでのダイオキシン類の除去を目的とし
た、活性炭・活性コークスの代用品の研究も進められて
いる。
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□ ダイオキシンの毒性とは
一部にダイオキシンが有毒であるという根拠が科学的で
はないとする論議がある。セベソでのダイオキシン類暴
露事故においては、当日の家畜大量死、翌年の流産率の
急増、女子出生への偏りなどが報告されたものの、事故
直後では人間の死者と奇形出産が出なかった事から、対
人間無毒説の根拠とされる。また、当初はダイオキシン
の高い急性中毒性について議論されていたが、いつの間
にか慢性毒性や発がん性に話がすり替わっているという
ような、研究者の非科学的態度もダイオキシンが有毒で
あるという論への懐疑的要因である。ダイオキシン類の
毒性発現機序は低濃度ではおもにアリール炭化水素受容
(arylhydrocarbon receptor)と結合することで発現
すると考えられている。ダイオキシン類とアリール炭化
水素受容体との親和性は種差があることが知られており、
ヒトのアリール炭化水素受容体とダイオキシン類との親
和性は他の動物に比べ低いことから、ヒトがダイオキシ
ン類の毒性について感受性の低い根拠の一つになってい
る。しかし実験動物では進んでいるものの、ヒトにおけ
る発癌性・内分泌攪乱作用とアリール炭化水素受容体の
役割について詳細には判明していない。一方、アリール
炭化水素受容体を介さない毒性発現も存在すると考えら
れており、おもに高用量での毒性発現と関係していると
考えられている
。実際にダイオキシンが毒殺目的で人間
に大量に与えられた事例があり、有名なところではウク
ライナ大統領候補だったヴィクトル・ユシチェンコの毒
殺未遂事件がある
。しかし、皮膚に湿疹などの異常がで
たが、ダイオキシンの高い急性中毒性については、否定
される結果になっている。(出典:jp・wikipedia)
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この項つづく

【エピソード】


□ 滋賀に適した再生可能エネルギーとはⅡ

【オール水力システム】



3Dプリンタ適用ピコ水力発電レンタルサービス
 水力発電は、日本国内では明治時代から導入が進み、
国産の再エネとしてさまざまな方式が存在していました
が、その多くはダムを伴う大規模な発電向けの高流量・
高落差な環境に適したもの。一方、低落差・低流量な環
境での発電は、地域の住民にとって適した、最も身近な
水源として活用できるものでありながら、適応可能な方
式がほとんどありませんでした。
  地方自治体では、地域政策に必須である防災対策や脱
炭素化推進のため、電力の地産地消の取り組みが始まっ
ており、従来の電力会社による大規模集中型の発電とは
異なる、小規模分散型、オフグリッド、マイクログリッ
ドなどの電力供給方法の活用を模索。現在普及している
太陽光、風力以外の再エネの一つとして、日本の豊富な
水流環境を生かした小水力発電が注目を集めています。
 水力発電は、日本国内では明治時代から導入が進み、
国産の再エネとしてさまざまな方式が存在してきました
が、その多くはダムを伴う大規模な発電向けの高流量・
高落差な環境に適したもの。地方自治体では、地域政策
に必須である防災対策や脱炭素化推進のため、電力の地
産地消の取り組みが始まり、従来の電力会社による大規
模集中型の発電とは異なります。


 3月10日、株式会社リコーは、再生可能エネルギー(
再エネ)の活用および電力の地産地消の推進を目指し、
少ない水量でも発電可能でメンテナンスの手間が少ない
ピコ水力発電のレンタルサービス「LIFEPARTS(ライフ
パーツ)」を開始。本サービスは、リコーの新規事業創
出の取り組み「TRIBUS(トライバス)」のなかで、同社
々内チーム「WEeeT-CAM(ウィットカム)」が提案され
リコーの強みである3Dプリンターを活用して独自形状の
水力発電用プロペラを作成し、工場排水や地域の用水路
などでの再エネ活用促進を目指すとのこと。また、再エ
ネへの理解を深め、活用方法を検討してもらうため、地
方自治体や教育機関向けに、再生プラスチックを用いた
ピコ水力発電機づくりのワークショップを開催するサー
ビスも同時に開始。リコーは、「LIFE PARTS」の取り組
みを通じ、電力の地産地消による脱炭素型・循環型社会
の実現を目指し、地域の魅力を高め、地方創生を推進し
ていきたいとのことです。
 この様に、小規模分散型水力発電を3次元プリントで
つくるという発想はなかったし、「オール水力システム」」
も構想していなかったので、虚を突かれたというか、面
白いということで紹介させていただきました。
 四月もスケジュール的にきついところですが、お城周
辺でお花見や琵琶湖湖岸で小鮎つりの宴をやりましょう
か。

【脚注及びリンク】

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地域循環共生圏概論 ㊶

2022年03月08日 | 防災と琵琶湖


作成日:2022.3.8|更新日:2022.3.
地域循環共生圏概論 ㊶
□ 地盤強化と地震防災⑥

 今回は「彦根愛知犬上地域 新ごみ処理施設整備基本
計画」の後半部分の考察を行い、 「北九州市日明工場
建替事業 公共事業事前評価調書」の考察に移る。
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【目次】
第1章 施設の理念・基本方針 
第2章 計画条件の整理 
第3章 処理方式の検討 .
第4章 基本条件の整理 .
4.1 建設候補地条件 .
4.2 規制条件 
4.3 ユーティリティ条件
4.4 ごみ搬入出車両の通行ルート条件
第5章 公害防止計画・焼却残渣処理計画
第6章 エネルギー利用計画・高効率発電の検討
第7章 プラント計画および土木・建築計画
第8章 施設配置・動線計画 
第9章 その他ごみ処理施設にかかる事項の計画
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第3章 処理方式の検討

3.1 熱回収施設における処理方式の整理・検討
(1)処理方式の概要
(参考)灰資源化技術 主灰、飛灰、溶融飛灰の資源化
処理技術としては、セメント資源化、焼成、溶融、山元
還元がある。 本計画においては、大阪湾広域臨海環境
整備センタへの埋立処分を前提として計画するが、参考
として、各灰資源化技術の概要を以下に示す。

             中略
(3)処理方式の評価 
以上の比較検討結果を踏まえ、下記の理由により、熱回
収施設の処理方式は、ストーカ式焼却方式を採用。 
【処理方式決定の理由】 
○ 他都市での採用実績が最も多い。 ○ 彦根市清掃セ
ンターと同方式であり運転管理が容易である。 ○ エネ
ルギー回収、省エネルギーに優れている。 ○ 安定した
燃焼により排ガス中の有害物質を低減できる。 ○ ごみ
質変動への対応に優れている。 ○ 建築面積が比較的小
さくコンパクトな施設とすることが可能である。 ○ 本
地域では焼却残渣を大阪湾広域臨海環境整備センタに埋
立処分することが可能であり、ガス化溶融方式を採用す
る積極的な理由(メリット)がない。 ○ 対応可能なプ
ラントメーカが多く、今回実施したメーカヒアリングに
おいても複数社からの回答があり、将来的にも競争性が
十分に働くと考えられる。 

3.2 リサイクル施設における処理方式の整理・検討
(1)処理方式の概要 
 粗大ごみ・不燃ごみの処理としては、破砕し、更に有
価物を選別することが一般的な方法となっ ている。人
間の力では破砕することが困難である場合や、量が膨大
である場合は、手選別が困難であるため、機械による破
砕・選別が行われる。破砕・選別処理方式のうち、主な
ものについて、以 下に概要を示す。
 1)粗大ごみの破砕処理方式について 粗大ごみ、不燃
 ごみ等の破砕機の種類を下図に示す。また、それぞれ
 の特徴を次々頁以降の表に示す。これらの処理方式か
 ら、想定される処理対象物に応じて、破砕機を選定す
 る必要がある。ま た、破砕機で処理できるサイズよ
 り大きいごみを処理する必要がある場合、前処理とし
 て重機等で 粗破砕を行う必要がある。(中略)

 2)選別処理方式について 粗大ごみや不燃ごみの破砕
 処理物から資源物を回収したり、不純物を除去したり
 するための選別 処理方式の種類を以下の図および次
 頁以降の表に示す。想定される処理対象物に応じて、
 選別機を 選定する必要がある。また、機械による選
 別では十分な機能を得られない場合には、手選別が必
 要となる。


(2)処理方式の検討 リサイクル施設での処理方式は、
  現時点ではメーカヒアリングにおける条件設定のた
  め以下のとお りとするが、事業方式によっては、
  以下の内容にかかわらず事業者の提案による部分も
  ある。(後略)

第4章 基本条件の整理・整頓 
4.1 建設候補地条件
(1)位置、面積 新施設の建設
候補地は、本組合圏域西部に位置する「彦根市西清崎町」
である。なお、建設候補地の 面積は 49,363㎡。

(2)地形、地質・地盤条件
1) 地形条件 建設候補地は、敷地の全域が浸水想定区
域(地先の安全度マップ(1/200 年確率)・愛知川・
宇曽川)に指定されている。想定浸水深度は全域が 2.0
~5.0m未満と大きく、敷地造成において盛土による浸
水 対策が必要である。また、敷地の北西側の1/6程
度が土砂災害危険箇所(土石流危険渓流)に指定されて
いる。指定箇所を避けた施設配置が可能であり、影響は
軽微と考えられる。

  2)地質・地盤条件 建設候補地は、敷地の北西側の
 ごく一部を除くほとんどが沖積層※であり、厚さは
  10~15mと推定される。軟弱地盤ではあるが、軟弱
  地盤対策により支持力の確保は可能である。
 ※ 沖積層:新しい時代の地層 

出典:5万分の1都道府県土地分類基本調査表層地質図
(国土交通省国土政策局国土情報課)

(3)自然的条件 付近に「荒神山鳥獣保護区特別保護
  地区」があり、建設候補地は鳥獣保護区に指定され
  ている。
(4)周辺土地利用条件 近隣の土地利用条件について
  整理する。いずれも、排ガス等による環境影響や、
  来館・通学等に対し て予想される影響に留意する
  必要がある。
 1) 住宅 建設候補地の中央から最寄りの住宅までは、
  約 250mである。


 2) 教育施設 建設候補地の中央から半径 500~1,000m
 の圏内に、荒神山自然の家がある。
  半径 1,000~1,500m の圏内に亀山小学校がある。
 半径 1,500~2,000m の圏内には、河瀬中学校・高校、
 みどり幼稚園、若葉 小学校、城陽幼稚園がある。 



 3) 医療施設 建設候補地の中央から半径 500~1,000m
  の圏内に曽我医院がある。半径 1,000~1,500m の
  圏内に成 美記念クリニック、松本医院、しがや歯
  科医院などがある。半径 1,500~2,000m の圏内に
  は、高山内 科循環器科がある。
 4) 福祉施設 建設候補地の中央から半径 500~1,000m
  の圏内にたんぽぽ作業所がある。半径 1,000~1,500
  m の圏 内に亀山保育園、日夏保育園、発達障害者
  支援センタ、グループホームゆうゆう、子どもセン
  タなどがある。半径 1,500~2,000m の圏内にどん
  ぐり保育園、サニープレイス河瀬などがある。



(5)農業振興地域指定状況 建設候補地全域が農業振興
地域※であり、農用地区域に指定されている。 ※ 農業
振興地域:優良な農地を確保するために「農業振興地域
整備法」に基づいて都道府県が指定した地域。農業のた
めに利用する土地と位置づけられ、排水路の整備などに
国の補助金が優先的に投入される。農業以外の用途への
転用は制限されているが、「市町村が土地収用法対象事
業のため転用する場合」には(土地収用法に基づく用地
買収でなくても)許可不要とされている。ごみ処理施設
は、土地収用法第 3 条の第 27 号に該当する事業であ
るため、農地転用許可は不要である。(土地の所有権移
転の際に、地目変更を併せて行うこととなる。)


(6)都市計画条件
 建設候補地の都市計画事項は以下のとおりである。
調整区域である。現状は、田(一部耕作放棄地、 戦前
の区画整理あり)である。

   区域区分             指定なし
   防火・準防火地域         指定なし
   高度地区             指定なし
   地区計画区域            指定なし
      建築基準法第 22条指定区域※  該当
      景観計画区域※               該当
      建ぺい率※                   70%以下
      容積率※                     200%以下

※ 建築基準法第22条指定区域:防火地域および準防火
   地域以外の市街地において、火災による類焼の防止
   を図る目的から、建築物の屋根を不燃材で葺くなど
   の措置をする必要のある区域。
※ 景観計画区域:区域内に高さ 13m超、または建築面
   積が 1000m2を超える建築物などを作る場合は、事業
   者は県へ事前に届け出る必要がある。県は、建築物
   の位置や外観、色彩などが基準に適合しているかを
   審査する。
※ 建ぺい率:建築面積の、敷地面積に対する割合。
※ 容積率:各階の床面積の合計の、敷地面積に対する
  割合。 

4.2 規制条件
(1)開発行為にかかる規制等 
 新施設の整備にあたり、開発行為にかかる規制に関す
る法令を下表に示す。また、関連する各種ガイドライン、
県条例、市条例等も遵守するものとする。

表 開発行為にかかる規制に関する法令
              ※○:適用 ×:適用外




(2)公害防止にかかる法規制
 新施設整備にあたっては、該当する公害関係法令(大
気汚染防止法、水質汚濁防止法、悪臭防止法等) に基
づく規制値に適合するものでなければならない。表は、
ごみ処理施設整備の計画・設計要領を参考 に環境保全
に関する法律を整理したものである。また、関連する各
種ガイドライン、県条例、市条例等も遵守するものとす
る。

4.3 ユーティリティ条件
(1)電気発電設備の容量が2,000kW以上となることが
想定されるため、特別高圧線※に接続する必要がある。
(関西電力との協議による。)今後建設工事までに関西
電力と接続について協議を行う必要があるが、現時点で
は建設候補地直近の特別高圧線(西に約2kmにある「滋
119」)への接続を想定する。 ※ 特別高圧線:標準電圧
20,000V以上の電線。対して、標準電圧 6,000Vのものを
「高圧線」と呼ぶ。
(2)用水 建設候補地に隣接する公道上の水道管から
引き込むものとする。

 ①プラント用水:原則として上水とし、場合により再
 利用水の利用も可とする。
 ②生活用水 :上水とする。
 必要給水量は今後検討となるが、敷地東を南北に走る
 φ200管への接続を想定。


図 建設候補地北東角付近の上水道敷設図
(3)燃料
 敷地周辺には都市ガスは供給されていない。原則とし
て灯油や LPG 等の汎用性の高いものとする。
(4)排水
 建設候補地に隣接する公道上の公共下水道管(敷地北
東のφ150管)への接続を想定する。
①プラント排水:原則として処理後公共下水道に放流す
 る。(必要に応じて再利用する。)
②生活排水:原則として処理後公共下水道に放流する。
 (必要に応じて再利用する。) ※ 現在、建設候補地
 付近の生活排水は農業集落排水処理施設での処理を行
 っており、管渠は下水道 施設には接続されていない。
 しかしながら彦根市の下水道計画では、建設候補地付
 近は下水道整 備区域であり、今後令和 12年度を目途
 に市内の農業集落排水を下水道に接続する計画である
 ことから、本計画では排水は「公共下水道への放流」
 を前提とする。


図 建設候補地北東角付近の農業集落排水配管敷設管図

(5)雨水排水
  建設候補地に隣接する側溝へ放流するものとする。
(6)電話等通信
  公道部より引き込むものとする。

4.4 ごみ搬入出車両の通行ルート条件
 新施設へのごみ搬入出車両の通行ルートは、以下を条
件とする。
(a) 建設候補地付近まで県道 2号を通行する。

 
(b) 県道 2号から建設候補地までの具体的なアクセスル
 ートは、彦根市における道路整備計画と併せて今後検
 討するが、家庭系ごみの収集車両(直営および委託)、
 事業系ごみの収集車両(許可業者)については、必ず指
 定ルートを通行する。また、持込ごみ(家庭および事
 業所からの持込)についても、指定ルートを通行する
 ことを原則とし、搬入者に対して広報・指導を行なう。
(c) ごみの収集車両の通行ルート(県道 2号)と通学路
 と重なる交差する部分の安全対策について、今後検討
 する。

上記の条件を基本とし、今後具体的なルートの検討を行
い、関係自治会・土地所有者・耕作者・関係 行政機関な
どの各関係者と調整を行っていく。なお、通行ルートに
より、建設候補地敷地への進入口は、東側、南側が考え
られるため、第 8 章では それぞれ対応する施設配置案
を示す。 
                   この項つづく

【エピソード】


□ 滋賀に適した再生可能エネルギーとは
わたしたちが住んでいる市町村を含む滋賀県で適した再
生可能エネルギーとえいば、「オールソーラーシステム」
だろうかと言うと、光電変換や熱電変換だろうかという
とこのシステムは南北格差はあるが全国共通しており技
術的裏付けもとれており最強システムです
。ただ、この
分野でトップを走っていた日本企業は後追い状態。これ
は政策推進力の無さが原因です。


それでは「オールウインドシステム」はどうか、これも
後塵を排し、ブレード/ナセル/タワーの巨大化が進ん
でいるがこのままでは内陸部の滋賀では普及は難しい。
永久磁石式多極同期風力発電で強風時であっても発電す
ることができ、更に強い風が作用した場合にはコスト増
加することなく翼の公転を安全に停止する構造を有する
コンパクトな垂直軸型風力発電機(下図特許説明図参照)
のような軽量・小型・静粛・高発電効率で4つの安(安
全・安心・安定・安価)の条件を満たす滋賀県専用風力
発電システム普及事業を展開できれば問題解決する。



P2019-35376A 垂直軸型風力発電機

P2021-8881A 垂直軸式風力発電

と、なると最有力は「オールバイオマスシステム」とな
り、下図のようなバイオマスシステムが提案されている。
特徴はバイオマスである自然本来の木や竹を原材料にし、
燃やした熱を利用して温水暖房や温風暖房でき原材料が
木質チップ、木粉、ペレット、ヤシ殻など多様な燃料の
利用が可能なので化石燃料に比べ木屑を安く活用でき竹
も燃やせるというのだが、どれ程の実力なのかご存知で
あれば情報提供していただけば幸甚です。



【モデル150坪 】
無圧式温水器・温風器 出力:100kw 9万kcal/h
燃焼量:35kg/h  低発熱量:2,450kcal/h


P2018-29207 固体燃料の燃焼装置およびボイラー装置

□ 雪害は近くの太陽光発電所のパネル架台まで損傷を
及ぼしてい光景を目にしました。やはり、温暖化の影響
なんでしょうね。

【脚注及びリンク】
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