青面金剛明王と放射能汚染

2011年04月30日 | 防災と琵琶湖



【概要】




放射能(Radioactivity)とは、物理学的な定義では、
放射線(radioactive ray, radiation)を出す活性力
(放射性,放射活性、放射線を放射する程度)を言う。
放射能と放射線とが混同され誤った意味で使われてい
るが、その定義は明確に異なる。日本の媒体等におい
ては「放射能を浴びる(又は、飛散する)」などと誤
用が見受けられ、誤用そのままが一般に定着して常用
されている。放射能の強さは、1秒間に崩壊する原子
核の数で表され、ベクレル(記号Bq)という単位で表
す。原子核が崩壊する時に放射線を放射する。 かつ
ては、1グラムのラジウムが持つ放射能を単位とし、
これを1キュリー(記号Ci)としていた。1グラムのラ
ジウムは毎秒 3.7×1010個のα線を放射しているので、
1キュリーは 3.7×1010ベクレルということになる。



環境中には自然放射能、原子力施設から放出された放
射能、フォールアウトなどに起因する放射能が存在す
るが、それらの移行経路の一つとして、水圏中の移行、
即ち、川・湖沼・海洋中における移行がある。この移
行経路は、大気中の移行と異なり、時間経過が長いの
で、その放射能レベルは一般には低いが、飲料水とし
て直接、あるいは動植物の食物連鎖を経由して間接的
に放射能を取込む経路となり得る。川、湖沼、海中に
おける放射能の移行では、拡散と希釈が作用する。ま
た、堆積物への
放射性核種の移行も考慮する必要があ
る。さらに、食物連鎖に関連して、生物による放射能
の濃縮効果が重要である。



放射能の河川中の移行

表層水中の放射能は、地表あるいは土壌中で、土壌に
よる吸着と脱着を繰り返しつつ移流し、河川・泉・湖
沼中に移行し、終りには海洋中に移流する。河川は、
流入速度と流出速度の高い湖と考えることができる。
河川水における放射性核種の平均滞留時間は、著しく
短いので、両者に同じ量の放射性核種の流入があった
場合、河川の方が湖よりも通常濃度が低くなる。河川
によって運搬される水の量は、年間を通じて相当変化
するものと思われる。春に雪が溶けるときの川は、そ
の年の渇水期の数倍の面積を覆うことができる。河川
に沿った氾濫原は、河川水によって運搬された放射性
核種を保持するかもしれないし、この汚染は後年その
河川に再び放出されるかもしれない。したがって、河
川機構における放射性核種の挙動のモデル化は、湖よ
りも複雑である。最後には海へ運搬されるものと思わ
れる。この間に、飲料水として人間に摂取されるもの、
淡水産の魚介類を人間が摂取することによる放射能の
取り込み、潅漑用水を通じ、さらに穀物・野菜・肉・
牛乳などに放射能が移行し、これが人間により摂取さ
れるものなどの経路がある。潅漑用水から人間の食物
への移行には、生物による放射能の濃縮が重要な役割
を果たしている。このような経路を通じて人間に摂取
される放射能の被ばく評価が必要である。



放射性核種の生物濃縮

生物が、生育環境に含まれるさまざまな物質を環境濃
度より高い濃度で蓄積する現象を生物濃縮と呼び、そ
の大きさは平衡時における生物と水の濃度比である濃
縮係数で表す。濃縮係数はフィールド試料の放射化学
分析など主として三つの方法によって求められるが、
実験生物や実験条件のさまざまな違いにより濃縮係数
の変動幅は10~100倍とかなり大きい場合がある。生物
の食性や生息水の塩分、共存物質量などの変動要因を
解明することにより、濃縮係数の変動幅を縮小し、信
頼性を向上させることができる。

【エピソード】 



‘放射能汚染’といってもなにひとつ知らないという
ことに愕然とする。福島から転校してきたというだけ
で、逃げ出した子供達、日本人と聞くだけで、黙って
席を立ち去った欧州人を笑うことはできない。関東大
震災で流言飛語で殺戮の犠牲になった朝鮮人・中国人
と同様の立場にたたされるかもしれないのだし、また
その逆の加害者の立場に立つ可能性あるのだというこ
とを考えなければと思い立つ(象徴としての‘
青面金
剛明王’)。

【放射能被害の時系列変化】

■ 10年後の人体への影響

(1)小児甲状腺ガンの急増:4年後から顕著な増大
  のど切開手術
(2)死産増加:10代で被ばくした母、通常2cmの胎
  盤が5cmに
(3)染色体変異:曝量に比例して染色体(生殖器
  なら遺伝情報)が破損する割合が増加していた
(4)原発作業員の平均寿命44歳:ガン・心臓病・白
  血病・記憶障害・神経細胞破壊・躁鬱自殺など
(5)「安全」とされていた低濃度汚染地域で大量の
  体内被曝が進行していた:生態濃縮で高濃度と
  なった放射能が自給自足型の農村の住民の体内
  に蓄積していた

■ 20年後の人体への影響

(1)成人甲状腺ガンの急増:小児甲状腺ガンは事故
  10年後がピークだったが成人のガンはその後に急
  増
(2)先天性障害児(奇形児)の増加:ベラルーシで
  は事故前は1万人中50人だったが2000年に110人と
  2倍以上に増加
(3)引き続き原発作業員の死亡相次ぐ
(4)「安全」とされていた低濃度汚染地域(原発か
  ら100-400km)でガンや白血病の発症が増加

 脚注及びリンク】
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(1)「青面金剛明王

(2)「国際放射線防護委員会
(3)「 European Committee on Radiation Risk(ECRR)」
(4)「
人体中の放射能(原子力百科事典 ATOMICA)」
(5)「
食品中の放射能(原子力百科事典 ATOMICA)
(6)「
放射線のDNAへの影響(原子力百科事典 ATOMICA)
(7)「
放射線の細胞への影響(原子力百科事典 ATOMICA)」
(8)「放射線の細胞系への影響(原子力百科事典 ATOMICA)」
(9)「
放射線効果と修復作用(原子力百科事典 ATOMICA)
(10)「
放射線の種類と生物学的効果(原子力百科事典
   ATOMICA
)」
(11)「「終わりなき人体汚染 チェルノブイリ原発事故
  から10年」NHKスペシャル・1996年
http://www.youtube.com/watch?v=rCX1A3yJLqI&feature=related
http://www.youtube.com/watch?v=gFOxGGdzfn8&feature=related
http://www.youtube.com/watch?v=oHg23DkfZDA&feature=related
http://www.youtube.com/watch?v=oHg23DkfZDA&feature=related

(12)「汚された大地で チェルノブイリ20年後の真実」
  NHKスペシャル・2006年
http://www.youtube.com/watch?v=PHeq8TfSRBM&feature=related
http://www.youtube.com/watch?v=8hXmoNuJHKs&feature=related
http://www.youtube.com/watch?v=Fgx1mcUgHnA&feature=related
http://www.youtube.com/watch?v=BiFTMaApEpw&feature=related
http://www.youtube.com/watch?v=ZK7T6BDiB1c&feature=related
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英国の原発政策

2011年04月25日 | 防災と琵琶湖




【概要】 



2006年末現在、英国で運転中の原子力発電所は19基、
総発電電力量に占める原子力発電の割合は18.4%。

File:Storm Clouds over Sellafield - geograph.org.uk - 330062.jpg

英国では1996年に原子力発電の民営化がほぼ完了し、
マグノックス炉(GCR)20基は英国原子燃料会社(
BNFL)が、残りの発電所は民間のブリティッシュ・
エナジー(BE)が所有している。BNFLは100%国営
企業であり、発電から燃料サイクル全般に至る広範
な業務を行っていたが、2006年10月、施設管理・除
染・デコミッショニング部門であるBNG(ブリティ
ッシュ・ニュークリア・グループ)の分割売却方針
を発表して、部分民営化の方針を明らかにした。



BNFLは2000年5月、経済的な理由から所有するマグ
ノックス炉20基全てを2010年までに閉鎖する計画を
発表している。英国貿易産業省(DTI)は、2003年2
月にエネルギー白書「英国エネルギーの将来-低炭
素(ローカーボン)経済の創造」を公表した。白書
では2050年までにCO2排出量の60%削減に取組むこと
が強調され、温室効果ガス排出量抑制やエネルギー
安全保障の観点から原子力発電は不可欠として、
2006年7月、新規原子力発電所の建設を含めたエネル
ギー政策へ大幅に路線を修正した(ATIMICA)。




・2009年度現在、19基・1195万kWを運転中。現在の
主力はガス炉AGR(14基)、GCR(4基)と軽水炉(1
基)。原子力発電のシェアは20.5%(2005年)。石
炭は34%、天然ガス39%。
・小型のGCRを中心に26基が停止済み。
・運転中のガス炉(AGR、GCR)は1970~80年代に運
開のため、20年以内に廃止。新設がなければ、20年
後には運転中の原子力発電所は1基(PWR)のみに。
・1997年に反原子力の立場を取る労働党が18年ぶり
に政権を奪還。ブレア首相は運転中の原子力発電所
の運転継続は認めたものの、新規建設は凍結。
・同政権は2期目には原子力を事実上、容認。しか
しこの間に、英国の原子力産業は急速に解体が進む。
・原子力発電炉も旧式のGCRを中心に、総基数の過半
数(26基)が閉鎖。
・北海油田の減産により、2006年に英国は石油の純
輸入国に。
・英国は京都議定書により2010年に1990年比-12.5%
のCO2削減義務を負うが、2006年時点では-5.3%にと
どまる。⇒ 原子力の衰退で、エネルギー・セキュリ
ティの確保と、CO2削減の困難さが政治問題にブレア
首相は、退任1年半前の2005年秋頃から、原子力発
電所の新設を含む原子力政策の見直しに言及
・「運転中の石炭火力および原子力発電所の退役に
よる穴を埋めるには、再生可能エネルギーでは十分
でない」。CO2放出量抑制の面からも、原子力発電支
持への転換を強く示唆(2005/11、英国産業連盟年次
大会での発言)。
・エネルギー政策を再検討するため、エネルギー相
をヘッドとする委員会を設置(同)。
・「原子力発電をエネルギー・ミックスに組み込ま
なければ、温室効果ガス削減目標を達成しつつエネ
ルギー需要をまかなうことは困難」(2006/3、下院
での発言ブレア首相の退任直後の2007年7月、ブラウ
ン新政権は、原子力発電所の新規建設を含む「新エ
ネルギー政策」を発表、原子力推進に大幅転換
・2025年までに2,500万kWの新規電源が必要
・既存原子力発電所の大規模なリプレースを推進
・原子力への政府補助金は否定、商業ベースでの建
設を求める
・不確定性を減らすため、許認可改革や廃棄物政策
を進める(インフラの整備)。
新エネルギー政策にもとづき、英ビジネス・企業規
制改革省(BERR、旧産業貿易省)は、2008年01月に
原子力政策白書を発表。
・二酸化炭素排出量の削減を通した気候変動への取
り組みと、エネルギー供給の信頼性確保を「2つの
長期的課題」として設定。

【新原子力政策白書の概要】

・2023年までに英国の原子力発電所は、1基を除き
閉鎖へ(運転期間を終了)。CO2放出量は2004年比5
~12%増に。
・今後20年間に1000万kW分の原子力発電所建設が必
要であり、促進に積極的な手段を講じる。
・最初の新規原子力発電所を2013~14年に建設開始
できるよう、規制枠組を整える
・廃炉・廃棄物費用積立等でエネルギー法を立法。
英気候変動省(DECC)は2009年1月、産業界に新規原
子力発電所の建設候補サイトを登録するよう呼びか
け。受付け期間は3月末までの2か月間。
・仏電力会社(EDF)の英法人が5サイト、原子力デ
コミッショニング機構(NDA)が4サイトなど登録
の意向。EDFは、英国の原子力発電所15基を所有す
る原子力発電会社「ブリティッシュ・エナジー」を
買収、(1月買収終了)。新規原子力発電所建設にも
意欲。ヒンクリーポイントとサイズウェルの両サイ
トに各2基ずつEPR(欧州加圧水型炉)を建設する計
画。
・ドイツ最大の電力E・ON社は1月、同国第2位のラ
イン・ヴェストファーレン電力(RWE)と、英国で新
規原子力発電所を建設するためのジョイント・ベン
チャーを設立。
・スペインの大手原子力発電会社イベルドローラ社
は1月、新規原子力発電所建設を目指し、英スコティ
ッシュ&サザン・エナジー(SSE)とジョイント・ベ
ンチャー。英政府は、新規原子力発電所向けの事前
設計認可の審査対象として、①カナダ原子力公社(
AECL)のACR1000(120万kW、その後取り下げ)、②
仏アレバのEPR(160万kW)、③米GE日立ニュークリ
アエナジー社(GEH)のESBWR(155万kW)、④米ウェ
スチングハウス社のAP1000(110万kW)―の4炉型を
選定、フェーズI終了(2008年3月)。英国政府の
政策転換を受けて、1987年のサイズウェルB原子力発
電所(125万kW・PWR)の発注以来、20年ぶり以上と
なる新規建設に向けて具体的な動き。
・しかし、英国の原子力産業は実質的に解体。国内
プレイヤーの影は薄く、原子力でも「ウィンブルド
ン化」の模様。



【エピソード】

 

脚注及びリンク】
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(1)「世界の原子力開発の状況-英国の原子力発電
  が復活の兆し-」
(2009年2月12日)
(2)「
イギリスの原子力政策および計画
(3)「Nuclear power in the United Kingdom
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田沢湖

2011年04月23日 | 日本の湖沼百選



項目  単位  
所在地   秋田県
面積 km2 25.8
周囲長 km 20
最大水深 m 423.4
平均水深 m 200
貯水量 km3 7.20
水面標高 m 249
成因   不明
淡水・汽水   淡水
湖沼型   酸栄養湖
透明度 m 4.0

田沢湖は、秋田県仙北市にある湖。日本で最も深い湖
である。田沢湖抱返り県立自然公園に指定。日本百景。
大きく深い湖であるが、その成因は判明していない。
秋田県の中東部に位置する。最大深度は423.4mで日本
第一位(第二位は支笏湖、第三位は十和田湖)、世界
では17番目に深い湖である(世界で最も深い湖はバイ
カル湖)。湖面標高は249mであるため、最深部の湖底
は海面下174.4mということになる。この深さゆえに、
真冬でも湖面が凍り付くことはない。そして、深い湖
水に差し込んだ太陽光は水深に応じて湖水を明るい翡
翠色から濃い藍色にまで彩るといわれており、そのた
めか日本のバイカル湖と呼ばれている。かつては火山
性・ミネラル分の高い水質と流入河川の少なさのため、
1931年の調査では摩周湖に迫る31mの透明度を誇って
いた。

しかし、1940年に発電所の建設と農業振興(玉川河水
統制計画)のために、別の水系である玉川温泉からpH
1.1に達する強酸性の水(玉川毒水・玉川悪水と呼ば
れる)を導入した結果、田沢湖は急速に酸性化し固有
種であったクニマスは絶滅
(2010年になって、卵が放
流されていた山梨県の西湖での生存が確認された)。
水質も悪化し魚類はほぼ死滅してしまった。それに対
し、1972年から石灰石を使った酸性水の中和対策が始
まり、1991年には抜本的な解決を目指して玉川酸性水
中和処理施設が本運転を開始。湖水表層部は徐々に中
性に近づいてきており放流されたウグイが見られるま
でになった。しかし、2000年の調査では深度200メー
トルでpH5.14~5.58、400メートルでpH4.91と未だ湖
全体の回復には至っていない。なお、一部箇所では湖
水浴場として認められており、海水浴場と同様な利用
が可能となっている。


【クニマス】

クニマス(国鱒:Oncorhynchus nerka kawamurae)は、
サケ目サケ科に属する淡水魚。別名キノシリマス、キ
ノスリマス、ウキキノウオ。産卵の終わったものをホ
ッチャレ鱒、死んで湖面に浮き上がったものを浮魚(
うきよ)という。かつて秋田県の田沢湖にのみ生息し
た固有種だったが、田沢湖の個体群は1940年頃に絶滅
し、液浸標本17体のみが知られていた。このため環境
省のレッドリストでは1991年、1999年、2007年の各版
で「絶滅」と評価されていたが、2010年に京都大学研
究チームの調査により、山梨県の西湖で現存個体群が
再発見された。 



体は全体的に灰色、もしくは黒色で下腹部は淡い。幼
魚は9個前後の斑紋模様(パーマーク)を有する。全
長は30~40cm。皮膚は厚く、粘液が多い。ベニザケの
陸封型であるヒメマスと比べて瞳孔と鼻孔が大きく、
体表や鰭には明瞭な黒斑がない。成熟した雄でも「鼻
曲がり」にはならない。幽門垂の数は46~59と(サク
ラマスと同程度。ヒメマスは67~94、ベニザケは80~
117)著しく少ない。しかし鰓耙(さいは)数は31~
43と、ヒメマス(27~40)と比較してやや多い。また、
胸・腹・尻鰭が長く、鰭の後縁は黒くなる。肉はほぼ
白色で、卵は黄色と記録されている。生物学的な生態
は不明点が多いが、伝承等によると普段は田沢湖の水
深100~300m付近の深部に生息し、岩に付着した藻類
やプランクトンを餌としていたと考えられている。産
卵は、1~3月を盛期に水深40~50mの浅い所で行われ
ていたのではないかと報告されている。



【エピソード】



【脚注及びリンク】
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(1)「田沢湖 歴史田沢湖 歴史のご紹介
(2)「
玉川・田沢湖における水質改善
(3)「
田沢湖・観光・見所
(4)「
玉川酸性水中和処理事業の効果について
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六ヶ所再処理工場

2011年04月21日 | 防災と琵琶湖






画像

【六ヶ所再処理工場概要】 

六ヶ所再処理工場は、日本原燃が所有する核燃料の
再処理工場。1993年から約2兆1,900億円の費用をか
けて青森県上北郡六ヶ所村弥栄平地区に建設が進め
られている。現在試運転中である。2010年10月竣工
予定だったが、2012年9月に最大で2年後まで竣工が
延期されることが判明した。

日本全国の原子力発電所で燃やされた使用済み核燃
料を集め、その中から核燃料のウランとプルトニウ
ムを取り出す再処理工場である。最大処理能力はウ
ラン800トン/年、使用済燃料貯蔵容量はウラン3,000
トン。2010年の本格稼動を予定して、現在はアクテ
ィブ試験という試運転を行っている。試運転の終了
は当初2009年2月を予定していた。しかし、相次ぐト
ラブルのため終了は2010年10月まで延期されること
が発表されていたが、2010年9月になってから、さら
に完成まで2年延期されることが発表された。完成ま
での延期はこれまでに18回にも及ぶ。これら延期の
ため、当初発表されていた建設費用は7600億円だっ
たものが、
2011年2月現在で2兆1930億円と約2.8倍以
にも膨らんでいる


【これまでの主な事故】

2006年2月20日:低レベル廃棄物処理建屋内で、放射
性物質を含む低レベル濃縮廃液約68リットルが漏れた
と発表した。当該箇所は通常では人の立ち入りがない
場所であるため、作業員の被曝はなかった。

2006年5月18日:精製建屋内で、プルトニウム洗浄器
セルに供給する硝酸ウラナス溶液(U4+の硝酸溶液)約
7リットルが漏洩していたと発表。

2006年5月25日:分析建屋にて作業を行っていた作業
員1名が、微量の放射性物質を体内に摂取していたこ
とを発表。

2006年6月9日:「再処理工場分析建屋における微量
の放射性物質の体内への取り込みについて(調査結果
と今後の対応)」という文書で、当該作業員の預託
実行線量は0.014mSvであったと発表。

2006年6月24日:分析建屋にて作業をしていた作業員
1名が内部被曝の可能性があると発表。

2006年7月3日:2006年6月24日に発表された、分析建
屋作業員の内部被曝に関する調査結果を発表した。
この調査結果によると、作業員から放射性物質は検
出されず、作業員の内部被曝は無かった。

2007年1月22日:低レベル廃棄物処理建屋内で放射性
物質を含む洗浄水約20リットル(推定)が漏れたと発表
した。ウランやプルトニウムは検出されず、作業員の
被曝はなかった。

2007年3月12日:ウラン・プルトニウム混合脱硝建屋
内で、ウラン・プルトニウムの硝酸溶液を乾燥させ
るための皿に、誤って2バッチ分の溶液を供給したと
発表。

2007年10月11日:前処理建屋内に設置されている、
エンドピース(使用済み燃料の剪断片)を洗浄する
装置の部品が変形していることを発表。

2007年10月23日:前処理建屋内に設置されている、
エンドピース洗浄装置の部品変形に関する調査結果
を発表した。

2008年1月4日:前処理建屋内に設置されている、使
用済燃料の剪断機から作動油約750リットルが漏れた
と発表。なお、漏洩箇所は使用済燃料を剪断してい
るセル内ではなく、漏洩した作動油に放射性物質は
含まれていなかった。

2010年8月2日:使用済み核燃料再処理工場の建屋で、
高レベル放射性廃液が、廃液濃縮缶内から、缶内の
温度計保護管内に漏れたと発表した。男性作業員の
両手とあごに微量の放射性物質が付着したが、男性
の健康や環境への影響はないという。7月30日、作業
員5人が温度計を交換作業で抜き出したところ、温度
計を置いたビニールシート上に基準値の約18倍とな
る放射性物質の付着が確認された。温度計保護管に
欠陥があり、廃液が管内に漏えいしたとみられる。

2011年3月11日:東北地方太平洋沖地震により外部電
源を喪失、非常用ディーゼル発電機2機で冷却水循環
ポンプ等に給電したが、14日23時40分、ディーゼル
発電機1機に不具合を生じたため停止して外部電源を
使用、2時33分に給電が復旧した。残る1機も外部電
源に切り替えた。また13日には使用済み核燃料の貯
蔵プールの水約600リットルが溢れていたことなどが
報じられた。

ヨウ素129 (I-129)の恐怖

六ヶ所村での予定年間処理量は800tである。1年間
に排水中に430億ベクレル(4.3×1010Bq)、排気中に
110億ベクレル(1.1×1010Bq)を放出するとしている
が、実際の放出量がこの範囲に収まるかは不明である。
放出されるヨウ素-129は海藻に濃縮されるので、環境
汚染は避けるべきである。ヨーロッパでは、広い海域
にわたって海水と海藻はヨウ素-129によって汚染され
北海にまで汚染が広がっている。これはイギリスとフ
ランスの再処理工場からの放出だと考えられている

日本でも、東海村再処理工場の運転開始時には敷地外
にヨウ素-129が放出され、周辺の環境試料が汚染され
たことが、放射線医学総合研究所那珂研究所の研究に
よって明らかにされている。



【エピソード】

 

アレバ社の子会社は日本に年間6億ユーロ請求して、
日本における業績は、他のフランスの大手社LVMH、
エルメス に次いで第3位である。また、同社の全収
益の3分の1以上は六ヶ所村からといわれている。フ
ィンランドの原発建設が日本と同様に3年遅れの損
出が大きく、三菱重工に5百億ユーロ(約600億円)
の増資引受を要請中という話だが、汚水処理事業受
注にこぎつけたアンヌ・ロベルジョン社長の笑み満
面の顔は忘れることができない。


4月19日(ブルームバーグ)
仏アレバCEO:原発事故、短期的に業績に影響も-
中長期戦略維持へ

 

【脚注及びリンク】
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(1)日本原燃公式サイト
(2) MOX燃料
(3)プルサーマル
(4)核燃料サイクル
(5)六ヶ所村核燃料再処理事業反対運動
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浜岡原子力発電所

2011年04月19日 | 防災と琵琶湖









【浜岡原子力発電所とは】

浜岡原子力発電所は静岡県御前崎市にある中部電力
の原子力発電所である。1号機から5号機まで5つの
発電設備があるが、1号機と2号機は2009年1月に運
転を終了した。敷地面積は160万m2(東西1.5km、南
北1km)で、PR施設である浜岡原子力館が併設されて
いる。東海地震の予想震源域にあり、活断層が直下
にあるという説まで発表されており、またトラブル
が多発していることなどから耐震性の不足が懸念さ
れている。また、今ある高さ10m~15mの砂丘では高
さ8mの津波しか耐えられないため、2011年3月16日に
2011年以内に高さ4m(標高、海抜12m)ほどの防波壁
を作る計画が発表された(ja.wikipedia.org/wiki)。

1号機 原子炉形式:沸騰水型(BWR)
運転開始 :1976年3月17日
定格出力 :54万キロワット
運転停止 :2002年4月26日 - 第19回定期検査によ
            るもの
廃炉発表 :2008年12月22日
運転終了 :2009年1月30日

 2号機 原子炉形式:BWR
運転開始 :1978年11月29日
定格出力 :84万キロワット
運転停止 :2004年2月21日 - 第20回定期検査によ
            るもの
廃炉発表 :2008年12月22日[3]
運転終了 :2009年1月30日

3号機 原子炉形式:BWR
運転開始 :1987年8月28日
定格出力 :110万キロワット

4号機 原子炉形式:BWR
運転開始 :1993年9月3日
定格出力 :113.7万キロワット

5号機 原子炉形式:改良型沸騰水型(ABWR)
運転開始 :2005年1月18日
定格出力 :138万キロワット - 国内の原子力発
            電所単体では最大出力

6号機 建設発表:2008年12月22日 
                廃炉となる1,2号機の代替を予定



過去のトラブル

1991年 4月 4日 3号機 原子炉給水量が低下自動停止
2001年11月 7日 1号機 配管破断事故
2001年11月 9日 1号機 原子炉水漏洩事故
2002年         自主点検の書類に16箇所の記入ミ
               スひび割れの兆候を見つけるも県
               へ報告せず
2002年 5月24日 2号機 点検用水抜き配管水漏れ
2004年 2月21日 2号機 タービン建屋屋上にて火災
2004年8月      4号機 骨材データ偽造問題
2005年11月 4日 1号機 配管水漏れ事故
2005年11月16日 3号機 屋外配管の腐食による蒸気漏
               れ
2005年11月16日 1号機 燃料プールに異物混入
2006年 6月     5号機タービン羽根破損
2007年 3月     不正行為やミスが計14件あったこと
               を中部電力が発表など
2009年 4月13日 3-5号機のデータ改竄問題で542個所
               の溶接後の熱処理を行ったうち5号
               機の94個所の作業を実際に改竄した
               作業員が担当していたことが判明し
               県に報告するとともに早急に安全性
               を確認することとしている。
2009年 8月11日 駿河湾沖を震源とする地震の発生に
               伴い4号機と5号機が緊急停止(放射
               能漏れは無し)
2009年 8月19日 8月11日の地震で点検停止中の5号機
               排気筒排ガスからごく微量のヨウ素
               131を検出。モニタリングポストに
               変化はなく外部への放射能の影響は
               なし。
2009年12月     3号機で放射性廃液が漏れる事故が
               あり作業員34人が被曝したことが分
               かった。


【エピソード】






※トラフ (trough) は、細長い海底盆地で、深さが
6000m以下のもの。舟状海盆。細長くないものは単
海盆と呼び、深さ6000mを超えるものは海溝という。

※静岡大学助教授(当時)の小村浩夫が1981年7月に
発表した論文によると原発から8km以内周辺には8本
の活断層が知られており、ほかに3本のリニアメント(
活断層の疑いがある)があるが、そのうち2本が原発
敷地内を走っている。産業技術総合研究所活断層研
究センター研究員の藤原治と北海道大学教授の平川
一臣の2007年の発表によれば、2005年から2007年に
かけて浜岡原子力発電所東2キロメートル地点計8か
所でボーリング調査を実施し堆積物を調査したとこ
ろ、8000年以上前から100~200年周期で東海地震が
起きていることを確認
し、それと同時に、従来想定
される東海地震とは別タイプの大規模地震が約4800
年前、3800~ 4000年前、2400年前の計3回発生して
いることを確認したという。さらに、2400年前以降
もう一度大規模地震が発生したとみられることから、
藤原は「1000年前後に1度、より大きな地殻変動を起
こす地震があることが分かった」としている。


【脚注及びリンク】

過去に起きた東海地震

  地震名   西  暦 緯度経度 マグニチュード 被害など
元弘地震 (1331年) 33,7°N 135,2°E M>7 伊の国千里浜が隆起して陸地となった。
明応地震(1498年) 34,0°N 138,0° E M8.2~8.4 津波が紀伊から房総をおそう。伊勢志摩で溺死1万,静岡県志太郡で溺死2万6千
慶長地震(1605年) 33,5°N 138,5°E M7.9 津波が太平洋岸を襲う。浜名湖周辺で死者多数、紀伊西岸で死者1500余
宝永地震(1707年) 33,2°N 135,9°E M8.4 被害は東海道,伊勢湾,紀伊半島で最もひどく、津波も発生、死者2万、潰家6万、流失家2万
安政地震(1854年) 34,0°N 137,8°E M 8.4 被害は関東から近畿に及ぶ、津波が房総から土佐までの沿岸を襲う、死者3千
東南海地震(1994) 33,8°N 136,6°E M7.9 静岡・愛知・三重などで合わせて死・不明1223、紀伊半島東岸で30~40cm地盤が沈下した。

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