1.ハワードの田園都市構想
2.田園都市論の現代的意義
3.日本型田園都市構想
4.和歌山市都市計画と学園城郭都市
5.近代ニュータウンの系譜
-理想都市像の変遷-
6.世界遺産登録に向けた取り組み
7.街道と湖上交通と都市形成
7-2 湖上交通史
7-2-3 軍事利用
② 信長による湖上管理と支配
ところで、貞観九年(867)和邇(わに)(志賀町)の船
瀬(泊)を国司が管理するよう提案し、受理された文書が
残されていることから(『類聚三代格』)、七世紀の段階
では公的な機関が拠点的な港を管理していたと考えられ、
ちなみに、大津市浮御堂遺跡も平安時代前期を中心とした
湖上の公的施設であることが、墨書土器(墨字の残る土器))
石銙釉(せきかたい:腰帯の飾り)、縁釉陶器、白磁など
の遺物によって確認できる。
その後、有力荘園領主らの管理下にあった重要な港への干
渉をはじめるのが守護大名や戦国大名である。永正十年(
1513)、永禄二年(1559)の近江守護の六角氏による堅田
に対するもの、永禄年間(1558~1570)にかけての堅田の
沙汰などである。後者は、当時の湖北三郡の実質的支配者
であった浅井長政が、堅田についての沙汰を行い、領国拡
大と湖上の掌握につとめていたものである。
また、六角氏についていた志那の市川氏は、泥亀元年(15
70)には志郎の政所を継いでいたが、天正八年(1580)には、
志那の港の権利は芦浦観音寺に移っている。実際には、天
正二年(1574)、観音寺第七世慶順が船奉行に任命され、
貞孝二年(1658)に天領の代官を罷免されるまでの.百年以
上にわたって、湖南地域における芦浦観音寺の権力は保証
されていた。
そして元亀三年(1572)にはじまる信長の湖上の自由航行、
大船建造とその解体、元亀四年(1572)の船大工支配、大
正十五年(1587)の秀吉による大津百艘船整備へと続くの
である。元亀元年(1570)から天正七年(1579)の間に、
信長は佐和山(彦根市)あるいは常楽寺(安土町)から坂
本(大津市)に四回、坂本から常楽寺に二回渡っている。
ただ、信長による比淑山焼き肘ち後、坂本は衰退し、坂本・
志那あるいは坂本・山田の渡しから、大津・矢橋(草津市)
へと代わっていった。実際、信任は大正(1578)の安土の
水害視察の時、往復ともこの大津・矢橋間を船で渡ってい
る(「信長公記』)。
また、信長は船大工の支配、元亀四年(1573)に大津の船
大工三郎左衛門は、明智光秀から諸役、公事を免除されて
いる(「渡寅夫家文書』)。天正四年(1576)の信長の命
令により大船を解体し、早船十艘の造船の指揮を執ったの
は、船大工猪飼(野)甚介であったという。
大正四年(1576)、信長は安土滅を完成させ、長浜城、坂
本城、それに天正六年(1578)の大溝築城とともに湖畔に
築いた城により湖上の完全支配のためのいわゆる城郭ネッ
トワークを完成させている。のちに秀吉は、軍事上の造船
を目的に天正十二年(1587)、大津・今堅田の船大工を支
配下に入れ(『今堅田船大工仲間文書』)、天正十五年(
15787)には、「大津百艘船」を準備。これは秀吉が伏見城
にいる時の軍用および東国や北国大名の往復のために備え
たもので、その代償として、下り荷には独占権、諸港には
には出入り自由、諸役御免の特権を与えている。
また、秀吉は、芦浦観音寺住職かっとめた舵奉行を通じ、
琵琶湖のすべての港の船の点定(登録)を行い、焼き印を
これに押した(天正十九年((1591)。また運上銀も徴収す
るなど湖上支配を行った。
さらに、江戸時代になると、三代将軍家光のころ、彦根藩
は太太郎丸、小太郎丸という二艘の御小早船を所有してい
た。大きい方は二十四艇櫓、小さい方は十ニ艇櫓の船で、
船は朱色、快速を誇ったようである。これは、非常事態に
は天皇を京都から一日で脱出させるためのもので、舟の中
央には御輿を模した飾り台がついていた。またこうした非
常時における舵は、彦根三湊で百二十艘の船を誤用船とし
て準備できていた。このように、二世紀における畿内王権
による湖に支配、古墳時代首長による重要港管理。七世紀
になると、律令国家による重要拠点港管理へとかわり、九
世紀には港・湖上の国家管理へと移り、十二世紀には荘園
による港・湖上管理へと代わっていき、信長にはじまる十
六世紀後半の「湖上権力集中」、そして、十九世紀後半(
1871)の湖上権利の県への移管へと変わっていくことが理
解できる。
この項つづく
【エピソード】
カヤックに乗に乗り込むとに自然と一体となる。そして、
湖岸の周回や河口を遡上しながら湖上から風景写真を撮る
のをライフワークにしたいと彼女に伝えると、それなら空
撮ドロンがあるじゃないのと言う。なんだ、話が早いじゃ
ないか。そういってハンドルを切る。
【脚注及びリンク】
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- 二条城の建築現場監督・信長 織田信長の夢★ 鳴
かぬなら 鳴ける世つくろう ほととぎす - 智本光隆著「関ヶ原群雄伝 1 大谷吉勝の決意」P.167
- 古代の都支えた湖畔の製鉄炉 古きを歩けば(49)
源内峠遺跡 2013.03.12 NIKKE STYLE - 鉄鉱石の採掘地と製鉄遺跡の関係についての試論―
滋賀県の事例を中心に―」(大道和人 滋賀県文化財
保護協会紀要 No.9 2012.06.08 - 淡海文庫 「信長 船づくりの誤算―湖上交通史の再
検討」用田 政晴【著】1997.07.20 - 世界遺産の保全と住民生活-「白川郷」を事例とし
て-」才津祐美子、福岡工業大学、環境社会学研究
(12)、 23-40、2006-10-31) - NPO法人 彦根景観フォーラム 第4回世界遺産を目
指す彦根の課題 2008.02.29 - 世界遺産所在自治体の保全と観光活用に関する取組
事例集 国交省観光庁 2014.10.24 - 世界遺産登録による経済波及効果の分析 えひめ地
域政策研究センタ 2007.01.11 - 世界遺産登録と持続可能な観光地づくりに関する一
考察『地域政策研究』(高崎経済大学地域政策学会)
新井直樹 第11巻,第2号,2008年9月 - 世界遺産を活用した観光振興のあり方に関する研究
運輸政策研究所 第35回 研究報告会 小室充弘
2015.08.05 - 世界遺産登録に向けた取り組み(2014年度)彦根市
- 世界遺産に登録されるまで|世界遺産検定 NPO法
人 世界遺産アカデミー - 高句麗平壌城の都市形態と設計 閔徳植、 国際日本
文化研究センター学術リポジトリ - 松本市の都市計画 松本市
- ひこにゃんがいてもダメ? 彦根城はなぜ世界遺産
になれないのか 週刊朝日 2013年6月28日号 - 利用者が“便利”だと思えるパーク&ライド ECO
JAPAN インタビュー前編 2007.03.02 - 利用者が“便利”だと思えるパーク&ライド ECO
JAPAN インタビュー後編 2007.03.09 - 第1回 ポストケインズ派経済学とは何か 佐々木
啓明 2011.10.05 - 第2回 ポストケインズ派経済学とは何か 佐々木
啓明 2011.10.07 - 第3回 ポストケインズ派経済学とは何か 佐々木
啓明 2011.10.19 - 第4回 ポストケインズ派経済学とは何か 佐々木
啓明 2011.10.26 - 第8次彦根市交通安全計画 2012,03.22
- Core Strategy (2013) - Milton Keynes Council
- "The New Towns: There Problems and the Future”
Department for Communities and Local Government,
2002.11.21 - 日本エシカル推進協議会(Japan Ethical Initiative) -
エシカル日本 - 明治期廃絶城郭の公園化について ―史跡の保存活
用の前史として― 佐々木孝文 2015.06.26 - 都市とは何か 都市計画なぜ必要か - 東北大学
奥村誠 2015.10.15 - 和歌山市都市計画マスタープラン 和歌山市
2017.01.12 - 和歌山市立地適正化計画 2016.12.22
- 日本型田園都市構想―イギリス田園都市と比較し
京田辺市を見直す―2001.12.11 西村利也 - 田園都市とエソテリシズム 吉村正和 2004.03.05
- 田園都市論の現代的意義 中井検裕 家とまちなみ
45、2003.7.8 - 住宅地計画論 1.ハワードの田園都市構想園都市
- 都市思想の二人の巨人、ジェイコブズとハワード:
宮﨑洋司市 - 近代ニュータウンの系譜―理想都市像の変遷-、
佐藤健正、2016.06 28 - 近代ニュータウンの系譜―理想都市像の変遷-、
佐藤健正、2016.07 26 - 近代ニュータウンの系譜―理想都市像の変遷-、
佐藤健正、2016.07 26 - 近代ニュータウンの系譜―理想都市像の変遷-、
佐藤健正、2016.07 03 - 平成 28年度 主要事業 彦根市
- 都市づくりの基本方針(全体構想) 彦根市 橋梁長寿命
化修繕計画による対策橋梁について滋賀県 - 彦根市都市計画道路網見直し検討調査
- 「まちづくりはひとづくり」をめざし 市民主導の
まち創る-近世城下町彦根市本町地区の2例の場合
-(これからの都市づくりと都市計画制度全国市長
会) 中島一 2005.05.09 - 中国城郭都市社会史研究 川勝守 著 汲古書院
- 都市計画の世界史、日端康雄 講談社現代新書
- ドイツ流 街づくり読本 水島信
- 続・ドイツ流 街づくり読本 水島信
- 完・ドイツ流 街づくり読本 水島信
- 都市計画1 日本の都市計画制度の概要 大谷英一
- 都市計画2 都市の歴史と都市計画 大谷英一
- 都市計画の理論 系譜と課題 高見沢実編集
- 「道路をどうするのか 五十嵐敬喜・小川明雄 岩波
新書 - 日本の道路史 武部健一 中公新書
- 道のユニバーサルデザイン 鈴木敏 技報堂
- 道路が一番わかる 窪田陽一 技術評論社
- 「道路」についての国際比較 藤井聡 2010.3.14
- 彦根市都市計画道路網見直し指針
- 地域別のまちづくり方針(地域別構想)-彦根市
- 彦根市新市民体育センタ整備基本計画 2016.10.31
- 彦根市立図書館|簡易検索
- 中心市街地の活性化に関する法律 Wikipedia
- 富山市におけるコンパクトなまちづくりの進捗と展望
2014.11.26 - アウガ Wikipedia
- 富山市 人と環境に優しいまち 公式HP
- 青森市 都市計画マスタープラン 公式HP
- コンパクトシティはなぜ失敗 するのか 富山、青森から
見る居住の自由 2016.11.08, Yahoo!ニュース - <アウガ>2副市長辞任 青森市政混迷増す 河北
新聞 2016.01.28
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