地域循環共生圏概論 56

2022年07月15日 | 防災と琵琶湖


作成日:2022.7.15|更新日:2022.7.
地域循環共生圏概論 56


□ その後の彦根広域ごみ処理施設建設問題Ⅱ
国内の自治体の「ごみ処理場施設管理」は大災害などの非
常事態に備え管理区内及び外の廃棄物の一時保管スペース
がネットワークが設計構築されている(今回の彦根市の設
備老朽化による三重県への余剰ごみ処理委託などの事例が
そうであるように、充全ではないが)。周知の通り、滋賀
県は、京都府・福井県・石川県に原子力発電所及び関連施
設が日本海に集中し万一放射性物質が該当設備より飛散拡
散された場合、住民は避難するとともに、汚染された周辺
地に拡散した「汚染物の一時的な中間的集積場として使用
すするシーンのワークフロー化」しておく必要があり、さ
らには福島第一原発事故にならって中間処理場として、拡
散防止・外部との遮断手段及び汚染の除及びに集約保管並
びに搬出手順を明確にして於かなければならないはずだ。
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□ 放射性物質の除外処理をどうするか ②
6.2.7 バグフィルターの健全性の維持
 バグフィルターはろ布が張られた筒状のものであり、大
規模施設では数百本が設置され、
ろ布が全く破れないとい
うことはないが、その対策として、ろ布にばいじんが堆積
することによる圧力損失の上昇や、重さによるろ布の脱落
等を防ぐため、表面の堆積層 は「パルスジェット」と呼ば
れる一時的な衝撃により順次払い落とす。払い落とし時に
若干のフィルター効果の低下するが、フィルター効果を維
するためにろ布にはプレコートがなされており、大きな
影響はないといえる。また、払い落としは全てのろ布に同
時に行われるわけではなく、順次行われるので、全体とし
てのフィルタ効果は維持される。また、ダストモニタをバ
グフィルタの後段に設置することで、ろ布の健全性を常に
確認することができる。さらに、点検時などを利用して定
期的にろ布の強度劣化や目詰まり程度を計測することで、
事前の交換を行うという予防処置もとられている。
 


図6.6 既存焼却施設内の空間線量と付着灰の放射性 Cs の
実態調査の結果例 

6.2.8 プロセス内への蓄積挙動
 施設を維持管理する作業者の安全性への配慮も必要です。
放射性 Cs の設備材料等への蓄積が生じると、施設内の作
業空間において、定常的な設備点検時あるいは長期的には
施設更新時に十分に留意することであり、放射性 Cs の蓄
積挙動を解明することが重要。実態調査結果の一例を図6.6
に示す。耐火物表面の付着灰の放射性 Cs 濃度が低いにも
かかわらず、耐火物が存在する場所(高温になる炉内など)
の空間線量が高い。このことは、耐火物への蓄積を示唆し、
耐火物の深さ方向における濃度分布の測定結果からも、内
部に浸透、蓄積している現象が確認されている。
付着灰の濃度は後段に行くほど高くなっており、排ガスの
冷却とともに揮発した放射性セシウム化合物が凝縮して、
固体化していくことを反映していると考えられる。

6.3 焼却処理における放射性セシウムの挙動 
放射性セシウム(Cs)に汚染された都市ごみを焼却処理す
ると、放射性 Cs が濃縮された主灰と飛灰が処理残渣とし
て生じる。放射性 Cs の濃縮割合に加えて、放射性 Cs の
溶出性も主灰と飛灰とでは著しく異なる。これは、各灰に
含まれる放射性 Cs の化学形態が違うことを示唆。また、
下水汚泥の焼却灰中の放射性 Cs の化学形態についても同
様に、その溶出性の違いから都市ごみの飛灰中の形態と異
なり、燃やすもの、つまり、被焼却物の組成が放射性 Cs
の化学形態----Cs塩の生成・分解挙動に影響を与えている
ことを意味する。この化学形態の違いの説明には熱力学平
衡計算をそれらの焼却系に適用。まず、焼却施設の焼却炉
を一つの系として捉え、平衡計算を行い、つぎに実際の焼
却施設は様々な処理過程からまる施設内の全体の挙動を把
握するマルチゾーン平衡計算を適用し、加えて、汚染され
た各バイオマスの燃焼に対して平衡計算を適用するととも
に、ラボ熱処理実験を行い、放射性 Cs の挙動を調査して
いる。

※「6.3.2 熱力学平衡計算」の項は一部割愛。
(1) Cs の挙動を再現するための平衡計算法の確立
FactSage には、Cs 化合物に関する熱力学パラメータが少
ないことから、市販の状態で平 衡計算を行うと、Cs はす
べて塩化セシウム(CsCl)ガスとして揮発してしまう結果
となり、本研究では、K の挙動を参考にして Cs の熱力学
パラメータを整備。 パラメータ整備後に、都市ごみおよび
下水汚泥の焼却系について平衡計算を行い、実際の挙動一
致するかどうか確認し、実際の挙動と一致した場合には、さ
らに、ラボ熱処理実験を行う対象(雑草類、落葉(広葉樹)、
落葉(針葉樹)、小枝)にこの計算法を適用する。

(2) マルチゾーン平衡計算
 マルチゾーン平衡計算とは、焼却施設の重金属の挙動を
把握するために Ginsbergらが提案したモデル9。先ず、こ
のモデルを一般廃棄物焼却施設へ適用することにより、Cs
の挙動の理解を試みる。先ず、ストーカ炉型の焼却施設を
図 6.3.1 のように 3 つのゾ ーン(一次燃焼ゾーン、二次
燃焼ゾーン、バグフィルターゾーン)に分け、さらに、一
次燃 焼ゾーンを4つのゾーン(乾燥、熱分解、燃焼、おき
燃焼)に分け、焼却施設を計6つのゾ ーンに分ける。各ゾ
ーンに対して熱力学平衡計算ソフト FactSage(Ver. 6.3)
を用いて平衡計算を行っています。各ゾーンの温度や空気
比(=投入空気量/完全燃焼に必要な空気量)➲ 燃焼条件は
図 6.3.2 のように設定。


 各ゾーンの計算内容を簡単に説明する。まず、ごみを投
入すると乾燥ゾーンに入り、最も上流側の乾燥ゾーンでは、
水分が 蒸発すると仮定する。次の熱分解ゾーンでは、乾燥
したごみが熱分解して低分子となって揮発化すると仮定。
ここでは、ごみが熱分解した割合、すなわち変換率(Rc)
を設定し、Rc については、Ginsberg らの文献値 9 を参考
にして、0.7-0.8 としている。燃焼ゾーンでは、熱分解後
の固形残さを燃焼すると仮定。ここではさらに、変換率に
加えて燃焼ガスへの灰の混入率(φ)を設定。φは、肴倉
らが報告する一般廃棄物の主灰と飛灰の発生量と元素組成
データ8から揮発しない元素を選び、 飛灰への移行率を計
算し、その値を φと挿入。


 最後に、おき燃焼ゾーンでは、未燃焼 炭素を燃やすと仮
定し、一方、一次燃焼後については、二次燃焼ゾーンで、
φ分の灰と一次燃焼の各ゾーンからの排ガスを初期値とし
て、高温で完全燃焼させることを仮定する。最後のバグフ
ィルターゾーンでは、二次燃焼後の排ガスのみが 170℃へ
急冷されるという平衡計算になっている。マルチゾーン平
衡計算の評価・考察は二段階で行った。まず、二酸化炭素
等の主要排ガス成分を計算し、既存のデータと比較。次に、
Csを含む無機元素の各種灰の含有率を計算し、調査結果と
比較している。

(3) バイオマスごとのラボ熱処理実験
A市処分場において野積みされた草、落葉、小枝などを採取
し、それらを室内にて2週間風乾させた。雑草類、広葉樹の
落葉、針葉樹の落葉、小枝を裁断もしくは粉砕し、熱 処理
するサンプルを調製しました。調製したサンプルを図 6.3.3
に示す。小枝は細かく粉砕するとバークとそれ以外の部分
が均一に混じらないように見えたことから、1cm 程度に切
り落としたものをサンプルとした。90×90mmのアルミナ容
器にサンプルを入れ、 図 6-3-4 のマッフル炉(ヤマト科学、
FO100、炉内:100×100×170mm)を用いて熱処理した。放射
性 Csの分析では、灰の体積として U8 容器の高さ5mm ほど
の体積が必要になるため、仕込み量を 5g~13gとして、燃
焼処理および炭化処理を行う。燃焼処理では、空気を約1~
2L/分で流しながら、約10℃/分でサンプルを昇温し、目的
の温度に達したところで1時間30分間その温度を保持した。
空冷後に灰をU8容器に移し、ゲルマニウム半導体検出器を
用いて灰中の放射性Cs濃度を測定しました。処理前後の重
量を測定し、灰化率および炭化率を算出した。得られた熱
処理残渣に対して溶出試験を行い、処理温度と灰からの放
射性 Cs の溶出性を調べる。溶出試験では、残渣に対し50
~200倍の超純水を添加し、6時間振とうさせる。振とう後
に溶出液を0.45µmフィルタでろ過し、ゲルマニウム半導体
検出によりろ液中の放射性Cs濃度を測定。測定値と超純水
の添加量から溶出率を決定した。また、溶出液の電気伝導
度およびpHを測定する。

6.3.3 結果と考察
(1) Csの挙動を再現するための平衡計算法の確立


図 6.3.7 バイオマスごとの燃焼温度とセシウムの分配挙動
  に関する平衡計算結果 (上から、a)牧草、b)ポプラの
  葉、c)松葉、d)廃木材) 

計算結果により良好なが得られたので、牧草、ポプラの葉、
松葉、廃木材を燃やした条件を計算。その結果を上図 6-3-
7 に示す。
1.全体的な傾向として、低温にてアルミノシリケートが
 生成し易く、温度が高くなるとアルミノシリケートが分
 解し、CsCl や水酸化セシウム(CsOH)ガスが生成される
 結果となった。ただし、それらのガスが発生する温度や
 量はバイオマスごとに異なり、Cs の挙動も被焼却物の組
 成依存性を示唆。
2.また、下図 6-3-8に示す Kの挙動と比較すると、通常
 の焼却温度、すなわち 850℃については、 Cs と Kの挙
 動は似ているが、低温下においては化学種の生成挙動が
 かなり異なる。したがって、様々な熱処理条件を予想す
 るには、Kの挙動を Csの挙動として予測することに限界
 があることもわかった。

(2)マルチゾーン平衡計算の適用(一部割愛)



 ここで、焼却灰の放射性 Cs レベルにより、灰の処分方法
も異なってくることから、飛灰もしくは 主灰中の放射性
Cs 濃度を制御するニーズがある
。実際の運転で調整できる
空気比およ び温度です。まず、温度については、比較的
容易に変更できることから、その影響を検討し てみた。
一次燃焼温度を変化させた場合の各ゾーンの放射性 Cs の
組成の変化を図 6-3- 11 に、各種灰への移行率を 6.3.12
に示す。燃焼温度を高く設定すると、燃焼ゾーンから CsCl
として Csの一部がガス化し、それらが冷却過程で固体化す
る結果となりました。したがって、燃焼温度を高くすれば
するほど、飛灰中の放射性 Cs 濃度および飛灰への移行率
が高くなることが示唆された。燃焼温度を高く設定するこ
とは、飛灰へ放射性 Csを濃縮する方法として有効かもし
ない



また、空気比の影響を検討した結果を図 6.3.13 に示す。
空気比が1より低い、つまり、 還元的な雰囲気では、Cs
は CsClガスとして揮発しやすくなることが示唆された。焼
却 処理としてこの程度の低空気比で運転するのは困難だが、
一次燃焼の各ゾーンの空気量 の割り振りを調整することで、
Cs を飛灰へより濃縮させる方法があるかもしれない。ただ
し、空気比と炉内温度は独立な関係ではないことから、実
際の操作ではその関係を踏まえた操作条件の設定が必要に
なる
(3) バイオマスごとのラボ熱処理実験
.3.4 結論 
1.汚染廃棄物の熱処理過程における放射性 Cs の挙動を
 理解することを目的に、平衡計算ソ フト FactSage の熱
 力学データベースに Cs のアルミノシリケートとシリケ
 ートのデータを加 えて平衡計算した結果、都市ごみと
 下水汚泥の焼却時の放射性 Cs の挙動を再現できること
 がわかりました。なお、アルミシリケートには多様な構
 造があることから、パラメータの精 緻化は今後重要な課
 題と考えています。アルミノシリケートは低温では安定
 に生成するものの、高温では分解し易く、分解する温度
 も被燃焼物の組成に依存する。
2.マルチゾーン平衡計算をストーカ炉型の焼却施設に適
 用し、主要排ガス組成の計算値は 既存の文献値と概ね一
 致することがわかった。また、放射性 Csの挙動も比較的
 良好に 再現できたが、実際の挙動を定量的に再現できな
 い元素もあり、更なる改良が必要。
3.挙動の制御という点では、操作条件として温度と空気
 比、組成として Cl 量や Ca/Si が Cs の挙動に与える影
 響を予想したが、さらなる研究調査をおこなう。
4.ラボ熱処理実験により、バイオマスごとの燃焼過程に
 おける放射性 Csの挙動、灰への移行率等を明らかにした。
5.放射性 Csの灰への移行率と燃焼温度の関係はバイオマ
 スごとに特徴があり、除染物の焼却処理では注意が必要
 となる。特に、雑草類は高温処理でも灰への移行率が高
 くなる。放射性Csを主灰もしくは飛灰のどちらかに濃縮
 できる方法が提案できる可能性がある。
6.また、完全ではないが平衡計算によりある程度は Csの
 挙動を再現でき、平衡計算法の有用性が示唆れた

6.4.焼却施設における炉内耐火物等への蓄積挙動調査
6.4.1 はじめに
 放射性物質を含む廃棄物を焼却処理する結果、そのよう
な焼却施設の焼却灰や飛灰から高濃度の放射性セシウム(Cs)
が検出され、問題となる場合がある。このような放射性物
質を含む廃棄物の焼却処理過程でのCsの挙動に関して、多
くの施設で調査が行われているが、焼却施設の維持管理や
廃止後の解体撤去の際における作業者の放射線被ばく防止
の観点、さらに維持管理や解体撤去により生じる廃棄物の
適正処理の観点から、施設設備内における放射性Csの蓄積
等についての現象を明らかにする必要がある。そこで、こ
こでは、焼却施設内の点検補修時に生じた耐火物試料を採
取し、放射性物質等の濃度分布を把握し、既存焼却施設に
おける耐火物への放射性物質蓄積の実態調査を行った。

6.4.2 調査方法
(1) 都市ごみ焼却施設における放射性Csの炉内での蓄積・
分布に関する実態調査------放射性Csの焼却炉内での蓄積・
分布の特徴を把握するため、実施設の炉内から後段の排ガ
ス処理設備にわたる範囲で設備付着物を採取するとともに、
メンテナンス時の被曝評価のため炉内外の空間線量率を測
定。付着物サンプルについては放射性Cs濃度を測定。
(2) 既存施設における耐火物中の放射性Cs及び安定Csの実
態調査----現在稼働している都市ごみ焼却・溶融施設の点
検補修時に生じた耐火物廃材を採取し、採取した耐火物廃
材を図.6.4.1 のように炉内側から原則的に2cmの厚さ毎に
切断し。こうして得た各層試料の測定を行い、それぞれの
測定項目は放射性 Cs(Cs-134、137)、安定Cs(Cs133)、
Si、Al、Ca、Mg、Na、K、Clとした。


  また、ブランク値として焼却施設等で使用される前の耐
火物中の放射性Cs濃度の調査を行いう。調査は焼却施設、
溶融施設で使用される耐火物のうちSiO2-Al2O3系,
SiC
系、Cr2O3 系のものを用いて行った。使用前耐火物に関し
ては、放射性 Cs以外の天然核種 の測定も合わせて行う。

6.4.3 調査結果
(1) ごみ焼却施設における放射性 Cs の炉内での蓄積・
 分
布に関する実態調査
 下図6.4.2 に施設の各サンプリング場所と放射性Cs濃度
および空間線量率について示しす。炉内で比較的温度の高
い箇所(炉下、中、上、ガス冷入口、出口)では炉壁付着物
中の放射性Cs濃度は高くないが、やや温度が低くなってク
リンカができやすい部位では放射性Cs濃度が高いという傾
向が確認された。空間線量率については、いずれも電離則
に基づく管理区域設定の目安である 2.5μSv/h以下の値。
(ただし、常時作業を行わない炉内についても同様の基準
を当てはめるかについては要議論)。しかし、付着物中の
放射性Cs濃度が高い箇所よりも、比較的高温部で耐火物が
設置されている箇所(炉下、中、上、ガス冷入口、出口)
において空間線量率が高い傾向にあり、耐火物内部へ Cs
が浸透していることが予測された。



(2) 既存施設における
      耐火物中の放射性 Cs 及び安定 Cs の実態調査
使用前耐火物における放射性Cs等測定結果の例を表 6.4.1
に示す。耐火物の材質は 溶融施設で使用されることの多い
Cr2O3系耐火物だが、いずれのCr2O3含有量(30%、60%、80%)
の耐火物においても放射性Csは不検出。焼却施設で使用さ
れることの多いSiO2-Al2O3系、SiC系耐火物でも同様の調査
を行ったが、いずれの耐火物においても放射性Csは不検出。
一方で、いずれの材質からも Th-234、Ra-226などの天然核
種が検出されている。これらは、耐火物に使用される鉱物
由来であると考えられ、多い場合で 2000Bq/kg程度になる
ことから、炉内環境調査等において放射性Csでない核種の
影響を考慮する必要がある
考える。


  原発事故以前の耐火物廃材にごく微量でも放射性 Cs が
含まれていたがどうか、ベースとなるレベルを把握、2010
年度に採取した耐火物廃材を用いて原発事故以前調査。そ
の結果、いずれの部位においても放射性Csは不検出。これ
は調査対象が1施設のみ。原発事故以前の耐火物廃材に放
射性Csは含まれていないと考えてよいする(全般的にサン
プルが少ないことが問題で最低3施設は調査すべきでは?)。
 原発事故後の2011年度から 2012年度にかけて各施設で採
取した耐火物については、施設が立地する地域が放射性 Cs
にどの程度汚染されているか、状況は様々であり、放射性
Cs が検出された試料は一部。耐火物中の濃度分布として顕
著な傾向が認められた結果の一例を図 6.4.3に示す。


 いずれの元素も表層から炉内側になるにつれ減衰
する傾向を示した。同族元素である Cs、Na、K も同じ傾向
を示したことから、耐火物内での Cs の浸透・蓄積を知る
うえで、Na、K を指標にできる可能性があると考えられる。
また、Clも Cs と同様の傾向を示す。高汚染地域である施
設の試料に関する放射性 Cs の測定結果を図 6.4.4 に示す。
これより、使用後耐火物の炉内壁面部が最も高く、深くな
るにつれて濃度が減衰していることが分かる。炉の最下層
でも放射性 Cs が検出されていることから、放射性 Cs を
含む廃棄物を長期間処理することで、耐火物全体に全体に
放射性 Cs が浸透している可能性が考えられる。


 次に、ある施設において雰囲気温度の異なる 3箇所から
採取した耐火物および耐火物付 着物の放射性 Csの測定結
果を表 6.4.2 と図 6.4.5 に示す。耐火物付着物から高濃
度の放射性 Csが検出されたが、雰囲気温度別にみると、よ
り低温部で放射能濃度が高い傾向にある。飛灰中に含まれ
る放射性 Cs は CsCl になっていると想定される、この場
合800℃以上では多くが揮発して排ガス中へ移行している
と考えられ、温度が低くなるにつれ凝縮すると考えられる。
このため、二次室・後燃焼室の雰囲気温度よりも上部煙道
部の 雰囲気温度の方が固体中に含まれる放射性 Csの濃度
が高くなると予想され、付着物の濃度に影響したと考えら
れる。

 6.4.5 より、2 つの採取材料からいずれも放射性 Cs が検
出されていることに加え、耐火物表層の放射性 Cs 濃度が
大きく異なっている。雰囲気温度が高い二次燃焼室では
2000Bq/kg程度、雰囲気温度が低い上部煙道では8000Bq/kg
程度。表 2 から、付着物の放射性 Cs 濃度が大きく異なる
ため、とくに表層付近では影響 が大きく現れたと考える。
しかし、炉の内側に移るにつれ上部煙道部と二次燃焼室の
放射性 Cs 濃度はほぼ同じになり、上部煙道部の試料では
内側 10cm 以降はほぼ 0Bq/kg となる。前述同様 CsCl が
化学的に主であるとすると、耐火物内部の温度が浸透に影
響 を与えると考えられる。二次燃焼室では雰囲気温度が
850~900℃であることから耐火物 表層も同程度の温度と考
える。また、焼却施設で使用される主な耐火物(SiC 系など
は熱伝導率が大きいことから、耐火物内部の温度変動は比
較的小さい(100℃程度)と考えられ、気孔を通じて揮発した
CsCl が浸透すると考える。逆に上部煙道部では雰囲気温度
が 550~650℃と低いため、飛灰の付着により耐火物付着物
および耐火物表層の濃度は高くなるが、内部において気相
で移動する CsCl が少なく、その分濃度減衰の勾配が大き
くなり、浸透深さも短くなったものと考える。なお、放射
性 Cs が検出されなかった他の施設で安定 Cs を指標とし
て調査した結果では、 耐火物の深さ方向に安定 Cs が浸透
している結果もあるが、濃度勾配が認めにくい場合もある。
通常の可燃ごみには一定レベルの安定 Cs が含まれていて、
既に長期的に暴露されるため、平衡状態にある可能性が高
い。その場合は、炉材の温度分布に応じた濃度勾配が生じ
る可能性があり、今後は温度分布との関係で考察していく
必要がある。また、炉材の材質や気孔率などにも影響を受
けると考える。
                    この項つづく

【エピソード】






 
相模原市 ごみから貴金属を回収してSDGs推進

 6月16日、神鋼環境ソリューションは、相模原市と共同で
市鉱山と言われる廃棄物に含まれる貴金属資源に着目し、
調査・研究を行った結果、同社が建設した流動床式ガス化
溶融炉から金と銀を回収したことが話題になった。流動床
式ガス化溶融炉はごみを500~550℃の高温で流動する砂に
よってガス化燃焼させる施設。一般ごみとして廃棄された
電子機器等に含まれた貴金属は比重が高いため、炉底部の
砂の中で高濃縮された状態で効率的に回収することができ
る。

図2
出所:特許上図は神鋼ファウドラーの「ガス化溶融炉のス
ラッグ塩基度調製方法及びその装置」(参考)


出所:横浜市➲下水汚泥等の放射性物質濃度(参考)

ごみ焼却炉の技術革新が進み、高温で、効率よく燃焼でき
るようになり、①ダイオキシンなどの有機化合物の無害化、
②ガス化溶融炉のスラグを回収し貴金属などの再資源化で
き、③発生熱の回収利用が可能となっている。④将来的に
は二酸化炭素の回収し、太陽光や電解で水素製造やメタネ
ーションなどの有機化合物合成など分散自在型プラント形
成できると考えています。面白いですね。本当に。

【脚注及びリンク】
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地域循環共生圏概論 55

2022年07月06日 | 防災と琵琶湖


作成日:2022.7.6|更新日:2022.7.7
地域循環共生圏概論 55
□ その後の彦根広域ごみ処理施設建設問題
 新型コロナウイルスパンデミック、プーチンのウクライ
ナ侵攻、親近者の相次ぐ逝去、町内活動の役員引継ぎ、豪
雪被害対応、非営利組織『環境工学研究所 WEEF』活
動に忙殺されブログ掲載ができずにいたが、①放射性物質
等の除去処理、②焼却スラグの有価物質回収に関する課題
を補足について集約作業中に、下記ののごとく「ごみ施設
総工事費年内示」のニュースが本日届く。

  彦根市の西清崎地区に建設が計画されている新し彦根市
の西清崎地区に建設が計画されている新しい広域ごみ処理
施設について、管理する彦根愛知犬上広域行政組合は3日、
南地区公民館で住民説明会を開き、今年度中に総工費を公
表すると明らかにした。また西清崎地区の建設候補地を建
設地に決定する時期についても年度内にすると報告した。
 住民説明会ではごみ処理寇没を圭没し芒原乃大い広域ご
み処理施設について、管理する彦根愛知犬上広域行政組合
は3日、南地区公民館で住民説明会を開き、今年喪中に総
工費を公表すると明らかにした。また西清崎地区の建設候
補地を建設地に決定する時期についても年度内にすると報
告した。
 住民説明会ではごみ処理施設建設した際の大気や景観な
どの影響を予測する「環境影響評価準備書」の素案が事務
職から示された。素案によると、約6・3㌶(うち施設整
備区域約5・2㌶)の地に処理能力一日140トンの焼却
施設と一日33・2トンのリサイクル施設を建設。今年中に
実施設計、来年度初めまでに環境影響評価、2024年度まで
に事業者を選定、24年度から工事に入り、29年度の供用開
始を目指すとしている。
 
環境評価については施設稼働後の大気質、騒音、水質、
動物・植物、地下水、土壌、景観への影響を予測した数値
を公表。いずれも「基準値以下だった」と発表した。
 住民説明会には午前に約60人、午後に約35人が参加。市
民からはこれまで概算として示されている200億円(ア
クセス道路の整備費約27値円除く)の総工事費の正式発表
と、建設候補地から建設地に格上げされる時期を問う質問
があった。同組合の来年2月議会に総工費を示す必要があ
ると解説。物価高騰を受けて、概算の200億円を超える
可能性があるとも示唆した。建設候補地から建設地にする
場合も2月議会までの議決を要するとした。(滋賀彦根新
聞  2022.7.6)


出所:国立環境研究所 資源循環・廃棄物研究センタ

□ 放射性物質の除外処理をどうするか
国内の自治体の「ごみ処理場施設管理」は大災害などの非
常事態に備え管理区内及び外の廃棄物の一時保管スペース
がネットワークが設計構築されている(今回の彦根市の設
備老朽化による三重県への余剰ごみ処理委託などの事例が
そうであるように、充全ではないが)。周知の通り、滋賀
県は、京都府・福井県・石川県に原子力発電所及び関連施
設が日本海に集中し万一放射性物質が該当設備より飛散拡
散された場合、住民は避難するとともに、汚染された周辺
地に拡散した「汚染物の一時的な中間的集積場として使用
するシーンのワークフロー化」しておく必要があり、さら
には福島第一原発事故にならって中間処理場として、拡散
防止・外部との遮断手段及び汚染の除及びに集約保管並び
に搬出手順を明確にして於かなければならないはずだ。


出所:同上
実は、2011年3月11日の東電福島第一原子力発電所の水素爆
発事故時には、放射性物質汚染処理方法に係わる「事業研
究開発」への参入打診の話しもあった折り熟慮の上お断り
した経緯がある(汚染排水及び汚染土壌からの分離回収技
術開発には興味があった体調に自信が持てなかったのがそ
の理由)。
 さて、前出の『放射性物質の挙動からみた適正な廃棄物
処理処分』(国立環境研究所 資源循環・廃棄物研究センタ
は、第6章の「焼却処理過程における挙動と制御」、第7
章の「コンクリートの除染の基礎と汚染廃棄物の最終処分
へのセメント・コンクリート技術の活用」、第8章の「焼却
飛灰の水洗浄による放射性セシウムの除去」、さらには、
第9章の「埋立処分過程における挙動と制御」、第10「浸
出水処理過程における挙動と制御」、そして、第12章「放
射性物質を含む焼却灰等の空間的・時間的特性」から、関
連事項の摘用部分を抜き出し考察する。


1.3 放射性物質汚染対処特別法の「法律のポイント」
では、「平成二十三年三月十一日に発生した東北地方太平
洋沖地震に伴う原子力発電所の事故により放出された放射
性物質による環境の汚染への対処に関する特別措置法」(
以降、「特別措置法」と表記)では

①汚染廃棄物の処理と,除染およびそれに伴う除去土壌の
処理の二本柱のフレームで汚染 対処の措置が講じられる
こと 
②国が原子力政策を推進してきた責任を認め,国の責務の下,
あらゆる必要な措置が財政 面を含め国主導で講ぜられるた
こと(第三条)
③特措法に基づいて講ぜられた措置は,関係原子力事業者
(東京電力)の負担の下に実施され,その費用を関係原子力
事業者に請求・求償できるとされたこと(第四十四条)
④汚染の程度が高い地域(「汚染廃棄物対策地域」,「除染
特別地域」)あるいは廃棄物(汚染 の程度が高い「指定廃
棄物」および対策地域内廃棄物を合わせて「特定廃棄物」
という) は,国の責任で除染措置や除去土壌・廃棄物の処
理を行うが,汚染の程度が低い場合は, 市町村あるいは
事業者が実施すること 
⑤)上記(4)の,汚染の程度は低いが放射性物質に汚染され
あるいはおそれのある廃棄物は,「特定一般廃棄物」また
は「特定産業廃棄物」として,特別の処理基準,維持管理
基準が 適用されること(第二十三,二十四条)と明記され
ており、廃棄物の処理に関する基本的な考え方において特
記すべきポイントは、
①住民の生活の妨げとなる廃棄物の処理を優先
②現行の廃棄物処理法に基づく廃棄物の処理体制,施設等
 を積極的に活用
③安全性を確保しつつ,可能な限りにおいて減容化、廃棄
 物の再生利用を図る
④高濃度の汚染廃棄物が相当量発生している都道府県にお
 いては中間貯蔵施設を確保し、それ以外では当該都道府
 県内で処理を行う。
⑤中間貯蔵施設および最終処分場の確保やその安全性の確
 保については,国が責任をもって行う。当該施設の確保
 に当たっては,環境影響の評価等を行う
と定められている。
また、1.3.4 環境法令(施行規則)の(1)汚染廃
棄物対策地域 では、国がその地域内にある廃棄物の収集,
運搬,保管および処分を実施する必要がある地域 として,
警戒区域または計画的避難区域を指定し、(2)指定廃棄物
は、指定基準は,セシウム 134(以下 134Cs)およびセシウ
ム 137(以下 137Cs)の放射能濃度の合計値が 8,000Bq/kg
を超えるもの。指定廃棄物は国がその処理を行う。環境省
令で,指定廃棄物への該当性を判断するための調査方法及
び申請方法などを規定。 
 さらに、(3)特定廃棄物(対策地域内廃棄物および指定廃
棄物)の保管および処理基準では、指定廃棄物の最終処分
場(管理型処分場)は,厳重な技術基準を上乗せで適用。焼
却施設においては高度な排ガス処理設備を有することとさ
れたが,ダイオキシン類の排出基準に対応している現在の
施設性能で十分担保され,中間処理における排ガスまたは
排水,および最終処分における放流水の監視によって周辺
の大気中または公共の水域における水中の基準は前出は図
12の「焼却施設および埋立処分場の排ガスおよび排水の
監視の通り。

1.4 中間貯蔵施設の現状と課題 
福島の事例で、今後課題として、焼却減容化後に生じる
10万 Bq/kg 超の焼却残渣(主灰及び 飛灰)の処理であり
減容化は、同時に環境中にばら撒かれた放射性 Cs を分離
回収し濃縮するプロセスでもあり、それでも量自体は 100
万立米を超る焼却残渣の発生が見込まれており、これらを
そのまま収納容器に封入し貯蔵するには、施設容量からみ
て困難になる。
中間貯蔵後の最終処分を考えた場合、セメ
ント固型化等の措置を施すことは、後工程の減容化を困難
となる。10万Bq/kg超の焼却残渣はさらに減容化技術の適
用がいる。焼却残渣のうち飛灰については、飛灰洗浄技術
の適用により容易に放射性Cs分離できる。主灰のように難
溶解性の形態で存在する場合は、溶融や焼成などの技術に
より放射性Csをばいじん(飛灰)中に分離濃縮し、生成す
る溶融スラグや焼成物 は放射性 Cs の含有濃度が低減され
ているので限定再生利用を行い、さらに分離濃縮された 飛
灰(ばいじん)は飛灰洗浄を行うことが考えられている。
 最終処分の対象を減らしていくとともに、飛灰洗浄後の
洗浄液中の放射性Csは安定した形で濃縮回収・固定化し、
最終処分までの期間、厳重に貯蔵保管する。以上の中間貯
蔵施設を中核とした今後の処理スキームを図1.5 に整理。



第6章  焼却処理過程における挙動と制御 
6.2 焼却処理の安全性に関する概説
6.2.1 焼却処理における排ガスの基準値 
放射性物質対処特別措置法(以下、特措法)の施行規則(環
境省令)に基づいて、放射性物質を含む廃棄物の処理施設に
おいては、周辺環境の大気や公共水域の水中で濃度限度を
超えない(134Csと 137Csのそれぞれの実測値を基準値で除
した和が1を上回らない)ように、施設(事 業場)からの排
ガスや排水を排出口で監視する(図6.1参照)。
ここで、濃度限度の数値基準は排ガスが大気中で希釈され
た後の周辺環境に対するもので、排出口におけるものでは
ない点。濃度限度の根拠は、同一人が0歳児から70歳になる
までの間、当該濃度の放射性物質を含む空気や水を摂取し
たとしても、被ばく線量が一般公衆の許容値(年間1mSv)以
下となる濃度として設定されたものです(放射線審議会基本
部会「外部被ばく及び内部被ばくの評価法にかかる技術的
指針」(1999年4月) 。運用上は、この濃度限度を排出口に
おいて超えないことを管理目標として、安全側に立って監
視している。放射性Csを含む廃棄物を処理する焼却施設は、
排出口でこの濃度限度を満たすように入念的な処理基準(施
設の構造等、例えば高度な排ガス処理設備の設置)が設定さ
れていると言える。このように、排ガスは排出口で周辺環
境の濃度限度の基準を下回るように管理されているが、実
際には一般公衆に達する前に周辺環境中でさらに希釈され
る。どの程度希釈されるかは気象条件や地形に左右されま
すが、環境省におけるシナリオ評価によれば、一般公衆が
曝露されるまでに大気拡散により 5万倍程度希釈されると
仮定される(煙突の低い小型焼却炉の場合は、希釈率は相
当程度低くなる)。周辺環境中の大気の濃度限度を、希釈
前の排出口における目標として管理することで、きわめて
高い安全率が考慮されていることになる。


6.2.3 排ガス処理における除去率
焼却施設の安全性の議論で、バグフィルタの除去率の数字
が取り上げられるが、リスク評価の観点からは、その数字
自体を厳密に論ずることにあまり意味はない。濃度限度の
基準を満たしているかどうかが重要であり、基準を満たし
ていれば被ばくリスクの観点から言えば問題ないといえる。
しかし、高線量地域への適用などを考慮すると、バグフィ
ルタ等の排ガス設備でどの程度の除去率が達成されるかを
確認しておくことは大切。表 6.1 にバグフィルター等の集
塵設備の除去 率について調査した結果の例を示す。ダイオ
キシン対策が施された現在の焼却施設については、バグフ
ィルタの除去率は十分に高く、高度な排ガス処理性能を
している。

6.2.4 放射性セシウムの燃焼及び排ガス処理過程での挙動 
セシウム(Cs)は原子番号 55 のアルカリ金属であり、沸点
は約650℃、塩化セシウムの形態となった場合は約 1300℃。
大まかに言えば、800~850℃、あるいはそれ以上の温度の
炉内で、放射性 Cs の一部は揮発あるいは液化して排ガス
に移行し、残りの主に固体の形態で存在するものは主灰中
に残留すると考えられる(図 6.2 参照)。排ガス中に移行
した放射性 Cs は、ダイオキシン類生成抑制のために冷却
され、約200℃以下で制御されているバグフィルター付近で
は、主に塩化セシウムとして凝縮し固体状態になり、他の
物質と一緒に凝集したり、固体に吸着されたりして、ばい
じんになると考えられます。京都大学の高岡教授の安定セ
シウムに関する調査結果 3)では、バグフィルター前で固体
状が 99.9%、ガス態が 0.1%であったことが報告されてい
るが、環境省などがこれまでの多くの調査結果を報告して
おり、バグフィルター入口で濃度が検出される場合であっ
ても、サンプリング装置 (図 6.3 参照)のもっとも上流
部の円筒ろ紙で検出であり、その後のドレン部や活性炭部
では検出さ れた例はない。つまり、測定できるレベルでは
ガス態は存在していない。このように、排ガスが冷却され
た後は、放射性 Csは固体状で存在し、ばいじんに固体にな
っ存在しているので、ばいじんを除去できれば放射性Csも
同時に除去可能です。ばいじんの平均粒径は、都市ごみ焼
却施設の場合数十ミクロンメータであり、バグフィルタで
はサブミクロンメータ (1/10 ミクロンオーダー)の粒子を
カットできることから、ほぼ完全に放射性セシウムを除去
できる(図 6.2 参照)。
 さて、排ガス中のばいじんには、そもそも大気汚染防止
法において規制値が存在する。表 6.2は、仮に規制値レベ
ルの濃度でばいじんが排出されていた場合に、そのばいじ
ん中に 8,000~ 100,000Bq/kgの放射性 Csが含まれている
場合を想定して、排ガス1m3 あたりの放射性 Cs濃度の推
定値を示した。なお表中には、実際の B清掃センターにお
けるばいじん濃度とばいじん中放射性 Cs 濃度の実測に基
づいた排ガスの放射性 Cs 濃度の推定値も示す。この推定
結果か らも明らかなように、ばいじんの規制値を遵守して
いれば、放射性 Csが濃度限度を超える可能性 はない。B清
掃センタのような実際の施設では、ばいじんの規制値につ
いて住民協定などでさらに上乗せの厳しい自主基準を課し
ており、事実、規制値よりも数桁低いばいじん濃度になっ
ていることから、放射性Cs濃度は極めて低い値となり、通
常の実測では検出下限未満になる。




              
6.2.6 無視できる周辺住民の排ガスによるリスク
これまで述べたとおり、基準が遵守され、さらに、ほとん
どの場合で煙突出口の放射性 Cs 濃度は検出下限未満であ
る点から、リスクは無視できると言ってよい。しかしそれ
でも「少しでも漏れると不安」という声が聞かれる。99.9
%の除去率で、0.1%でも抜けるから不安という声。そこ
で、表6.2で示した実際のB清掃センタを例として周辺住民
の被ばく線量を試算した。その結果は、表 6.3 のとおり。
煙突から 排出された排ガスは実際には大気中で希釈され、
一般公衆の居住場所では 通常は無視できるレベルになる。
焼却処理の期間を 10年間として、もっ とも影響が高いと
考えられる土壌への沈着、蓄積による外部被ばくの影響を
試算しても、年間1mSvの 10万分の1 程度の被ばくしか受
けないレベルです。周辺環境のバックグラウンドから考え
ても無視できる。
  99.9%除去率は、もちろんこの数字は排出ゼロを意味す
るものではない。例えば、1 日 100トンのごみを焼却する
施設(ストーカー炉を例)では、ばいじんは平均的に は
3 トン程度発生。仮に、このばいじんの 0.1%が除去され
ずに排出されたとすると、この0.1%分は 1日 3kgの量に
なる。例えば年間 300 日施設が稼働したとすると、900kg、
つまり約1 トンの量になりる99.99%除去率で 0.01%が抜
けたとしても、年間 100kgのばいじんが排出されることに
なる。これらのばいじんは、後段に設置されている設備に
その一部が付着し、煙突の内壁にも多少は付着すると考え
られる。大気に排出される放射性セシウムを含むばいじん
は、先にも述べたとおり、一般公衆(地域住民)に対する
リスクは無視できるが、バグフィルター後であっても長期
的に付着し蓄積することが考えられる。そのような場所
で、
作業者が維持管理作業等を行う場合には、付着灰の飛散な
どに注意が必要である。
                    この項つづく

【エピソード】



   
※ ブログ工事中!(年内いっぱい復旧見込みなし)
出所:環境工学研究所WEEF

兎にも角にも慌ただしいの一言に尽きますね。登山も7月
もだめかもしれない(理由:猛暑と天候急変と体調調整が
難しいこと)。皆様は如何でしょうか。滋賀県のナショナ
ルトレッキング事業を構想してもう何年になるますか----
2016年4月より以前になるから、8年前には考えていたこと
になりますね。暑気払いも計画したのですが、新型コロナ
ウイルスの第7波の動向がが心配されます。もう一つブロ
グの『ウイルス解体新書』シリーズの「後遺症」の原因考
察も依然として決着していません。。

【脚注及びリンク】
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