田園城郭都市構想 11

2017年01月30日 | 湖と城郭都市

  

1.ハワードの田園都市構想
2.田園都市論の現代的意義
日本型田園都市構想
4.和歌山市都市計画と学園城郭都市
5.近代ニュータウンの系譜
       -理想都市像の変遷-


京田辺市のスケッチ

5-2 ポスト「1968年」の新しい波
            -近代都市を超えて

5-2-1 学術研究都市:「つくば」と
                              「けいはんな」

(2)関西文化学術研究都市

東の筑波と並んでわが国の学術研究都市を代表する関西
文化学術研究都市(以下「学研都市」という。)もまた、
界に類を見ない特徴を備えたサイエンスシティ創造
的な文化・学術・研究の拠点づくりと21世紀のモデル都
市づ
くりをめざす学研都市の構想は、1970年代の後半、
わが国の
学術研究のあり方と近畿圏の新たなビジョンを
検討する動き
のなかから生まれる

1978年9月に発足した関西学術研
究都市調査懇談会(奥
田懇、座長奥田東元京大総長)は、文
化、学術、研究機
能の集積する「新都市構想」を発表。
1970年代後半の世
界は石油危機に続く経済的社会的混乱期
にあり、①また
地球環境問題や②地球資源の問題など人類の未来
に関わ
る課題が次々に提起された危機の時代でもある。

※ 成長の限界、列島改造論、1973年第三次中東戦争、
  オイルショックを経験したわたし(たち)は「地
  化石燃料本位制」→「先端技術本位制」→「環境リ
  スク本位制」をすでに見通していたが、現実は想定
  通り展開している。また、生駒市高山地区はわたし
  出生地であり感慨深い。  

奥田
懇談会に集合した研究者たちは、そうした危機意識
のもとに
わが国が人類的課題を解決する科学技術の研
究開発を積極的
に推進すべきであるとし、そのために関
西の地で、既成の学
術研究組織に代わる新しい学術研究
システムの構築と新しい
都市づくりとを一体的に推進す
ることを提案する。

 

一方、経済界においても、石油危機以降関西の経済的地
盤沈下
(東京一極集中の進行)が顕著になるなかで、従
来の工業主導の地域開発を改め、学術
振興や文化開発に
よって地域振興を図ることの重要性が認識
され始めてい
た。関西経済界は、この構想を「関西復権」に向
けての
中心的プロジェクトとして位置づけ、その推進に積極的
主導的役割を担う。

この動きを受け、国土庁は1981年、近畿における学術研
究機能の強化を図るため、関西リサーチコンプレックス
構想とその中核となる学術研究都市を京阪奈に建設す
るとい
う基本方針を明らかにし、1982年には京阪奈3府
県に広がる
学研都市の基本構想(パイロットプラン)を
発表。さらに
国土庁は1986年6月、「関西文化学術研究
都市建設基本方針」
を策定し、これによってナショナル
プロジェクトとして本都市
の建設をすすめることが方向
づける。1987年6月には「
西文化学術研究都市建設促
進法」が制定され、以後、国の基本
方針の決定、3府県
の建設計画の策定を経て本格的な都市建設
がスタートし、
1993年には当初提言の骨格構想であった文
化学術研究交
流施設けいはんなプラザ、国際高等研究所、奈良
先端科
学技術大学院大学が相次いで開設し、本格的な学術研究

活動が開始される。 



このため学研都市でも2000 年代に企業の研究所の閉鎖・
撤退や経営不振による解散等が相次ぎ、
一方では、学研
都市が産業界の期待に十分応えてい
ない、地域経済への
成果が見えないといった評価も表れる
。その後学研都市
では奈
良先端大「産学間連携推進本部」の設置(2004)
や産学官連
携による「けいはんな新産業創出・交流セン
タ」(2005)
開設など、新産業創出への取り組みが強化、
また、
それまで研究施設のみに限定していた施設の立地
基準を、研
究機能を持つ研究開発型産業にまで拡大する
等、施設立地を
促す措置もとられる。それにより第3ス
テージ(2006~)
には都市内への研究開発型産業の進出
が進む。



Nov. 15, 2006

学研都市は、京都府、大阪府、奈良県の8 市町にまたが
る約15,000haの区域に計画され、文化学術研究施設等を
重点的に整備する地区として12地区の文化学術研究地区
(面積約3,600ha、計画人口約21万人)が位置づけられて
いる。現在(2012年)、都市内には118 の研究施設等が
立地し、研究者約 7,000人、学生約22,000人が活動して
いる。

学研都市の建設は、学会の有志の問題提起、提言に始ま
り経済界の立場からの参画、さらに国や自治体の政策へ
の反映を経てスタートした。そのようなプロセス自体が
他に類例を見ないものである。また学研都市は、国や自
治体の事業ではなく、産学官連携による民活型プロジェ
クト
であることに特徴がある。

都市建設の開始からほぼ10年間(第1ステージ)、関
西文
化学術研究都市では産学官連携による第三セクタ型
の研究
機関や大手企業の中央研究所など約40の研究機関
の立地が
順調に進むが、第2ステージ(1996~)に入る
と研究
機関の立地が全く進まず停滞する。①バブル経済
崩壊後の経済の低迷も背景にあるが、②この時代、企業
の研
究開発戦略が大きく変化し、「脱パーク化」(集約
化では?)と呼ばれる現象が表れたことも見逃せないと
著者の佐藤は指摘する。

関西文化学術研究都市は、着手後30年(第4ステージ)
を迎えたが、関西のイノベーション・センタとしての役
割を発揮しうるかどうかは、今後にかかっていると結ん
でいるが、大きくは、多様化な高度消費社会時代を担う
地方分権促進(脱東京一極集中)と財政・税制・金融・
公共政策の刷新にあるとわたし(たち)は考える。

5-3 ヨーロッパのニュータウン再生
             ENTP
報告書から 

21世紀に入って、ヨーロッパでは第2次世界大戦後に建
設されたニュータウンの再生問題が本格的に議論される
ようになってきた。2001年にはニュータウンの運営にあ
たる自治体のネットワーク組
として、ENTP: European 
New
Towns Platform を設立。ENTP は2005年6月、「ニュ
ータウンの都市再生に向けての特有の課題:トップ8」
と題する調査報告書を公表。ヨーロッパのニュータウン
関係者がニュータウンの都市再生についてどのようなテ
ーマを重視して
いるかが窺えて興味深く。またわが国の
ニュータウン再生にも示唆を与
える。

(1)背景-ニュータウン固有の状況

報告書は始めに、一般の都市とは異なる、ニュータウン
がお
かれ、固有の状況について指摘する。

① ニュータウン固有の都市のライフサイクル

戦後の成長を支えるために建設されたニュータウンは、
その
特有な歴史と成長パターンゆえに、特有な都市再生
の課題に直
面している。1950-70 年代に集中的に建設さ
れたニュータウン
は、その歴史上初めて都市再生の必要
性に迫られている。また、
注意深く計画された計画都市
特有のリジッドな都市構造のも
とで、新たなニーズに対
応することが求められている。

② ニュータウン固有の社会のライフサイクル

空間的な側面のみならず、ニュータウンの社会的側面も
また、
全く特有である。ミドルクラス、子を持つ家族に
特化した建設
当初のニュータウンは、いまや「成熟化」
の時代を迎え、豊か
な多様性を備えた都市に変化しつつ
ある。ニュータウンの都市
再生においては、かつてとは
全く異なる、多様化した住民の幅
広いニーズに対応する
ことが求められている。

                                     この項つづく

【エピソード】

 
 

昨日は、昼から所用があり草津まで車を走らせ、約3時
間ほど話し込み、雨降る中を帰ってきたが、途中、近江
八幡市の八幡山周辺で、携帯電話入りでるとNHK大阪
のものだと名乗る女性が「ブログ掲載している井伊直虎
(?)の記事の出典を尋ねるので、車中につき折り返し
返事すると応じ、帰宅し玉岡さん(小説家の玉岡かおる
?と推察)に電話を入れる、記憶が曖昧なので当該文書
をメール送信してもらえないかと要請し返事待ちとなる。
ブログを読み返すと「彦根藩主と街道」に関するものし
か思いつかいない。因みに、出典は故中島一元彦根市長
の『城と湖のまち彦根』『続・城と湖のまち彦根』の2
冊。(例えば【事例研究:道づくり Ⅰ】216.03.23など)。

【脚注及びリンク】
-----------------------:-------------------------------   

  1. 田園都市 Wikipedia
  2. 日本エシカル推進協議会Japan Ethical Initiative-
    エシカル日本
  3. 明治期廃絶城郭の公園化について ―史跡の保存
    活用の前史として― 佐々木孝文
     2015.06.26
  4. 都市とは何か 都市計画なぜ必要か - 東北大学
    奥村誠  2015.10.15
  5. 和歌山市都市計画マスタープラン 和歌山市
    2017.01.12
  6. 和歌山市立地適正化計画 2016.12.22
  7. 日本型田園都市構想―イギリス田園都市と比較し
    京田辺市を見直す―2001.12.11 西村利也
  8. 田園都市とエソテリシズム 吉村正和 2004.03.05
  9. 田園都市論の現代的意義 中井検裕 家とまちなみ
    45、2003.7.8
  10. 住宅地計画論 1.ハワードの田園都市構想園都市
  11. 都市思想の二人の巨人、ジェイコブズとハワード:
    宮﨑洋司市
  12. 近代ニュータウンの系譜―理想都市像の変遷-、
    佐藤健正、2016.06 28
  13. 近代ニュータウンの系譜―理想都市像の変遷-、
    佐藤健正、2016.07 26
  14. 近代ニュータウンの系譜―理想都市像の変遷-、
    佐藤健正、2016.07 26
  15. 近代ニュータウンの系譜―理想都市像の変遷-、
    佐藤健正、2016.07 03
  16. 平成 28年度 主要事業 彦根市
  17. 都市づくりの基本方針(全体構想) 彦根市
    橋梁長寿命化修繕計画による対策橋梁について
    滋賀県
  18. 彦根市都市計画道路網見直し検討調査
  19. 「まちづくりはひとづくり」をめざし 市民主
    のまち創る-近世城下町彦根市本町地区の2
    例の
    場合-(これからの都市づくりと都市計画
    制度全
    国市長会) 中島一 2005.05.09
  20. 中国城郭都市社会史研究 川勝守 著 汲古書院
  21. 都市計画の世界史、日端康雄 講談社現代新書
  22. ドイツ流 街づくり読本  水島信
  23. 続・ドイツ流 街づくり読本 水島信
  24. 完・ドイツ流 街づくり読本 水島信
  25. 都市計画1 日本の都市計画制度の概要 大谷英一
  26. 都市計画2 都市の歴史と都市計画 大谷英一
  27. 都市計画の理論 系譜と課題 高見沢実編集
  28. 道路をどうするのか 五十嵐敬喜・小川明雄 岩
    波新書
  29. 日本の道路史 武部健一 中公新書
  30. 道のユニバーサルデザイン 鈴木敏 技報堂
  31. 道路が一番わかる 窪田陽一 技術評論社
  32. 「道路」についての国際比較 藤井聡 2010.3.14
  33. 彦根市都市計画道路網見直し指針 
  34. 地域別のまちづくり方針(地域別構想)-彦根市
  35. 彦根市新市民体育センタ整備基本計画 2016.10.31 
  36. 彦根市立図書館|簡易検索
  37. 中心市街地の活性化に関する法律 Wikipedia
  38. 富山市におけるコンパクトなまちづくりの進捗と
    展望 2014.11.26
  39. アウガ Wikipedia
  40. 富山市 人と環境に優しいまち 公式HP
  41. 青森市 都市計画マスタープラン 公式HP
  42. コンパクトシティはなぜ失敗 するのか 富山、
    青森から見る居住の自由 2016.11.08, Yahoo!ニュー
  43. <アウガ>2副市長辞任 青森市政混迷増す 河
    北新聞 2016.01.28
      
      

 ---------------------;------------------------- 


田園城郭都市構想 Ⅹ

2017年01月29日 | 湖と城郭都市

  

1.ハワードの田園都市構想
2.田園都市論の現代的意義
日本型田園都市構想
4.和歌山市都市計画と学園城郭都市
5.近代ニュータウンの系譜
       -理想都市像の変遷-

5-2 ポスト「1968年」の新しい波
            -近代都市を超えて

今回は、前節より時代を巻き戻し、ポスト「1968年」か
2つの歴史的事例を考える。1968年、この年をピーク
とし
てその前後に歴史的な諸事件が全世界的、同時多発
的に噴
出した。フランス・パリの五月、プラハの春、大
学紛争をはじめとする若者の反乱、ベトナム反戦運動、
米国での全国的な都市暴動など、一連の革命的事件は、
資本主義、社会主義を問わず既成の体制全体とそれを支

える近代合理主義に対抗する運動であっとする。世界シ
ステム論のイマニュエル・ウォーラスティンは、これを
「1848 年に次ぐ世界革命」と呼ぶ。近代性の根源を突
くような批判が世界中で集中的に展開された「1968 年
」は、200年の近代の終焉を告げる歴史の転換点であっ
た。これ以後、「ポスト・モダン」が盛んに語られるよ
うになり、モダンを様々な角度から批判しつつ、新しい
可能性を模索する取り組みが開始され、都市計画・デザ
インの世界にも、ポスト・モダンの都市空間創造をめざ
す「新しい波」が現れる。

 Wikipedia

5-2-1 ルーバン・ラ・ヌーヴ:中世都市の再発見

ブリュッセル近郊の新大学都市、ルーバン・ラ・ヌーヴ
(1970
~、 900ha、人口50,000人(うち学生15,000人))
の計画は、
「近代都市」を乗り越える試みの最も初期の
ものとされる。
1425年、ベルギーの古都ルーバンに創設
された伝統校、ル
ーバン・カトリック大学は、言語上の
軋轢から、1968年、フラマン(ドイツ)語圏のルーバン
を離れ、フランス語圏のブリ
ュッセルに移転するという
歴史的な判断を下した。このとき大
学は、単なる大学移
転ではなく、伝統的な大学都市の再現を目
指して新たな
都市を一体的に建設することを決定。新都市
は、新しい
都市づくりの実験室的役割を担うものとされ、その
計画
は、ルメール教授を筆頭とする大学の都市計画専門家と
部の建築家グループの手によってすすめらる。

ルーバン・ラ・ヌーヴの計画は、近代の巨大な間都
市、
空洞化した都心部やモータリゼーションに痛めつけ
られた都
市への反省に立ち、「中世都市の再発見」を基
本理念に掲げ
る。伝統ある中世都市ルーバンの現代的再
構築をめざし、
これを実現するために以下の計画コンセ
プトを設定する。

  1. タウンとガウンの一体化と相互発展:都市の中に
    大学の機
    能が渾然一体に融合し、お互いが有機的
    に発展する都市
  2. スモールイズ ビューティフル:あらゆる部分にお
    いてヒ
    ューマンスケールであること、人間関係重
    視のまちづくり
  3. 人車分離の徹底:完全な歩車分離による歩行中心・
    人間優
    先のまちづくり
  4. ランドスケープの中の都市:地形との一体化、自
    然との対
    話と調和、連続的な町並みとタウンスケ
    ーピング
  5. 複合機能と多様性:無個性の単一的なモノトーン
    ではなく、
    豊かな個性を主張し、複合的な機能を
    持つ都市
  6. 都市アメニティとフレキシビリティ:芸術文化の
    重視(1%
    芸術投資)、多様なアクティビティに対
    応する環境、交流
    の場の創出、時代の変化に対応
    する柔軟性の確保

 

ルーバン・ラ・ヌーヴは、幾何学的パターンと巨大スケ
ル、単調で無個性な「近代都市」に代わる新しい都市
空間の
創出をめざし、その手がかりを「中世都市」に求
める。
都市の中心部には大規模な人工地盤が設けられ、
上部は完
全に歩行者に解放されている。歩行動線に沿っ
て建物が連続
的に配置され、町並みを形成。

建物が通りや広場を
包み込み、空間の閉じた感覚が創り
だされている。ヒューマ
ンスケールを維持するために高
層建築は否定され、建物は3
~5層に抑えられている。
通りは不規則に屈曲し、歩行者が
歩みをすすめるに従っ
てその視界が変化する。建物の通りや
広場に面する部分
にはコロネードが設けられ、通りと建物の
一体化が図ら
れている。そして、計画的用途複合開発と多様
な外部空
間の形成によって、それぞれの場所の個性と人々の
交流
が生み出されている。

建物のデザインにも多くの建築家
が参加することで、全
体としての調和の中に変化と多様性を
感じさせる町並み
ができあがっている。
ルーバン・ラ・ヌーヴは、生き生
きとした生活感を持った
有機的都市」の実現に成功し
ている、と著者は評価する。

5-2-1 学術研究都市:「つくば」と「けいはんな」

(1)筑波研究学園都市

わが国最初のサイエンスシティである筑波研究学園都市
の建設計画の発端は、1960年、当時の政府(池田内閣)
による首都改造計画に求められる。東京の過密解消、首
都機能分散の議論がすすむなかで、首都圏整備委員会に
おいて、都内の全大学を人口70万人の新都市に移転する
大学分散計画試案や、都内の全ての官庁を移転する人口
18万人の官庁都市試案などが検討された。また平行して、
移転候補地についても富士山麓、赤城山麓、那須高原、
筑波山麓等について、調査・検討がすすめらる。

1963年9月、首都圏整備委員会に設置された「首都圏基本
問題懇談会」が、新都市は国の試験研究機関の集中移転
による「研究団地」と大学等の高等教育機関からなる
「学園地区」をあわせた研究・学園都市として建設する
という構想を提示、都市の基本的性格づけがなされる。
政府は同月、閣議において、①研究・学園都市の建設地
を筑波とすること、② 計画規模はおおむね 4,000haとす
ること、③ 用地の取得・造成を日本住宅公団に行わせる
ことを了解し、筑波の建設を決定する。

筑波は「首都機能の分散と国立研究機関の集中移転によ
る研究環境の刷新・強化」という、世界のサイエンスパ
ークとは全く異なる目的で建設された。国の最先端の研
究機関がこれほどの規模(32 機関、1,400ha、17,000人
の研究者)で集積しているのは世界でも稀な例と言える。

当初は国等の研究・教育機関のみが立地する筑波であっ
たが、その後の時代変化とともに都市の性格も大きく変
化する。1980 年代に「周辺開発地区」で茨城県、公団等
による工業団地の建設が開始され、今日までに9団地615ha
の開発が行う。また、1988年には茨城県、日本政策投資
銀行、民間等の出資によって(株)つくば研究支援センタ
ーが設立され、レンタル・ラボを経営するなど、民間の
企業活動を支援する体制も整備された。特に「科学万博」
の開催された1985年以降、民間企業の立地に弾みがつき
今日まで約420社の民間企業が都市内に立地している。

1990年代、バブル経済の崩壊とともに日本経済が長期の
滞期に入ると、わが国の産業競争力の低下と研究開発
の立ち遅
れが指摘され、新産業創出への取り組みの強化
が喫緊の課題と
して取り上げられるようになる。1996年
の科学技術基本計
画では、公的研究機関の研究成果の産
業への移転を促進するこ
と、そのために公的研究教育機
関と民間研究機関等の研究交流
や共同研究の一層の推進
を図ることなどが提案され、その後関
連の施策も講じら
れた。筑波でも1998年に「研究学園地区建
設計画及び周
辺地区開発整備計画」が改訂され、新たに科学技
術集積
を活かした新産業創出の拠点をめざす方針が示された。


それらを受けて、2002年に筑波大学産学リエゾン共同研
究セ
ンターが設立され、2009 年にはより幅の広い産学
連携を推進
するために筑波大学産学連携本部が設置。ま
た、茨城県
も2003年インキュベート施設、筑波創業プラ
ザを都市内にオ
ープンさせる。そうした取り組みにより
1991~2012
年の間につくば発ベンチャー企業が231社誕生。

2005年、東京と筑波を45 分で結ぶつくばエクスプレスが
業し、また一方で東京50km 圏を結ぶ首都圏中央連絡自
動車道
等の広域交通体系の整備が進展するなど、筑波地
域のポテンシ
ャルは一層高まりつつある。つくばエクス
プレス沿線でつくば
エクスプレスタウン(1,611ha, 計画
人口12万人)の建設が進
むなど、新たな都市機能立地の
受け皿整備も進んでいる。



個人的な感想を言うと、1985年の国際科学技術博覧会を
境に、関東周辺を中心とした生活圏は、それまでの関西
優位性を逆転したことを実感する。面白いものである。

                                     この項つづく

【エピソード】

 
 

 ● 新年会の再々案内

 新年を迎え恒例の彦根市民の飲み水を守る会の新年会
を下記要領にて開催いたします。万障繰り
上げの皆様方
のご参集をこころからお願い申し上
げます。
 尚、会場は、彦根キャッスルホテル内の日本料理橘菖
(きっしょう)/常磐の間ですのお間違いないよう願い
ます(マップ下図参照)。

           『記』 

1.日時:2017年2月4日(土)17:30~
2.会場:日本料理橘菖 (きっしょう)/常磐の間
3.内容:近況報告/宴会4.会費:5,500円+酒代

※ 出欠のご返事は1月28日(土)まで幹事まで、
  ご連絡下さい。 
※ 連絡先:090-5124-1479

日本料理橘菖 (きっしょう)電話番号:0749-21-3001

 

 

【脚注及びリンク】
-----------------------:-------------------------------   

  1. 田園都市 Wikipedia
  2. 日本エシカル推進協議会Japan Ethical Initiative-
    エシカル日本
  3. 明治期廃絶城郭の公園化について ―史跡の保存
    活用の前史として― 佐々木孝文
     2015.06.26
  4. 都市とは何か 都市計画なぜ必要か - 東北大学
    奥村誠  2015.10.15
  5. 和歌山市都市計画マスタープラン 和歌山市
    2017.01.12
  6. 和歌山市立地適正化計画 2016.12.22
  7. 日本型田園都市構想―イギリス田園都市と比較し
    京田辺市を見直す―2001.12.11 西村利也
  8. 田園都市とエソテリシズム 吉村正和 2004.03.05
  9. 田園都市論の現代的意義 中井検裕 家とまちなみ
    45、2003.7.8
  10. 住宅地計画論 1.ハワードの田園都市構想園都市
  11. 都市思想の二人の巨人、ジェイコブズとハワード:
    宮﨑洋司市
  12. 近代ニュータウンの系譜―理想都市像の変遷-、
    佐藤健正、2016.06 28
  13. 近代ニュータウンの系譜―理想都市像の変遷-、
    佐藤健正、2016.07 26
  14. 近代ニュータウンの系譜―理想都市像の変遷-、
    佐藤健正、2016.07 26
  15. 近代ニュータウンの系譜―理想都市像の変遷-、
    佐藤健正、2016.07 03
  16. 平成 28年度 主要事業 彦根市
  17. 都市づくりの基本方針(全体構想) 彦根市
    橋梁長寿命化修繕計画による対策橋梁について
    滋賀県
  18. 彦根市都市計画道路網見直し検討調査
  19. 「まちづくりはひとづくり」をめざし 市民主
    のまち創る-近世城下町彦根市本町地区の2
    例の
    場合-(これからの都市づくりと都市計画
    制度全
    国市長会) 中島一 2005.05.09
  20. 中国城郭都市社会史研究 川勝守 著 汲古書院
  21. 都市計画の世界史、日端康雄 講談社現代新書
  22. ドイツ流 街づくり読本  水島信
  23. 続・ドイツ流 街づくり読本 水島信
  24. 完・ドイツ流 街づくり読本 水島信
  25. 都市計画1 日本の都市計画制度の概要 大谷英一
  26. 都市計画2 都市の歴史と都市計画 大谷英一
  27. 都市計画の理論 系譜と課題 高見沢実編集
  28. 道路をどうするのか 五十嵐敬喜・小川明雄 岩
    波新書
  29. 日本の道路史 武部健一 中公新書
  30. 道のユニバーサルデザイン 鈴木敏 技報堂
  31. 道路が一番わかる 窪田陽一 技術評論社
  32. 「道路」についての国際比較 藤井聡 2010.3.14
  33. 彦根市都市計画道路網見直し指針 
  34. 地域別のまちづくり方針(地域別構想)-彦根市
  35. 彦根市新市民体育センタ整備基本計画 2016.10.31 
  36. 彦根市立図書館|簡易検索
  37. 中心市街地の活性化に関する法律 Wikipedia
  38. 富山市におけるコンパクトなまちづくりの進捗と
    展望 2014.11.26
  39. アウガ Wikipedia
  40. 富山市 人と環境に優しいまち 公式HP
  41. 青森市 都市計画マスタープラン 公式HP
  42. コンパクトシティはなぜ失敗 するのか 富山、
    青森から見る居住の自由 2016.11.08, Yahoo!ニュー
  43. <アウガ>2副市長辞任 青森市政混迷増す 河
    北新聞 2016.01.28
      
      

 ---------------------;------------------------- 

 


田園城郭都市構想 Ⅸ

2017年01月28日 | 湖と城郭都市

  

1.ハワードの田園都市構想
2.田園都市論の現代的意義
日本型田園都市構想
4.和歌山市都市計画と学園城郭都市

  

 4-2-2 新しい景観 和歌山大学と
                ふじと台周辺

短時間だが「学園城郭都市」との言葉に着目し、彦根市
の都市計画のビジョン理念「田園城郭都市構想」を考え
和歌山市北部地域の「ふじと台学園城郭都市」を看てき
たが、中世ヨーロッパの街並みを彷彿させる森に囲まれ
た美しい文化都市を理念とした「ふじと台」ニュータウ
ンは、ギリシャ・ローマ時代の都市国家・スペイン文化
建築様式――フェニキア式の文化建築→ローマ様式の文
化建築様式→ビザンチン文化建築様式など7つのヨーロ
ッパ建築様式を下敷きにサンフランシスコの高級住宅地
サー・フランシズ・ウッド(『田園城郭都市構想 Ⅳ』
2017.01.21)とレジリエンス設計(これもポスト・モダニ
ズム文化建築様式?)を組み込まれたパートナーシップ
に基づく地域都市※の1つである。


※ 地方自治体が自らの責任のもとに、独自のビジョン
  と戦略を確立し、行動する時代――成熟型社会を迎
  え経済優先から生活の質を最優先する都市計画への
  移行期――の変化に対応する行政、市民、NPO等が
  自律的・機動的に連動し、個性あふれる地域主体の
  まちづくりをすすめる仕組み。 



和歌山城

ところが、具体的に「城郭都市」を表現するものは見あ
たらず、モダニズム文化建築様式の特徴である「普遍性」
が見あたらない。有り体に言えば、「尖った象徴的な建
造物」、この場合、和歌山城を歴史的景観を背景とした「
エシカル・コード」(倫理規定)あるいは「パブリック・
コード」(市民憲章・倫理規定)※の延展が乏しいこと
に気づく。例えば、国が定める建築基準法を地方で補完
する例外規定、道路幅員の変更や町並みを整える諸規定
であり、現在、再生可能エネルギー普及著しい太陽光パ
ネル設置条件を<都市の歴史文化的な景観に溶け込ませ
る>規定(制限)など、多様性と画一性の融和コード
いったものである。

※ エシカルとは、英語の名詞ethic(倫理/道徳)の形
  容詞ethical(倫理的な/道徳上の/(社会規範に照ら
  して)正しい)だが、源は欧州の都市文化建築様式
  として、現在では、きわめて多義的で、包容力のあ
  
る概念。価値観として流布され、この源流は、英国
  のブレア元首相が80年代末から90年代初めにか
  け外交上の政策過程で道義的、人道的な国際介入を
  「エシカルアプローチ」と表現している。

 佐藤健正

5.近代ニュータウンの系譜
        -理想都市像の変遷-

ここでは、理想都市像の変遷(脚注の佐藤健正著「近代
ニュータウン系譜3」)を参考に本論を揉み込み課題を
明確にしていく。

5-1 イギリス:ニュータウン政策の終焉と
    インナーシテ
ィ政策への転換

英国のニュータウン政策は、労働党政権により推進され、
保守党政権によって抑制されるという経過を辿ってきた
が、1977年、その労働党からニュータウン政策の終結宣
言が発せられる。この問題が深刻な政策課題として70年
代後半に浮上、この時代に生じた環境危機やエネルギー
危機により、自国製造業は急速に衰退、1971年から81年
の間だけでも200万人の製造業雇用が失われ、工業セン
ターとして発展してきた主要都市のインナー・エリアを
直撃し、地域の人口減少、空洞化とともに失業、貧困な
ど、深刻なインナーシティ問題をもたらす。

また、産業・人口の分散を進めてきたニュータウン政策
が深刻なインナーシティ危機の原因の一つだと指摘され
るが、大都市への産業・人口の集中抑止と大都市からの
分散促進という40年代以降一貫して追及されてきた政府
の都市政策転換が迫まられる。1977年、環境大臣ピータ
ー・ショーは、白書「インナーシティの政策」を発表、
国民の信を問い、翌1978年にインナーシティ再活性化法
を制定、インナーシティへの傾斜投資で、衰退防止に取
り組むことを決定。他方でニュータウン政策の大幅な縮
小を行うこととし、一定期間をおいてニュータウン開発
公社を閉鎖し、公社による都市建設を終結、目標人口も
縮小する。

1985年のニュータウン及び都市開発公社法では、イング
ランドでは1992年までに全てのニュータウン開発公社を
解散、公社の資産のうち、ニュータウン住宅、公共公益
施設は自治体に、未処分の土地は主としてニュータウン
委員会(CNT:Commission for the NewTowns)に移管する。
1992年のミルトン・キーンズを最後に、イングランドニ
ュータウン開発公社は全て解散し、資産の処分。ニュー
タウン委員会は、移管を受けた用地を主として民間事業
者に処分し、その収入で国の融資額を返済する。またニ
ュータウン住宅は、サッチャー政権による払い下げ(rig-
ht to buy, 1980~)政策により、住民に払い下げられ、残
余が自治体に移管される。

このようにして、英国のニュータウン政策は輝かしい歴
史に終止符を打ち、英国のニュータウンでは、イングラ
ンドだけで50万戸を超える住宅が建設され、200万人以
上の住民が居住し、100万人に近い雇用が形成。また、
多くのニュータウンがめざましいビジネス投資を生み、
各地域経済活性化の拠点を担うが、ニュータウン政策終
結後の対応のまずさなどから、後に住宅や施設の老朽化、
土地・建物の所有権の錯綜した状況による再生の困難さ
など、深刻な問題を抱えることになる。

1979年政権に就いたサッチャー政府によってイギリスの
都市再生政策は急展開。環境大臣マイケル・ヘーゼルタ
インにより立案された新政権の戦略は、それまで地方自
治体の権限に属す再開発を中央政府のイニシアティブの
もとにすすめる方式に転換し、同時に規制緩和・民営化
を柱とする事業手法を導入。政府は「1980年地方自治体・
計画・土地法」により都市再開発を単一の目的とする準
政府機関、「都市開発公社(UDCs)」の設置を定め、翌
1981年にロンドン・ドックランズ開発公社(London 
Docklands Development Corporation:LDDC
)を設立する。

LDDC の設立から解散までの17年間に、ドックランズで
は、24,000 戸を超える住宅が建設され、2,700社の企業
が立地、58,000人の雇用が生まる。印刷、出版、報道、
旅行、金融等の産業が集積し、特にエンタプライズ・ゾ
ーンの中心を占めるカナリー・ウォーフは、シティに次
ぐロンドン第二の金融センターと呼ばれたが、一方で、
LDDC の開発は大企業と高所得層にのみターゲットをあ
てたもので、以前からの住民は何の恩恵も受けず、開発
は地価の高騰と物価高をもたらしただけという不満も地
元には根強い。

数々の問題を含みながらも、ロンドン・ドックランズは、
その後世界各地で展開された「大規模土地利用転換型ニ
ュータウン」の先駆例となった。英国ではLDDC に続き
9か所の衰退地域で都市開発公社が設立され、また全国
に25のエンタプライズ、ゾーンが指定され、同様の都市
再生プロジェクトが展開されている。サッチャー政権に
より、1980年代に展開された規制緩和、民営化の政策は、
戦後英国の都市計画史におけるターニングポイントをマ
ークするものである。



                  この項つづく 

【エピソード】

 
 

 

【脚注及びリンク】
-----------------------:-------------------------------  

  1. 田園都市 Wikipedia
  2. 日本エシカル推進協議会Japan Ethical Initiative-
    エシカル日本
  3. 明治期廃絶城郭の公園化について ―史跡の保存
    活用の前史として― 佐々木孝文
     2015.06.26
  4. 都市とは何か 都市計画なぜ必要か - 東北大学
    奥村誠  2015.10.15
  5. 和歌山市都市計画マスタープラン 和歌山市
    2017.01.12
  6. 和歌山市立地適正化計画 2016.12.22
  7. 日本型田園都市構想―イギリス田園都市と比較し
    京田辺市を見直す―2001.12.11 西村利也
  8. 田園都市とエソテリシズム 吉村正和 2004.03.05
  9. 田園都市論の現代的意義 中井検裕 家とまちなみ
    45、2003.7.8
  10. 住宅地計画論 1.ハワードの田園都市構想園都市
  11. 都市思想の二人の巨人、ジェイコブズとハワード:
    宮﨑洋司市
  12. 近代ニュータウンの系譜―理想都市像の変遷-、
    佐藤健正、2016.06 28
  13. 近代ニュータウンの系譜―理想都市像の変遷-、
    佐藤健正、2016.07 26
  14. 近代ニュータウンの系譜―理想都市像の変遷-、
    佐藤健正、2016.07 26
  15. 近代ニュータウンの系譜―理想都市像の変遷-、
    佐藤健正、2016.07 03
  16. 平成 28年度 主要事業 彦根市
  17. 都市づくりの基本方針(全体構想) 彦根市
    橋梁長寿命化修繕計画による対策橋梁について
    滋賀県
  18. 彦根市都市計画道路網見直し検討調査
  19. 「まちづくりはひとづくり」をめざし 市民主
    のまち創る-近世城下町彦根市本町地区の2
    例の
    場合-(これからの都市づくりと都市計画
    制度全
    国市長会) 中島一 2005.05.09
  20. 中国城郭都市社会史研究 川勝守 著 汲古書院
  21. 都市計画の世界史、日端康雄 講談社現代新書
  22. ドイツ流 街づくり読本  水島信
  23. 続・ドイツ流 街づくり読本 水島信
  24. 完・ドイツ流 街づくり読本 水島信
  25. 都市計画1 日本の都市計画制度の概要 大谷英一
  26. 都市計画2 都市の歴史と都市計画 大谷英一
  27. 都市計画の理論 系譜と課題 高見沢実編集
  28. 道路をどうするのか 五十嵐敬喜・小川明雄 岩
    波新書
  29. 日本の道路史 武部健一 中公新書
  30. 道のユニバーサルデザイン 鈴木敏 技報堂
  31. 道路が一番わかる 窪田陽一 技術評論社
  32. 「道路」についての国際比較 藤井聡 2010.3.14
  33. 彦根市都市計画道路網見直し指針 
  34. 地域別のまちづくり方針(地域別構想)-彦根市
  35. 彦根市新市民体育センタ整備基本計画 2016.10.31 
  36. 彦根市立図書館|簡易検索
  37. 中心市街地の活性化に関する法律 Wikipedia
  38. 富山市におけるコンパクトなまちづくりの進捗と
    展望 2014.11.26
  39. アウガ Wikipedia
  40. 富山市 人と環境に優しいまち 公式HP
  41. 青森市 都市計画マスタープラン 公式HP
  42. コンパクトシティはなぜ失敗 するのか 富山、
    青森から見る居住の自由 2016.11.08, Yahoo!ニュー
  43. <アウガ>2副市長辞任 青森市政混迷増す 河
    北新聞 2016.01.28
      
     

 ---------------------;------------------------- 

 


田園城郭都市構想 Ⅷ

2017年01月27日 | 湖と城郭都市

  

1.ハワードの田園都市構想
2.田園都市論の現代的意義
日本型田園都市構想

 

4.和歌山市都市計画と学園城郭都市

4-2 北部地区計画と実績

北部地域は、背後に和泉山脈、前面には紀の川の雄大な
の流れを目にすることができるエリア。旧集落を基に
した住
宅地もあり、山地の斜面には戸建住宅地もつくら
れ、地域の内外から新たな住民を受け入れてくる。
地域
の北西には和歌山大学があります。まわりには大規模住
宅地や大規模商業施設が立地し、新駅もできるなど「新
しいまち」ができあがっている。
また、地域を東西に走
る粉河加太線は、近年道路の拡幅整備進んでおり、それ
に伴い店舗の集積が進み、まちなみは時間とともに変化
し、にぎわいの景観が形成されつつある。

4-2-1 移りゆく沿道のまちなみ

粉河加太線沿道-粉河加太線は北部地域の東西をつなぐ
重要な道路です。かつては畿内から淡路島を経て四国に
至る、
南海道の一部。つい最近まで、昔の面影を残すま
ちな
みや神社が点在していた。近年、片側1車線の道路
車線になり、歩道も整備されるなど道路整備が進む
につれ、道
路沿いにはお店などが集まり、ずいぶんと様
変わる
地域に育つ子どもたちの「原風景」になるよう
に景観づくりを計画する。

4-2-2 新しい景観 和歌山大学と
                ふじと台周辺

緑がいっぱいで整った建物のある和歌山大学の、北どな
りにあるのが「ふじと台」です。モニュメントがあるな
ど洋風の装いが目を引く一方で、住み心地のよい住宅地
の環境をつくるため、道路沿いの景観はまとまりをもつ
ように設計。すぐ近くに和歌山大学前駅や大型のショッ
ピングモールが完成し、人の動きも大きく変わり「にぎ
わい」という新たな要素が景観に加わる。

和歌山市では、和歌山大学が立地し大規模宅地開発が進
展するふじと台地区への新駅開業に併せて、新駅が本市
北西部地域における交通結節機能を果たし、公共交通利
用環境を充実させることを目的として、和大新駅周辺地
区の整備を促進させている。

① 和歌山大学前駅再整備

北部、和歌山大学の近くで2007から進められていた南海
本線の新駅設置工事が2011年3月に完了し、4月1日より
和歌山大学前駅が供用する。南海本線の和歌山市駅から
大阪方面に約6キロメートルで、紀の川駅と孝子駅の間
に位置。駅舎は橋上駅、切符売り場や改札口、駅務室や
コンコースなど、駅舎の主要部分が線路の上部空間に配
置、線路を跨ぐ通路(自由通路)の中ほどから利用。駅
の設置に係る事業費は、区域の土地所有者で設立した和
歌山市和歌山大学前駅周辺土地区画整理組合が全額を負
担し、市や県、そして国は、区画整理組合に補助金を交
付することで事業を推進。

駅の東西は線路をまたぐ形で設置された自由通路で結ば
れ、
鉄道を利用しない人でも通行できる。通路幅員は6
メートル、線路の上空を横断する部分では、南側のほぼ
全面を窓としているため、明るく、ゆったりとした開放
的な歩行者空間。また西側の階段横にはエレベーターを
併設、車椅子などでも容易に利用できる。この自由通路
は、鉄道施設の駅舎と一体構造で、市が管理。



② 学園城郭都市計画

ふじと台(ふじとだい)は、和歌山県和歌山市北部貴志
地区のニュータウン。浅井建設グループの西日本ニュー
タウン開発株式会社が学園城郭都市として開発。計画人
口は6,500世帯・3万人以上。総開発予定区域は 240ヘク
タール。現在は約1,400世帯が居住している(2012年9月
現在)。

ヨーロッパの中世につくられた森に囲まれた城郭都市を
コンセプトとして設計されている。城郭としての機能と
して、入口を3
カ所に制限した設計となっている。現在
は国道26号からの入口である南入口と市道中平井線から
の入口である北入口が供用されており、南入口には2006
年5月に中世ヨーロッパの城門をイメージしたゲートが
設けられ、ロダンの考える人をモチーフにした高さ4メ
ートルのブロンズ像がモニュメントとして設置。
また隣
接して和歌山大学がある。

 

大手ハウスメーカーと地元ハウスメーカーの合計35社が
参画、住宅開発を行っている。内訳は、和歌山住宅振興
会に属する9社、ふじと台提携会社に属する23社、大阪
ふじと会に属する3社に分類されている。これら35社以
外の工務店や建設会社・住宅会社ではこの地に住宅を建
設することができない(2012年(平成24年)9月末現在)。



                                     この項つづく

【エピソード】

 
 

【脚注及びリンク】
-----------------------:-------------------------------   

  1. 田園都市 Wikipedia
  2. 明治期廃絶城郭の公園化について ―史跡の保存
    活用の前史として― 佐々木孝文
     2015.06.26
  3. 都市とは何か 都市計画なぜ必要か - 東北大学
    奥村誠  2015.10.15
  4. 和歌山市都市計画マスタープラン 和歌山市
    2017.01.12
  5. 和歌山市立地適正化計画 2016.12.22
  6. 日本型田園都市構想―イギリス田園都市と比較し
    京田辺市を見直す―2001.12.11 西村利也
  7. 田園都市とエソテリシズム 吉村正和 2004.03.05
  8. 田園都市論の現代的意義 中井検裕 家とまちなみ
    45、2003.7.8
  9. 住宅地計画論 1.ハワードの田園都市構想園都市
  10. 都市思想の二人の巨人、ジェイコブズとハワード:
    宮﨑洋司市
  11. 近代ニュータウンの系譜―理想都市像の変遷-、
    佐藤健正、2016.06 28
  12. 平成 28年度 主要事業 彦根市
  13. 都市づくりの基本方針(全体構想) 彦根市
    橋梁長寿命化修繕計画による対策橋梁について
    滋賀県
  14. 彦根市都市計画道路網見直し検討調査
  15. 「まちづくりはひとづくり」をめざし 市民主
    のまち創る-近世城下町彦根市本町地区の2
    例の
    場合-(これからの都市づくりと都市計画
    制度全
    国市長会) 中島一 2005.05.09
  16. 中国城郭都市社会史研究 川勝守 著 汲古書院
  17. 都市計画の世界史、日端康雄 講談社現代新書
  18. ドイツ流 街づくり読本  水島信
  19. 続・ドイツ流 街づくり読本 水島信
  20. 完・ドイツ流 街づくり読本 水島信
  21. 都市計画1 日本の都市計画制度の概要 大谷英一
  22. 都市計画2 都市の歴史と都市計画 大谷英一
  23. 都市計画の理論 系譜と課題 高見沢実編集
  24. 道路をどうするのか 五十嵐敬喜・小川明雄 岩
    波新書
  25. 日本の道路史 武部健一 中公新書
  26. 道のユニバーサルデザイン 鈴木敏 技報堂
  27. 道路が一番わかる 窪田陽一 技術評論社
  28. 「道路」についての国際比較 藤井聡 2010.3.14
  29. 彦根市都市計画道路網見直し指針 
  30. 地域別のまちづくり方針(地域別構想)-彦根市
  31. 彦根市新市民体育センタ整備基本計画 2016.10.31 
  32. 彦根市立図書館|簡易検索
  33. 中心市街地の活性化に関する法律 Wikipedia
  34. 富山市におけるコンパクトなまちづくりの進捗と
    展望 2014.11.26
  35. アウガ Wikipedia
  36. 富山市 人と環境に優しいまち 公式HP
  37. 青森市 都市計画マスタープラン 公式HP
  38. コンパクトシティはなぜ失敗 するのか 富山、
    青森から見る居住の自由 2016.11.08, Yahoo!ニュー
  39. <アウガ>2副市長辞任 青森市政混迷増す 河北新
    2016.01.28
      

 ---------------------;------------------------- 

 


田園城郭都市構想 Ⅶ

2017年01月26日 | 湖と城郭都市

  

1.ハワードの田園都市構想
2.田園都市論の現代的意義
日本型田園都市構想

 
Mar. 28, 2012

4.和歌山市都市計画と学園城郭都市

都市計画マスタープランとは、1992年の都市計画法改正
規定
「市町村の都市計画に関する
基本的な方針」(法第
18条の2)のこと。都市計画マスタープランは、市町村
議会の議を経
て定められた市町村の基本構想、および「
都市計画区域の整備、開発及び保全の方針」に
即し市町
村が定める(「都市とは何か 都市計画なぜ必要か - 東
北大学」脚注参照)。

ここで、この論考に「和歌山市時計画マスタープラン」
(和歌山新都市構想)と同計画の地域別構想の「学園城
郭都市「ふじと台」を参照する。同マスタープランは、
1999年3月に和歌山市の都市づくりの基本方針を定めた
都市計画マスタープランを策定してから10年以上が経過
し、本格的な人口減少の到来など社会情勢の変化に伴い、
都市計画マスタープランの見直しを行い、2002年3
月に
改定。

4-1 都市整備の基本方針

  1. 土地利用の方針:土地の合理的かつ適切な保全、
    活用を図るとともに、安全で快適な市民生活や、
    効率的な社会経済活動の揚を確保し、各地域の特
    性を活かしだ土地利用を促進
  2. 市街地整備の方針:各都市機能ゾーンへの機能集
    積・集約に向け、それぞれのゾーンの特性に合っ
    た集約的な市街地整備を実施
  3. 交通施設整備の方針都市全体の活性化に向け、各
    都市機能ゾーンや地域拠点の連携を促す道路整備
    を進める
  4. 公園・緑地整備の方針:公園・緑地の整備にあた
    っては、樹林地などの持つ緑地機能、多目的広揚
    などの持つ広場機能、災害時の延焼防止・避難地・
    備蓄・緊急輸送のヘリポートや救援物資集積基地
    などの防災拠点機能などに配慮する
  5. 河川・下水道整備の方針:河川の改修は、近年、
    浸水被害があった河川から優先的に改修を行い、
    また、流れが阻害されている揚所についても改修 、
    浚渫を進め、市民が快適な都市生活を実現するた
    め、公共下水道の整備を苅果的、効果的に推進
  6. その他都市施設整備の方針:施設の統廃合を進め
    るとともに
    老朽化施設の更新及び既設施設の耐震
    化整備を推進
  7. 景観形成の方針:地域活性化・再生に向けだ顔と
    なる景観形成や、特徴的であるが気づかれていな
    い景観の価値の発掘共有による景観形成を図ると
    ともにその質的向上を図る
  8. 住宅整備・供給の方針:豊かな市民生活を送るこ
    とができるように、良好な住環境の創出や、良質
    な住宅供給に努める。また、本格的な少子高齢化
    社会の進展に向け人口定着を促す住宅整備に向け
    た取り組みを進める
  9. 人にやさしい都市づくりの方針:全ての人が社会
    参加や交流ができるよう、バリアフリー環境の整
    備や交通安全対策の推進によりユニバサルデザイ
    の実現に努める
  10. 安心で安全な都市づくりの方針:「東日本大震災」
    の教訓をもとに、近い将来起こりうる「東南海・
    南海地震」に備えて、高台への避難や、避難所の
    点検など地震・津波等の災害に対応するための検
    討を進める

● 8つの地域別構想の地区区分

4-1-1 中心部地域:和歌山の中止となる
      活力と魅力溢れる城のまち

和歌山城の城下町を中心に発展してきましだ地域生活拠
点とし、都市機能が集約したコンパクトなまちづくりを
めざす(後略|下図参照)。


Mar. 28, 2012

4-1-2 臨海部地域:活力ある工業・港湾
      機能の集積と良好な住環境の共存

臨海部地域は、戦前から工業地帯が形成され、現在の地
の多くは工業地であり、北港地区には大規模な製鉄所
等、
本港区に面して大規模な化学工揚等が立地している。
本地域は、南海和歌山港駅周辺を日常生活圏の中山とな
地域生活拠点とし、都市機能が集約したコンパ クト
なまちづくりをめざす(下表)。

 

4-1-3 北西部地域:友ヶ島を望む雄大な
      自然を活した観光と交流のまち

北西部地域は、西は紀淡海峡、北は大阪府に面しており、
海や山などの自然豊かな観光資源を有する工リア。本地
域は、加末駅・加末港周辺を日常生活圏の中心となる地
域生活拠点とし、都市機能力を集約したコンパクトなま
ちづくりをめざす(下図、下表参照)。


 

 4-1-4 北部地域:新たな魅力形成に向けた
      活気に溢れる
まち

北部地域は、市街地拡大に伴って発展してきだ新興のエ
リアにあだり、郊外型の住宅地が形成されている。本地
域は、土入・延時周辺の公共 施設や病院、商業施設等が
集積するエリアを日常生活圏の中山となる地域生活拠点
とし、都市機能を集約したコンパクトなまちづくりをめ
ざす。

4-1-5 北東部地域:和泉山脈と紀の川に囲
      まれた親しみのある交流まち

4-1-6 東部地域:紀の川に広がる田園と産
      業のまち

4-1-7 南東部地域:緑豊かな農園が広がる
      安らぎとゆとりのまち

 

4-1-8 南部地域:歴史と新たな賑わいが共
      にいきづく海辺のまち



以上、詳細は脚注の「和歌山市都市計画マスタープラン
」を
参照。

                  この項つづく 

【エピソード】 
    
     



● 子持ち寒モロコの素焼きは絶品  

滋賀県や漁業者、遊漁者などでつくる県内水面漁場管理
員会は、資源の回復が見られる琵琶湖の固有魚、ホン
モロコ
の産卵を保護しようと、今春から伊庭内湖(東近
江市)と西の
湖(近江八幡市)周辺の河川で、初めて一
般の遊漁者を含め
た捕獲規制を検討しているという(京
都新聞 2017.01.25)


それによると、最盛期の漁獲量は年間350トンほどだ
ったが、最近10年ほどは10トン前後で推移。稚魚の
放流や漁業者の自主的な禁漁などの取り組みが進み、近
年はわずかだが増加に転じる。県の調査では、伊庭内湖
に流入する瓜生川や躰光寺川、西の湖に流入する山本川
産卵期の春に比較的水温が高いことなどから重要な産
卵場
所となっていて、遊漁者による投網やたも網での捕
獲量が増加しているという。この場所で捕獲の影響がな
く産卵した場合、琵琶湖全体のホンモロコが10~20
%増加すると試算。

規制はこの3河川の一部区域を検討していて、期間は産
期の4~5月。川に入ることで卵が踏みつぶされるな
どの影
響を抑えるため、全ての水産動物の捕獲を禁止す
る。県水
産課は、規制は将来もホンモロコを楽しむため
にプラスにな
ると考えている。まずは規制案を知っても
らい、意見を寄せ
てほしいと伝えている。



※ 琵琶湖で一年中収穫されるホンモロコは、コイ科の
魚類の中でも特に美味しいと言われており、県内内の料
亭などへも高値で出荷されている。特に冬に獲れる「子
持ちモロコ」は琵琶湖の名物とされ、とても貴重な食材
である。滋賀県では、琵琶湖で取れたホンモロコは泥酢
につけて食べる。湖国産の清酒で熱々を頂けば、極楽!

【脚注及びリンク】
-----------------------:---------------------------  

  1. 田園都市 Wikipedia
  2. 明治期廃絶城郭の公園化について ―史跡の保存
    活用の前史として― 佐々木孝文
     2015.06.26
  3. 都市とは何か 都市計画なぜ必要か - 東北大学
    奥村誠  2015.10.15
  4. 和歌山市都市計画マスタープラン 和歌山市
    2017.01.12
  5. 日本型田園都市構想―イギリス田園都市と比較し
    京田辺市を見直す―2001.12.11 西村利也
  6. 田園都市とエソテリシズム 吉村正和 2004.03.05
  7. 田園都市論の現代的意義 中井検裕 家とまちなみ
    45、2003.7.8
  8. 住宅地計画論 1.ハワードの田園都市構想園都市
  9. 都市思想の二人の巨人、ジェイコブズとハワード:
    宮﨑洋司市
  10. 近代ニュータウンの系譜―理想都市像の変遷-、
    佐藤健正、2016.06 28
  11. 平成 28年度 主要事業 彦根市
  12. 都市づくりの基本方針(全体構想) 彦根市
    橋梁長寿命化修繕計画による対策橋梁について
    滋賀県
  13. 彦根市都市計画道路網見直し検討調査
  14. 「まちづくりはひとづくり」をめざし 市民主
    のまち創る-近世城下町彦根市本町地区の2
    例の
    場合-(これからの都市づくりと都市計画
    制度全
    国市長会) 中島一 2005.05.09
  15. 中国城郭都市社会史研究 川勝守 著 汲古書院
  16. 都市計画の世界史、日端康雄 講談社現代新書
  17. ドイツ流 街づくり読本  水島信
  18. 続・ドイツ流 街づくり読本 水島信
  19. 完・ドイツ流 街づくり読本 水島信
  20. 都市計画1 日本の都市計画制度の概要 大谷英一
  21. 都市計画2 都市の歴史と都市計画 大谷英一
  22. 都市計画の理論 系譜と課題 高見沢実編集
  23. 道路をどうするのか 五十嵐敬喜・小川明雄 岩
    波新書
  24. 日本の道路史 武部健一 中公新書
  25. 道のユニバーサルデザイン 鈴木敏 技報堂
  26. 道路が一番わかる 窪田陽一 技術評論社
  27. 「道路」についての国際比較 藤井聡 2010.3.14
  28. 彦根市都市計画道路網見直し指針 
  29. 地域別のまちづくり方針(地域別構想)-彦根市
  30. 彦根市新市民体育センタ整備基本計画 2016.10.31 
  31. 彦根市立図書館|簡易検索
  32. 中心市街地の活性化に関する法律 Wikipedia
  33. 富山市におけるコンパクトなまちづくりの進捗と
    展望 2014.11.26
  34. アウガ Wikipedia
  35. 富山市 人と環境に優しいまち 公式HP
  36. 青森市 都市計画マスタープラン 公式HP
  37. コンパクトシティはなぜ失敗 するのか 富山、
    青森から見る居住の自由 2016.11.08, Ya hoo!ニュー
  38. <アウガ>2副市長辞任 青森市政混迷増す 河北新
    2016.01.28
     

 ---------------------;-------------------------