考えすぎると、怖くなる。
名前を呼ばれると、ぞっとする。
今度は、どんな難癖が飛んでくるやら。
夕食後。
しばらくして。
思いついたかのように、キッチンの戸を開け、私の名を呼ぶ。
声は鳴き声だが。
確実に、それは脅しだ。
トイレで吐いた。
お腹がゆるい。
訴えられても、どうしろと。
ここで対応を間違えると、ややこしさが増す。
・・・ということは経験上わかっているが。
理性と感情は別物だ。
名前を呼ばれるだけで、恐怖心が住みつくのは、
私には止められない。
とりあえず、様子をみるしか手は無いではないか。
『なにか変わったことあった?』って電話が入る。
「あった」といえばあったことになるし。
「無かった」といえば、事実、まだ騒動までには至ってない。
たとえ。
「あった」と言ったところで。
離れた場所にいる彼には、それこそ為すすべはない。
廊下をこちらへ来る足音がすると、心臓がビクつく。
今夜。
何事も起こりませんように。