【質問】佐藤のりかず
公契約について伺います。
草加市が発注する公共工事や委託事業などのいわゆる公契約にかかわる労働者の適正な賃金や労働環境を確保することにより、安心して生活できる環境の実現を図る草加市公契約基本条例が、平成27年度からスタートしました。県内初の条例であり、今年度には越谷市においても施行されるなど、広がりを見せております。初年度となる平成27年度は、公共工事4件、委託事業30件が条例の対象になったとのことでありました。平成28年度は、さらに多くの事業が公契約基本条例の対象になったと伺っております。
そこで、1点目として、公契約基本条例の運用状況について伺います。平成28年度の実績及び平成29年度の状況をお示しください。
公契約基本条例の実施状況について、事業者向けのアンケートを行っているかと思います。事業者向けのアンケートの概要等について、2点目にお示しください。
公契約基本条例は、同条例の手引きでも示されているとおり、草加市と事業者の両者が協力またはそれぞれの責務を果たすことにより、適正な労働環境を確保し、市民サービスの質の向上を図り、もって地域の豊かさを創出することを目的としております。この目的を達成するためには、制度のさらなる拡充が求められるものであり、条例施行から3年目に当たる今がそのタイミングと言えます。
とりわけ労働者の方々からは、公契約基本条例の適用範囲をさらに拡充していただくこととあわせて、法定福利費等の確保の取り組みなどが御意見として寄せられてきております。また、事業者の方々からは、直接お話を伺う中で、現場労働者への適正な賃金を払うためには、低入札の対策を講じることであったり、地元企業優先の取り組みを充実させることと一体になって取り組んでもらいたい、こういった御意見が寄せられております。草加市の公契約基本条例の運用に当たっては、草加市公契約審議会を設置し、労働賃金基準額の設定やその他公契約にかかわる重要事項について、諮問、調査、審議がなされているかと思います。同審議会の諮問内容について徐々に充実させていくことも、これも求められておりますが、3点目として、平成29年度の草加市公契約審議会への諮問内容の予定について伺います。
次に、草加市地元企業優先発注等に係る実施方針について伺います。
地元企業優先発注等に係る実施方針は、市内事業者の発注機会の確保や育成を図るため、適正な競争原理のもと、公平性を保ちつつ、地元企業優先発注を推進するための方針で、公契約基本条例とセットで平成27年度から実施されました。地域経済の活性化、労働者の安定した雇用や所得につながる効果が期待されております。
そこで、4点目として、地元企業優先発注等に係る実施方針の運用状況と目標との比較について伺います。また、平成27年度実績との比較も伺います。
公契約基本条例によって労働者の賃金を上げても、低入札で契約金額が上がらず、人件費だけが上がっただけになってしまう。また、適正な賃金を支払っているし、いい仕事をしている自信はあるが、赤字でも入札してくる相手には価格面でかなわない、こうした御意見が、事業者の方々と懇談させていただく中で寄せられました。こうした課題を打開するのも公契約基本条例の役割だと思います。昨年12月定例会においても、低入札対策を求めたところでありますが、低入札対策について御答弁いただきたいと思います。
将来を担う人材確保や建設業で働く方々の公的保障を受けられるように、国土交通省では認可業者の社会保険加入100%を目指す取り組みが今進められており、建設業界全体においても平成29年度を目標年次として社会保険への加入促進が取り組まれております。これまで、ここら辺の制度が非常におくれていた結果であるとは思います。
社会保険への加入を促進するためには、事業者が発注者や元請企業との契約において、工事費等に含まれる厚生年金等の社会保険料の事業主負担分である法定福利費を確保することが重要になってきます。そのため、国土交通省でも、法定福利費の内容を明示した見積書、標準見積書と呼ばれておりますが、標準見積書の活用の徹底を促進しているところであります。
先日、事業者の方と法定福利費について意見交換させていただいたときには、その方の会社では法定福利費も正確に見積もっているものの、提出が求められない場面で、あえて企業側からこれを提出するというのは非常に難しいと。価格競争のせめぎ合いの中で、自分たちの中を見せるというのは、これは非常に難しいと。ただ一方で、ルールとして求められれば提出していけるという旨の御意見をいただきました。
公共工事等の発注者である草加市においても、国土交通省の取り組みを受けて見積書の活用について検討すべきではないでしょうか。法定福利費の内容を内訳明示した標準見積書に伴う課題について、どのように整理されているのか伺いたいと思います。
【答弁】総務部長
公契約に関する御質問について順次お答え申し上げます。
初めに、公契約基本条例の運用状況についてでございますが、前年度からの継続分を含めて申し上げますと、平成28年度の対象件数につきまして、工事請負契約は6件、業務委託契約は109件、指定管理協定は17件で、合計132件でございます。また、平成29年度につきましては、8月末時点の実績を申し上げますと、工事請負契約は3件、業務委託契約は89件、指定管理協定は17件で、合計109件でございます。
次に、事業者アンケートの概要についてでございますが、平成28年度に同条例の適用を受けた88の事業者に対しまして、本年6月に公契約に関する事業者アンケートを実施いたしまして、59の事業者から回答がございました。なお、内容につきましては、現在集計中でございます。
次に、今年度の草加市公契約審議会への諮問についてでございますが、草加市公契約基本条例第17条に基づき、工事または製造の請負契約、業務委託契約及び指定管理者との協定のそれぞれの労働賃金基準額について諮問する予定でございます。また、当条例が施行されてから3年目を迎えることから、公契約にかかわる重要事項として公契約基本条例の適用範囲についても、あわせて諮問を行う予定でございます。
次に、地元企業優先発注等に係る実施方針の目標値と実際の運用状況について申し上げます。
平成28年度の契約課における発注実績で申し上げますと、建設工事の市内業者への発注件数は120件、発注率は87.6%でございまして、目標値の95%を7.4ポイント下回りました。なお、平成27年度との比較では、2.9ポイント下回っております。
また、建設コンサルタントなどの業務委託の市内業者への発注件数は105件、発注率は60.7%でございまして、目標値の70%を9.3ポイント下回りました。なお、平成27年度に対しましては、7.0ポイント上回っております。
また、実施方針の課題といたしまして、土木工事においては市内発注率が97.2%、建築工事においては95.2%と高い数値である一方、市内に登録業者のない特殊性の高い業種や技術的難易度が高い工事などについては、やむを得ず市外業者へ発注するという状況がございます。
今後の対策といたしまして、市内業者の育成を図る必要があることから、分離・分割の発注により地元企業に受注機会を確保するとともに、市内事業者を含めた共同企業体方式を活用することにより、技術力の向上を図ってまいりたいと考えております。
次に、低入札対策についてでございますが、事業者には労働者の適切な賃金や社会保険などの法定福利費を確保してもらう必要がございます。このため、建設工事につきましては、草加市低入札価格及び最低制限価格取扱実施要綱を制定し、ダンピング受注とならないように入札事務を実施しているところでございます。
本市の最低制限価格等の基準につきましては、国や多くの自治体で採用されている中央公共工事契約制度運用連絡協議会モデル、いわゆる中央公契連モデルを参考にした算定方式を平成28年2月より採用しているところでございます。具体的には、直接工事費に95%、共通仮設費に90%、現場管理費に80%、一般管理費に55%をそれぞれ乗じた額の合計額で算出する基準となっているものでございます。
この中央公契連モデルが平成28年3月及び平成29年3月に算入率の見直しが行われ、算出の基礎となる直接工事費を95%から97%、さらに、現場管理費を80%から90%に引き上げられておりますことから、本市におきましても今後見直しを行っていく予定でございます。
なお、平成28年度における建設工事の一般競争入札の平均落札率は89.5%、最低の落札率は41.7%でございました。
最後に、法定福利費を内訳明示した見積書に伴う課題について申し上げます。
法定福利費を内訳明示した見積書とは、下請企業が元請企業に対して提出している見積書を、総額だけではなく、法定福利費を内訳として明示することにより、社会保険などの加入に必要な金額を確保するためのものでございます。この見積書を使用することは、社会保険等未加入対策を進める上で有効である一方、事業者にとっては法定福利費を算出明示することが難しいケースもあると伺っております。
国では、このような状況を踏まえ、事業者の協力が得られるよう、法定福利費を内訳明示した見積書の作成方法などについて解説する法定福利費セミナーを開催するなど、見積書の活用を推進しているところでございます。
本市におきましても、国や他の自治体の動向を踏まえ、事業者に対し見積書の活用を呼びかけるとともに、必要な支援策を検討してまいりたいと考えております。
以上でございます。
公契約について伺います。
草加市が発注する公共工事や委託事業などのいわゆる公契約にかかわる労働者の適正な賃金や労働環境を確保することにより、安心して生活できる環境の実現を図る草加市公契約基本条例が、平成27年度からスタートしました。県内初の条例であり、今年度には越谷市においても施行されるなど、広がりを見せております。初年度となる平成27年度は、公共工事4件、委託事業30件が条例の対象になったとのことでありました。平成28年度は、さらに多くの事業が公契約基本条例の対象になったと伺っております。
そこで、1点目として、公契約基本条例の運用状況について伺います。平成28年度の実績及び平成29年度の状況をお示しください。
公契約基本条例の実施状況について、事業者向けのアンケートを行っているかと思います。事業者向けのアンケートの概要等について、2点目にお示しください。
公契約基本条例は、同条例の手引きでも示されているとおり、草加市と事業者の両者が協力またはそれぞれの責務を果たすことにより、適正な労働環境を確保し、市民サービスの質の向上を図り、もって地域の豊かさを創出することを目的としております。この目的を達成するためには、制度のさらなる拡充が求められるものであり、条例施行から3年目に当たる今がそのタイミングと言えます。
とりわけ労働者の方々からは、公契約基本条例の適用範囲をさらに拡充していただくこととあわせて、法定福利費等の確保の取り組みなどが御意見として寄せられてきております。また、事業者の方々からは、直接お話を伺う中で、現場労働者への適正な賃金を払うためには、低入札の対策を講じることであったり、地元企業優先の取り組みを充実させることと一体になって取り組んでもらいたい、こういった御意見が寄せられております。草加市の公契約基本条例の運用に当たっては、草加市公契約審議会を設置し、労働賃金基準額の設定やその他公契約にかかわる重要事項について、諮問、調査、審議がなされているかと思います。同審議会の諮問内容について徐々に充実させていくことも、これも求められておりますが、3点目として、平成29年度の草加市公契約審議会への諮問内容の予定について伺います。
次に、草加市地元企業優先発注等に係る実施方針について伺います。
地元企業優先発注等に係る実施方針は、市内事業者の発注機会の確保や育成を図るため、適正な競争原理のもと、公平性を保ちつつ、地元企業優先発注を推進するための方針で、公契約基本条例とセットで平成27年度から実施されました。地域経済の活性化、労働者の安定した雇用や所得につながる効果が期待されております。
そこで、4点目として、地元企業優先発注等に係る実施方針の運用状況と目標との比較について伺います。また、平成27年度実績との比較も伺います。
公契約基本条例によって労働者の賃金を上げても、低入札で契約金額が上がらず、人件費だけが上がっただけになってしまう。また、適正な賃金を支払っているし、いい仕事をしている自信はあるが、赤字でも入札してくる相手には価格面でかなわない、こうした御意見が、事業者の方々と懇談させていただく中で寄せられました。こうした課題を打開するのも公契約基本条例の役割だと思います。昨年12月定例会においても、低入札対策を求めたところでありますが、低入札対策について御答弁いただきたいと思います。
将来を担う人材確保や建設業で働く方々の公的保障を受けられるように、国土交通省では認可業者の社会保険加入100%を目指す取り組みが今進められており、建設業界全体においても平成29年度を目標年次として社会保険への加入促進が取り組まれております。これまで、ここら辺の制度が非常におくれていた結果であるとは思います。
社会保険への加入を促進するためには、事業者が発注者や元請企業との契約において、工事費等に含まれる厚生年金等の社会保険料の事業主負担分である法定福利費を確保することが重要になってきます。そのため、国土交通省でも、法定福利費の内容を明示した見積書、標準見積書と呼ばれておりますが、標準見積書の活用の徹底を促進しているところであります。
先日、事業者の方と法定福利費について意見交換させていただいたときには、その方の会社では法定福利費も正確に見積もっているものの、提出が求められない場面で、あえて企業側からこれを提出するというのは非常に難しいと。価格競争のせめぎ合いの中で、自分たちの中を見せるというのは、これは非常に難しいと。ただ一方で、ルールとして求められれば提出していけるという旨の御意見をいただきました。
公共工事等の発注者である草加市においても、国土交通省の取り組みを受けて見積書の活用について検討すべきではないでしょうか。法定福利費の内容を内訳明示した標準見積書に伴う課題について、どのように整理されているのか伺いたいと思います。
【答弁】総務部長
公契約に関する御質問について順次お答え申し上げます。
初めに、公契約基本条例の運用状況についてでございますが、前年度からの継続分を含めて申し上げますと、平成28年度の対象件数につきまして、工事請負契約は6件、業務委託契約は109件、指定管理協定は17件で、合計132件でございます。また、平成29年度につきましては、8月末時点の実績を申し上げますと、工事請負契約は3件、業務委託契約は89件、指定管理協定は17件で、合計109件でございます。
次に、事業者アンケートの概要についてでございますが、平成28年度に同条例の適用を受けた88の事業者に対しまして、本年6月に公契約に関する事業者アンケートを実施いたしまして、59の事業者から回答がございました。なお、内容につきましては、現在集計中でございます。
次に、今年度の草加市公契約審議会への諮問についてでございますが、草加市公契約基本条例第17条に基づき、工事または製造の請負契約、業務委託契約及び指定管理者との協定のそれぞれの労働賃金基準額について諮問する予定でございます。また、当条例が施行されてから3年目を迎えることから、公契約にかかわる重要事項として公契約基本条例の適用範囲についても、あわせて諮問を行う予定でございます。
次に、地元企業優先発注等に係る実施方針の目標値と実際の運用状況について申し上げます。
平成28年度の契約課における発注実績で申し上げますと、建設工事の市内業者への発注件数は120件、発注率は87.6%でございまして、目標値の95%を7.4ポイント下回りました。なお、平成27年度との比較では、2.9ポイント下回っております。
また、建設コンサルタントなどの業務委託の市内業者への発注件数は105件、発注率は60.7%でございまして、目標値の70%を9.3ポイント下回りました。なお、平成27年度に対しましては、7.0ポイント上回っております。
また、実施方針の課題といたしまして、土木工事においては市内発注率が97.2%、建築工事においては95.2%と高い数値である一方、市内に登録業者のない特殊性の高い業種や技術的難易度が高い工事などについては、やむを得ず市外業者へ発注するという状況がございます。
今後の対策といたしまして、市内業者の育成を図る必要があることから、分離・分割の発注により地元企業に受注機会を確保するとともに、市内事業者を含めた共同企業体方式を活用することにより、技術力の向上を図ってまいりたいと考えております。
次に、低入札対策についてでございますが、事業者には労働者の適切な賃金や社会保険などの法定福利費を確保してもらう必要がございます。このため、建設工事につきましては、草加市低入札価格及び最低制限価格取扱実施要綱を制定し、ダンピング受注とならないように入札事務を実施しているところでございます。
本市の最低制限価格等の基準につきましては、国や多くの自治体で採用されている中央公共工事契約制度運用連絡協議会モデル、いわゆる中央公契連モデルを参考にした算定方式を平成28年2月より採用しているところでございます。具体的には、直接工事費に95%、共通仮設費に90%、現場管理費に80%、一般管理費に55%をそれぞれ乗じた額の合計額で算出する基準となっているものでございます。
この中央公契連モデルが平成28年3月及び平成29年3月に算入率の見直しが行われ、算出の基礎となる直接工事費を95%から97%、さらに、現場管理費を80%から90%に引き上げられておりますことから、本市におきましても今後見直しを行っていく予定でございます。
なお、平成28年度における建設工事の一般競争入札の平均落札率は89.5%、最低の落札率は41.7%でございました。
最後に、法定福利費を内訳明示した見積書に伴う課題について申し上げます。
法定福利費を内訳明示した見積書とは、下請企業が元請企業に対して提出している見積書を、総額だけではなく、法定福利費を内訳として明示することにより、社会保険などの加入に必要な金額を確保するためのものでございます。この見積書を使用することは、社会保険等未加入対策を進める上で有効である一方、事業者にとっては法定福利費を算出明示することが難しいケースもあると伺っております。
国では、このような状況を踏まえ、事業者の協力が得られるよう、法定福利費を内訳明示した見積書の作成方法などについて解説する法定福利費セミナーを開催するなど、見積書の活用を推進しているところでございます。
本市におきましても、国や他の自治体の動向を踏まえ、事業者に対し見積書の活用を呼びかけるとともに、必要な支援策を検討してまいりたいと考えております。
以上でございます。