[1]収益合計は12.5%増、医業収益は5.2%減
草加市立病院の2020年度決算は、全体の事業収益は合計140億3367万円(前年度比+12.5%)に対し、事業費用は125億7916万円(前年度比-1.9%)で、14億5451万円の純利益となりました。
事業収益のうち、本業である医業収益は104億9868万円で前年度比-5.2%の減収でした。新型コロナ病床確保による影響や患者数が前年度比8.4%減少したことなどが主な要因です。
また、本業の医業収益が悪化したなかで、全体の事業収益が改善した主な理由は、コロナ関係の財政支援によります。※詳細は[3]で記載
[2]3億円の赤字予算➔14億円超の黒字決算
2020年度の予算段階では、保険請求の問題に伴う産婦人科の新規患者受け入れ休止などにより、純損失が約3億円の赤字、資金期末残高は1千万円まで減少する見通しでした。
さらに、資金不足により、工事など多くの実施事業を年度末まで遅らせ、未払金が約12億円も残る予算編成であり、経営悪化による病院経営の負の連鎖が生じている点を予算段階で指摘しました。
ところが、赤字見通しだった純損失は14億円超の純利益(黒字)決算に好転し、資金期末残高も12億7412万円まで改善されました。初の黒字決算です。
[3]黒字理由は25億円規模の財政支援
病院財政がここまで改善した主な要因は、本業の医業収益が改善したわけではなく、国や県、草加市からの新型コロナウイルス感染症関係の支援によります。
そのため、財政状態を示す指標は改善した一方で、経営成績や労働生産性などを示す各指標は軒並み悪化する二極化した決算となりました。
[財政支援の内容]
・国・県からの新型コロナ関係の補助金 ➔ 総額20億2千万円超
・草加市から追加の基準内繰入れ ➔ 1億4千万円(年度途中の補正)※年度合計21億4千円
・草加市からの基準外繰入れ ➔ 約2億2千万円(年度途中の補正)
[4]新規事業などの実績も
2020年度は新たに緩和ケア病棟がはじまりました。予算段階では、緩和ケア病棟の入院・外来収益を合計4200万円と見込んでいましたが、決算額は予算比2.4倍の9130万1千円でした。また、市立病院内の電気料金について、供給業者を随意契約から入札に切り替えたことで、2020年12月からの3か月分の電気料金が1278万円(税抜)もの削減につながりました。地道な病院運営の改善策が見受けられる側面もありました。
最後に、市立病院の2020年度決算は、予定していなかった財政支援により財政上好転したように見受けられますが、病院経営が危機的な状況を脱したわけではありません。
草加市立病院の2020年度決算は、全体の事業収益は合計140億3367万円(前年度比+12.5%)に対し、事業費用は125億7916万円(前年度比-1.9%)で、14億5451万円の純利益となりました。
事業収益のうち、本業である医業収益は104億9868万円で前年度比-5.2%の減収でした。新型コロナ病床確保による影響や患者数が前年度比8.4%減少したことなどが主な要因です。
また、本業の医業収益が悪化したなかで、全体の事業収益が改善した主な理由は、コロナ関係の財政支援によります。※詳細は[3]で記載
[2]3億円の赤字予算➔14億円超の黒字決算
2020年度の予算段階では、保険請求の問題に伴う産婦人科の新規患者受け入れ休止などにより、純損失が約3億円の赤字、資金期末残高は1千万円まで減少する見通しでした。
さらに、資金不足により、工事など多くの実施事業を年度末まで遅らせ、未払金が約12億円も残る予算編成であり、経営悪化による病院経営の負の連鎖が生じている点を予算段階で指摘しました。
ところが、赤字見通しだった純損失は14億円超の純利益(黒字)決算に好転し、資金期末残高も12億7412万円まで改善されました。初の黒字決算です。
[3]黒字理由は25億円規模の財政支援
病院財政がここまで改善した主な要因は、本業の医業収益が改善したわけではなく、国や県、草加市からの新型コロナウイルス感染症関係の支援によります。
そのため、財政状態を示す指標は改善した一方で、経営成績や労働生産性などを示す各指標は軒並み悪化する二極化した決算となりました。
[財政支援の内容]
・国・県からの新型コロナ関係の補助金 ➔ 総額20億2千万円超
・草加市から追加の基準内繰入れ ➔ 1億4千万円(年度途中の補正)※年度合計21億4千円
・草加市からの基準外繰入れ ➔ 約2億2千万円(年度途中の補正)
[4]新規事業などの実績も
2020年度は新たに緩和ケア病棟がはじまりました。予算段階では、緩和ケア病棟の入院・外来収益を合計4200万円と見込んでいましたが、決算額は予算比2.4倍の9130万1千円でした。また、市立病院内の電気料金について、供給業者を随意契約から入札に切り替えたことで、2020年12月からの3か月分の電気料金が1278万円(税抜)もの削減につながりました。地道な病院運営の改善策が見受けられる側面もありました。
最後に、市立病院の2020年度決算は、予定していなかった財政支援により財政上好転したように見受けられますが、病院経営が危機的な状況を脱したわけではありません。