草加市議会で明らかとなった市長と議員の雇用関係問題について時系列にまとめました。
[1]緊急質問が認められず
9月2日の議会開会日、斉藤雄二議員(市民共同議員団長)が二元代表制の危機についての緊急質問をおこないたいと議会に求めました。
「地方議会運営事典 第2次改訂版(㈱ぎょうせい発行)」では、緊急質問の対象を「天変地異、突発的な出来事の発生などに際し、又は執行部の政治責任など」と規定しています。地方議会の土台である二元代表制の危機は、まさに緊急質問に合致します。ところが、反対多数(共産党も反対)で緊急質問は許可されませんでした。
斉藤議員に確認したところ、緊急質問で、市長と議員の雇用問題を取り上げる予定だったとのことです。議会は、市長と平等な立場でなければ市長提出議案の公正な審議やチェックはできず、9月議会が始まる前に問題を明らかにする必要があったとしています。
[2]問題が表面化
9月14日、斉藤雄二議員が「市長の政治姿勢について」の一般質問をおこないました。
質問により、浅井昌志草加市長が取締役だった保険事務所に、佐々木洋一議員がスタッフとして所属している問題が明らかとなりました。市長や佐々木議員の答弁・文書などにより、少なくとも、浅井氏が市長に就任した2018年10月から、取締役を退任する12月までの2カ月間は、市長と議員が雇用関係★にあったことが判明しました。
・同保険事務所草加支店は市長の所有地に登記されており、その建物(平屋)には市長が代表取締役を勤めている有限会社も登記されています。
・「市長や家族は、保険事務所の出資者(株式会社で言うところの株主)なのか?」との質問し対して、市長は個人情報を理由に「答えられない」と答弁。会社の支配関係について明らかになっていません。
概要はコチラ➔斉藤ゆうじ公式サイト[浅井昌志 市長が関わる会社で、佐々木洋一前議長がスタッフに]
★市長と議員に雇用関係があると何が問題なのか?
→市長と議会は、ともに市民から選挙で選ばれた代表者であり、常に対等な関係でなければ市政の公正なチェックはできません。市長と議員に雇用関係(上下関係)が存在していたら、議員が市政を厳しくチェックできるでしょうか?問題の本質は、市政全体への信頼が崩れかねない問題を究明することにあります。私たち市民共同議員団は、市長と議会の正常な関係を守りたいだけです。
[3]当事者議員が「侮辱された]と処分要求
9月17日、当事者である佐々木議員が、斉藤議員の質問で侮辱を受けたとして、処分要求書(下記参照)を議長に提出。9月22日に懲罰委員会が設置され、同日に斉藤議員の弁明と審査がおこなわれました。
処分要求書の原本
■斉藤議員の弁明
斉藤議員は、懲罰委員会で次の3点について弁明しました。
①佐々木議員は処分要求で「浅井市長は市長就任後に会社の取締役を辞任しており、浅井市長と私の間には雇用等の関係はない」としたが、取締役であれば雇用関係にあるとの認識を自ら認めた文書だ。少なくとも、市長就任から取締役を辞任するまでの2か月間は、雇用関係にあったことを自ら認めただけ。
②佐々木議員は「明らかに必要な限度を超えた人身攻撃」と言うが、私の質問は、二元代表制における疑義をただしたもの。佐々木議員のプライベートまで立ち入った質問は行っておらず、質問は市政全体への信頼が崩れかねない問題を究明することにある。
③「怪文書」との指摘は、私が言い過ぎたものであり謝罪させていただく。
■懲罰委員会での処分根拠
懲罰委員会では、懲罰の根拠がほぼ示されずに審査が終了し、賛成多数で懲罰が採択されました。
唯一、広田丈夫議員から懲罰すべき理由が2点述べられました。①斉藤議員の質問が「限度越えている」「関係者の正常な感情を反発する言葉がある」、②斉藤議員が弁明で謝罪したことについて、「あれは謝ってないと思います」「あれで許していたら、絶対思っていないですから、やはり懲罰に値する」と説明しました。つまり、この点のみが懲罰委員会として懲罰を決めた理由です。
懲罰委員会は、客観的かつ公平・公正な議論と判断が求められることは言うまでもありません。根拠がすべて感情・主観による不当な懲罰です。
[4]議会原則を無視した懲罰
9月27日の議会閉会日、斉藤議員に対する懲罰(陳謝)の採決がおこなわれました。
石田恵子議員(市民共同議員)が、懲罰に対する反対討論をおこない、「すでに謝罪している議員に、謝り方が納得いかないから懲罰しろ、本会議で陳謝しろという論調は非常に危険」と指摘した上で、「これが先例となれば、今後は、どのような謝罪をしたか、謝罪が良かったか悪かったかまで懲罰を課す正当な理由になってしまいます」「議会の良識を疑います」と訴えました。
しかし、賛成多数(賛成16、反対8)で斉藤議員への懲罰(陳謝)が課せられました。共産党まで討論もせず懲罰に賛成しました。
[5]市長が資産公開を訂正
浅井市長は9月27日付けで資産等報告書等の訂正届を提出し、草加市役所ホームページの「市長の資産公開」が訂正されました。
斉藤議員の質問で、「市長の資産公開」の記載内容に複数の誤りが明らかとなったことによるものです。おもな誤りは、市長が報酬を得ている会社役員等が記載されていなかった点などです。市長の資産公開は、民主政治の健全な発達に資することを目的とする「政治倫理の確立のための草加市長の資産等の公開に関する条例」に基づく重要な公開情報で、非常に重いものです。
詳細はコチラ➔草加市ホームページ[市長の資産等公開]
[6]共産党まで問題の本質を隠して、懲罰を正当化
日本共産党草加市員会は、「明るい草加 10月10日号」(同市委員会発行)で懲罰についての公式見解を発表(下記参照)しました。
見解では、佐々木議員が「怪文書」との表現で「侮辱された」ととらえ、斉藤議員も「怪文書」が誤りだと認めたから、共産党も懲罰に賛成したとの立場を示しました。
[1]緊急質問が認められず
9月2日の議会開会日、斉藤雄二議員(市民共同議員団長)が二元代表制の危機についての緊急質問をおこないたいと議会に求めました。
「地方議会運営事典 第2次改訂版(㈱ぎょうせい発行)」では、緊急質問の対象を「天変地異、突発的な出来事の発生などに際し、又は執行部の政治責任など」と規定しています。地方議会の土台である二元代表制の危機は、まさに緊急質問に合致します。ところが、反対多数(共産党も反対)で緊急質問は許可されませんでした。
斉藤議員に確認したところ、緊急質問で、市長と議員の雇用問題を取り上げる予定だったとのことです。議会は、市長と平等な立場でなければ市長提出議案の公正な審議やチェックはできず、9月議会が始まる前に問題を明らかにする必要があったとしています。
[2]問題が表面化
9月14日、斉藤雄二議員が「市長の政治姿勢について」の一般質問をおこないました。
質問により、浅井昌志草加市長が取締役だった保険事務所に、佐々木洋一議員がスタッフとして所属している問題が明らかとなりました。市長や佐々木議員の答弁・文書などにより、少なくとも、浅井氏が市長に就任した2018年10月から、取締役を退任する12月までの2カ月間は、市長と議員が雇用関係★にあったことが判明しました。
・同保険事務所草加支店は市長の所有地に登記されており、その建物(平屋)には市長が代表取締役を勤めている有限会社も登記されています。
・「市長や家族は、保険事務所の出資者(株式会社で言うところの株主)なのか?」との質問し対して、市長は個人情報を理由に「答えられない」と答弁。会社の支配関係について明らかになっていません。
概要はコチラ➔斉藤ゆうじ公式サイト[浅井昌志 市長が関わる会社で、佐々木洋一前議長がスタッフに]
★市長と議員に雇用関係があると何が問題なのか?
→市長と議会は、ともに市民から選挙で選ばれた代表者であり、常に対等な関係でなければ市政の公正なチェックはできません。市長と議員に雇用関係(上下関係)が存在していたら、議員が市政を厳しくチェックできるでしょうか?問題の本質は、市政全体への信頼が崩れかねない問題を究明することにあります。私たち市民共同議員団は、市長と議会の正常な関係を守りたいだけです。
[3]当事者議員が「侮辱された]と処分要求
9月17日、当事者である佐々木議員が、斉藤議員の質問で侮辱を受けたとして、処分要求書(下記参照)を議長に提出。9月22日に懲罰委員会が設置され、同日に斉藤議員の弁明と審査がおこなわれました。
処分要求書の原本
■斉藤議員の弁明
斉藤議員は、懲罰委員会で次の3点について弁明しました。
①佐々木議員は処分要求で「浅井市長は市長就任後に会社の取締役を辞任しており、浅井市長と私の間には雇用等の関係はない」としたが、取締役であれば雇用関係にあるとの認識を自ら認めた文書だ。少なくとも、市長就任から取締役を辞任するまでの2か月間は、雇用関係にあったことを自ら認めただけ。
②佐々木議員は「明らかに必要な限度を超えた人身攻撃」と言うが、私の質問は、二元代表制における疑義をただしたもの。佐々木議員のプライベートまで立ち入った質問は行っておらず、質問は市政全体への信頼が崩れかねない問題を究明することにある。
③「怪文書」との指摘は、私が言い過ぎたものであり謝罪させていただく。
■懲罰委員会での処分根拠
懲罰委員会では、懲罰の根拠がほぼ示されずに審査が終了し、賛成多数で懲罰が採択されました。
唯一、広田丈夫議員から懲罰すべき理由が2点述べられました。①斉藤議員の質問が「限度越えている」「関係者の正常な感情を反発する言葉がある」、②斉藤議員が弁明で謝罪したことについて、「あれは謝ってないと思います」「あれで許していたら、絶対思っていないですから、やはり懲罰に値する」と説明しました。つまり、この点のみが懲罰委員会として懲罰を決めた理由です。
懲罰委員会は、客観的かつ公平・公正な議論と判断が求められることは言うまでもありません。根拠がすべて感情・主観による不当な懲罰です。
[4]議会原則を無視した懲罰
9月27日の議会閉会日、斉藤議員に対する懲罰(陳謝)の採決がおこなわれました。
石田恵子議員(市民共同議員)が、懲罰に対する反対討論をおこない、「すでに謝罪している議員に、謝り方が納得いかないから懲罰しろ、本会議で陳謝しろという論調は非常に危険」と指摘した上で、「これが先例となれば、今後は、どのような謝罪をしたか、謝罪が良かったか悪かったかまで懲罰を課す正当な理由になってしまいます」「議会の良識を疑います」と訴えました。
しかし、賛成多数(賛成16、反対8)で斉藤議員への懲罰(陳謝)が課せられました。共産党まで討論もせず懲罰に賛成しました。
[5]市長が資産公開を訂正
浅井市長は9月27日付けで資産等報告書等の訂正届を提出し、草加市役所ホームページの「市長の資産公開」が訂正されました。
斉藤議員の質問で、「市長の資産公開」の記載内容に複数の誤りが明らかとなったことによるものです。おもな誤りは、市長が報酬を得ている会社役員等が記載されていなかった点などです。市長の資産公開は、民主政治の健全な発達に資することを目的とする「政治倫理の確立のための草加市長の資産等の公開に関する条例」に基づく重要な公開情報で、非常に重いものです。
詳細はコチラ➔草加市ホームページ[市長の資産等公開]
[6]共産党まで問題の本質を隠して、懲罰を正当化
日本共産党草加市員会は、「明るい草加 10月10日号」(同市委員会発行)で懲罰についての公式見解を発表(下記参照)しました。
見解では、佐々木議員が「怪文書」との表現で「侮辱された」ととらえ、斉藤議員も「怪文書」が誤りだと認めたから、共産党も懲罰に賛成したとの立場を示しました。
市長と議員の雇用問題の本質には一切触れず、「怪文書」以外の不当な処分理由にも一切触れていません。市長へ向けられた問題をひた隠して擁護したいのか、共産党議員の不祥事隠ぺいを許さなかった私たち市民共同への嫌がらせなのか、それとも物事を理解されていないのか…
■民主的な議会運営を放棄
■民主的な議会運営を放棄
同時に、誤りを認め謝罪した議員に、まともな議論もなく、数の力だけで重い懲罰を課す行為を、共産党が正当化してしまった重大な瞬間でもあります。
言論の府である議会では、議員の発言は最大限保証されるべきです。そのもとで、不適切な発言があれば発言を削除させることができます。こうした議会原則も無視して、”いきなり懲罰”で論点をすり替え、本人が謝罪したのにさらに重い懲罰を課すことを共産党が良としました。
言論の府である議会では、議員の発言は最大限保証されるべきです。そのもとで、不適切な発言があれば発言を削除させることができます。こうした議会原則も無視して、”いきなり懲罰”で論点をすり替え、本人が謝罪したのにさらに重い懲罰を課すことを共産党が良としました。
今後は、「誤った発言」➔即「懲罰」が可能となってしまいました。もう「不当!」などとは言えません。共産党はいつからそこに違和感すら覚えなくなってしまったのでしょうか…
※なお、懲罰は課せられましたが、問題とされた斉藤議員の議会発言は削除されていないため公式な会議録に残り続けます。
・共産党草加市委員会発行「明るい草加 10月10日号」の抜粋
※なお、懲罰は課せられましたが、問題とされた斉藤議員の議会発言は削除されていないため公式な会議録に残り続けます。
・共産党草加市委員会発行「明るい草加 10月10日号」の抜粋
議会としてなんとも情けない話しです。
共産党まで民主的な議会運営を蔑ろにして変質するなか、党派の枠をこえて、問題の本質に向き合われている議員一人一人との連携による問題解決をめざします。