殿は今夜もご乱心

不倫が趣味の夫と暮らす
みりこんでスリリングな毎日をどうぞ!

教えの怪

2010年04月03日 08時27分10秒 | みりこんぐらし
「みりこんさん、“教え”をやらない?」

何年もご無沙汰だった年配の知人が、電話してきた。

    「教え?」

「私、教えを教えているの。

 “教えの会”っていうお教室を持ったのよ」

    「教えの会?」

「そうなの!

 私、すごく頑張ったのよ~!」


こちらの当惑をよそに、知人はしゃべり続ける。

“お教室”を持ったことが、よっぽど嬉しいらしい。

興奮した口調は、マルチ商法に洗脳された人のそれと似ている。


「私の教えはね、現代風の感覚を取り入れた独特のものなの。

 最近、またちょっとしたブームになりつつあってね…」

“またブーム”って、前を知らんし…。

教えを教えてる…変な新興宗教かも!

私は怪しんだ。


「手軽に学べて、楽しみながら出来るのが教えのいいところよ」

     「はぁ…」

「教えは荷物にならないし、年をとってもずっと続けられるしね」

     「いや…あの…私はそういうのはちょっと…」

「あら~!どうして~?みりこんさんは向いてると思うのよ」

     「そ…そう言われても…」

「お年寄りが多いんだけど、若いお弟子さんにも入ってもらいたいのよ」

     「で…弟子…」


…危ない、危ない。

この人も、ついにそういうことになったか…。

前からちょっと変ってるというか、周りが見えてないと思っていたけど

やっぱりね…。


「皆さん、やって良かったと喜んでくださるのよ。

 人にものを教えるって、自分も学べてすばらしいわ。

 毎日が、とても充実しているの」

ひ~…あんたの充実のために、おいらの魂を犠牲にするわけにはいかんぞ~!


しかし、老後の生き甲斐を見つけたばかりの女は厄介だ。

舞い上がり、燃え上がり、手が付けられない。

「ね、一緒にやろう!仲間も待ってるわ!」

…そんな仲間、いらん。


     「今、仕事が忙しいから、ちょっと無理です」

事柄によっては、私は働いていることにするのだ。

前職が時間に不規則で、人目につかない仕事だったので

まだこの手が通用する。

嘘ではない…働いていますとも…家で。


「忙しいからこそ、週に一度の教えの会が、心のオアシスになると思うわ」

ちっ…敵もさるものだ。

     「そういうのは、私、苦手なんです。ごめんなさい」

「え~?やればいいのに~!」

しかし最終的には

「また気が変ったら、声かけてね」と言ってくれた。

ホッ…。


数日後、本屋でその知人とバッタリ会う。

「そうそう、今ちょうど色々持っているのよ」

うぅ…万事休す。


知人が袋から取り出したのは、数枚の色紙。

うひゃ~!教祖のサインか~?

いえいえ、色紙の上に太った子供や花を立体的にアップリケした

和風の地味~な手芸であった。

布の中にワタを入れて、ぷっくり膨らませたパーツを

糊で貼り付けて形にするのだ。

夫のおばあちゃんが生前、老人クラブで作ったのをくれたことがある。


「ね!いいものでしょ?押し絵って」

教えじゃなくて、押し絵だと、その時やっと理解した。

自分の趣味や立場を過大評価しすぎると、正確な情報が伝わらんじゃないか。

手芸を教えてます…生徒を募集してます…入ってください…と言えば早いのに

変に気取るから、おかしなことになるのだ。


「お節句や誕生祝いの贈り物に、とっても喜ばれるの」

…喜ばれん、喜ばれん。

「頼まれて制作することもあるわ」

…無い、無い。

「みりこんさんも必要な時は言ってね!

 特別にお安くしておくから」

…いらん、いらん。

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28 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
教え(笑) (たらこ)
2010-04-03 11:04:01
『教え』なら もうみりこん姉様はなさってますよ!

ここでいろんな事を学ばせていただいてますっ!ありがとうございますm(_ _)m


夫の祖母 御年93歳。現在も一人暮らし。
趣味は 人形づくり。

夫の不倫が明るみになる前の話しです。
義祖母は人形を作成しては 夫の実家に置いていき、扱いに困る義母は 数体を私たちに押しつけようとするが置場所がないと夫が拒否(裏でいらんと私が目配せ) 
仕方なしにと1、2体はあります…。

義祖母が元気な事はなによりです。が、人形はいりません。髪が伸びたりしたら怖いですもん(苦笑)
一人で楽しむ分には良いんです…。
返信する
ご無沙汰してます (のりこ)
2010-04-03 11:52:22
教え!
押し絵!
意外なオチに爆笑させていただきました!

以前、ネットの掲示板で見たことがあります。
「姑からもらって困っている物は?」
色んな物の名前が並んでいて、どれもかなり笑えましたが、
私が一番ツボだったのは
「五円玉で作った亀」
でした。

でも、押し絵もけっこう困ると思います…
返信する
 まだ 教え の方が面白そうですな (みー)
2010-04-03 12:51:09
みー地区の老人クラブの面々が やってますわ~ 
毎年12月になると来年の干支の壁掛け作りますの
みーも誘われますの毎年…
残念ですけど 忙しいので…というと
作ってくれますの 毎年…

有難いわ~ホントに…
返信する
93才! (みりこん~たらこさんへ)
2010-04-03 13:56:02
ご長寿ですね~!

趣味はけっこうですが、好みに合わない残るものは
もらっても困りますよね(笑)

絵とか、書とかも困ります。
飾ってくれているか、見に来たり、どこそこへ飾ってと指定があったり。
その値打ちがあると、自分では思いたいんでしょうね。

趣味を始める時は、必ず人が欲しがるものを選ぶか
絶対人にあげない強い決心をして臨んでいただきたいものです(笑)
返信する
お久しぶりです! (みりこん~のりこさんへ)
2010-04-03 14:03:06
ワハハ!五円玉手芸…一時期流行りましたな~!
夫の家にもあります…おばあちゃんの作った5円玉の金閣寺。
今は形見となりました。

あの5円玉のものって、作る人も、もらう人も
なぜか金運に見放されるように思います。
本来流通すべき物体をしばり、とどめるので
当然と言えば当然のような…(笑)

押し絵も困りますよ…部屋の雰囲気を一発で高齢化させますもん。
センスの問題もあるでしょうけどね。
返信する
干支の壁掛け! (みりこん~みーさんへ)
2010-04-03 14:09:21
う~ん!
これもなかなかの雰囲気をかもし出しそうじゃ!

年取ったら、私もやるようになるのかなぁ…。
作る喜びと共に、残す喜びもわいてくるのかしらん。
「次にこの干支が巡って来るまでは生きられないだろうな…」
なんて思いながら作るのかしら~!

お礼言って受け取りながら、微妙な表情してる
みーさんが浮かんでくるんですけど(笑)
返信する
おしえ・・・ッテ!! (営業1課 課長)
2010-04-03 14:59:32
こうなったら、教えの押し絵を作ってもらいましょう!!
1枚幾らで売ろうかな!!

もらって困るものって言えば、名前の入った記念品だよね
バザーにも出せないし!
タオルくらいだったら良いけど・・・
皆さんどうしてますか?
返信する
まあ まあ (婆姫)
2010-04-03 15:06:49
中高年とはその様な物でございます。
何をやっても所詮趣味なのであります。
若かりし頃のあらゆる意味での戦いの日々を思うと退屈なのです。
色々やってもすぐ飽きます。
ロシア語
韓国語
中国語

介護事務講座
パソコン
お料理

・・・・

何をやってもお金を払うだけ
儲かることがしたい・・・
人前でえらっそうにしたい

行き着く先はそこでしょう

許してやってください

退屈な日々は幸せな時!
いくらそう言い聞かせても
退屈な日々が死を待つだけの日々に思える時があるのです。

返信する
熱意があって… (サキマ)
2010-04-03 18:00:29
いいな~って思います。
…そのご老人。
さっき、姑がやって来て、『豚のヒレがあるんだけどぉ……』 私『…はぁ…』姑『【私が】揚げてこようか?【私が】おさんどしましょか?』私『……。』
みりこんさん、こんな会話変だと思いませんか?
いっつも、まどろっこしくて、奥歯にはさまったみたいな言い方をするんです。
『豚のヒレあるんだけど一緒に食べない?』もしくは『揚げたてよ、どうぞ!』…とかなんとか明るく言って頂きたい。私も暗いけど(←義父母のせいで)更に暗い姑…。
我が家におもいっきり精神依存している姑なんです。構って欲しい、構って欲しいオーラが凄すぎるんです。無趣味だから、一日中、家で隣の私たちのことばかり気にしてるんです。(覗いてるかもしれない…)
押し絵でも切り絵でもいいから、私達から意識を放してくれ…と言いたい。
でも言えない私…
どっちもどっちですね;
返信する
教えの押し絵(笑) (みりこん~営業一課 課長さんへ)
2010-04-03 18:21:58
どんなんぢゃ…それは…(笑)

名前入り記念品…私のほうでは最近は減りましたね。
時計、皿、バスタオル…あれ、よそへ回されないように
わざと入れる人が多いみたいです。
いつまでも贈った家に居座らせるために。
送り主の自意識の現われだと思うと、ちょっと怖い(笑)

私は使える物は活用するし、気に入らない物であれば
さっさと捨てます~♪
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