公開メモ DXM 1977 ヒストリエ

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切り取りダイジェスト There is an elephant in the room. リビングの中に住む象NBFI

2023-04-11 06:31:00 | 意見スクラップ集

FRB(米連邦準備制度理事会)のスタッフ(執行部)が、年内に穏やかなリセッション(景気後退)が始まると予想。数人の参加者が、経済活動へのリスクは下方向に傾いているとの認識を示した。




木内氏はこう指摘する。

「貸出抑制は、リスク資産を圧縮することで銀行が財務環境の健全性を高め、顧客や金融市場からの信頼性を回復しようとする試みである。そうした信用収縮的な状況は、経済活動を悪化させ、結局は銀行の貸出資産を劣化させて、不良債権問題を生じさせてしまう。銀行不安への銀行の対応が、次の銀行不安のリスクを高めることになってしまう」
そして、次の4つのリスクを生むという。

(1)第1のリスクは「流動性のミスマッチ」だ。オープン型投資ファンドはいつでも解約できることから、金融環境が悪化し、ファンドのパフォーマンスが低下すると、顧客は解約を急ぐ。ハイイールド債や新興国債券を中心に、流動性が低いものが多く、ファンドがそうした商品を換金売りすると、価格が大きく下がるため、顧客は損を拡大させないように、我先へと解約に動く。

(2)第2のリスクは「流動性のスパイラル」だ。ヘッジファンドは、ストレス時に流動性が一気に低下しやすいデリバティブのような金融商品を用いて資金調達を行い、それで投資を行う。いわゆるレバレッジ(てこの作用)だ。現在、ヘッジファンドのレバレッジ比率が高まっている。

こうした状況では、金融資産価格が下落する際に、デリバティブを通じた資金調達も同時に困難となる。そのため、金融資産の換金売りが加速して、金融資産の価格がさらに下落する「流動性のスパイラル」が起きやすくなる。これは、昨年(2022年)英国の年金基金危機で見られた現象だ。

(3)第3のリスクが「投資対象の類似性」だ。ノンバンクの投資対象がそれぞれ大きく異なっていれば、金融市場が混乱しても、ノンバンクの運用パフォーマンスにばらつきが生じ、損失リスクが全体として分散される。

しかし実際には、ノンバンクは同じ金融資産に投資する傾向が強まっている。金融市場の混乱時には、多くのノンバンクが同時に損失を拡大させ、混乱を増幅させることになる。

(4)第4のリスクは「各国の金融政策対応の不確実性」だ。ノンバンクを通じた金融市場の混乱は、国境を越えて伝播する。特に、新興国債券ファンドのリスクが大きい。投資ファンドが、新興国市場のリスクを高め、先進国と新興国との間の資金の流れを大きくかく乱するからだ。



リーマンショックでも経験しなかったこと、NBFI(つまりノンバンク)の複雑性。これもはや監督機関一個の単純な規制強化では調整できない。一律に投資ファンドの禁止もできない。米国は特に不動産担保が崩壊しているので、これに絡むノンバンクの中でも不動産担保証券の逆レバレッジにハマった業者の救済は手遅れの状況が出現している。

今のところ債権雪崩にはなっていないが、意外なところ(海外ドル資産)から積み上がった債権の綻びが出るかもしれない。ソロスをはじめとした米国に敵意を持っているヘッジファンドの短期行動には注意が必要。

リーマンショックが経済を深く停滞させた理由は債権価値の見通しの悪さにあった。NBFIは規制逃れが目的なので、既存の監視ではリスクが見えない。予想を楽観(PER上昇や不動産価格上昇)に置けなくなる。2019年で資産53兆USドルの規模は2020年の世界の国債発行残高に匹敵する大きさです。つまり世界を吹き飛ばす爆弾を米国経済は抱えている。大きすぎて誰も話題にしない。リビングの中に住む象NBFI。

There is an elephant in the room.


NBFIは過去10年間で、全体的に大きく成長し、進化してきた。投資ファンド、保険会社、年金基金、その他の金融仲介業者からなるノンバンク金融機関は、異なる構造を持ち、法域内お よび法域間で異なる規制の枠組みに従っています。ノンバンクの資産シェアは、資金流入と評価額の上昇により、2008年の42%からほぼ半分に増加しました。この増加の要因の一つは投資ファンドの成長であり、その資産は2008年の約21兆米ドルから2018年には53兆米ドルに拡大した。このような成長の背景には、資産蓄積につながる長期的な人口動態のトレンド、マクロ金融要因金融緩和政策や利回りの追求など、金融危機後の改革が銀行系金融の相対的コストを高めた可能性がある。

その結果、実体経済におけるNBFIの重要性が高まった。NBFIのビジネスモデルや提供する金融サービスも多様化しています。新しいタイプの市場(民間債務など)や仲介形態(FinTech クレジットなど)が生まれ、ノンバンクによるクレジット商品(債券ETF、CLOなど)への投資や特定のクレジット分野(住宅ローンや消費者金融など)への参加が拡大しています。ノンバンクは、多様な資金調達や投資機会、幅広いリスク管理やリスク共有サービス(デリバティブ・ヘッジやトレジャリー・マネジメントなど)、効率的なデリバリー(決済、清算、決済、 電子取引インフラなど)を提供しています。その結果、これらの事業体(特に資産運用会社) は、実体経済への資金供給や、家計や企業の貯蓄を管理する上で、より大きな役割を果たすよ うになりました。


 


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