公開メモ DXM 1977 ヒストリエ

切り取りダイジェストは再掲。新記事はたまに再開。裏表紙書きは過去記事の余白リサイクル。

追悼 室伏稔 元伊藤忠

2020-08-25 17:50:00 | 経済指標(物流と金融)
追悼にはその人がどういう人物の影響で育ってきたかという縦糸をたぐり寄せるのが人物を理解しこの世に生き続けてもらう上で好ましい。いつも死そのものは医学的教訓以外に何も情報を持たないのだから。

室伏稔氏は9年前の2011年9月日経新聞の人気半生記「私の履歴書」に以下のような瀬島龍三の思い出をを寄稿されている。ご冥福をお祈り致します。

「私の履歴書  
  仕えやすい上司~相手引き込む交渉 驚嘆
業務本部長の瀬島龍三さんは厳しいが、仕えやすい上司でもあった。指示が常に明快かつ的確だったからだ。不明瞭な報告をしたり、瀬島さんの指示を履行していなかったりしたら、しばしば雷が落ちた。ただ、特徴的なのは部員に雷を落としてしばらくすると、ふらっと我々の部屋に入ってこられて、叱った部員に必ず何か言葉をかけることだった。気配りを忘れない人だった。
日常業務で指導されたのは、①報告書は必ず紙1枚にまとめる②結論を先に示す③要点は3点にまとめる――の3点だ。3枚上の報告書は絶対に受け取らず、突き返していた。また「どんな複雑なことでも要点は3つにまとめられる」が口癖で、我々に物事の本質を見極め、整理する習慣を身につけさせた。
 瀬島さんには、いすゞと米ビッグ3との提携など外国企業との交渉の場に何度も出て頂いた。その交渉ぶりはある意味で「神わざ」だった。まず、こちらの主張に対する相手側の出方、返答をあらかじめ読んでおられた。大抵はその通りに展開したが、まれに予想しない答えが返ってきた時には、通訳に対し「僕の言葉を正しく通訳したのか」と言われるほど自分の読みに自信を持っていた。
 瀬島さんは交渉の場では、メモもみないで話をされたが、その論理性と説得力に途中から相手側がぐんぐん引き込まれ、熱心に聞くようになるさまは驚きだった。いすゞとフォードとの提携交渉は結果的には成立しなかったが、途中でフォードの副社長が瀬島さんについて「自分が接したアジアの要人、ビジネスマンであんなに頭の切れる人は初めてだ」と感服していたのが印象的だった。
瀬島さんの交渉の別の特徴は、知らないことは「知らない」と率直に答え、「調べてご返事する」と約束し、必ず実行することだった。時に、こちら側に都合の悪いことも一切隠さず話されていたことも、人の信頼を得る道として、私は目を開かされた。
「用意周到、準備万端、先手必勝」――。交渉や事業の着手にあたって瀬島さんがよく口にされていた言葉である。とにかく徹底的に準備をしてから事を始め、とにかく相手に先んじることが必勝の道という教えだった。
商社の収益源の柱はかつての貿易取引の口銭から、事業投資による配当、利益分配に移った。その戦略も瀬島さんが先駆けとなった。特に資源開発については「石油や鉱物資源を取引だけでなく、資本で押さえることは長期的な会社の利益になるだけでなく、国益につながる」と主張され、大型の投資を相次いで主導された。そのなかには、豪州のマウント・ニューマン鉄鉱山、インドネシアのNATOMASの石油権益など伊藤忠の発展の大きな力になった案件も少なくなかった。
 振り返れば、瀬島さんの部下からは青柳健二さん、高原友生さん、林俊範さん、大木公治さん、柿澤國男さん、降旗健人さん、後藤茂さんら伊藤忠の経営陣に加わり、成長を支えた人たちが輩出された。
 2007年9月4日、瀬島さんが亡くなられた。10月17日に東京・築地本願寺で伊藤忠と瀬島さんが理事長をされていた亜細亜学園の合同葬が行われ、私は葬儀委員長を務めた。
それが私の伊藤忠商事相談役としての最後のつとめとなったことにも何かの縁を感じた。(元伊藤忠商事会長)」(2011/09/18付「日経新聞」p32「私の履歴書」より)

「「用意周到、準備万端、先手必勝」」「①報告書は必ず紙1枚にまとめる②結論を先に示す③要点は3点にまとめる――の3点」「どんな複雑なことでも要点は3つにまとめられる」 は、今でもこの訓示やっている管理職多いのではないか。なんでも上司(社長)に報告するときに3点ありますと、最初に言う上司がいた。とにかく社長という人々は時間がなくてじっくり話す機会を社内で持つことが出来ない。3つなくても3つという極意だった。

どんなに英米系ビジネスマンに頭が切れると褒められても、アジア土人にしてはというメッセージであることを読み取るべきだろう。大会社と言ってもアジア・パシフィック担当の副社長レベルに優秀なエリートはいないし、エリートはそのような言い方で褒めたりしない。頭は日本人の方がいいということは幕末の金銀料率交渉*で証明されている。

瀬島龍三氏が亡くなり、10年もせずその謦咳に触れた人々も消えつつある。
青柳健二さん、
高原友生さん、2009年 鬼籍 「商戦―伊藤忠 火の玉社員の半生記」
林俊範さん、
大木公治さん、
柿澤國男さん、
降旗健人さん、
後藤茂さん VCとしては多少は縁があったのかもしれない。
特に訃報記事のない方はご存命なのだろう。
この方々の遺産はどこまでこれから始まる世界の変貌に磨損せず耐えるか。
次は「商戦―伊藤忠 火の玉社員の半生記」でも読んでみようか。

 伊藤忠商事が4日発表した2015年4~12月期の連結決算(国際会計基準)は、純利益が前年同期比21%増の2809億円だった。非資源分野が好調で4~12月期として過去最高となった。4~9月期に引き続き、2日に決算発表した三菱商事の2399億円を上回った。

 セグメント別では、原油価格の下落の影響はあったものの、米国での石油ガス開発事業の撤退により税費用が減ったことなども寄与し、エネルギー・化学品が減収増益だった。連結ベースの売上高に当たる収益は9%減の3兆7719億円、営業利益が17%減の1625億円だった。

 16年3月期通期の業績見通しは従来予想を据え置いた。純利益は前期比10%増の3300億円を見込む。


ちなみに参謀としての瀬島龍三氏を描いた「瀬島龍三 参謀の昭和史」保阪正康著 の文庫版のあとがきには、「赤いナポレオン」と呼ばれていたとの言及がある。どの時点からそのような思想になったかわからないが、瀬島龍三は共産主義者だった。しかもハル・ノートをつきつけられて快哉する参謀だった。


時は過ぎて
伊藤忠・CP連合への株式売却を中国政府が承認した目的は、中国最大の国有複合企業連合の不良資産処理だとみられている。いい買い物だったのかどうかCPは華僑と中共を結ぶ外局。まさにCP Communist Partyなのだということを忘れてはいけない。

ニュースサイトで読む: http://biz-journal.jp/2015/01/post_8746_3.html
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時は遡り、土人ビジネス、相手は人間ではなく猿と考えることが当たり前だった米国の貿易を思い出してみよう。

安政期外国人商人が1ドル銀貨をまず一分銀3枚に交換し、両替商に持ち込んで4枚を小判に両替して、国外に持ち出し地金として売却すれば莫大な利益が得られる不当な交易を一時的に幕府が許容していた点を修正しなければ、金地金になって小判が流出していた。オールコックは著書『大君の都』の中で日本の本位貨幣である天保小判が金貨4ドル分の金を含有し、一分銀には素材価値以上の価値が設定されていたことにより金貨流出につながったことを認めている。
*目付であった小栗忠順は、一分銀およびそれと同じ額面を持つ一分金をフィラデルフィアの造幣局で分析させ、一分銀の35.6セントに対し、一分金は89セントに相当することを確認させた。この結果を基に、「洋銀と一分銀の交換は禁止し、90セント=1分として一分金との交換を行う」ことを主張した。米国側は小栗の主張の正当性は理解したものの、合意には至らなかった。

追補2020 はたして原点に戻れるのか?

 伊藤忠商事は16日、4月1日から伊藤忠グループの企業理念を「三方よし」に改定すると発表した。近江商人の経営哲学として知られる「売り手よし」「買い手よし」「世間よし」を理念として商いの原点に立ち返り、急激な経営環境の変化に対応するという。

伊藤忠創業者の初代伊藤忠兵衛氏(伊藤忠商事提供)
伊藤忠創業者の初代伊藤忠兵衛氏(伊藤忠商事提供)

 「三方よし」は、伊藤忠の創業者である初代伊藤忠兵衛が重んじた言葉とされ、売り手と買い手だけではなく、地域経済に貢献することで、経済活動が許されるという考えだ。持続的な企業価値の向上と、社会課題の解決を図るという現在の取り組みにつながっている。

 現行の理念は、「豊かさを担う責任」で、1992年に策定した。改定は28年ぶり。広く知られた言葉を取り入れることで、グループの結束力を高める狙


(ブルームバーグ): 伊藤忠商事は25日、子会社のファミリーマートに対して実施していた株式公開買い付け(TOB)が成立したと発表した。応募株数は7900万株超で買い付け予定株数の下限である5011万4060株を上回った。伊藤忠は今後、完全子会社化に向けた手続きを進め、ファミマは上場廃止となる見通し。(Bloomberg)




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