「増富温泉」は山梨県北杜市にある温泉で、戦国時代に武田信玄が金山開拓中に発見したという伝承をもつ「信玄の隠し湯」の一つです。
別名
増富ラジウム温泉 とも言われ、ラジウムの含有量が世界でもトップクラスを誇り(1リットル中の含有量は12,300マッヘ)、疾患を持つ多くの方がその効果を求めここを訪れています。
アクセスするには、中央自動車道を須玉ICで降り 増富ラジウム街道(県道23号線)を通って山の中に向かいます。
ICから30分、期待を胸に車を走らせると数軒の宿が見えてきます。 ここが目的地「増富温泉郷」です。
今回の「厳選・源泉」温泉は、その中でも特に人気がある「不老閣」を紹介します。
ここが親しまれている理由は、内湯の他に
宿泊者のみ が入れるという特別な
天然洞窟風呂 があるからです。
チェックインを済ませ、真っ先に向かったのは やっぱり「洞窟風呂」です。
洞窟は宿に隣接しているのではなく、裏山を上ったところにあります。
これが、思いの他 離れていてビックリ!
宿泊用のサンダルで歩くのはちょと辛いかも・・・
「健康の道」と名付けられた洞窟風呂までの道のりは、湯治で訪れた方の改善の目安にもなっているようで、
一緒に来ていた方の話によると、最初は膝が痛くて登るのが大変だったけど、数日通っていると痛みも引いて楽になったと言っていました。
ほとんど森林浴ですね・・・ 海抜1000Mに吹く爽やかな風と木漏れ日を浴びながら湯小屋を目指します。
宿から5分ほど歩くと 山肌にへばり付くように建てられた小屋が見えて来ます。
ここが「天然洞窟風呂」がある湯小屋です。
基本湯船は一つしかないので、宿泊者は誰でも気軽に入浴できるわけではなく、
時間が男女別に細かく分かれているので女性も安心して入ることができます。
ここの源泉は冷泉(なんと19℃)なので、まずは41℃に加熱されたお湯(左側:こちらは源泉ではありません)で体を温め、
成分が浸透し易いよう十分に毛穴を開いてから 源泉(冷泉)のある湯船(右側)に移動し そこで10分から15分ほど浸かります。
これを2~3回繰り返すのが正しい入り方のようです。
これが、「不老閣」の天然洞窟風呂です・・・
大岩に囲まれた小さな湯船は、2~3人で満員なるほどの大きさです。
誰も居なくて、薄暗く静けさに包まれていると どこか物怖さを感じゾクゾクしてきます。
来た時は入れる時間に余裕が無かったので、(洞窟風呂は17時30まで)
正しい入り方とは順番が違いますが、まずはこっちから入りました。
「うぁ冷たー」そして
「深っ」 これが第一声でした・・・
真夏とは言え、温度が19℃だと冷たく感じるのと、岩盤をくり抜いて出来ているため、徐々に深くなっているわけではなく、
いきなり腰の辺りまでドボンです・・・
(混濁していて、底が見えないので最初は驚く)
舐めてみると、炭酸気と金臭さがあって甘塩辛い・・
最初は冷たく感じられたものの、浸かっていると全身に泡が付いて徐々にポカポカして体が軽く感じられるようになります。
「これは体に効きそうだ」ってのが、入ってすぐに解ります。 う~ん こんな温泉は久しぶりだなぁ・・・
しかも、この洞窟風呂は岩盤の切れ目からもラジウムが放出しているため、呼吸することによって口からも体内に取り入れることができます。
泉質:ナトリウム塩化物泉・炭酸泉・含放射能泉 温度:18,9℃ PH:6,3
湯船の底から随時ラジウム泉が湧いて(自墳泉)、そのまま 掛け流しされています。
それにしても静かだ・・・ 宿は満室なのに、この時間に訪れる方は居なくて貸し切り状態。
薄暗く静かなこの神秘的な空間に身を委ね、深く深呼吸しながらジッと目を閉じていると体の中が空になったように心が洗われます。
洞窟風呂の冷泉で十分浸かった後は、隣にある沸かし風呂(上がり湯)で体を温めます。
これを繰り返すそうですが、時間が無かったので今回は一回きりで・・・
今回、「不老閣」の名物である「天然洞窟風呂」を体験しましたが、源泉を加熱することなく生きのまま冷泉で使用し、その後は上がり湯で体を温める・・・
源泉の本質と体のことを大切にしているのがよくわかる、大変素晴らしく貴重な温泉でした。
※ 翌朝、もう一度入りに来ましたが、早朝にもかかわらず あの湯船に6人と大変混み合っていたのを追記しておきます。
さぁ、名物の洞窟風呂も堪能できたことだし、宿に戻って休憩した後は内湯にでも向かいますか・・・(後編につづく)