朝井まかてさんの「恋歌」を読みました。明治になって東京に出て歌で身をたて、萩の舎という歌塾を作り、歌の教授をとおして、多くの上流階級の女性らとつながり、成功した中島歌子という女性が主人公です。歌子の本名は登世。水戸藩御用達の江戸の池田屋旅館の一人娘でありながら幕末に水戸藩士、林忠左衛門以徳と恋におち、水戸に下って以徳の妻となった。気風も暮らしぶりもまったく異なる水戸での暮らしは厳しかった。夫の以徳はお役目で留守が多く、家の中では小姑のてつが幅を利かせていた。おまけに以徳は、尊王攘夷の急先鋒であった天狗党に属し、藤田小四郎らが中心になって筑波山で蜂起した天狗党の乱に巻き込まれる形で、不遇の戦病死をとげてしまう。水戸藩の内紛に巻き込まれた天狗党の妻子は、敵対する諸生派(保守派)にとらえられ、牢に入れられて地獄のような日々を送ることになった。しかし、幕府が倒れ、大政奉還がなると、今度は逆に諸生派が賊徒とされ、妻子を殺された天狗党の人々から同様な仇討が続き、水戸藩は内紛によって自滅した。幕末の水戸にあって辛酸をなめた登世の武家の妻としての経験は、いまわの際に弟子の歌人、三宅花圃が、歌子の書類を整理する中で読み進んだ手記という形で語られている。中島歌子は実在の人物であり、部分的にはフィクションが織り込まれているにしても、かなり史実を読み込んで書かれた小説だと思いました。中島歌子は樋口一葉の師匠として有名な人だそうです。第500回直木賞受賞作で、一気読みしたくなる本です。「君にこそ恋しきふしは習ひつれ さらば忘るることもをしえよ」という歌子の亡き夫を想う気持ちを込めた歌が印象的でした。
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