長年、大変遠方から通ってくださっている方々がいます。
ありがたいことにそう言う方が、僕のところには何人もいらっしゃいます。
仮にAくんとしておきましょう。こう言っては悪いけど、彼は自他共に認めるどちらかと言うと不器用な人です。
無口で、大人しく、静かな優しい人です。
しかし、実はこの方は、僕は本当はすごく攻撃的で、せっかちなんではないか?
と、ずっと思ってきました。
昨日、彼は、長年のレッスンの中で初めて、「なぜ自分はこんな簡単なことができないのか?」
と言うこと大変悔しそうにおっしゃった。
僕は、「簡単なことをしっかり弾くことから始めないから」だと思ったので、
「簡単なことをしっかり弾くことから始めましょう」と言いました。
僕は「まず、ゆっくり、しっかり綺麗な音を出しましょう。」と。
彼に長年、そう言う練習をしてもらうと、
いつも退屈そうで「こんなことをしてなんの意味がある?」
と言う雰囲気になるのを感じていました。
でも、基礎というものは、そういうもので、
決して苦痛ではなく、実物大の自分と向き合って、
もう一人の普段見えない自分と仲良くする良い機会だと思います。
今まで意味を感じなかったものに意味を感じ始める瞬間は、
いつも何かからの啓示のようにありがたいものに僕は感じます。
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実は、僕自身も、大変不器用な方だと思うのですが、
それは、自分自身に対する丁寧な対応が欠けていただけなんじゃないか、
と、最近思っているんです。
最近、素晴らしいギター仲間と共演する機会があり、とっても純粋にギターと向かい合う姿に感動しました。
一緒に音を出すことはインスピレーションの塊ですね。
僕もまだまだ、だと思いました。
でも、それは嬉しいことだと思っています。
伸びしろを感じるのは幸せです。