このところ、このブログではごみ処理の広域化の記事が多くなっていますが、今日は、沖縄県における可燃ごみの広域処理について考えてみます。なお、この場合の広域処理は可燃ごみだけを火力発電用の燃料として位置付けて、県内の全市町村が共同で発電事業を行う計画になります。ちなみに、生ごみは可燃ごみから除外しています。
(1)発電事業は県内の全市町村とプラントメーカー及び沖縄電力とのPFI事業とする。
ごみ発電は人口が多いほど住民の財政負担が少なくなります。沖縄県の人口は離島を含めて約140万人ですが、この人口はいわゆる政令指定都市並みの人口になります。また、ごみ処理に関するPFI事業は人口が多い自治体ほど公共及び民間の双方にとって有利になると言われています。したがって、沖縄県におけるごみ発電は県内の全市町村を対象にしてプラントメーカーと沖縄電力とのPFI事業で行うのが理想的な事業になると考えます。なお、PFI事業とは公共が民間の資金とノウハウを活用して行う事業ですが、詳しいことについては内閣府の公式サイトをご覧下さい。この場合、沖縄電力は県内の可燃ごみを活用することによって同社における温室効果ガスの排出量の削減を図ることができます。
(2)発電施設は本島に1ヶ所又は2ヶ所から3ヶ所に分散して建設する。
ごみ発電については人口が50万人以上の自治体において1ヶ所で行うことが合理的かつ経済的であると言われています。沖縄県の場合は約140万人の人口であり、その約80%は本島に集中しているので、発電施設は本島に1ヶ所又は2ヶ所から3ヶ所に分散して建設するのが理想的な事業になると考えます。なお、場所や施設数については発電事業のプロである沖縄電力に決めてもらうことで住民の理解と協力が得やすくなると考えます。いずれにしても、県内の市町村に単独でごみ発電を行うノウハウはありません。
(3)県内の各市町村は可燃ごみの「焼却」を止めて「破砕」及び「圧縮」を行う。
PFI事業によって県内の市町村が本島に発電施設を建設すれば焼却炉は不要(生ごみは農業畜産系の現場で利用を推進する)になります。ただし、可燃ごみ(火力発電用の燃料)の輸送コストを削減するために「破砕」及び「圧縮」を行った方がPFI事業におけるトータルコストを縮減できると考えます。したがって、その場合は各市町村(一部事務組合を含む)は現在の焼却施設をPFI事業を行う時期に合わせて廃止して、廃止後は破砕施設と圧縮施設を整備することになります。なお、本島から遠い離島の市町村については、PFI事業の中で負担金を調整することによって島民の負担を削減することができると考えます。
(4)焼却施設の長寿命化を行っている市町村は更新を行わずにPFI事業に参加する。
焼却施設の長寿命化を行っている市町村が更新を行うとPFI事業の時期が大幅に遅れてしまいます。したがって、このような市町村は更新を行わずに廃止して、可燃ごみの破砕施設と圧縮施設を整備することになります。
(5)これから焼却施設の長寿命化を予定している市町村は長寿命化を行ってからPFI事業に参加する。
市町村のごみ処理計画が国の基本方針や廃棄物処理施設整備計画に適合しない場合は国の補助金を利用することができなくなるので、長寿命化を予定している市町村はそのまま長寿命化を行うことになります。そして、更新を行わずにPFI事業に参加することになります。
(6)先行して小型の発電施設を1基建設する。
ごみ処理の広域化を行う場合はどうしても各市町村のゴミ処理計画において時期的なズレが生じます。そのズレを調整するために先行して小型の発電施設を建設する必要があります。なお、この施設も全体のPFI事業の中に組み込むことによって経費の削減と予算の平準化を図ることができると考えます。
(7)焼却灰は温暖化対策に資する公共事業における土木資材として利用する。
PFI事業であってもごみ発電の事業主は公共(県内の全市町村)になります。したがって、事業主にとっては発電事業から排出される焼却灰の資源化が課題になります。ただし、この課題についてはこのブログの管理者は琉球大学の技術的援助を受ければ解決できると考えています。なお、資源化については焼却灰を常温で処理をして土木資材として利用する計画が最も安定した利用を図ることができると考えます。また、利用先を温暖化対策に資する公共事業(公共による太陽光発電、風力発電等)に限定すれば住民の理解と協力が得やすくなると考えます。
以上が、沖縄県における可燃ごみの広域処理(ごみ発電)に関するこのブログの管理者が考えている計画の概要です。そして、このブログの管理者は沖縄県の人口であれば実現は不可能ではないと考えています。
ちなみに、この計画は国の基本方針や廃棄物処理施設整備計画に適合する計画なので、ごみ発電施設や可燃ごみの破砕施設及び圧縮施設等の整備に当って国の補助金を利用することができます。
なお、この計画が実現可能であるとした場合は、県内で一番人口の多い那覇市のごみ処理計画がポイントになりますが、同市はこれから焼却施設の長寿命化を行う予定なのでPFI事業が本格的にスタートするのはどんなに早くても10年以上先(平成38年度以降)ということになります。
したがって、那覇市よりも後にごみ処理施設を整備している市町村(うるま市等)は少し遅れてPFI事業に参加することになります。
※このブログの管理者は現在溶融炉を休止している中城村北中城村清掃事務組合が琉球大学と連携して焼却灰の資源化を推進することによって、この計画の実現性が高まると考えています。
沖縄県民の皆様 広域化によるごみ発電を本気で考えてみませんか?
<関連資料>
循環型社会、低炭素社会時代に応える都市ごみ焼却処理(廃棄物学会)