沖縄のごみ問題を考える

一般廃棄物の適正な処理に対する国の施策と県の施策と市町村の施策を比較しながら「沖縄のごみ問題」を考えるブログです。

改めて中北組合に対する沖縄県の不適正な技術的援助を考える(その11)※県知事の権限

2016-08-16 08:46:08 | ごみ処理計画

ゲストの皆様へ

このブログは、当分の間、下の資料にある問題を解決するために管理をして行く予定です。 なお、この問題を県が放置していた場合は、県に対する県内の市町村、そして県民の信頼を著しく損なうおそれがあると考えています。 

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その11は、「知事の権限」について書きます。

その前に、下の画像(4つ)をご覧下さい。

これは、中北組合のごみ処理計画に対する県の事務処理と組合の事務処理を整理した資料です。

沖縄県と中北組合は地方公共団体ですが、上の資料にあるように県も組合も地方公共団体に対して適用される他の法令については考えずに補助金適正化法に基づく設備の処分制限期間のことだけを考えて事務処理を行っています。

都道府県にとって廃棄物処理計画の策定と達成に関する事務処理は重要な事務処理になりますが、沖縄県の場合は中北組合に対してこの計画の達成に必要な措置(公式見解)についてはほとんど無視して助言を与えています。しかも、中北組合が溶融炉を休止することについては適正な事務処理と判断しています。

(注)沖縄県は県の廃棄物処理計画において県内の市町村は県の考え方に即してごみ処理計画を策定するという「公式見解」を示しています。このことは、県内の市町村は廃棄物処理法の基本方針に即してごみ処理計画を策定することを意味しています。しかし、中北組合は県の助言によって県の計画にも廃棄物処理法の基本方針にも適合しないごみ処理計画を策定しています。

上の資料は、平成27年度における県の事務処理を整理した資料ですが、県の公式サイトにおいては中北組合は平成26年度において溶融炉を稼動していることになっています。また、環境省の公式サイトにおいては中北組合はそもそも溶融炉を整備していないことになっています。このような事務処理は過失であっても虚偽のある事務処理(地方公共団体としては不適正な事務処理)になるので直ちに訂正する必要があると考えます。 

(注)環境省の実態調査結果は各都道府県からの報告に基づいて作成されているので、沖縄県の実態については県が国に対して虚偽のある報告を行っていることになります。

上の資料は、中北組合のごみ処理計画の位置付けを整理した資料ですが、組合は県の計画を上位計画としてごみ処理計画を改正しています。しかし、その中味は県の計画とはまったく異なる計画になっています。なお、このような事務処理は、場合によっては刑法の「虚偽公文書作成罪」が適用されるおそれがあります。

(注)市町村がごみ処理計画を改正した場合は県に報告することになっていますが、県は組合のこのような事務処理についても適正と判断しています。

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ということで、ここからが本題です。

下の画像は、市町村に対する都道府県の技術的援助の流れと地方自治法と地方公務員法に基づく技術的援助の位置づけを整理した資料です。

このように、県は知事をトップとして法令を遵守することはもちろんのこと、県の責務に関する事務処理のみを遂行しなければならないことになっています。

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下の画像は、廃棄物処理法第5条の6の規定に対する県の技術的援助の位置づけを整理した資料です。

このように、廃棄物処理法第5条の6の規定は、国と都道府県の責務に関する規定になっています。したがって、沖縄県は国と連携して県の責務を果たすための事務処理を行うことになります。

(注)廃棄物処理法第5条の6の規定は、国や県が市町村のごみ処理計画に対して関与する根拠法になっています。したがって、県知事であってもこの規定から国の責務に関する部分を除外することはできません。

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下の画像(2つ)は、廃棄物処理法第5条の6の規定と、中北組合に対する県の技術的援助の内容を整理した資料です。

このように、県には国と連携して県の廃棄物処理計画の達成に必要な措置を講じる責務がありますが、中北組合に対してはその責務を放棄して県の責務にはない事務処理を行っています。

このように、沖縄県の知事が廃棄物処理法第5条の6の規定に基づく県の責務を放棄した場合は、知事が勝手に「法令に基づく国の関与」を拒否することになってしまいます。そして、沖縄県は国と対立して事務処理を行っていくことになります。

(注)市町村には廃棄物処理法第5条の6の規定は適用されません。このため、市町村は国や都道府県の関与を拒否することができます。しかし、国と都道府県にはこの規定が適用されます。したがって、都道府県は国の関与を拒否することができないことになります。

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下の画像(2つ)は、地方自治法に基づく国の関与と都道府県の関与の基本原則と沖縄県の知事の考え方を整理した資料です。 

現在、沖縄県の知事は基地の問題で国と対立していますが、その最大の理由は、国が県に対して過剰に関与しているというところにあります。しかし、沖縄県の知事は県内におけるごみ処理の問題については県内の市町村に対して国と同じように過剰に関与していることになります。

(注)このブログは基地の問題については極力触れないようにしていますが、県知事が地方自治法の規定を根拠にして国と対立するのであれば、国に対する説得力がなくなるので、中北組合に対する県の不適正な関与を是正しなければならないと考えています。

沖縄県の知事の事務処理における最大の問題点は、国に対しては地方自治法の規定を遵守することを求めているにも関わらず、県内の市町村に対しては地方自治法の規定や廃棄物処理法、地方財政法、補助金適正化法の規定に違反して県の支配下に置こうとしていることです。

(注)沖縄県の知事は中北組合に対する県の職員の技術的援助の違法性については知らないと思われます。しかし、国から見た場合は、知らなかったでは済まされないレベルの問題になります。

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下の画像(4つ)は、日本の法令に対する県知事の権限を整理した資料です。

補助金適正化法に基づく処分制限期間を経過した設備に対して県知事に地方財政法第8条の適用を除外する権限が与えられているとした場合、地方公共団体は国から処分制限期間を経過した設備の長寿命化を要請されても拒否することができることになります。しかし、県知事にそのそうな権限は与えられていません。したがって、中北組合に対する技術的援助は国と対立することを目的としていると考えざるを得ないことになります。

市町村に対して財政的援助を与えているのは都道府県ではなく国なので、県知事に財産処分に関する承認基準を決定する権限はありません。したがって、中北組合に対するこの技術的援助も国と対立することを目的としていると考えざるを得ないことになります。

(注)中北組合は県の技術的援助に従って溶融炉を休止していますが、休止している溶融炉は建物の中に放置されています。このことは、建物の有効活用を図っていないことになるので、仮に「包括承認事項」を適用できる状況になっている場合(地域において溶融炉の需要が著しく低下している場合等)であっても、このことだけで補助金適正化法の規定に違反していることになります。 

廃棄物処理法第5条の6の規定が、都道府県だけの責務に関する規定であれば、県知事に一定の権限が与えられることになります。しかし、この規定は国の責務にも関係している規定なので、県知事の権限で国の責務に基づく地方公共団体に対する関与を拒否することはできません。したがって、中北組合に対するこの技術的援助も国と対立することを目的としていると考えざるを得ないことになります。 

上の資料は、前の3つの資料を1つにまとめた資料ですが、中北組合に対する県の技術的援助は、県知事の権限に基づいてことごとく国と対立する技術的援助になっています。しかも、法令に基づく根拠のない状態で対立する形になっているので、国から見た場合は県知事の資質を問われる状態になっています。

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下の画像は、沖縄県と中北組合の法令違反を整理した資料です。

県の職員は県知事の命令に従って事務を遂行していることになりますが、結果的に県は廃棄物処理法第5条の6の規定に違反していることになります。そして、県の職員は地方公務員法第35条の規定に違反していることになります。また、中北組合は地方財政法第8条及び補助金適正化法第22条の規定に違反していることになります。

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下の画像は、中北組合に対する県の技術的援助の内容を前提にして知事の考え方を整理した資料です。

法制度上、県の職員の事務処理は知事の命令に基づいて行われています。そして、県の職員は中北組合に対して上の資料にあるような技術的援助を与えています。したがって、このような考え方が沖縄県の知事の考え方ということになります。

(注)沖縄県の知事は、①国の補助金を利用する場合は国と連携して法令も遵守するが、②国の補助金を利用しない場合は県民から確保した自主財源により事務処理を行うので国と対立しても法令に違反しても構わないという日本の都道府県の知事としては極めて乱暴な考え方をしていることになります。したがって、国から見た場合、沖縄県にこのような考え方をしている知事が存在していることは放置できない問題になると考えます。 

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下の画像は、職員に対する県知事の命令によって増加する県民(中城村民及び北中城村民)の財政負担を整理した資料です。

知事の命令によってごみ処理に関する県の財政負担が増加することはありませんが、中北組合は国の補助金を利用できない状況になっています。このため、知事が不適正な命令を変更して県と中北組合の法令違反を是正するか、中北組合が自ら法令違反を是正しなければ中北組合は中城村と北中城村の村民から40億円以上の自主財源を確保しなければならない状況になっています。

(注)中北組合と浦添市は平成27年度において広域処理を推進することに基本合意しています。しかし、浦添市が中北組合と広域組合を設立した場合は広域組合も法令に違反していることになってしまいます。したがって、中北組合が法令違反を是正しない場合は広域処理は100%白紙撤回になります。

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下の画像(2つ)は、知事が命令を変更して県と中北組合の法令違反を是正した場合を想定して作成した資料です。

このブログで何度も書いてきましたが、平成28年度はインフラ長寿命化基本計画に基づく行動計画(公共施設等総合管理計画)の策定期限になっています。このため、中北組合は平成28年度の前半にはごみ処理計画を見直して既存施設(溶融炉と焼却炉)に対する施策を決定しなければならない状況になっています。

(注)行動計画には既存施設の維持管理コストや更新コストの見通し等を記載しなければならないことになっています。ただし、中北組合の場合は浦添市との広域処理を推進することになっているので、この行動計画は広域処理を前提とした計画になります。


この資料は、前の資料のスケジュールに関するものですが、中北組合が浦添市との広域処理を前提として行動計画を策定する場合は、①平成29年度に代替措置を講じて溶融炉を廃止して、②平成30年度に国の補助金を利用して焼却炉の長寿命化を行うスケジュールにしなければ浦添市(議会や市民)の理解と協力は得られないと考えています。なぜなら、広域組合を設立すると中北組合の既存施設は広域組合の既存施設になるからです。

(注)中北組合が広域処理を推進しない場合は、国内では稼動している事例のない溶融炉を再稼動するという選択肢も残っていますが、その場合は長寿命化も行うことになるので、失敗する可能性が極めて高い選択肢になると考えています。

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以上が、「知事の権限」に関するこのブログの管理者の意見です。

最後に、下の画像(3つ)をご覧下さい。

これは、市町村が設備を休止する場合に都道府県が与える技術的援助に対する関係法令の規定を整理した資料です。

このように、現行法においては国と都道府県に対して廃棄物処理法第5条の6の規定が適用されます。そして、市町村に対しては地方財政法第8条と補助金適正化法第22条の規定が適用されます。なお、補助金適正化法については設備を休止する場合は建物の目的外使用を行うことになるので、設備を休止する前に国の承認が必要になります。

上の資料は、都道府県の技術的援助に関する基本原則と沖縄県の技術的援助を比較したものです。資料の右側にあるように沖縄県の場合は基本原則を無視して補助金適正化法第22条の規定に基づく設備の処分制限期間を経過している場合は県知事の判断に基づいて設備を休止することができるようになっています。

沖縄県の職員に対する知事の命令が、廃棄物処理法第5条の6、地方財政法第8条、補助金適正化法第22条の各規定に違反していることは明らかですが、上の資料にあるように各法令の規定を改正すれば法令に違反しない命令になります。ただし、都道府県の知事に法令を改正する権限は与えられていません。 したがって、知事が職員に対する命令を撤回又は変更しない限り沖縄県と中北組合は法令に違反して事務を処理していることになります。

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 【地方自治法第2条第16項】

地方公共団体は法令に違反して事務を処理してはならない。

 【地方自治法第154条】

普通地方公共団体の長は、その補助機関である職員を指揮監督する。

その12に続く