沖縄のごみ問題を考える

一般廃棄物の適正な処理に対する国の施策と県の施策と市町村の施策を比較しながら「沖縄のごみ問題」を考えるブログです。

改めて中北組合に対する沖縄県の不適正な技術的援助を考える(その12)※県知事の法令解釈

2016-08-22 09:25:55 | ごみ処理計画

ゲストの皆様へ

このブログは、当分の間、下の資料にある問題を解決するために管理をして行く予定です。 なお、この問題を県が放置していた場合は、県に対する県内の市町村、そして県民の信頼を著しく損なうおそれがあると考えています。 

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その12は、「県知事の法令解釈」について書きます。

まず、下の画像をご覧下さい。

これは、県知事の法令解釈と市町村のごみ処理計画に対する県の職員の技術的援助の流れを整理した資料です。

このように、都道府県の職員による市町村に対する技術的援助は、法制度上、①都道府県知事の法令解釈に基づく、②都道府県知事の命令に従って行われています。また、市町村は民間の廃棄物処理業者ではないので、地方自治法の他に地方財政法や補助金適正化法の規定等も考慮して技術的援助が行われることになります。

(注)都道府県が市町村に対して技術的援助を与える場合は、地方自治法の規定に基づいて法令に基づく根拠を明示しなければならないことになっています。

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下の画像(3つ)は、廃棄物処理法第5条の6の規定に基づく沖縄県の中北組合に対する技術的援助の内容を整理した資料です。

このように、都道府県が策定する廃棄物処理計画は国と都道府県が連携して計画の達成に必要な措置を講じることになっています。そして、市町村に対する国の措置としては技術的援助と財政的援助、市町村に対する都道府県の措置としては技術的援助が主な事務処理になります。

上の資料は、廃棄物処理法第5条の6の規定に対する沖縄県の知事の法令解釈を整理した資料になりますが、中北組合に対する県の職員の技術的援助は国の関与を拒否する事務処理になっているために、中北組合は国の財政的援助を受けることができない状況になっています。

上の画像も、県知事の法令解釈を整理した資料ですが、県の職員は中北組合に対して県の廃棄物処理計画の達成に必要な措置は講じていないので、結果的に知事は職員に対してこのような命令を行っていることになります。

(注)廃棄物処理法第5条の6の規定を普通に読めば、①市町村が国の財政的援助を受けられるように、②県の廃棄物処理計画との連携・協力関係を確保して、③市町村がごみ処理計画を策定するように要請することになります。しかし、沖縄県の場合は県が自ら市町村との連携・協力体制を解消する事務処理を行っていることになります。

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下の画像は、県の廃棄物処理計画の改正に関する資料です。

県が策定している廃棄物処理計画には「市町村は県の計画に即してごみ処理計画を策定する」と明記されています。しかし、中北組合に対する県の職員の事務処理は県の廃棄物処理計画に適合しない事務処理になっています。したがって、県は上の資料にあるように自ら策定した廃棄物処理計画を改正しなければならないことになります。

(注)県が廃棄物処理計画を改正しない場合は、県が県内の市町村(中北組合)に対して不適正な技術的援助を与えていることが確定することになります。

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下の画像(3つ)は、地方財政法第8条の規定に基づく沖縄県の中北組合に対する技術的援助の内容を整理した資料です。

このように、地方財政法第8条の規定に「ただし書き」はないので、普通に読めば、県は中北組合に対して溶融炉の運用の継続を求める技術的援助を与えることになりますが、県は溶融炉の運用を放棄して休止することができるという技術的援助を与えています。

この法令解釈は、地方財政法の規定に補助金適正化法の規定を無理矢理付け加えた法令解釈になっています。しかし、県知事がこのような法令解釈を行っているとすれば、沖縄県という地方公共団体は知事の判断で勝手に法令を改正するような「危ない地方公共団体」ということになります。

地方財政法第8条の規定に従えば、処分制限期間を経過した設備については長寿命化を行うことが最も効率的な運用を行うことになりますが、県は中北組合に対して設備の運用を放棄してもよいという技術的援助を与えています。なお、国は地方公共団体に対して処分制限期間を経過した設備の長寿命化を要請しているので、沖縄県と中北組合は国の要請を拒否していることになります。

(注)中北組合の溶融炉が地域において社会的需要がなくなっている場合は休止することができますが、組合は最終処分場を整備していないので、運用を継続しなければならないことになります。そして、運用を継続する場合は最終処分場を整備していない浦添市と同じように国の要請に従って長寿命化を行うことになります。

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下の画像は、沖縄県が策定している県の公共施設等総合管理計画の改正に関する資料です。

県が策定している公共施設等総合管理計画においては、設備も長寿命化の対象にしています。しかし、中北組合に対する県の職員の事務処理は県の計画に適合しない事務処理になっています。したがって、県は上の資料にあるように公共施設等総合管理計画を改正しなければならないことになります。

(注)県が公共施設等総合管理計画を改正しない場合は、県が県内の市町村(中北組合)に対して不適正な技術的援助を与えていることが確定することになります。

上の画像は、総務省が作成している公共施設等総合管理計画の策定指針と同指針に対するQ&Aから抜粋した資料です。このように、総務省は設備を長寿命化の対象にしており、設備を除外した場合は公共施設等総合管理計画とはならないとしています。したがって、県が県の計画を改正すると不適正な計画を策定していることになってしまいます。

(注)県が県の計画を改正しない場合は、県の不適正な技術的援助によって、中北組合だけが不適正な計画を策定することになってしまいます。

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下の画像(4つ)は、補助金適正化法第22条の規定に基づく沖縄県の中北組合に対する技術的援助の内容を整理した資料です。 

市町村のごみ処理施設は設備と建物が一体化した施設になっています。このため、設備の運用を放棄すると、建物を補助金の交付の目的に反して使用することになります。しかし、沖縄県は中北組合に対して建物の目的外使用に対する財産処分の承認手続等に関する技術的援助は与えていません。

上の画像は、経過年数が10年を超えている施設に対して適用される「包括承認事項」に関する資料ですが、中北組合の場合は最終処分場の整備を行っていないので溶融炉の需要が著しく低下していることにはなりません。また、「包括承認事項」は建物の有効活用を図ることを目的としていますが、県は中北組合に対してそのような技術的援助は与えていません。

上の画像も、「包括承認事項」に関する資料ですが、中北組合の行政区域には民間の溶融炉や最終処分場等は整備されていません。そして、県は中北組合に対して溶融炉を休止することと焼却灰の民間委託処分(越境処分)を行うことを認める技術的援助を与えています。

上の画像は、平成26年度からの中北組合のごみ処理計画における溶融炉と建物の状況を整理した資料になりますが、結果的に県知事は、①中北組合が設備の運用を放棄して、②建物の有効活用は行わずに、③溶融炉を建物内に放置しておくことができるという法令解釈をしていることになります。

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下の画像は、県の廃棄物処理計画の改正に関する資料です。

県が策定している廃棄物処理計画には「焼却施設の延命化に取り組む必要がある」と明記されていますが、中北組合に対する県の職員の事務処理は県の廃棄物処理計画に適合しない事務処理になっています。したがって、県は上の資料にあるように廃棄物処理計画を改正しなければならないことになります。

(注)県が廃棄物処理計画を改正しない場合は、県が県内の市町村(中北組合)に対して不適正な技術的援助を与えていることが確定することになります。

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下の画像(2つ)は、中北組合に対する県の技術的援助の法令に基づく根拠を整理した資料です。

このように、県は中北組合に対して廃棄物処理法第5条の6の規定や地方財政法第8条の規定、補助金適正化法第22条の規定に適合しない技術的援助を与えています。そして、設備の長寿命化と最終処分場の整備を免除する技術的援助を与えています。その結果、中北組合は休止した溶融炉を建物内に放置したまま焼却灰の民間委託処分を行っています。

上の画像は、県が中北組合に対する技術的援助の適正化を放棄した場合を想定して作成した資料です。この場合、中北組合は、設備の長寿命化と国の財政的援助を拒否している自治体、そして、県の廃棄物処理計画を無視して、最終処分場の整備も放棄している自治体ということになります。したがって、他の市町村との広域処理を推進することは不可能な自治体になります。また、住民から40億円以上の自主財源を確保してごみ処理施設の更新又は新設を行う自治体ということになります。

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下の画像(3つ)は、市町村のごみ処理計画に対する沖縄県の技術的援助の実態を整理した資料です。

このように、県知事は、①地方財政法の規定を無視して、②補助金適正化法の規定を誤解したまま職員に対して命令を行っていることになります。そして、③県の職員は廃棄物処理法第6条の2の規定だけを根拠にして市町村に対する技術的援助を与えていることになります。しかも、そのような県の技術的援助に従ってごみ処理を行っている市町村(中北組合)に対して適正な処理を行っていると判断しています。

このように、沖縄県においては、ごみ処理施設の経過年数が10年を超えていれば、市町村が地方財政法の規定や補助金適正化法の規定に違反していても、廃棄物処理法第6条の2の規定を遵守していれば、知事の法令解釈により一般廃棄物の適正な処理を行っていることになります。

市町村による一般廃棄物の処理は、地方自治法の規定に基づく市町村の自治事務になります。したがって、廃棄物処理法の規定に適合していても他の関係法令に違反している場合は不適正な処理になります。そして、市町村が法令に違反して事務処理を行っている場合は、補助金適正化法の規定により国は財政的援助を与えることができないことになります。

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下の画像(2つ)は、県知事の法令解釈(沖縄ルール)を整理した資料です。

地方自治は法令遵守が基本ですが、沖縄県の場合は法令に対する認識が不十分であるというのが、このブログの管理者の率直な感想です。

(注)中北組合に対する沖縄県の不適正な技術的援助については、 ①廃棄物処理法第5条の6の規定に対する地方公共団体としての県の自覚が足りない、②地方財政法第8条の規定については国が地方公共団体に対して公共施設の長寿命化を要請している根拠法になっていることを知らない、③補助金適正化法第22条の規定については「包括承認事項」が遊休化している建物の有効活用を目的としていることを知らないことが直接的な原因になっていると思われます。

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下の画像は、中北組合に対する県の今後の事務処理を整理した資料です。

中北組合は、県の技術的援助によって平成28年度が策定期限になっているインフラ長寿命化基本計画に基づく行動計画(公共施設等総合管理計画)を適正な計画として策定できない状況になっています。

したがって、この資料は、県が中北組合に対する技術的援助をこのまま放置しておくことはできないという前提で作成しています。

上の資料の左側は、県が単に中北組合に対して与えた技術的援助を撤回して、法令違反に対する是正の勧告を行っただけのことになります。このため、中北組合は休止している溶融炉を再稼動して長寿命化を行うことになりますが、それでは中北組合が望んでいる浦添市との広域処理を推進することはできません。中北組合の希望は溶融炉を廃止して浦添市との広域処理を推進することなので、県はその希望をかなえるための技術的援助を与える必要があります。なぜなら、それが市町村に対する都道府県の責務だからです。

(注)都道府県に比べて市町村には人材や情報が不足しています。地方自治法や廃棄物処理法の規定はその欠点を補うために都道府県が技術的援助を与えるというシステムになっているので、県が中北組合に対する不適正な技術的援助を撤回しても適正な技術的援助を与えていることにはなりません。したがって、県が中北組合に対する不適正な技術的援助を適正化するためには、中北組合が溶融炉を廃止しても法令に違反しない施策を提示する必要があると考えます。

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下の画像は、中北組合が法令を遵守して溶融炉を廃止することができる施策について整理した資料です。

このように、溶融炉を廃止すれば所有財産ではなくなるので、地方財政法第8条の規定は適用されないことになります。

中北組合のごみ処理施設は経過年数が10年を超えていますが「包括承認事項」は適用されない状況になっています。しかし、中北組合が自主財源により廃棄物処理法の基本方針に適合する代替措置を講じれば、溶融炉を廃止することができます。また、その場合は建物も廃止することができますが、建物については廃止しなければならない理由はないので、焼却炉のために効率的な運用を行うことが地方財政法第8条の規定に最も適合する施策になると考えます。

(注)この代替措置には、自主財源により最終処分場を整備する施策が含まれていますが、時間の問題で選択肢から除外しなければなりません。また、焼却灰の資源化を外部委託する施策も含まれていますが、安定性の問題で選択肢から除外しなければなりません。

県の廃棄物処理計画は廃棄物処理法の基本方針に即して策定しなければならないことになっているので、県が中北組合に対して県の廃棄物処理計画に適合する技術的援助を与えることができれば、国は中北組合に対して財政的援助を与えることができるようになります。そして、国と県は廃棄物処理法第5条の6の規定に基づく責務を果たすことができます。

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下の画像は、中北組合に対する県の技術的援助の適正化に関する条件を整理した資料です。 

このように、県が中北組合に対する不適正な技術的援助を適正化するためには、まず、溶融炉の休止と焼却灰の委託処分を中止することができる施策が必要になります。そして、設備の長寿命化を行い最終処分場の延命化を推進しなければなりません。ただし、溶融炉の再稼動と長寿命化は選択肢から除外しなければならないので、消去法で考えると中北組合が自ら焼却灰を利用する施策を講じなければ必要な条件を満たすことができないことになります。

(注)県が中北組合に対して適正な技術的援助を与えることができない場合は、県は県内の市町村に対して法令に違反するような不適正な技術的援助しか与えられないことになってしまいます。

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以上が、「県知事の法令解釈」に関するこのブログの管理者の意見です。

最後に、下の画像をご覧下さい。

これは、このブログで何度も書いてきた県が中北組合に対する不適正な技術的援助を適正化するための施策を整理した資料です。 

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中北組合は既にごみ処理施設の長寿命化を実施する時期を迎えています。そして、浦添市との広域処理を推進する方針を決定しています。しかし、広域処理を実現するためには早急に焼却炉の長寿命化を実施しなければならない状況になっています。そして、国の補助金を利用して焼却炉の長寿命化を実施するためには、その前に代替措置を講じて溶融炉を廃止しなければならない状況になっています。

なお、このブログの管理者は平成30年度に中北組合が国の補助金を利用して焼却炉の長寿命化を実施することができないと浦添市が判断した場合は、広域処理は白紙撤回になると考えています。

なぜなら、浦添市は平成31年度に広域組合を設立する予定でいますが、広域組合において中北組合から無償譲渡を受けた焼却炉の長寿命化を行うことは考えていないはずだからです。

(注)浦添市は広域組合が中北組合から溶融炉の無償譲渡を受けることも考えていないはずなので、平成29年度に代替措置を講じて廃止することができないと判断した場合も広域処理は白紙撤回になると考えています。なお、中北組合が早急に法令違反を是正しない場合は、広域施設の整備に同意している浦添市の好意を裏切ることになると考えています。

その13に続く