佐賀県の佐賀県西部広域環境組合(武雄市外3市5町)は、組合側がほぼ決定していた焼却灰のセメント資源化を武雄市の定例議会をキッカケにして中止しています。そのときの議会の議事録が武雄市の公式サイトに公開されていたので、備忘録に残しておくことにします。佐賀弁による一般質問ですが、質問に当って市民の代表である議員が懸命に調査をしてきたこともあり、焼却灰のセメント資源化(外部委託)のリスクがよく分かる質問になっています。
<議員の一般質問の概要>
セメント資源化方式、これはトータルコスト183億円。とてもじゃないけど、この装置は入れるべきではない。将来を見据えたとき、大変なリスクを負う装置だということを説明しながら質問していきたいと思います。
用心しなければならないのは外部依存ですね、あくまで。焼却灰をセメント資源化などにした場合は、セメント企業の確保、保障根拠、これがちゃんとできなければならないということにつながっていくわけですね。
結局は灰の企業確保ということですね、セメント企業の確保ということ、確保しとかにゃいかんということでですね、やっぱり相談されたと思うんですね。そしたら、灰が出るのは五、六年後ですよね、灰が出るのは。だから、それまで待つことはでけんと、企業は。だから、ここに書いてありますけれども、来年度からでも既存の施設から──最終処分場ですね──焼却灰を出して枠の確保を行えと、こがん話が来とる。水面下で話が進んどっじゃなかですか、これは。
きのう言われた言葉は、セメント資源化を決定していると言われたですね、決めているて。何で議会も知らんとにそういうのが先に進むんですか。
資源化の中で一番問題になっているのが脱塩ですよ、市長。塩の濃度が非常に高いということです。水洗いは大量の水を使うし、結局はその水の処理をせにゃいかんとですよね。
セメントメーカーは水洗いして持ってこいですよ。その水はまた処理せにゃいかんでしょう。私はそのとき聞いてはならんことを聞いたんですけれども、じゃあ、重金属どこ行くですかと聞いた。重金属。答えは言いませんけどね、どっかに捨てるんですよ。
「セメント原料化システム」は焼却灰の受け入れ先であるセメント関連企業の確保が出来ない場合、システムそのものが成り立たないという「外部依存性」が極めて高いシステムであり」、外部依存そのものですよね。
「セメント関連企業の確保が今後の最重要事項になる。従って、選定するに際しては長期にわたって」、15年、20年。「安定的な受け入れ先の確保を確実に実現するための方策を講じた上で」、長期にわたる、つまりそれを保障せにゃいかん。保障する根拠が要る、なお担保が要る。
引き取り業者が引き取りを中止した場合。これはその時点から灰の処理がでけんごとなっですね。当たり前の話。引き取り業者が処理単価の値上げを言ってきたとき。これは自治体が言われるままに処理単価の値上げに応じなければならんですね。
それから、県外業者へ処理を委託する場合は、都道府県と事前協議ばせんばいかんですね。そしたら、大いにどうぞとはなかなか言葉に出てこないと思うんですね。そういう搬入許可が必要だし、将来にわたって毎年更新の許可が、大体1年に1回ということで更新の許可が必要になってきます。
災害が起こったとき、いろんなまざったとを燃やすんですね。これは異物混入でセメント会社が引き受けん。そしてもう1つは、災害ごみは塩素濃度が物すごく高いので、このままでは引き受けてくれん。そういう状況なんですね。
ガラス、陶器類、異物が入っている。エックス線検査と書いていますけれども、これはエックス線物質解析検査装置がですね、セメント会社に行ったぎ、中央制御室にぼとっとあっとです。絶えず物質を検査しよる。なぜか。JIS規格ですからね。一回触れたらセメント業界倒れますからね。だから、それだけ一生懸命しているけれども、そういう状態があると、問題点がですね。
また、セメント業界の情勢ですけれども、これ新聞ですけれども、実は21年の12月8日の新聞ですね。佐賀建設新聞、これによりますとセメント出荷量の減少続くと。来年度は4,000万トン割れの可能性も。その横にですね、廃棄物の受け入れにも支障の懸念と書いてある。
今請け負っても、あと請けんですよと書いてある。それは古タイヤなんか助燃剤て使いよるけどですね、そういうのをとらんとに灰なんかましてとらんですね。
今後セメントの需要減が一層進めば、受け入れ先に支障が発生する可能性が非常に高い、こういう時代背景もあるわけですね。つまり、社会性に左右されるんですね、外部依存は特に。
長期にわたって安全・安心・安定処理を確保するためには、さらには委託費の高額化の危険性、相手の言われるままですからね。
そういう多大な課題を持ちますので、ぜひともここは思い切って修正を思わなければ、私自身、そういう組合であれば離脱も視野に入れてでもこの問題に対しては徹底的にやっていくべきと思いますけれども、市長はどのようにお考えか、最後に答弁を求めます。
<市長の答弁>
非常に論理的な御説明で、私も考えていたことが一部自分も修正を迫られています。これからは佐賀県西部の広域圏の組合のほうで、修正の方向で議論をする必要があるというふうに認識をしました。