琉球料理や、黒麹(こうじ)菌を用いた泡盛文化圏のユネスコ無形文化遺産の登録を目指す、ユネスコ無形文化遺産登録推進委員会(安田正昭委員長)は6日、浦添市の国立劇場おきなわでシンポジウムを開いた。
基調講演で、小泉武夫東京農業大学名誉教授は「和食がユネスコ無形文化遺産に登録されたが、琉球料理は全く別の系統だ。類似のない歴史的過程があり、保護すべきものだ」と話した。黒麹菌については「沖縄にしかない。クエン酸を多くつくり、菌としての価値は最高だ。世界でも負けない力がある」と話した。
琉球泡盛研究家の萩尾俊章氏は、県内各地の祭祀(さいし)や人生儀礼を紹介し「神酒と泡盛は伝統行事に使われてきた。近年では行事も簡略化されている。県民一人一人が意識しないと失われる」と語った。
壺屋陶器事業協同組合の島袋常秀理事長は、カラカラや抱瓶(だちびん)などの酒器を紹介し「泡盛が文化遺産になれば、焼き物も関わりがあるので、相乗効果で良くなる」と期待を込めた。
パネルディスカッションで沖縄の食文化・琉球料理研究家の安次富順子氏は「観光客は沖縄料理の居酒屋で食事をしていると聞くが、本物の琉球料理を出している店は少ない。正しい調理法を伝えるのがわれわれの使命だ」と述べた。昨年から県が始めた「琉球料理伝承人」の人材育成についても触れ「学校給食での指導のほか、毎月琉球料理の日を決め、県民の身近な存在にする必要がある」と提案した。
沖縄観光コンベンションビューローの平良朝敬会長は「琉球料理の定義がないから、ホテルもそれぞれ考えながら提供している。県と協力して、定義作りをする必要がある」と指摘した。
ミス・ユニバース・ジャパンオキナワ2位の下地あいの氏が「実家が民泊をやっている。今後、母や祖母と琉球料理を学んで、宿泊者に提供していきたい」と話した。
安田委員長は「文化庁に申請できるような仕組み作りが必要だ。県内の各団体と連携していく時期が来ている」と締めくくった。
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