沖縄で涼しく過ごしたい方は是非どうぞ。
沖縄お化け屋敷2014 呪い歯
話は変わり、三線(さんしん)の怖い話もありますのでご紹介します。
妖怪三線「ハナンダ」
昔、玉城間切(関所)に按司(あじ)と呼ばれた人がいて、死後ハナンダの祠を利用して墓に葬られたのでハナンダの按司と呼ばれた。
その墓には愛用した三線が供えられていた。祠は村外れにあり、しかも風雨にも濡れない場所であったので村の青年たちの恰好のモーアシビ(野遊び)場所であった。
モーアシビには三線が欠かせないので、三線弾きの青年がたまたまそのハナンダ按司の三線を寸借して弾いてみたところ名器であった。
寸借が延長して悪いとは知りながらとうとう家に持ち帰って愛用するようになった。
ところが、その三線を家に持ち帰ってから青年は次第に体に変調をきたすようになった。
原因を確かめる為ムヌシリ(霊媒者・易者)に伺いをたてたところ、「お前は人様のものを勝手に横取りしている節がある。それが原因だろうからはやく持ち主に返すように」と判事が出た。
若者はびっくりして早速ハナンダの子孫を訪れ、詫びを入れ、受け取ってくれるようにお願いした。
ところが、子孫もさるもの、「お前が持っているのだからもうお前のものだ、受け取るわけにはいかない」と取り合ってくれない。
途方にくれた青年は早く処理しないとヌチミー(命)にかかわることなので手放すことに決め、三線の上手な宮城嗣周青年のところに持ち込んだ。
訳を聞いた嗣周さんは試しに弾いて見ると実にいい音色であった。
三線が悪さすることがあるものかと思い買うことに決めた。
まだウヤガカイ(独身で親の保護の身分)であるので父に詳細を話し、了解を求めたところ「お前は悪霊を祓(はら)う柳節もなんとか弾けるので、いいのではないか」と父は途方もないことをする息子だと苦笑いしながら許しを与えた。
嗣周青年は毎晩のように心ゆくまで三線を弾き楽しんだ。ところがある晩、三線をランプの灯の下で弾いていると突然突風が吹き、ランプの炎が反射してめらめらとハブ(蛇)が生き返って体をよじのぼるように輝いた。
「アベイ(危ない)ヒャー」と叫び嗣周青年は悲鳴をあげ、思わず三線をとり落した。化け物のようなこの三線は一刻も側に置くわけにはいかないとして、翌日には元の持ち主に返した。
その後、三線はハワイへ渡ったという。
「ハワイ中暴れ回っているそうだ。人が怖がっていることは、やはり気をつけたほうがいい」(宮城嗣周談)
後日談。
このハナンダ三線を寸借していたのは糸数村西原小の青年で、その後ハワイへ渡ったハナンダは妖器のせいかハワイ中を転々としたが、城間忠明さんの手に渡り戦後里帰りして沖縄の古典音楽家佐久本さんが一時所有した。
さて我々の三線鑑定会も是非このハナンダを鑑賞したいものだと、宮城春行、宮城嗣周氏を通して現在の所有者に依頼するがなかなか姿を現してくれない。
聞くところによると糸満市(沖縄県南部)あたりを日陰者となってさまよっているらしい。
いらいらした会員の照喜名朝一さん(現人間国宝)は「僕に見せるんだったらちゃんと三線供養をし、その魔性を祓ってやり、明るい場所に出してやるのだが、気の毒なことに」と残念がっている。
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上記以降ハナンダ三線の情報はない。
もしかしたらあなたのそばにある古い三線がそれではないでしょうか。
金丸でした。
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