日本銀行那覇支店(桑原康二支店長)は5日、「沖縄県の所得水準はなぜ低いのか」と題した経済レビューを発表した。
沖縄の産業構造は、製造業に比べて生産性や付加価値が低くなりがちな傾向がある第3次産業の割合が全国2位の約84%と高いことから「沖縄の1人当たり県民所得が相対的に低くなるのはある程度不可避と言える」としている。
労働者の取り分を示す労働分配率は、2008年のリーマンショック後に全国では低下傾向が続くが、沖縄では横ばいで推移している。
「潤沢ではない企業の取り分を削り取って雇用者の取り分を増やしても、本質的な解決策にはならない」として、企業の収益力を強化し、雇用者の待遇改善につなげることが課題だとしている。
沖縄の課題である子どもの貧困についても、企業の収益力向上を所得増加につなげ、親の貧困を正すことで子どもに教育機会を与え世代間の貧困連鎖を断ち切る必要があるとしている。
収益力強化に向け、既存企業が生産性を高める取り組みの必要性とともに、経済特区制度など沖縄の特性を生かした、製造業を中心とした産業の推進も提言している。
県内では「観光客の増加により土産品のマーケットも成長しているが、県外での生産、製造が多くビジネスチャンスを逃がしている」という指摘があるという。
桑原支店長は「予想以上のペースで観光関連産業が成長し、整備が追いついていない部分があるのではないか」と話した。
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