天国があるとしたらこんなところだろうか。
辿り着くのに苦労したから余計にそう思えたのかもしれない。
オレゴン州マックミンヴィルの “Youngberg Hill Vineyards & Inn”。
眼下にはところどころ霧が流れ、雲間から差し込む曙光が葡萄畑を徐々に浮かび上がらせる。
平穏で荘厳な朝のパノラマを、今こうして眺めている奇跡...
前日はシアトルからポートランドまでアメリカの高速を初めて運転した。
片道5車線計10車線の大動脈を4時間ほどかけて南下。
十分明るいうちに着く予定が、バイパスを降りたところでつまずいてしまう。
付近にあるはずの田舎道がどうしても見つからない。
スーパーやガソリンスタンドで道を尋ねるも
焦っているうちに日は容赦なく暮れていき、さらに追い討ちをかけるように強い雨が降り出した。
最大のピンチは誤って畑の道に進入したときのこと。
引き返そうにも左右、後ろは真っ暗闇で、一歩間違うと身動きが取れなくなるところだった。
車酔いしていたミンモもただならぬ状況を察してか、
いつの間にチャイルドシートをすり抜け後部座席から小さな体を乗り出している。
家族3人で激しく作動するワイパーの先を凝視しながら夜道を進んだ。
今度こそは合っているかもしれない...手元の地図と実際の道が感覚として重なるようになってきた。
そして遂に宿の入り口らしき小さな看板を発見。
しかしそこからは道幅が狭くなり、また不安に逆戻りの長い道が続いていた。
この宿は一体どんな場所にあるのだろう。
アップダウンを繰り返しながら少しずつ標高が上がっていくのが分かった。
時折ヘッドライトが霧の中をくぐると、ハンドルを持つ手に一層力が入った。
やがて急勾配が迫った先に見つけた確かな灯り。
押し寄せる安堵感は冒険の大きさに比例していて、
それを共に体験したことで家族のキズナもぐんと強まったように感じた。
昨晩道に迷ったことが嘘のように景色が朝に染まっていく。
ふと浮かんだメロディを慌てて五線譜に書き留めた。
階下の食堂には、そろそろ極上のブレックファストが用意されるているはずだ。
(2007年10月の思い出)
辿り着くのに苦労したから余計にそう思えたのかもしれない。
オレゴン州マックミンヴィルの “Youngberg Hill Vineyards & Inn”。
眼下にはところどころ霧が流れ、雲間から差し込む曙光が葡萄畑を徐々に浮かび上がらせる。
平穏で荘厳な朝のパノラマを、今こうして眺めている奇跡...
前日はシアトルからポートランドまでアメリカの高速を初めて運転した。
片道5車線計10車線の大動脈を4時間ほどかけて南下。
十分明るいうちに着く予定が、バイパスを降りたところでつまずいてしまう。
付近にあるはずの田舎道がどうしても見つからない。
スーパーやガソリンスタンドで道を尋ねるも
焦っているうちに日は容赦なく暮れていき、さらに追い討ちをかけるように強い雨が降り出した。
最大のピンチは誤って畑の道に進入したときのこと。
引き返そうにも左右、後ろは真っ暗闇で、一歩間違うと身動きが取れなくなるところだった。
車酔いしていたミンモもただならぬ状況を察してか、
いつの間にチャイルドシートをすり抜け後部座席から小さな体を乗り出している。
家族3人で激しく作動するワイパーの先を凝視しながら夜道を進んだ。
今度こそは合っているかもしれない...手元の地図と実際の道が感覚として重なるようになってきた。
そして遂に宿の入り口らしき小さな看板を発見。
しかしそこからは道幅が狭くなり、また不安に逆戻りの長い道が続いていた。
この宿は一体どんな場所にあるのだろう。
アップダウンを繰り返しながら少しずつ標高が上がっていくのが分かった。
時折ヘッドライトが霧の中をくぐると、ハンドルを持つ手に一層力が入った。
やがて急勾配が迫った先に見つけた確かな灯り。
押し寄せる安堵感は冒険の大きさに比例していて、
それを共に体験したことで家族のキズナもぐんと強まったように感じた。
昨晩道に迷ったことが嘘のように景色が朝に染まっていく。
ふと浮かんだメロディを慌てて五線譜に書き留めた。
階下の食堂には、そろそろ極上のブレックファストが用意されるているはずだ。
(2007年10月の思い出)