考えてみると南への旅行は久々である。
どちらかと言えば北に憧れがあるものの、植物の多様性においては南国に敵わないことを実感した。
独創的な形状の花や葉っぱに、色の鮮やかさ。
タヒチがポール・ゴーギャンの、奄美が田中一村の絵筆に刺激を与えたのは想像に難くない。
旅程の最終日に宿泊したsankara hotel & spa屋久島は、植物好きにもお薦めの宿である。
本館と、敷地内に点在するヴィラは、カートで送り迎えしてくれるが、
少々の雨ならば傘を手に歩いて行き来するのが楽しい。
手入れの行き届いた熱帯の植物たちはときに芳香も放って、極上のリラックスを与えてくれるのである。
チェックインのラウンジから見えた背の高いヤシの木。プールサイドにもよく映える。
プルメリア。鼻を近づけると濃密な香り。
エントランス横のサクララン。ホテルの植栽チームが丹精込めて伝わせているとのこと。
美しいパープルの花の和名はシコンノボタン(紫紺野牡丹)。
雄しべの造形が熱帯的と思いきや、ブラジル原産で、まるでクモが歩いているように見えることから
ブラジリアン・スパイダー・フラワーの別名を持つ。
極楽鳥花ことストレリチア。
花屋で売られているのを見たことはあっても、実際の植生を目にしたのは初めて。
たわわに実った先にはバナナの花? 巨大な葉っぱにも驚かされる。
数日後、ホテルのインスタに収穫がアップされていた。追熟させていくのだという。
レストランでは新鮮な地場の食材が見事にアレンジされていて、ヴィラの快適さも申し分なく、
まさに楽園と呼ぶに相応しいホテル。
屋久島の気まぐれなお天気に植物たちは表情を変える。
揺れたり、影を作ったり、雫をまとったり...
チェックアウトの日の晴れ間、無数の蝶とトンボが飛び交っていたのも天国的な趣があった。