西新宿・パーク ハイアット 東京の客室のシェルフ(棚)は、実に凝った作りである。
冷蔵庫はもちろんのこと、湯飲み・グラス類からエスプレッソマシーンに至るまで
一切合財が大小様々な扉のなかに納められている。
一つずつ開いては何がどこにあるのか確認するのさえ楽しい。
特に感心させられたのが常温で置かれたリキュールの小瓶たち。
扉を開くと背面からの光に、カラフルで個性的な形状のミニボトルが浮かび上がる仕掛けになっている。
さらにこの光は、上段に飾られた額縁をもほんのり照らしていた。
なんと棚板の一部がくり貫かれており、そこからも光が漏れるように設計されているのであった。
棚と言えば、我が家のキッチン棚をオーダーメイドしたとき、
途中から値段が気になってしまいいくつか妥協した。
このシェルフを眺めていると、せっかく特注したのであればとことん理想を追求すべきであったと思わされた。
ところで、いいホテルでは、チェックインから部屋に案内される場面で胸が高鳴る。
心地よい緊張感に五感が研ぎ澄まされ、非日常への期待値は急上昇。
その点、パーク ハイアット 東京のチェックインは完璧だった。
まずは椅子に座っておこなわれるのがいい。
短く生けられたユリの芳香が鼻に届いて、天井には観葉植物の涼しげなシルエットを見た。
案内された50階の部屋はさすがに空が近かった。
先ほどまでの高揚感に代わって、今度は自分だけの居場所ができた安堵感が押し寄せる。
一服しようと椅子に座るとガラスの机に空の青が映し出されていた。
こんなシーンに気付いて見入ってしまうのが何よりもリラックスしている証拠である。
ミニボトルの粋なディスプレイにやられて、寝る前遂にバカルディを手に取ってしまった。
ウィスキーとさんざん迷った挙句ラム酒にした。
やはりこのシェルフはよくできている。
http://www.ikyu.com/dg/special/2014/00000588/start.aspx?stc1=10&stc2=102365&stc3=00000588