TONALITY OF LIFE

作曲家デビュー間近のR. I. が出会った
お気に入りの時間、空間、モノ・・・
その余韻を楽しむためのブログ

リオの心はアントニオ・カルロス・ジョビン

2016-09-04 01:31:14 | 音楽
夏季五輪開催都市のなかで、リオデジャネイロのような昂揚感を与えてくれた都市があっただろうか。
トライアスロンがコパカバーナのビーチからスタートしたときは南米初の開催を実感したし、
雨模様の男子マラソンでコルコバードのキリスト像が雲間から姿を現していたのもドラマティックだった。
また開会式や閉会式のみならず、シンクロなどではサンバの曲で盛り上がるシーンをいくつも見た。
ありふれた都市とは異なる強い個性を纏っていて、熱量がある。

そんなリオ大会の余韻を味わいたくて、イヴァン・リンスのブルーノート東京公演へ出掛けた。
ビッグバンドと共演する一夜限りの公演は会社の仲間と、
同じリオ出身のジョイス・モレーノとのジョイントは、台風が接近するなか、残業帰りにふらっと。
本来ならばイヴァンの単独を望みたいところだが、
昨年古稀を迎え高齢になってきている影響かもしれない。
“A Tribute to Rio by 2 Cariocas” という副題が添えられた後者は、
前半がイヴァン、後半にジョイスで、クロスタイムは二人でジョビンを慈しむかのように歌った。
五輪中はサンバの印象があまりに強く、存在が遠ざかっていたジョビン。
音楽の輝きが玉のように溢れだすデュエットを眼の前にして、
リオの心はジョビンにあるのではないかということに思いが至った。
何せ空港の名前は「アントニオ・カルロス・ジョビン国際空港」である。

ジョビンと言えば、マイケル・フランクスもトリビューターの一人。
ブラジルがテーマだったり、ボサノバ・テイストの楽曲にも事欠かない。
♪「ジャルダン・ボタニコ」は、冬のケネディ空港を飛び立って、クリスマス休暇をリオで過ごすという設定。
「バナナの樹の下で雨やどり、人生はこんなにも優しい」と歌われる。
トライアスロンの自転車が駆け抜けた坂道には南国らしい植物が茂っていて、歌詞の世界が膨らんだ。

ブラジリアン・ミュージックの複雑な転調は、
飛行機の旋回する窓からリオのパノラマが次々と斜めに現れるかのような感覚を呼び起こす。
シュガーローフにコルコバードにイパネマのビーチ…
ヴァリグ・ブラジル航空は消滅してしまったそうだが、気分が上がるそんなフライトを一度は体験してみたいものだ。
閉会式のトーキョーショーがあまりに見事で、クールダウンに時間が掛かった。
ジョビンの穏やかな調べのようにようやく熱狂の夏が終わろうとしている。

BLUE NOTE TOKYO ALL-STAR JAZZ ORCHESTRA directed by ERIC MIYASHIRO
with special guest IVAN LINS
2016 8.26sat.

JOYCE MORENO & IVAN LINS -A Tribute to Rio by 2 Cariocas-
2016 8.29mon

http://www.bluenote.co.jp/

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