TONALITY OF LIFE

作曲家デビュー間近のR. I. が出会った
お気に入りの時間、空間、モノ・・・
その余韻を楽しむためのブログ

別世界的名店 Vol. 4 ~ 大津・ブルーベリーフィールズ紀伊國屋

2012-11-24 18:33:23 | グルメ
雨の日曜正午過ぎ、大津市内での仕事を終えると、同僚二人を連れてこの店へと向かった。
日経の日曜版に挟まれるマガジンで以前特集されていたのを思い出し、
調べてみるとそう遠くはないことが分かったのである。
オーナーの女性は波乱万丈の人生を歩んでいる。
夫と別れたあと、この土地に出会って一人で開墾に乗り出す、
そしてブルーベリーを植え、畑とレストランを軌道に乗せるまでのサクセスストーリー、
確かそんな内容だったと記憶する。
タクシーはどしゃ降りの湖西道路を飛ばして山あいへ、約20分後...

雨は小降りになって薄っすらと霧がかっていた。
駐車場ともつかない道の脇には車があふれんばかり、直前に予約できたのはラッキーだったかもしれない。
入り口の手前でパンを焼く匂いが鼻に届いた。
靴を脱いで2階へ通されると、大きな窓から眼下一面にブルーベリー畑を見渡せた。
標高が高い分、湖岸よりも秋が進んでいる。
「この素敵な景色を見ながら、おいしいお料理を食べたいと思う人が、きっといると思うわ」、
そんな声から始まったレストランだそうな。
霧がすべてを隠すほど立ち込めたかと思うと、霧散して雲越しに太陽が透けて見える。
こんな天気の日ならではのドラマティックな自然の移ろい、
それをゆっくりと眺められるだけでも贅沢だ。
やがて視界の先にある琵琶湖が雲間から照らし出され、対岸の山並みや市街地も見えてきた。

この日のメニューは、
 ・3種類の天然酵母のパンとハーブティー付
 ・アミューズ(赤ピーマンのムースと田舎風パテ)
 ・オードブル(ホタテのグリル/あわびたけのソテー・ロメインレタス 玄米クリームのソースで)
 ・スープ(さつまいものポタージュ)
 ・メイン(本日のお魚のポワレ あさりのブールブラン)
 ・デセール(りんごのコンポートとジュレ・さつまいものミルフィーユ・池田牧場のジェラート)
素材が驚くほど滋味豊かで、味覚の末端へと浸透してゆく感じ。
食後のハーブティーもひときわ濃厚な風味であった。

雪に閉ざされる1月・2月は休業しますとのこと。
そう言えば冬場、米原あたりの降雪で東海道新幹線が遅れるのは珍しくない。
きっと想像以上に積もるのだろう。
大河とも海とも趣が異なる湖国・滋賀ならではのレストラン。
テーブルに挿されたハーブを見て、ふと5年前に泊まったオレゴンの極上宿が思い出された。

http://www.bbfkinokuniya.com/

ビーチドライブへもう一度

2012-11-11 11:57:38 | 旅行
ダウンタウンで買い物を済ませると、Beach Drive経由で家まで戻ることにした。
明日発つ前に、もう一度ここを走っておきたかったから。

数日前、少し迷いながらこの道に辿り着いたとき、
その日はあまりにもすばらしいお天気だったので
付近に広がる高級邸宅街の輝きが目に焼きついてしまったのである。
かみさんとほぼ同時に上げた感嘆詞!
たっぷりと取られた家々のフロントヤード、そこの芝生は陽光を浴びて眩しく、街路樹の緑陰は夏のように濃かった。
Driveの途中でビーチに面した公園と駐車場を見つけたので、車を停めて歩くことにした。
その遊歩道からの景色もまた圧巻だった。
海原を走るヨットの帆と、その彼方に見える冠雪した山。
遠近2つの白がダイナミックなパノラマのアクセントになっていて、
葉山あたりから江ノ島越しに眺める富士山に勝るとも劣らない。

今は夕暮れどき、グリーンの柱の街灯がともり始め、
シャッフル中のiTunesからは偶然ビル・ラバウンティの曲が流れてきた。
70年代~80年代の名曲がフロントグラス越しの景色にすっと溶け込んでいる。
古きよき時代から変わることなく維持されている北米有数の美しき邸宅地。
次に来たときは、ここをジョギングすることに決めた。

Life In A Northwest Coastal Town

2012-11-04 13:36:38 | 旅行
滞在してみて実感するのは自然の近さ、それもスケールの大きな自然である。
「それがここに暮らす醍醐味さ」と大家さん。
この家の敷地は斜面になっていて、段状の広い庭には、トランポリンにツリーハウス、バレーボールのコートなどが配されている。
何よりも清冽な雰囲気を醸し出す針葉樹と、その間に見える海がいい。

海に行ったことを話すと「starfish(ヒトデ)を触った?」と長男のエヴァンが聞いてきた。
その海岸ではいろんな水鳥を間近に見ることができたし、
ここの庭にも次から次へと鳥がやってくる。
なかでももてはやされているのがハミングバード。
長い口ばしで蜜水を吸わせるためのハミングバードフィーダーなる容器が軒下にぶら下がっていて、
姿を見せると至近距離で観察することができる。
何種類かいるらしく、得意げに図鑑を持ち出してきたのは双子の弟の一人ニコラス。
映画『スタンド・バイ・ミー』に出てくるような男の子だ。
この鳥図鑑、開いたページのボタンを押すと鳴き声が再生される仕組みで、
かみさんが明け方フクロウが鳴くのを聞いたと言うと、
早速どの種類かを調べてくれた。

ミンモと学校に行く途中、霧がかった庭先から立派な角の鹿が現れたときは驚いた。
牡鹿は気性が荒いと教えられていたミンモは尻込みしてしまったが、しばし見とれたほどである。
東京で例えるとしたら、砧公園のなかに道路が走り、住宅が点在しているような感じと言って伝わるだろうか。
一区画が広く、昔から自生していたと思われる大きな木々に囲まれている。
木の実を抱えながら走るリスにも何度か遭遇した。

ダウンタウンから車で20分ほど走ると鮭が遡上する川の入り口があって、州立公園に指定されている。
訪れたのは10月の上旬、まだ平和な光景が広がっていた。
下旬を過ぎるとたくさんの鮭が死力を尽くしながら押し寄せ、
空から降下する猛禽類との生々しい生態系を目の当たりにすることになると聞いた。

鹿は農作物を荒らすので駆除の対象になっていると言うし、
ハミングバードは人間に愛でられる存在ゆえ、甘い水に釣られて分布域を広げているらしい。
人間のエゴと無縁というわけにはいかないが、
それでも自然の息遣いがすぐ傍から聞こえてくる “Life In A Northwest Coastal Town”。
アウトドア以外の服は不要なものに思えてくる。