晴天に恵まれたとある休日.梅を見に和束町へとオートバイを走らせた.美しく咲き誇る梅の花と共に,可愛らしいメジロが出迎えてくれた.
ここは和束町の急峻な山の斜面にあって,自動車やオンロードタイヤのオートバイで行くには,ちょっと気の引けてしまうような場所にある.
それだからこそ,ここで人に出会うことはまずなくて,自分にとって,梅を思う存分に楽しむことができる唯一の場所となっている.
暖かな陽気とほのかに香る甘い梅の匂いが,とても心地よくて,喧騒に満ち溢れた現実の世界が,どこか違った国での出来事のように思えるのだった.
この場所では,勝ち負けはないし,優劣もない.青空の下に,梅の木があって,メジロたちが美しい鳴き声のメロディを奏でながら,飛び回っているだけの世界だ.
世の中,皆こんな風であればいいのに・・・,という思いが何故か込み上げてきた.人間の直面している問題が,自然の前ではとても些細な事のように感じるのだった.
メジロたちは,いつまでも飽きることなく,可愛らしい鳴き声をあげながら,梅の花の蜜をすすっていた.そして,気づけば,もう夕刻の時が迫りつつあった.
来年もこの場所では,美しく咲き誇る梅とメジロたちの世界が広がっていることだろう.はたまた,自分の場合はどうだろうか.一年先のことすら,分からないのであった.そんなことを考えながら,夕暮れ間近の茶畑を颯爽と駆け抜け,帰路へと向かうのだった.
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