乙女高原ファンクラブ活動ブログ

「乙女高原の自然を次の世代に!」を合言葉に2001年から活動を始めた乙女高原ファンクラブの,2011年秋からの活動記録。

乙女高原自然観察交流会 2021年1月08日(土)

2021年01月08日 | 乙女高原観察交流会

井上さん、山本さんがレポートをお寄せくださいました。

※まずは井上さんのレポートから。

 1月の観察交流会は9日に行われました。参加者は4名。1都3県にはコロナ感染拡大で緊急事態宣言が発令されましたが、感染に注意してマスクをして、各自の車で乙女高原へ向かいました。林道には雪は全くありません。
 途中、通称カエル池に立ち寄りました。例年なら氷が張っている池には水が全くありません。(夏になぜかボーリングをしていた影響か?)春のヤマアカガエルの産卵が心配です。このままでは産卵はできないでしょう。道の反対側の斜面に何かの毛が大量に散らばっているのを植原さんが見つけました。シカの毛とは少し違うようです。植原さんが採集しましたが、何でしょうか。ホオジロが数羽、樹上にいましたが、飛んで行ってしまいました。


 次にサワラ林の所で観察。カメバヒキオコシに氷華が残っていました。12月20日に比べると小さくなっていましたが、花のようなものなど、かわいいものがたくさんありました。

 

法面の笹の葉にはクスサンの繭、スカシダワラがついていました。

 

またムラサキシキブの実がまだ少し残っていました。その根元あたりの土が湿っていて、水脈があるのではないかということです。苔むしたサワラ林の古木の幹はねじれたり、枝分かれしたりして、改めてこの森の歴史を感じさせます。

 焼山峠では湿地はすっかり凍りついていて、氷の上が歩けます。

 

ミズゴケは白っぽい黄緑色できれい。カラマツにサルオガセがぶら下がっているのが目立ちました。アケボノソウのドライフラワーや根生葉がありました。そして、小楢山林道を歩いてみました。途中、霜柱が10段以上にも成長して30cmくらいになっているものもありました。いろいろな植物のドライフラワーも目につきます。ハナイカリ、ヤマホタルブクロ、ヤマハハコ、イタドリ、トモエソウ、ノコンギクなど。イケマの綿毛の種もぶら下がっていました。斜面にカメバヒキオコシの氷華がいくつか見られました。林道から見える金峰山や手前の山々には雪がついて、寒々しい感じです。雲が出てきて、太陽を隠してしまうと、風が冷たく痛いよう。寒すぎて観察する意欲がなくなりそうな感じでした。

 乙女高原のロッジ前に到着したのはもう昼近く。看板裏の温度計を見ると-7℃、百葉箱を覗いてみると-9℃。あまりの寒さに各自、車の中で昼食をとりました。
 昼食後、草原内の観察です。12月20日にボール状の巣(カヤネズミの巣?)を見つけた刈り残しのススキを確認。巣のあった位置は植原さんがメジャーで測ってみると、地上70㎝でした。

 

その後、ドライフラワーの確認をしながら、普段は歩かない斜面を登っていくと、雪が少しありました。数日前に少し降ったようですが、草原全体には雪はなく、枯草色でした。
 展望台では富士山が見えましたが、山頂は雲の中でした。

 

ススキの中にカヤネズミの巣がないか探しましたが見つかりません。冬芽など観察しながら、ツツジのコースに下りました。雲の流れが速く、太陽はかくれたり、また出たりという中、彩雲を見ることができました。きれいでした。 
 強い寒気団に覆われて、日本海側には豪雪が降ったこの日、とにかく寒さがきびしく、草原をひとまわりしてくると、冷えきってしまい、いつもより早い2時過ぎには高原を後にしました。お日様のありがたさを感じた一日。寒かったけれど、楽しかったです。

 

※続いて、山本さんのレポートです。

 スミレと同じようにキジムシロの仲間にもタネをアリに運んでもらうための付属体(エライオソーム)があるとの情報があり、焼山林道の氷華を見に行くついでに、道路脇にあったミツモトソウのタネにエライオソームがあるのか確認出来たらいいなと思っていました。ドライフラワーの中にタネが残っていたものが見つかり、確認したところエライオソームはありませんでした。
 家に戻ってネットで検索したら、キジムシロとミツバツチグリには確かにエライオソームがありますが、ミツモトソウにはついていないとありました。

 キジムシロの仲間でもヘビイチゴは小動物に食べてもらえるよう果肉を提供していることから、同じ仲間でもタネ散布の戦略がそれぞれ異なるようです。
エライオソームをつけるキジムシロとミツバツチグリはスミレ同様に早春の花で、茎高が低く地表近くに咲きますが、ミツモトソウの花期は遅く真夏から初秋にかけて、茎高が50~100cmと地表から高い位置に咲いています。アリの活動時期の違いなのかアリに運んでもらえなくても遠い所に落ちるようにしているのでしょうか。では、春先に咲くツルキンバイやイワキンバイなど他の仲間たちはキジムシロやミツバツチグリ同様にエライオソームがあるのかどうか、今年の観察テーマにしています。

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2020年12月の乙女高原自然観察交流会

2020年12月05日 | 乙女高原観察交流会

※参加された鈴木さんがレポートを書いてくださいました。

 12月5日、今年最後の自然観察会交流会が行われました。参加者は4名。コロナ第3波に見舞われる中なので、牧丘の道の駅に集合した後は各自の車で高原へ向かうこととしました。
 最初にヤマアカガエルの産卵調査を行っている通称カエル池に立ち寄りました。例年であればそろそろ氷が張り始める時期ですが、今年は水が全くありません。そういえば夏にこの場所でボーリング調査をしていたようです。その影響なのでしょうか?

 周りを見回すと本来この辺りには生息しないヨシの仲間や水辺を好むトチノキが生えていること・水脈の痕などがあることから以前は豊富に水があった場所であったことが伺われます。水がなくなった原因はわかりませんが、いずれにしてもヤマアカガエルの産卵にどのような影響を及ぼすかが心配です。

 次に、杣口林道のサワラ林付近で途中下車です。ここは昨年カメバヒキオコシの氷華が見られた場所です。今頃の季節、ほとんどの草花は枯れてしまいますが根はまだ働いていて水分を茎の上まで吸い上げています。気温が氷点下になると吸い上げられた水分が凍って茎を破り氷の華のように見えます。この現象を氷華と呼んでいます。キク科やシソ科の植物によく見られるようです。今年は暖かい日が続いているせいか白い氷の華を見ることはできませんでしたが、代わりにイタヤカエデやウリハダカエデの赤い冬芽がきれいでした。

 続いて焼山峠から小楢山林道に入った途中で車を止めました。昨年はこの辺りでも何種類かの氷華がありましたが、今年は見ることはできませんでした。

ここでは天然のドライフラワーと化したノコンギク・ゴマナ・シシウド・コウゾリナ・アケボノソウなどを観察しました。夏の様子を思い出しながら葉の形や出方などいろいろ見るのですが、同定できない種も少なくありません。

 

また、この時期定番なのは冬芽の観察です。アブラチャンは尖った水滴形の葉芽の両脇にまん丸い花芽がついています。ヤマハンノキやツノハシバミは、雄花ははっきりわかるのですが雌花はまだ小さくてよくわかりません。暖かくなって冬芽が膨らむのが今から待ち遠しい気分です。

 いろいろ寄り道をしていると、いつものことながら乙女高原到着はお昼過ぎになっていました。昼食の時に枯れ草姿の図鑑がないことが話題になり、ドライフラワーの乙女高原フィールドガイドがあるといいなという話になりました。ぜひとも作ってみたいですね。
 昼食を食べてからは高原内の散策です。いつもは森のコースを通るのですが、草刈りが終わり歩道のロープも取り外されているため斜面を自由に登っていくことができます。オケラやハンゴンソウ・ハバヤマボクチ・フシグロセンノウ・シラヤマギク・マルバダケブキなどたくさんのドライフラワーを楽しみました。

ロープがないので遊歩道から少し離れたところにクモキリソウの群生を見つけることができました。夏には見えない場所での発見です。草刈りのおかげで幼木の冬芽も良く目立ちます。オオカメノキ・ハリギリ・ヤマウルシ・ホオノキの冬芽はどれも個性的です。シラカバ林の中では数羽のコゲラとゴジュウカラが群れていました。そういえばこの日はあまり鳥を見ていないことに気づきました。近年鳥の数が減ってきているように感じます。<br>
 その後も枯れ草のオブジェを楽しみながら進んでいくと、ツツジのコースでわずかに残ったツルウメモドキの実が高原に彩りを添えていました。少し地味な季節ですが、自然のいろいろな姿を見ることができて楽しい1日を過ごすことができました。

 新型コロナの影響で様々なイベントが中止や縮小になっていますが、今後も変わることなく観察を続けながら乙女高原の保護に取り組んでいきたいものです。

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10月3日の自然観察交流会

2020年10月03日 | 乙女高原観察交流会

井上さんが写真とレポートを提供してくださいました。

 

 10月3日の乙女高原観察交流会には4名が参加しました。道の駅に集合して、コロナ禍でもあるので各自の車で高原に向かいました。

 途中、サワラ林の所に立ち寄りました。カメバヒキオコシが林縁に咲いています。紫色のかわいい花にミヤママルハナバチが訪れていました。少し歩いてみるとセキヤノアキチョウジも法面から垂れ下がって風情のある姿で咲いていました。ウリノキ、サンショウ、ニシキギ、フシグロセンノウ、ヨウシュヤマゴボウなどの実もありました。

 焼山峠から小楢山林道に入って、ここに咲いていたレイジンソウの種類を確認。茎の下の方には稜があり、花には開出毛があったことから普通のレイジンソウだと確認できました。道端にはナギナタコウジュ、カメバヒキオコシ、ノコンギクなど咲いていました。ヒメツチハンミョウが1匹、薄茶色のムカデのような虫がたくさんいました。

またここにはウリ科のつる性植物の実や花があり、スズメウリではないかと言いながら観察しました。実は黄緑色で下が細くなった楕円形で下には花の痕が残っています。観ていくと実が割れて種は落ちてしまい、3裂したものが残っていました。これはスズメウリとは違うものだということになりましたが、何だかわかりません。茎の先のほうの葉は何か巻き込んでいるようです。開いてみると、中には実と白い小さな花がいくつか咲いています。寒さを避けるためなのか、不思議な姿です。山本さんが実を1つ切り開いてみると中には黒い種が入っていました。このおもしろいウリ科の植物ですが、山本さんが下山後に山梨県立図書館にかけこんで調べてくれ、ミヤマニガウリと判明しました。

 

 

 

 旧残土置き場では、アケボノソウやホタルサイコ、オトコエシなどの実と来年の根出葉などを確認しました。焼山峠でツルリンドウの赤い実、クモキリソウの実、カンボクの赤い実を見ました。アメリカセンダングサがあったのにはちょっとびっくり。また2週間前にピンク色だったアキノウナギツカミの花は薄緑で、先端部は真赤になっていて、これもかわいかったです。いつものことながら、ここまででお昼近くになってしまいました。

 

 

 

 乙女高原の駐車場に車を止め、ホソバツルリンドウを観察しました。ススキに巻き付いて薄紫色の花をたくさんつけていました。これまで遊歩道わきに咲いていたのが、遊歩道のコースが変わって、踏み付けがなくなるので、増えてほしいと願っています。

 

 

湿地に向かうと、リンドウが咲いていました。内側は紫色で外側は寒さのためか、えんじ色で美しかったです。でもルリハムシのような甲虫が花びらを食べているようでした。

 

 

湿地ではタニソバの葉のふちが真っ赤に紅葉してきれいでした。ヤチボウズの中にもアケボノソウが数本咲いたようでした。

 12時半過ぎ、ようやくロッジ前に到着して昼食。座っていると寒いくらいで、温かい食べ物や飲み物がおいしかったです。

 

 

昼食後に草原内を歩きました。草原はススキの原で、ヤマドリゼンマイは茶色、イタドリは黄色など草もみじが始まっています。森のコースを登っていくと、クチベニタケなどのキノコ類、トリカブト、真赤に熟したマイヅルソウの実などが見られました。展望台まで行きましたが、富士山は雲の中で見えません。

草原内の花はほとんど終わっていますが、ところどころに残り花がきれいに咲いていたりもしました。ヤマラッキョウがいくつか咲いていましたが、リンドウは曇っていたためか、開いているものはありません。残念でした。葉が赤紫に色づき、花は黄色いアキノキリンソウが印象的でした。また別のアキノキリンソウの花にはルリハムシのような甲虫がたくさんいました。花粉まみれになっている黒いハチもいました。ノダケの花に3齢くらいのキアゲハの幼虫がいて、今から成虫になれるだろうかと心配になりました。また別の葉には終齢幼虫もいて、頭をツンツンすると、オレンジ色の角を出すのも観察しました。

草原で盛り上がったのが、タチフウロの実。

 

ゲンノショウコは別名、ミコシグサと言われるように、実がはじけて上向きにカールし、御輿の屋根のような形になります。

 

そのゲンノショウコと同じ仲間のタチフウロですが、この向きが逆になっていたのです。まだはじけていない実は上を向いていますが、種を飛ばした実は下を向き、下向きにカールしています。実のついた茎は途中で関節みたいに曲がって下向きになっていました。いつの時点で下を向いたのでしょうか。下に向けて種を飛ばしたのか、種を飛ばしてから下向きになったのか。このことに気づいてタチフウロを見ながら歩くと、中には横向きや上向きのものもありましたが、おもしろかったです。他のフウロソウの仲間はどうなっているのでしょうか。

 ロッジ前にもどって、温度計をみると17℃。空気が冷たく感じます。林道を少し観察した後、6月の観察会で花を見たミヤマハンショウヅルの実はどうなっているか確認したいという話になり、大弛峠へ向かう途中、鶏冠山西林道の入口まで行きました。ミヤマハンショウヅルは綿毛のような実になっていました。美しかったです。もう少し乾燥してふわふわになったら、種が離れて飛んでいくことでしょう。ここでの観察が終了後、解散となりました。

 

いろいろな実などを観察して新しい発見もあり、色づき始めた晩秋の乙女高原を楽しんだ一日となりました。

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2020年5月6日の乙女高原自然観察交流会

2020年05月06日 | 乙女高原観察交流会

※井上さんがレポートを書いてくださいました。

 

 今年は新型コロナウィルス感染防止のため、例年行われているスミレ観察会も中止になってしまいました。林道のゲートも例年なら、ゴールデンウィーク前には開くのに、今年は閉じたまま……。ですが、定期的に高原の観察を続けている観察交流会の常連メンバー4名で、感染に気をつけながら、乙女高原の様子を見に行くことにしました。いつもなら道の駅に集まって、誰かの車に相乗りで行くのですが、今回はそれぞれの車で、乙女湖集合ということになりました。

 林道はヤマブキやヤマザクラが目につきます。私は山の神やカエル池に立ち寄ってタチツボスミレやマルバスミレ、マルバコンロンソウなど確認しました。カエル池ではヤマアカガエルのオタマジャクシがたくさん泳ぎ回っていました。

 サワラ林の所で、植原さん、山本さん、鈴木さんが先着してウラゲヨウラクを観察していました。これまで道端の1本しか見ていなかったのが、実は林の中にたくさんあることがわかりました。

ちょうど満開で、暗い林の中で上品なクリーム色が美しかったです。ここではウリハダカエデの芽を包んでいた皮がカールしたものも可愛くて、皆でカメラを向けました。

 林道をさらに登っていくと、ピンク色の濃い桜が所々に咲いています。オオヤマザクラでしょうか。また鮮やかな黄緑色のイタヤカエデ、赤いカジカエデの花も林道沿いで見られました。

 焼山峠では、ミヤマスミレがたくさん咲いています。そして今年もフギレミヤマスミレがいくつか咲いてくれました。

エイザンスミレ、咲き残りのヒナスミレも可愛かったです。昨年見つけたオクタマスミレは残念ながら、今年は見あたりませんでした。

 

 乙女高原に到着。草原はまだ枯草色で、ところどころにキジムシロやミツバツチグリが咲いているくらいです。

 森のコースを登って行くと、エイザンスミレが咲いています。きれいなピンク色の花がいくつかありました。

そしてエゾアオイスミレも終盤ではありましたが、咲いていてくれました。なぜか白っぽかったです。薄茶色の粘土細工のようなおもしろい形はムシカリの出始めたばかりの葉です。

 展望台周辺ではきれいなピンク色のアケボノスミレ、明るい紫色の小さなアカネスミレがありました。

ヒゴスミレは咲き終わっていました。この日は曇り空で富士山は見えませんでした。

 草原のコースを下って、入り口ゲート近くでフデリンドウを数株見つけました。上品な水色の花がいくつか咲いています。

寒さのためか葉も蕾も紫がかっていてこれも可愛かったです。

 草原を出て、林道を少し歩いてみました。ヒゴスミレが2株、4輪咲いていました。細かく切れ込んだ葉と中心部が緑がかった白いスミレです。いい匂いもしました。

斜面にはアケボノスミレも咲き始めていました。さらに少し先に進むと、植原さんがちょっと変わったタチツボスミレを見つけました。同じ株なのに普通の薄紫の花と白い花があります。そしてさらに先の斜面にはマルバスミレもありました。

 ロッジ前にもどり、昼食にしました。別々のベンチで距離をとって食べました。

 

 午後はまず、例年早めにスミレが咲く湿地への道を少し歩いてみました。サクラスミレが2株、咲いていました。咲き始めで美しかったです。きれいなアカネスミレもありました。またタチツボスミレがたくさん咲いていました。

 次に四季の森に移動、森の入口近くにもサクラスミレ、ツボスミレが咲いていました。遊歩道では、ミヤマスミレがたくさん見られました。タチツボスミレ、ヒメイチゲも咲いています。淡いピンク色のヒナスミレもまだ咲き残っていました。途中でひときわピンク色が目立つスミレがありました。近づいてみるとヒナスミレのようですが、少し花が大きめで葉が丸い感じです。ヒナとミヤマの交雑かも……と盛り上がりました。後日、植原さんが乙女高原フォーラムで講演をしていただいた、いがりまさしさんに確認したところ、不稔ならば交雑だということなので、花後も観察をしていく必要がありそうです。

 塩平方面へ下り、途中の自然観察路入口に寄ってみました。この付近ではフモトスミレ、エイザンスミレ、アケボノスミレ、マルバスミレ、タチツボスミレ、ヒゲネワチガイソウ、シロバナエンレイソウが見られました。道路わきにはモミジイチゴモも咲いていて、マルハナバチが来ていました。

雨が降り始めたので、観察は終了し、塩平のゲートの所で解散となりました。

 

 13種類ものスミレに出会うことができたスミレ三昧の一日、そしてスミレの多様性を感じた一日でした。コロナ禍で訪れる人も少ない乙女高原ですが、季節は確実に進んで、高原は花や昆虫の季節になっていきます。早くコロナが収束して、自由に観察できることを願うばかりです。

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2020年04月04日(土)の観察交流会

2020年04月04日 | 乙女高原観察交流会

※乙女高原案内人の鈴木さんがレポートを書いてくださいました。

 4月4日、今年度最初の自然観察会交流会が開催されました。コロナウイルス感染が広がっているためか、参加者は少なく3名でした。全員マスクを着用して、普段は乗り合わせる車も別々にするなど、いつもと違う雰囲気です。それでも春の装いの乙女高原を楽しみに、また今回はヤマアカガエルの産卵調査も行うことを決めて高原へと向かいました。
まずは毎年カタクリが見られる山の神付近で車を止めました。カタクリの開花にはまだ少し早いようでしたが、代わりにたくさんのヒナスミレが咲いていました。近くで成虫越冬したテングチョウが飛んでいます。よく見ると羽がボロボロです。生き物が冬を越すことの厳しさを感じます。

 次に通称カエル池で途中下車。先月の観察会でヤマアカガエルの卵塊を16腹見つけたところです。かろうじて1腹だけが卵塊の形を残していましたが、残りはすべて孵化してオタマジャクシになっていました。ヤマアカガエルは年1回の産卵期に、成熟したすべてのメスが1匹あたり1つの卵塊を産卵します。そのため卵塊の数を数えることで生息する個体数を把握ことができるのです。

 さらに車を進め、例年ネコノメソウが群生している沢の斜面を降りてみることにしました。期待通りツルネコノメソウとハナネコノメソウがたくさん咲いていていました。少し離れたところにはコガネネコンメソウ咲いていて、3種類のネコノメソウの仲間を楽しむことができました。バイケイソウやハシリドコロも芽を出し始めています。また、沢の中の少し大きめの石をそっと裏返してみると、カワゲラやトビゲラの幼虫が動いています。水辺の虫や魚たちも賑やかになりそうです。

 木道の湿地と駐車場下の湿地でヤマアカガエルの卵塊を確認しました。木道の卵塊数は9腹あり、いずれもかなり崩れかけていました。駐車場下の湿地は2腹でした。こちらもかなり崩れています。湿地から少し目を離すと何かごそごそ動いているものがあります。越冬から目覚めたヒメツチハンミョウです。あたりを見渡すと他にも数匹見つけることができました。早々に交尾をしているカップルもあり思わず見入ってしまいます。周りではバッコヤナギの白い輝きが印象的でした。

 あちこち寄り道をして、結局高原に着いたのは12時を過ぎてしまいました。ロッジ前の温度計は15℃、暖かいです。昼食後は来月の遊歩道作りの前準備として、杭の点検をすることにしました。腐って折れそうな杭に、目印として園芸用の支柱を立てて回ります。その結果、30本ほど交換が必要と思われる状態でした。また、昨年設置した“谷地坊主の案内板”に誘導する歩道も新たに作らなければなりません。ホソバツルリンドウなどの株を避けるようにコースを取ってみると、40本程度の杭が必要になりそうです。いろいろ作業をしていると乙女高原が多くの人の手によって維持されてきたことをあらためて実感しました。

 一通りの作業を終えたあと、帰りは塩平方面へ抜ける林道を通ることにしました。マンサクの花が見ごろではないかとの情報でしたが、ほとんど終わりになっていました。一方ダンコウバイの花が満開で、アブラチャンはまだ冬芽が開くのにしばらくかかりそうな状態でした。それぞれ春を代表する黄色い花ですが、開花時期の微妙なずれがおもしろく感じます。ツノハシバミの赤くてかわいい雌花も目を引きます。この林道にはスミレの群生地が何か所かありますが、まだ早いようでひとつも見つけることはできませんでした。次回の観察会におあずけです。

 コロナウイルスの影響は長期化しそうです。ひとりひとりがしっかりと対策を取って自粛すると同時に、たまには乙女高原に出向いてリフレッシュすることも大切ですね。

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