5月22日(日)、今年度2回目となるスミレ観察会が行われました。参加された渡辺さんがレポートを書いてくださいました。以下に掲載します。
また、角田さんが当日の様子をユーチューブにアップくださっています。
→ https://www.youtube.com/watch?v=5JWXHdJNHiQ
本日はスミレ観察会の2回目です。集合時間の10時にグリーンロッジの駐車場に集まったのは14名でした。先週に実施した1回目から1週間しか経過していないので、見られるスミレの種類に大きな変化は見られないでしょう。そこで今回は種ごとの生育環境などを少し深掘りして観察することにしました。
始めにリーダーの井上さんからスミレの種類や構造、集まる虫たち、生存戦略についてレクチャーを聞きました。話だけではなかなかピンとこないと思いますが、そこは観察会で実際に見たり聞いたりすることで理解を深めてもらうことにしました。
森のコースから富士山の展望地に向けて進みます。草原の当たりの良い場所ではサクラスミレがたくさん咲いていました。しかし花のピークは過ぎたようで先週よりも花の色が薄くなっていました。そんな色の変化を楽しむことができるのも観察会の良いところです。
展望地の手前まで登るとエゾノタチツボスミレを見かけるようになりました。タチツボスミレのような淡紫色の花もあるのですが、ここで多く見られるのは清楚な白花のほうです。スミレの季節の後半に茎を高く伸ばして葉をつけて花を咲かせるタイプのスミレですが、これは周囲の伸びた草に埋もれてしまわないようにするための生存戦略だと思われます。
展望地ではスミレ(マンジュリカ)が咲いていました。このスミレを見て「よくばり」と表現している方がいました。最初は意味が分からなかったのですが、葉柄に翼があるので「翼張り」と聞いて納得しました。なるほど特徴を良く捉えていますね。
展望地から草原のコースを下りツツジのコースへ向かいました。先週にはたくさん咲いていたサクラスミレの多くが終わりを迎えていましたが、かわりにフデリンドウをたくさん咲いていました。
谷地坊主の説明板周辺ではニョイスミレが咲いていました。沢沿いなど湿り気のある場所でよく見かけるスミレです。スミレの種類と生育環境との関係を調べると面白いかもしれません。
昼食後、スミレの観察会ではあまり歩いたことがない大窪山まで行ってみることにしました。谷地坊主前の駐車場から入山し、ベンチのあるピークへ向かいます。登山道沿いにはアケボノスミレ、そして背の低いミヤコザサが茂る明るい林縁には大株のサクラスミレを見ることができました。南斜面の日当たりが確保できるこの場所は、サクラスミレが大きく育つのに適した環境なのでしょう。
ピークを越えて下った先の鞍部は薄暗く湿り気があり、コケが好む環境が広がっていました。コケの上にはマイヅルソウやミヤマスミレの葉の群生が見られました。ミヤマスミレは盛んに地下茎を延ばして増えるタイプなので、しばしば群落を形成します。残念ながら今回は時期が遅く開花株をほとんど見かけることはありませんでしたが、かわりにワチガイソウが咲いていて癒されました。
大窪山の山頂部周辺ではアズマシャクナゲが咲いていました。見ごろは過ぎていましたが咲いていることが確認できただけで十分です。
下山後にグリーンロッジ前で簡単に終わりの挨拶を行い解散しました。
乙女高原周辺には、草原、湿地、暗い林、明るい林などの多様な環境が存在します。そんな豊かな環境が生物の多様性を生んでいることを改めて知ることができました。