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日本でもお馴染みの家庭台所用品タッパーウェアの製造会社が倒産の危機にあると言う記事がCNNのオンライン版にあった。 その中で、記事を書いたクリスティン・ロジャースさんは、食料保存容器がいつまで安全に使用できるのか?と問いかけた。 これは私も気になっていたことで興味があったので要約してみた。
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再利用可能なプラスチック製の食料保存容器は、冷凍庫や冷蔵庫の普及と共にどこの家庭にも置いてある台所の必需品になっている。 食品の賞味期限の問題はよくニュースになってますが、プラスチック製食品保存容器も安全に使用できる期間はどのくらいか気になるところでしょう。
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米国の環境保健科学研究所によるとBPA(ビスフェノールA)という化学物質は、プラスチックの耐久性や割れにくさを高めるために使用されてきましたが、潜在的に健康被害を引き起こす可能性があるようです。 タッパーウェアの米国とカナダの商品は、2010年3月以降BPAフリーだそうです。
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マサチューセッツ大学環境衛生科学のローラ・ヴァンデンバーグ教授によるとBPAは耐衝撃性窓ガラス、ペットボトル、ボトルの蓋、缶詰の食品ライニングなど色々な製品に使用されてきたそうです。 BPAにさらされると不妊症、胎児の成長異常、注意欠陥/多動性障害、子供の攻撃性、子宮内膜症、心臓病など広範囲に健康問題と関連があるそうです。
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コンスーマー・レポートの食品安全研究所のジム・ロジャースさんによると、
プラスチック製の食品保存容器を洗う時にゴシゴシこすったりすることで傷がつくと細菌が繁殖したり、トマトや柑橘類などの高酸性の食品も容器にダメージを与えます。BPAが含まれる古いプラスチック容器は、使用するたびに微量のBPAが溶出するため、低濃度でも健康被害を心配する必要がありそうです。
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「電子レンジ対応」のプラスチック製品でも、プラスチック剤や化学物質は、加熱中にプラスチック容器から食品に移行することがあるそうです。 容器の変色は、プラスチック内で化学的変化が起こっている可能性もあり、プラスチックの分解を示しているようです。
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NSF(ナショナル・セーフティー・ファウンデーション)のサム・コールさんは、傷ついたプラスチック製の食品保存容器は廃棄するよう勧めています。 加熱するときは、プラスチック製の容器からガラスや陶器などに移すことも勧めています。
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BPAを心配する理由は、1930年代にテストされたときから、それがエストロゲンのように作用することがわかっていたからです。 エストロゲンは繁殖と生殖に重要な、性器や脳の発達、代謝の調整にも重要なホルモンです。 筋肉や脂肪の発達にも役割があるようです。
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BPAの分子の形状により、エストロゲン受容体に結合しやすくなるのが原因で、体内のエストロゲンやその経路に少しでも手を加えると、私たちの健康に深刻な影響を及ぼす可能性があるようです。ガラスなど、化学的に不活性なものに置き換えることを考えてみてくださいとヴァンデンバーグさんは述べています。
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一応記事の要約は以上です。プラスチックの食べ物や環境への影響は昔から懸念されてきましたが、ゴミの問題はともかく食に対する影響は微妙なところがあるように思えます。 今の生活スタイルでプラスチック製のものを使わないことはほゞ不可能でしょう。
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一時期、携帯電話の電波が脳に与える影響が懸念されましたが、なんとなく確固とした結論がでないまま、うやむやになったような感じでした。 BPAの問題も同じように心配はされても、なんとなくうやむやになりそうな感じがしないでもない。
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ナイロンやアクリルのような人工繊維のプラスチックもミクロン単位では大気圏の上空から南極や北極まで拡散されているそうだ。 昔の原爆や水爆の実験で飛散した放射性物質などは、世界中に分散し生物の体内にも堆積されているとか聞いたことがある。
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人の営み、文明文化の発展による地球への影響は大きい。 地球温暖化現象もその一つだろう、しかし地球規模の問題の解決は簡単ではない。 人類への今後の課題は山積みである。