パエ-リャ

木製カトラリ-

ボホ-ル紀行 (10)

2016-06-15 06:32:21 | Weblog

海岸の分岐点から内陸方面へは、そのまま行くとチョコレ-トヒルに至るが、 Loay Interior Road と呼ばれるその幹線道路の両側は低い山林と里山、山頂の巨大な十字架が見えたり、 それ以外の場所は奥行きの広い畑になっていて、作業をする人の姿は見かけない。

フィリピンに特徴的な白いコンクリ-ト道路の至る所にむしろに広げたもみが干してあるので、基本的には一帯がコメの自給自足で生活している農村だと推測できる。

そして、案内表示に従い、幹線道路を左折すると、リゾ-ト村のゲートまでのわずかな距離の間に、フィリピンの田舎の今が溢れている。

粗末なコンクリ-ト舗装が壊れて凸凹だらけの急な坂道。両側には、背の高いヤシの木のお陰で、明るい光と明るい陰がとても高いところまでもつれ合う大きな空間がある。その中に小さな板張りの住居が点在していて、その間を自在に走り回る子供達が屈託なく手を振って来るので、ヘルメットが珍しいのかも知れない。

放し飼いの犬、鶏、牛、そして恐らく当面の米の収穫期が終わっているため、それらを所在なげに座って見守る壮年の大人達や老人、ヤシの木に渡された長いラインと洗濯物、数台のバイク。それらは、画像として切り取らず思い出だけで残しておきたい光景で、バイクで遠出して戻って来る度に、懐かしさと安心感を感じる世界だった。だから写真はない。

確かに、現金収入の面では貧しいのだろう。でも、その熱帯の光と陰が心地よく揺らいでいる空間には、そこだけで人生を最初から最後まで全う出来る必要最低限の確かな安心感があるのが見て取れる。だから、そこをバイクで通る度に、この子供たちは、いつか、ここを離れて遠くの広い世界に行ってしまい、村には二度と戻って来ないのだろうかと、不安に感じてしまうのだった。