しずくな日記

書きたいなあと思ったときにぽつぽつと、しずくのように書いてます。

ボクはほんとうは何もできない

2012-07-26 21:10:12 | 日記
4日連続の補習が終わる。
このスケジュールは大変すぎた・・・・反省。
朝から夕方まで補習。15時頃に少し気持ち悪くなる。
なんとか補習終了の17時まで持ちこたえたが辛かった。
来週、あと2日間・・・。

今日は午後、横浜に光化学スモッグ注意報が出て、
日直の先生が美術室まで伝えに来てくれた。
とはいえ、窓を全部閉めるわけにはいかなかった。

3年の補習をしていたクラスルームも2年の補習をしていた美術室も、
クーラーはない。扇風機があるだけ。
それでなくとも、今日は朝からすごく蒸し暑かった。
注意報が出ていることを生徒に告げて、
少しだけ窓を閉めた。暑さが増したような気がした。
学習する場所なのに、もっと快適に過ごせないものかなあ・・・。


2年生の補習は16時頃には人がいなくなったので、美術室を片付けて
3年のいるクラスルームへ。8人くらいがまだ残っている。
木彫の彫りを終えて、やすりがけをし、色塗りをしていた。
ある子が、
「ひまわりの真ん中のとこって、しましまに描けばいいの?」と聞いてきた。
カットやイラストなら、そういう感じのが確かに多い。
でもひまわりをちゃんとみたことがある人なら、
ひまわりの真ん中は種がびっしり詰まっていることを知っている。
「ひまわりのまんなかって、しましまじゃないよ、種がいっぱい詰まっているんだよ。」
と教えた。実物を見せるのが一番良かったけど、あいにく校内には咲いていない。
イラストを描いて示した。種があると思って色をつけてごらん。
ひとつの色だけじゃなくて、いろいろバージョンを作ってみてよ。

薄茶色の種、焦げ茶色の種、その中間の色の種、小さな点々を種に見立てて、
ひまわりの中心を埋めていった。
自分で描いたのに、その子は出来上がりに感動していた。
「ほんとのひまわりみたい・・・。」

やっぱり、持ち帰らせてやらせなくて良かったと思った。
たいしたアドバイスではないけど、子どもは知らないことだ。
アドバイスを聞いて、その子は表現の仕方を発見できたのなら、
補習の価値はあった、と思った・・・・
・・・・・というか思わなきゃ、
こんな暑い中でバカみたいに日がな一日×4日間も頑張ったのがかなしい。


帰り際に保護者から電話。
書類は学校に来てもらってかいていただくのが原則だけど、
ものすごく忙しそうだったので、持って行くことに。
トコトコ歩いて、ドアチャイムを押すと、どうぞーと声が聞こえた。
開けると、まずネコと犬が同時に出迎えてくれる。
「入ってて~!!!」と言われ、
お邪魔します~と中に入る。
玄関先でプリントを渡すことはあったけど、中に入るのは始めてだった。

・・・・。
予想はしていたけど、荒れていた。
どこに座っていいのか、わからない。
虫が数匹、つつつと横を通っていき、ビクッとした。

保護者は奥の部屋の寝室に軽装で寝転んだまま、パソコンを打っていた。
あれ? 忙しそうじゃないじゃん・・・。

「先生、引っ越し先でご近所に何か配る時につける熨斗って、どんなのがいいんですか~?」
・・・え、ごあいさつ、とか???
「すみません、あんまり経験がないもんで・・・よくわかんないです。」と答えた。
「10分以内に電話をかけなきゃいけないから、ちょっと待っててね~。」
と言われ、保護者が電話をかけだす。相手はどうやら役所のようだった。

引っ越しをするという。

だから退学・転学証明書を記入してもらうためにやってきたのだった。
これをもとに他の書類を作って、区役所に持って行ってもらう。
それで転学手続きは完了だ。

だけど、学年の先生たちはみな、この引っ越しを心配していた。
兄も姉も、今の生徒も、みな不登校だった。
今の生徒も1年生の時から月に3回ほど、お弁当も持たず、
ふらっと思い出したように登校してくるくらいだった。
私や学年の先生がお昼代を出して、その子のお弁当を買っていた。
美味しそうにお弁当を食べるその横顔に、
なんだかやりきれない思いがしていた。

転校先はすぐ近くの学校だった。
ならば、転校せずに新しい家から通学すればいいと学年の先生みんなで説得したけどダメだった。
昔からいる先生達は、もう成人を迎えるだろう兄のことも良く知っていた。
どこで何をしてるのかわからなかった。
姉はまだ高校生のはずだったけど、既に一緒には暮らしていなかった。
だからみな心配している。

新しい家からうちの学校に来るためには、電車とバスに乗らなければいけない。
電車代とバス代がかさむから、という理由だった。
それに、どちらの学校に行くことになっても、
どっちみちこの子は行かないから、とも言っていた。
保護者には、ハナから子どもを学校へ行かせようという気もないのだった。

小さな犬とネコを大切に飼っているその生徒に、
「ほんとに転校するんだね・・・。」と言った。
その生徒は、
うん、でも近くだから、またあえるよ、と言う。


この子のために、特になんにもできなかったなーと帰り道でさみしく思った。



自分のできることってなんなんだろう・・・・と、
夕暮れ時になった住宅街を駅に向かって一人歩いていると、
なんだか果てしないものと格闘しているような、
どうしようもなく、空っぽな気持ちになった。

昔何かの小説で読んだフレーズがふっとよぎる。
どんな場面かも忘れた。
言葉だけ思い出した。

「ボクはほんとうは何もできない。」



































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