全連小理事会に出席した46都道府県・48名の小学校長らが2023年2月17日、直立不動で整列し秋篠宮文仁氏(左。58歳)と会った。文仁氏は「慰労の言葉」を述べたという。赤坂東邸で、宮内庁HPから
★ 小中校長会幹部、学校ほったらかしで皇居詣で
「管理職手当増額」は必要なのか(『紙の爆弾』)
中央教育審議会「質の高い教師の確保特別部会」の部会長・貞広斎子千葉大教授は5月13日、公立小中高校等の〝中間管理職〟的な主幹教諭等による一般教諭へのパワハラの増加に一切言及せず、主幹教諭を増員し、その下位に主任教諭職も新設、上意下達の学校組織化を一層進める『審議まとめ』を出した(本誌7月号)。
文部科学省財務課はこうした管理統制強化策に、賛成意見が反対意見(民主的な職員会議による学校運営決定、同僚性重視等が多かった)よりかなり多いかのように装う『パブコメ概要』を8月9日、中教審初等中等教育分科会に報告した上で、『審議まとめ』を『答申案』に格上げし了承させてしまった。
『答申案』はさらなる上意下達化として、「高いマネジメント能力等を有する管理職による適切な学校運営が重要」との〝理由〟で、管理職手当を増額せよと主張(『審議まとめ』と同文)。加えて、〝早期に出世した40歳台校長と〟定年(現在は61歳)間近の非管理職の教員との「本給相当額の逆転が生じることのないよう」「管理職の本給の増額も必要」と明記した。
教職員の給料等は自治体で決める。東京都教育委員会の『都公立学校教員採用ポータルサイト』は、「同じ59歳で、校長は年収が約1200万円(退職金含む生涯年収約3億6千万円)、一般教諭は同800万円弱(同2億7千万円)」だというグラフを掲載。文科省はこの格差をさらに広げ、「金がほしければ管理職になり、お上の政策(〝君が代〟強制等)を遂行せよ」と煽り立てているのだ。
では、中教審に委員を送り込む全国連合小学校長会(全連小)や全日本中学校長会(全日中)の幹部役員らは、何をやっているのか?
全日中のHPは皇室との関係深化を強調。1997年10月の「中学校教育50年記念式典」、07年・17年10月の「同60年・70年式典」(いずれも東京大会)では、「天皇皇后両陛下御臨席、皇太子殿下御臨席」等を、明記している。
また17年は、5月24・25日の第68回総会において、赤坂東宮御所で「皇太子殿下御接見(拝謁から御接見へ)」。さらに23年5月25・26日の「第74回総会」の初日と、24年5月23・24日の「第75回総会」の2日目には「皇居特別参観」なるものを実施している(参加者は23年が189名、24年が171名と膨大)。
宮内庁のHPは全連小について、「全連小理事会に出席する小学校長ご接見(赤坂東邸、令和5年2月17日)」と題し、直立不動で整列し秋篠宮文仁氏と会う、46都道府県の校長48名の写真を掲載。「冒頭、同会会長より今後の教育の邁進に向けた抱負が述べられました。その後、殿下が、全国の校長方に向けご慰労のお言葉を述べられました」と、記述している。
また全日中HPの「あゆみ」は、89年1月「昭和天皇崩御」、99年8月「国旗国歌法施行」、06年12月「教育基本法改正」を明記。一方、子どもの権利条約の国連総会での89年採択、日本の90年署名、94年批准は不記載だ。
校長会の総会・理事会は、東京で毎年平日に開催。授業日に学校をほったらかし、集団で皇居に大型バスで行き、皇室関係者に会うのが校長らの仕事なのか。子どもの権利より天皇や国旗国歌の方が大切なのか。管理職の本給・手当とも増額は必要ない。むしろ減額するべきだ。
「主幹教諭増員、主任教諭新設、管理職手当・本給増額反対」のパブコメ無視し上意下達の学校組織化謀む答申を、荒瀬克己中教審会長(国語科教諭出身で元京都市立堀川高校校長。70歳)が盛山正仁大臣(70歳)に手交。左は質の高い教師の確保特別部会の貞広斎子部会長(千葉大教授)。2024年8月27日、第139回中教審総会で、文科省HPから
(永野厚男・教育ジャーナリスト)
『紙の爆弾』(2024年10月号)
『パワー・トゥ・ザ・ピープル!! アーカイブ』の読者の皆様に
→永野厚男さん執筆記事は、月刊『紙の爆弾』の校正締切りが8月25日だったため『答申案』となっていますが、文科省は無修正のまま8月27日の『答申』を印刷したので、記事本文の内容は変わっていません。
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