たんぽぽ舎です。【TMM:No5079】2024年9月7日(土)
☆ 関東大震災虐殺事件の国家責任から逃げる日本政府
~原発事故の責任を認めないのと同じ構造
冨塚元夫(たんぽぽ舎)
昨年の8月31日学者やジャーナリストらでつくる実行委員会は、文京シビック大ホールで「関東大震災朝鮮人・中国人虐殺100年犠牲者追悼大会」を開催した。中国や韓国から来日するなどした遺族ら18人と共に参加者約1800人が犠牲者の冥福を祈った。実行委員会には多くのボランティアが参加して、時間をかけて準備された素晴らしいプログラムでした。
今年の8月31日は、文京区民センター3Aに450人が参加して、追悼式と講演会が行われました。
第一部追悼式は、田中宏(一橋大学名誉教授)の開会挨拶、韓国・中国遺族挨拶のあと昨年にはなかった追悼の舞がありました。
第二部講演会(関東大虐殺の責任をただす集会)では、藤田高景氏(100年追悼大会実行委員会事務局長)の開会挨拶に続き、川口正昭氏(旧群馬の森追悼碑を守る会・共同代表)の特別報告がありました。
高崎市の群馬の森追悼碑は群馬市民が1995年から県内の強制労働の歴史を調査して2004年に建立されました。それが今年1月、県の行政代執行によって撤去されてしまいました。
碑の存続を求める裁判で問題になったのは、除幕式や追悼式で使われた「強制連行」という言葉で、この言葉は「政府が認めていない。この言葉を使った追悼式は政治的集会であり、設置時のルールに反する」という歴史否定の政権に忖度した山本一太知事と東京高裁の裁判官の連携プレーによる政治的陰謀でした。
講演者は3人でした。
☆ 山田 朗(明治大学教授):関東大震災にいたる歴史的な構造
1919年「三・一独立運動」以降活発になる朝鮮独立運動を恐れた政府は兵力を増強して鎮圧にあたりましたが、独立運動を「過激派」「不逞鮮人」と呼んで国内でも警戒を強めるよう宣伝しました。
「ロシア革命に共感した朝鮮人は日本国内の共産主義者と呼応して独立運動を起こすかもしれない」とおそれて過剰警戒体制を作り上げました。
朝鮮半島で運動の鎮圧にあたった兵隊は在郷軍人として朝鮮人の反乱を恐れていました。
☆ 有田芳生(ジャーナリスト、元議員);ヘイトクライム、レイシズムをのり越えて
日本人の排外主義の源流は第二次安倍晋三政権にあります。在特会ができて、2013年には新大久保、大阪・鶴橋でヘイトスピーチが吹き荒れました。
大阪・鶴橋では中学2年の女子が「南京虐殺のような大虐殺を鶴橋でもやりますよ」と叫びました。
2014年には国連人権委員会が「日本の警察はヘイトを守っている」と警告しました。
☆ 田中正敬(専修大学教授、関東大震災朝鮮人虐殺の国家責任を問う会事務局長):関東大震災虐殺事件の国家責任-追及の経過と課題
昨年5月と6月、立憲民主党杉尾秀哉さんと社民党福島みずほさんが、参議院の委員会で「100年前の虐殺には政府軍隊が関与したという事実を確認し政府として謝罪すべきではないか」と質問しました。
政府答弁はいつものように「調査したかぎり、政府内に公文書が見当たらないから、お答えするのは難しい。」というものでした。
実は、東京都公文書館にも国会図書館にも虐殺を記載した公文書が存在するにもかかわらず、「震災時に政府内で作成されたか確認できない、確認できる記録が見当たらない」などという詭弁を弄して責任追及から逃げている。
これは、私の意見ですが、あったことをなかったことにして責任を取らず、また起こることに備えているのだと思います。
原発事故の責任を認めないのと同じ構造だと思います。
また戦時体制になるのに備えて、国内の反戦運動を内敵として弾圧する準備をしていると思います。
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