《「子どもと教科書全国ネット21ニュース」から》
◆ 「社会はひとつずつ変えることができる」
~フードパントリ「おひさま」を事例として
◆ 授業がきっかけに
「コロナ禍の今少しでも世の中の希望となりたい」という強い思いからフードパントリー開催に至った。皆さんは、フードパントリーを知っていますか。
フードパントリーとは、母子家庭や父子家庭などのひとり親世帯の方々に無料で食材を配布する活動だ。
私が、フードパントリーを開催しようとしたきっかけは、高校2年生の頃の授業、T-GAPという授業がきっかけだった。
T-GAPとは、筑波大学附属坂戸高等学校(以下、筑坂)の高校2年次の時に行われる授業で、全員必須の授業だ。
この授業では、「社会課題に向けてアクションをおこす」ということを目標に、グループで活動を行う。
私は、8人グループで活動をしていた。
グループで話し合いを行い、私達のグループは、貧困・子ども・食という3つのキーワードが出た。話し合いを重ね、フードパントリーを坂戸市に開催しようと決めた。
なぜ、フードパントリーを開催するのか、他の市にはフードパントリーを行っている団体があったにも関わらず、ここ坂戸市にはフードパントリーを行っている団体が1つもなかったことから、ないのなら自分たちで作ってしまおうと思い開催することを決意した。
フードパントリーを開催すると決意をしても、初めての挑戦だったため、何から始めたらいいのか、フードパントリーをどうやって開催したらよいのか何も分からなかった。
そこで、フードパントリーを行っている団体へ話を聞きに行くことにした。
◆ 先生に止められる
私達が訪れたのは、鶴ケ島市で活動をしている「NPO法人カローレ」という団体だった。この団体は、保育園や学童、児童館、学習支援事業.子ども食堂など子ども支援に関する事業を幅広く展開している団体だ。
「NPO法人カローレ」では、本来子ども食堂を開催していたが、このコロナ禍の影響で子ども食堂を開催することが出来なくなり、子どもたちのために何かできないかと食材を子どもたちのもとへ届けている団体だ。
「NPO法人カローレ」での話を聞いていく中で、高校生がフードパントリーを開催することは困難だということが分かった。
「NPO法人カローレ」では市役所に協力をしてもらい、助けを必要としている人たちの個人情報などを扱っていた。
しかし、私達は高校生だ。未成年ということもあり、市役所の力を借りることはできない。さらに、個人情報だけではなく、食材をどこから集めるのか、利用者さんをどうやって探すのかなど様々な問題があることが分かった。
話を聞く中で高校生だけでは開催は困難なのだとはっきりと分かった。そこで、私達は一旦、学校に集まり、グループで話し合いをした。
話し合いを重ねた結果「フードパントリーを開催したい」という意思がとても強かったため、学校に企画書を提出した。
筑坂でフードパントリーを開催したいと企画書に書き、先生に出したが、先生たちに見事に止められてしまった。最初はなぜ、生徒がやることに応援してくれないのか、先生たちに怒りがあったが、冷静に考えたところ、企画書を書いたが何も決まっていなかった。
食材をどこから集めるのか、感染対策はどうするのか、利用者さんはどうやって集めるのか、人脈もなく協力者もいなく、先生たちが止めた理由が分かった気がした。
さらに、先生たちが言いたかったことは「最終的に誰が責任をとるのか」ということだったと思う。
私達がいくら自分たちで責任を取りますと言ったところで、学校でやる以上最終的には先生たちが責任を取らなくてはいけないのだ。先生たちに止められたことで、自分たちはフードパントリーのことを何も知らなかったのだと反省をした。
◆ 個人的に活動を続ける
そこで、自分たちの勉強不足が開催に至らなかったので、再びフードパントリーを行っている団体へ調査に行くことにした。
1つ目に訪れた団体は、ふじみ野市にある「ココロンくらぶ」という団体だ。この団体は、食事の提供や地域交流、学習支援などを行っていて、「誰でも来られる地域の『居場所』」を目標に活動を行っていた。
2つ目に訪れた団体は川越市にある「本能寺」という団体だ。この団体は、食料配布や「寺子屋」として学習支援、お寺カフェなどを開催している団体だ。「親と子どもの『居場所』の確保」という目標に活動を行っていた。
最後に、3つ目に行った団体は、富士見市にある「富士見みんなでプロジェクト」という団体だ。この団体は、お弁当の配布や学習支援などを行っていて、「温かい食事の提供」を目標に活動を行っている。
そこで、富士見みんなでプロジェクトの代表をしている東海林さんという方に出会った。東海林さんに私達が今までフードパントリーを開催しようと頑張ったことや先生方に止められてしまったことなどを全て話した。
すると、東海林さんが、「高校生にだってできる」と言ってくださり、フードパントリーを、開催をするために協力をしてくれることになった。
東海林さんと出会ったことで、人脈が一気に広がり開催をすることが可能になった。東海林さんと出会えたおかけで、フードパントリーを坂戸市に開催できたと言っても過言ではない。
だが、ここで学校の授業は終わってしまい、授業内で開催することが出来なかった。私は、フードパントリーが開催できなかったことが悔しく、個人的に活動を続けることにした。
◆ フードパントリー「おひさま」を立ち上げる
フードパントリーを開催するため、本格的に準備が始まった。東海林さんにアドバイザーになってもらい、様々なサポートをして頂いた。
開催するために県庁で話し合いを行った。「埼玉フードパントリーネットワーク」の代表をしている草場さん、市役所で少子政策課として働かれていた百井さん、東海林さん、埼玉トヨペットの方と話し含いを行った。埼玉トヨペットは、坂戸市で新しくフードパントリーを行おうとしていた。そこで、話し合い参加をしていただいた。
話し合いの内容は、感染対策はどうするのか、食材をどう配布するのか、利用者さんをどう集めるのかなど細かい内容を話し合った。
県庁での話し合いで、筑坂でフードドライブを行うことになった。
フードドライブとは、家庭で余っている食品を、持ち寄りそれを必要としている方々や団体に寄付をする活動だ。この活動を実施した時、多くの生徒が食品を持ってきてくれた。
そして2021年2月14日フードドライブを開催することができた。
14世帯の方が参加してくれた。多くの団体が食材を、寄付をしてくれた。さらに、食材を寄付してくれたのは団体だけではなく、地域の住民の方もだ。
1回目の開催は改善しなければいけない部分も見えたが、大成功だった。
2回目の開催をどうするかとなった時、「一般社団法人シンビオージ」の山口さんと出会った。
山口さんは、埼玉トヨペットの方と坂戸市でフードパントリーを開催しようとしていた。そこで、一緒にフードパントリーを行うことになり「おひさま」という団体を立ち上げた。
◆ これらの経験を将来に
これが、私がフードパントリー「おひさま」を立ち上げた経緯だ。現在も月に一度開催をしている。
埼玉新聞、東京新聞、スーパーJチャンネル、24時間テレビなど多くのメディアにも取り上げていただき、今では利用者さんが約60人近くいる。
さらに、食材を安定して困っている人に届けたいという思いから、「セカンドハーベスト・ジャパン」に食材の寄付を頂いている。
食材をただ配布するだけではなく、利用者さんとの交流も大切にしていきたいと考えている。
私がこの経験から学んだことは、自らがアクションを起こし、大人たちに訴えかけ続けることで、周囲の人たちの協力を得ることが出来るということだ。
私は、これらの経験を将来、私が地域の人たちにしてもらったように、地域の人たちを助けることができる訪問看護師になりたいと考えている。
コロナ禍の今だからこそ、多くの人に希望を与えられるような人材になりたい。
※「人権と民主主義の教育をめざすネットワーク」結成集会(2021年12月19日)での報告をまとめていただきました(ニュース編集委員会)。
『子どもと教科書全国ネット21ニュース 142号』(2022.2)
◆ 「社会はひとつずつ変えることができる」
~フードパントリ「おひさま」を事例として
筑波大学附属坂戸高校3年 菱沼幸歩(ひしぬまゆきほ)
◆ 授業がきっかけに
「コロナ禍の今少しでも世の中の希望となりたい」という強い思いからフードパントリー開催に至った。皆さんは、フードパントリーを知っていますか。
フードパントリーとは、母子家庭や父子家庭などのひとり親世帯の方々に無料で食材を配布する活動だ。
私が、フードパントリーを開催しようとしたきっかけは、高校2年生の頃の授業、T-GAPという授業がきっかけだった。
T-GAPとは、筑波大学附属坂戸高等学校(以下、筑坂)の高校2年次の時に行われる授業で、全員必須の授業だ。
この授業では、「社会課題に向けてアクションをおこす」ということを目標に、グループで活動を行う。
私は、8人グループで活動をしていた。
グループで話し合いを行い、私達のグループは、貧困・子ども・食という3つのキーワードが出た。話し合いを重ね、フードパントリーを坂戸市に開催しようと決めた。
なぜ、フードパントリーを開催するのか、他の市にはフードパントリーを行っている団体があったにも関わらず、ここ坂戸市にはフードパントリーを行っている団体が1つもなかったことから、ないのなら自分たちで作ってしまおうと思い開催することを決意した。
フードパントリーを開催すると決意をしても、初めての挑戦だったため、何から始めたらいいのか、フードパントリーをどうやって開催したらよいのか何も分からなかった。
そこで、フードパントリーを行っている団体へ話を聞きに行くことにした。
◆ 先生に止められる
私達が訪れたのは、鶴ケ島市で活動をしている「NPO法人カローレ」という団体だった。この団体は、保育園や学童、児童館、学習支援事業.子ども食堂など子ども支援に関する事業を幅広く展開している団体だ。
「NPO法人カローレ」では、本来子ども食堂を開催していたが、このコロナ禍の影響で子ども食堂を開催することが出来なくなり、子どもたちのために何かできないかと食材を子どもたちのもとへ届けている団体だ。
「NPO法人カローレ」での話を聞いていく中で、高校生がフードパントリーを開催することは困難だということが分かった。
「NPO法人カローレ」では市役所に協力をしてもらい、助けを必要としている人たちの個人情報などを扱っていた。
しかし、私達は高校生だ。未成年ということもあり、市役所の力を借りることはできない。さらに、個人情報だけではなく、食材をどこから集めるのか、利用者さんをどうやって探すのかなど様々な問題があることが分かった。
話を聞く中で高校生だけでは開催は困難なのだとはっきりと分かった。そこで、私達は一旦、学校に集まり、グループで話し合いをした。
話し合いを重ねた結果「フードパントリーを開催したい」という意思がとても強かったため、学校に企画書を提出した。
筑坂でフードパントリーを開催したいと企画書に書き、先生に出したが、先生たちに見事に止められてしまった。最初はなぜ、生徒がやることに応援してくれないのか、先生たちに怒りがあったが、冷静に考えたところ、企画書を書いたが何も決まっていなかった。
食材をどこから集めるのか、感染対策はどうするのか、利用者さんはどうやって集めるのか、人脈もなく協力者もいなく、先生たちが止めた理由が分かった気がした。
さらに、先生たちが言いたかったことは「最終的に誰が責任をとるのか」ということだったと思う。
私達がいくら自分たちで責任を取りますと言ったところで、学校でやる以上最終的には先生たちが責任を取らなくてはいけないのだ。先生たちに止められたことで、自分たちはフードパントリーのことを何も知らなかったのだと反省をした。
◆ 個人的に活動を続ける
そこで、自分たちの勉強不足が開催に至らなかったので、再びフードパントリーを行っている団体へ調査に行くことにした。
1つ目に訪れた団体は、ふじみ野市にある「ココロンくらぶ」という団体だ。この団体は、食事の提供や地域交流、学習支援などを行っていて、「誰でも来られる地域の『居場所』」を目標に活動を行っていた。
2つ目に訪れた団体は川越市にある「本能寺」という団体だ。この団体は、食料配布や「寺子屋」として学習支援、お寺カフェなどを開催している団体だ。「親と子どもの『居場所』の確保」という目標に活動を行っていた。
最後に、3つ目に行った団体は、富士見市にある「富士見みんなでプロジェクト」という団体だ。この団体は、お弁当の配布や学習支援などを行っていて、「温かい食事の提供」を目標に活動を行っている。
そこで、富士見みんなでプロジェクトの代表をしている東海林さんという方に出会った。東海林さんに私達が今までフードパントリーを開催しようと頑張ったことや先生方に止められてしまったことなどを全て話した。
すると、東海林さんが、「高校生にだってできる」と言ってくださり、フードパントリーを、開催をするために協力をしてくれることになった。
東海林さんと出会ったことで、人脈が一気に広がり開催をすることが可能になった。東海林さんと出会えたおかけで、フードパントリーを坂戸市に開催できたと言っても過言ではない。
だが、ここで学校の授業は終わってしまい、授業内で開催することが出来なかった。私は、フードパントリーが開催できなかったことが悔しく、個人的に活動を続けることにした。
◆ フードパントリー「おひさま」を立ち上げる
フードパントリーを開催するため、本格的に準備が始まった。東海林さんにアドバイザーになってもらい、様々なサポートをして頂いた。
開催するために県庁で話し合いを行った。「埼玉フードパントリーネットワーク」の代表をしている草場さん、市役所で少子政策課として働かれていた百井さん、東海林さん、埼玉トヨペットの方と話し含いを行った。埼玉トヨペットは、坂戸市で新しくフードパントリーを行おうとしていた。そこで、話し合い参加をしていただいた。
話し合いの内容は、感染対策はどうするのか、食材をどう配布するのか、利用者さんをどう集めるのかなど細かい内容を話し合った。
県庁での話し合いで、筑坂でフードドライブを行うことになった。
フードドライブとは、家庭で余っている食品を、持ち寄りそれを必要としている方々や団体に寄付をする活動だ。この活動を実施した時、多くの生徒が食品を持ってきてくれた。
そして2021年2月14日フードドライブを開催することができた。
14世帯の方が参加してくれた。多くの団体が食材を、寄付をしてくれた。さらに、食材を寄付してくれたのは団体だけではなく、地域の住民の方もだ。
1回目の開催は改善しなければいけない部分も見えたが、大成功だった。
2回目の開催をどうするかとなった時、「一般社団法人シンビオージ」の山口さんと出会った。
山口さんは、埼玉トヨペットの方と坂戸市でフードパントリーを開催しようとしていた。そこで、一緒にフードパントリーを行うことになり「おひさま」という団体を立ち上げた。
◆ これらの経験を将来に
これが、私がフードパントリー「おひさま」を立ち上げた経緯だ。現在も月に一度開催をしている。
埼玉新聞、東京新聞、スーパーJチャンネル、24時間テレビなど多くのメディアにも取り上げていただき、今では利用者さんが約60人近くいる。
さらに、食材を安定して困っている人に届けたいという思いから、「セカンドハーベスト・ジャパン」に食材の寄付を頂いている。
食材をただ配布するだけではなく、利用者さんとの交流も大切にしていきたいと考えている。
私がこの経験から学んだことは、自らがアクションを起こし、大人たちに訴えかけ続けることで、周囲の人たちの協力を得ることが出来るということだ。
私は、これらの経験を将来、私が地域の人たちにしてもらったように、地域の人たちを助けることができる訪問看護師になりたいと考えている。
コロナ禍の今だからこそ、多くの人に希望を与えられるような人材になりたい。
※「人権と民主主義の教育をめざすネットワーク」結成集会(2021年12月19日)での報告をまとめていただきました(ニュース編集委員会)。
『子どもと教科書全国ネット21ニュース 142号』(2022.2)
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